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「ユタ」の成巫過程と社会的役割に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

「ユタ」の成巫過程と社会的役割に関する研究

吉木, 史麗

九州大学

https://doi.org/10.15017/2244539

出版情報:九州人類学会報. 23, pp.33-37, 1995-12-01. 九州人類学研究会 バージョン:

権利関係:

(2)

「ュタ 」 の成巫過程と社会的役割 に関する研究

[ 修士論文要旨]

吉 木 史 麗

目 次

第 1章 序章

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意 先行研究と調査経過・

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1

シャーマ

ニズムの研究小史・・

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第2

調査経過・....

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3  第3章

成巫過程の記述と 分 析 ・ ・

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3  第 1

ユタ」の

成巫過

程 の 分 析 ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .

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2 節 成

巫過程の事例

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第4章 「

ユタ

」の社会的

役 割 ・ ・ . . . . .

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第1

I

ヽンジの場面の分析・

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2 節

ユタ」と依頼者と の

相互

関 係 ・ ・ ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3 

第3

ユタ

」の社会的

役 割 ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .

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章 結語・

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参考文献・・・・

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第 1章 序 章

筆者は中国四川省の小数民族弊族(イ族)の出身である。そのことと今回の研究テーマとは深 い関係がある。葬族には古くからピモという一種のシャーマンが存在しており 、筆者はピモを日 本のシャーマニズムとの関連で研究したいと考えた。そうすることによ って、今後の紐者の弊族 に関する文化人類学的宗教研究に活かそうと思ったのである。

沖縄の「ユタ」に関しては相当に研究の蓄積がなされている。その点に注目 して、日本におけ るシャーマニズム研究の方法を学びながら、かつ自分自身でも直接現地調査を行いたいと考えた。

佐々木宏幹によると、「シャーマニズムとは、通常トランスのような異常心理状態において、超自 然的存在(神、精霊、死霊など)と直接接触 ・交流し、 .この過程で予言、託宜、卜占、治病行為

などの役割を果たす人物 (シャーマン)を中心とする呪術一宗教的形態である。」

この他、大橋英寿や桜井徳太郎など多くの著作があり、これらを参考にしながら、自分自身の フィ ールド ・ワークによる資料も若干加え、 「ユタ」の成巫過程と社会的役割に熊点をおいて述べ たい。本論の最後で 「ユタ」の定義に関しても若干のコメン トをするつもりである。さらに、箪 者がすでに行った葬族のシャーマン(ピモ)との比較をも試みたい。

本論で 「ユタ」という言葉に「 」をつけているのは、 鉦者がインタピューを行った「ユタ」

たちが 「ユタ」と呼ばれることを鎌っているからである。地元の人々は 「ユタ」を敬意をこめて ムヌシリ (物知り)と呼ぶ。しかし、ユタという語は学術的に定着しているので、本論では引用 以外では一貫して「ユタ」を用いた。

第2章 先 行 研 究 と 調 査 経 過

第 1節 シャーマニズムの研究小史 (1)「シャーマン」の由来と定義

本来、 シベリアの呪術 ・宗教者を意味するシャーマンは超自然的存在と直接に霊的交流をする 能力を持ち、人間界との媒介をして人間の生活に影響力を及ぽすことのできる人物である。学術 用語としてのシャーマニズムとは、シャーマンを中心とする宗教現象、あるいは宗教複合体であ

る。

(2)日本のシャーマニズム

日本では、柳田国男の 「巫女考」 (1913)をはじめ、中山太郎 (1930)、和歌森太郎 (1943)な どの先駆的研究があり、戦後は桜井徳太郎 (1973)がある。

(3)沖縄のシャーマニズムの研究史

沖縄学の父といわれる、伊波普猷 (全集 1993)や佐喜真典英の研究がある。「ユタ」の禁圧史 もあったが、戦後はリープラ (1966)の他、桜 井 (1973)、佐々木宏幹 (1976)の研究があり 、本 論文ではこれらに負うところが大きい。

(4)

第2節 調 査 経過

鉦者は、主に沖縄本島でフィールド・ワークを行った。調査期間は、第一回目は1993年8月下 旬から 9月初旬まで、第二回目は1994年4月から 7月まで、第三回目は1994年9月下旬から10月 初旬まで、最後は1994年12月、以上合計約100日間であった。調査実施地域は本島の那覇市、沖縄 市、具志川市、名設市、宜野湾市以外に、渡嘉敷島、久高島、久米島、宮古島でも現地調査を行

った。

調査方法としては、主に 「ユタ」や依頼者と直接面接し、祭祀の現場を参与観察して資料の収 集をした。

第3章 成 巫 過 程 の 記 述 と 分 析

第 1節 「ユタ」の成巫過程と分析

「ユタ」は世襲制ではなく、いわゆる巫病を経て 「ユタ」となる。その場合、カミダーリ(シ ャーマンのトランス状態を思わせる現象)と言われる状態になるのが普通であるが、その他にも 役困、家庭不和、離婚、難病奇病などの困難な経験をすることが多く 、また先天的にサーダカウ マリ (性高生まれ、神経質な、鋭敏な感性を持っている人)な人が「ユタ」になりやすいという。

