69 あった.肝切除の術後には凝固線溶系の両者の低下し た状態で,線溶系の低下が血栓の形成に関与している と考えられるが,血栓が門脈2次分枝までの合流部や 分岐部に好発すること,また門脈圧の高い症例で起こ り易いことから,門脈血栓の形成に関しては門脈血流 の変化が大ぎな要因であると思われた.また脾摘例で は血小板の増加もその一因であると考えられた. 8.十二指腸乳頭部門のDNA ploidy patternに関 する研究 (消化器外科) 太田 岳洋 Flow cytometryを用いて乳頭部癌のDNA ploidy patternを検討した.対象症例77例中aneuploidは54 丁目70%),diploidは23例(30%)であった.症例を深 達度別に癌がOddi筋圧にとどまるA群, Oddi筋を越 えるが膵実質に達しないB群,膵実質に達するC群の 3群にわけ,各々の群別ploidy patternをみると ane“ploidは深達度が深くなるにつれ有意に増加して いた.組織学的諸因子とploidy patternとの関係をみ るとaneuploidはdiploidに比べly因子, v因子の陽 性率が有意に高く,またn因子の陽性率も高い傾向が みられた.深達度肝別にみるとB群においてはaneu− ploidはdiploidに比べn因子の陽性率が有意に高く v因子の陽性率も高い傾向がみられたがC群において は両老に差はなかった.予後とploidy patternとの関 係を見るとaneuploidはdiploidに比べ有意に予後不 良であった.深達度門別にみるとB群ではaneuploid はdiploidに比べ有意に予後不良であったが。群では 両老に差はみられなかった. 9.下部胆管癌のDNA ploidy patternに関する研 究 (消化器外科) 戸田 博之 Flow cytometryを用いて下部胆管癌の核DNA量 を測定し,DNA ploidy patternと組織学的因子,予後 との関係について検討した.その結果,下部胆管癌切 除例のDNA ploidy pattemはdiploidは61.1%, aneuploid 38.9%であった.まず,深達度の指標とし ての膵臓浸潤の有無と,ploidy patternとの関係をみ ると,膵臓浸潤陽性例ではaneuploidが増加する傾向 がみられた.ploidy patt6rnと組織学的因子陽性率と の関係をみると,aneuploidではn, ly, pn因子の陽性 率がdiploidより高い傾向がみられた.次に,相対非治 癒切除以上の全症例で,ploidy patternと累積生存率 との関係をみると,aneuploidが有意に予後不良で あった.膵臓浸潤の有無でploidy patternと累積生存 率との関係をみると,膵臓浸潤陽性例で,aneuploidが 有意に予後不良であった. 10.高齢者膵頭部癌の臨床病理学的検討 (消化器外科) 羽鳥 隆 高齢者膵頭部癌の臨床病理学的特徴から,高齢者に 対する拡大手術の適応について検討した. 対象・方法:1981年1月∼1990年12月置でに教室で 経験した膵頭部癌切除例201例で,70歳以上高齢者53 例,70歳未満148例の2群に分け,①術前合併症,②手 術成績,③組織学的進展様式,④遠隔成績について検 討を行った. 成績:①70歳以上は62%に術前合併症があり,特に 心,肺,腎機能低下をみた.②〔手術死亡,術後合併 症〕は70歳以上で(5%,43%),70歳未満で(4%, 33%),〔切除率,治癒切除率〕は70歳以上で(54%, 34%),70歳未満で(64%,49%)と差はなかった.③ 70歳以上も70歳未満と同様にrp, n, ly, v, ne陽性が 70%以上と高度進展を示した.④70歳以上の5生率 10%,治癒切除例で30%と70歳未満と差はなく,5年 以上長期生存が3例得られた. 結語:70歳以上高齢者といえども高度な組織学的進 展を特徴とする膵頭部癌においては,周術期管理を厳 重に行い拡大手術を施行すべきである. 11.内筒留置型穿刺針を用いた食道静脈瘤硬化療法 の臨床的研究 (消化器内科) 加藤 明 今回,静脈瘤硬化療法を確実に行うために,内筒に 細い留置チューブを用いた内筒留置型の穿刺針を開発 し,臨床応用を試みた.市販の住友ベークライト社製 硬化療法針を基にし,外回に17G針を装着し,内筒の 留置チューブは24G穿刺男用を用いた.硬化療法はプ リーノ・ンド法で行い,内視鏡はGIF−2T−10を使用した. 透視下で外筒が静脈瘤内に穿刺されたことを確認し, 内学をEC junction近くまで進めEOIを注入した.11 例中9例で,内筒を方向へ挿入し硬化療法が可能であ り,内筒が挿入された静脈瘤は,著明に狭小化した. 合併症は,胸痛,ヘモグロビン尿をそれぞれ2例認め たが,一過性であった.特に,術後の潰瘍形成を認め ず,術中の,嘔吐反射等による抜針もないため,頻回 に治療を要する,難治例に有用と考えられた. 12.肝硬変症における胃粘膜病変に関する研究一胃 粘膜血流からのアプローチー (消化器内科) 千葉 素子 目的:肝硬変症における胃粘膜病変,特に胃潰瘍の 一507一
70 成因について胃粘膜防御因子である粘膜血流を中心に 検討した. 対象:胃潰瘍症例10例,肝硬変症例15例,胃潰瘍合 併肝硬変(LC・GU)症例15例,慢性胃炎症例12例の計 52例である. 方法:胃粘膜血流は臓器反射スペクトル法により測 定し,胃粘膜血液量,粘膜内ヘモグロビン酸素飽和度 を指標とした.測定部位は胃前庭部大蛮および小蛮, 胃体中部小冊および大学り計4ヵ所とした.次に防御 因子の改善を目標に塩酸セトラキサートの直接散布に より血流の改善率を検討した. 結果:LC−GU群では対照群に比較し胃粘膜血流の 低下を認め,胃潰瘍発生には血流の低下による防御因 子の低下と攻撃因子の比較的高値の関与が考えられ, 塩酸セトラキサートは防御因子の改善に有効と考えら れた. 13.特発性炎症性腸疾患の免疫学的解析一町梢血中 リンパ球の且・2産生能について一 (消化器内科) 馬場 理加 目的:IBDの免疫学的異常を解析するために末梢 血中リンパ球(PBMN)のIL・2産生能を測定した. 対象・方法:健常人対照7例,UC 10例, CD 11例よ