第2節 成 巫 家 庭 の 事 例

ここでは、鉦者が直接面接した4人を含め、合計8人の「ユタ」の成巫の事例について述べた。 彼 (彼女)らに共通するのは、前節にあげた諸特微(巫病、貧困、精神な病気、離婚など)を有

していることである。

第4章 「ユタ」の社会的役割

第1節 ハンジの場面の分析

「ユタ」 が依頼者に応えて、霊的世界と交渉を持ち、その悩みや不幸の原因を明らかにするこ とをハンジ(判じ)という。それが行われる実態を具体的に分析する。まず、 「ユタ」は依頼者に いくつかの基本的な質問をして、神に祈り、そのハンジを告げる。内容としては先祖供蓑、聖地 拝み、家系正しなどが不十分か間違っているために不幸になったとされることが多い。

第2節 「ユタ」と依頼者との相互関係

依頼者が 「ユタ」の所へ行って、ハンジを受け問題解決の方法を教えてもらう。依頼者は普通 三、四人の「ユタ」にハンジをしてもらう。「ユタ」と依頼者の間には信頼関係があるが、最終的 には依頼者自身が自分で判断するのである。

第3節 「ユタ」の社会的役割

「ユタ」の社会的功罪についての議論は多いが、地元の人々にとって、 「ユタ」 への依存度が高 いことは事実で生活の万般にわたって「ユタ」にハンジを求めている。箪者は現代沖縄において

‑35‑

(5)

「ユタ」がそれなりの重要な社会的役割を果たしている実態に触れることが出来た。

第 5章 結 語

「ユタ」がシャーマンであるとすれば、 一般的な定義との関係に触れる必要があろう。 弊 族 の ピモは依頼者を前にして、明らかに「 トランスのような異常心理状態」を見せる。それに対し、

「ユタ」は誼者が観察した事例では、常に依頼者を前にして異常心理状態を見せるとは限らず、全 くそれらしい素振りを見せない「ユタ」もおり、また同じ 「ユタ」でも、ある依頼者にはそれを 見せ、別の依頼者にはそうしないこともある。ピモと比較すると 、「ユタ」は「 トランスのような 異常心理状態」を常に依頼者に見せるシャーマンではないということになる。つまり 、定義でそ の点を強調しすぎると、「ユタ」をシャーマンと捉えることができなくなる。佐々木氏は「通常は トランスのような異常心理状態」(下線は引用者による)というが、筆者は「通常」ではない事例 を観察した。沖縄の「ユタ」にとって何が 「通常」であるかは今後の課題であると言えよう。

葬族のピモは超能力を持ち、神に話しかけ、その声を聞くことができるとされており 、筆 者 が 調 べ た 限 り で は 「 ユ タ」も同様である。し た が っ て 、 佐 々 木 氏 の 定 義 に い う 超 自 然 的 存 在 と の

「直接接触 交流」も、そこまで広げて考えれば納得しやすい。

次に成巫過程について見よう。ピモの職は男性による世嬰制であり、 「ユタ」は世襲的ではなく、

カミダーリという巫病を経験する。ビモは経済的に恵まれているが、 「ユタ」は貧乏であった者が、

「ユタ」になることによって経済的に恵まれるようになる b 学問もなく、家庭的にも不幸で、経 済 的にも恵まれない人々 (特に女性)に霊的世界との交渉役をさせている、と理解できる。

社会的役割について述べる。ビモも 「ユタ」もシャーマンとして病気を治し、不幸を取り除い てくれる。しかし、ピモは非族の歴史に詳しく、伝統的な地理学や天文学にも通じた知識人とし て尊敬されているのに対し、「ユタ」がムヌシリ(物知り)と呼ばれるといっても、その知識は

「ユタマンチャー (ユタ混じり )」の知識としてしか受け取られない。「ユタ」は単なるシャーマン で、 霊的職能を発揮する場面以外ではほとんど敬意を払われることがないのである。

以上、ピモと比較対照しながら、シャーマンの定義と 「ユ タ 」 と の 関 係、および「ユタ」の成 巫過程と社会的役割についてまとめてみたが、中国語が異言語 ・異文化語(外国語ではない) で あり、日本語が外国語である筆者には、すべての作業段階が困難の連続であった。しかし、本研 究を通じてシャーマンに関する比較研究の童要さの一端を理解することができたと信じている。

参考文献

大橋英寿

1979  「沖縄におけるshaman「ユタ」の生態と機能」「東北大学文学部研究年報」第28号 桜井徳太郎

1973  「沖縄のシャマニズム一民間巫女の生態と機能―j弘文堂 佐々木宏幹

1980  「シャーマニズム〜憑霊と文化j中公新書

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許田邦子

1989  「ユタ開き書き」谷川健一編 「巫女の世界」所 収 三一書房

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参照

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