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(シンポジウム 悪性リンパ腫)Bリンパ腫の病理 : 低悪性度群Bリンパ腫を中心として

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シンポジウム

〔甕播講57第難,馨謂〕

悪性リンパ腫

Bリンパ腫の病理

一低悪性度群Bリンパ腫を中心として一

モリ 森 1)名古屋大学医学部 第一病理 2)放射線医学総合研究所病理部検査課  ナオヨシ 引戸  クニユキ  ヤタベ ヤスシ

尚義1)・岡 邦行2)・谷田部恭1)

(受付 平成4年12月21日) Patllology of B・Cell Lymphoma:Special Reference to tlle Low Grade B Cell Lympぬoma     Naoyoslli MORI1), Kuniyuki OKA2}and Yas購shi YATABE1)      1〕First Department of Pathology, School of Medicine, Nagoya University 2}The Section of Clinical La1)oratory, Hospital, National Institute of Radiological Sc孟ence    Recently vari6us new types of lymphomas have been. proposed among the low grade B・cell lymphomas not included in the Working Formulation. These are mantle zone lymphoma, mon㏄ytoid B−cell lymphoma and MALT lymphoma. These lymphomas have similar morphology and distribution pattern:the neoplastic ce1童s of these lymphomas are medium・sized and they show inte㎡ollicular growth pattern.    Besides to these lymphomas, hairy cell leukemia and small lymph㏄ytic lymphoma are the low grade lymphomas that must be differentiated from the above mentioned lymphomas.    Here, the authors present various morphological characteristics of these low grade lymphomas. Furthermore, the authors show various phenotypes specific for these lymphomas. ImmunohiSto・ chemically, the neoplastic cells of mantle zohe lymphoma show positive reactivity for surface IgD, CD5 (Leu1)and DRC・1. The neop董astic cells of small lymph6cytic lymphoma are positive for su㎡ace IgD. and CD5(Leu 1), but are negative for DRC・1.    The neoplastic cells 6f hairy cemeukemia are positive for LeuM5. In contrast, the neoplastic cells of mon㏄ytoid B−cell lymphoma are皿ostly negative for these antibodies.    Therefore, the authors consider that in addition to the morphologic features, combination use of these antibodies will make it possible to differentiate these low grade lymphomas.       はじめに  近年B細胞性リンパ腫で低悪性度群リンパ腫 に属するもののうち,国際分類(Working Formu− lation)に含まれていないリンパ腫として, mantle zone lymphoma, monocytoid Bリンパ腫, MALTリンパ腫(mucosa・associated lymphoid tissue lymphoma)などの概念が次々と提唱され ている.これらのリンパ腫は主として濾胞間に増 殖する様式をとり,形態的にも類似性が多い.更

に概念的にもMALTリンパ腫は前二者とオー

バーラップしている点もあり,これらの腫瘍の明 確iな規定が望まれる.  また,これらのリンパ腫と鑑別を要するものと してびまん性小細胞型リンパ腫,hairy cell leuke− miaなどがあり,これら疾患とのマーカー上の鑑 別も必要となる.

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 ここではmantle zohe lymphomaを主体とし て,monocytoid Bリソ.パ腫, MALTリンパ腫, hairy cell leukemia,びまん性小細胞型リγパ腫 などの低悪性度群リンパ腫の形態的,免疫組織化 学的特徴を述べていきたい.  1.mantle zo血e lymphoma  mantle zone lymphomaという名称は1982年 We呈senburgerら1}によって提唱されたものであ る.彼らはintem}ediate lymphocytic lymphoma のうち,不明瞭な結節状増殖パターン(vague

nodularity)をとる.ものをma填le zone

lymphomaと呼んだ. inte㎜ediate lymphocytic lymphomaはBerardら2)が1974年に最初に記載 したもので,well differentiated lymphocytic lylnphoma(あるいはdiffuse, s耳nall cell type) とpoorly differentiated ly血pho¢ytic lymphoma (あるいはsmall cleaved cell type)の腫瘍.細胞の 中間的性状を示す細胞がびまん性あるいは不明瞭 な結節性増殖を示す腫瘍であると定義した.inter・ mediate lymphocytic lymphomaは比較的まれな: 腫瘍であることや1国際分類が作られた当時は独 立疾患として「般的には認められていなかったた め,国際分類にはintermediate lyinphocytic lymやho止naは含まれておらず, small cleaved typeに属する(表1).  Weisenburgerらはintermediate lymphocytic Iympho阻aのうち結節状の増殖様式をとるもの をmantle zone lymphomaと名づけた.彼らは mantle zone lymphomaが一次濾胞あるいは二次. 濾胞のmantle zoneの小ブンパ球から由来する 腫瘍であると考え,この名称を用いた.mantle zone lymphomaでは増殖巣の中心部にしぼしば 萎縮した,あるいは痕跡状の胚中心の残存が認め られる.このような増殖パターンはmantle zone ly凱phomaが二次濾胞のmantle zone ce11由来 であるとする考え方の傍証となっている.一方 Harrisら3)はmantle.zoneパターンの増殖様式を とる腫瘍には雑多なものが含まれると考えman− tle zone lymphomaが独立疾患であることを否定 している.しかしmantle zone lylnphomaは増殖. 様式だけではなく,.intermediate lymphocytic 表1 悪性リンパ腫の国際分類(Work.ing  Flormulation) 五〇ωGη4θ Malignant lymphoma  Small Iymphocytic   Cons三stent with CLL   Plasmacytoid Malignant lymphQma, fQllicular  Predominantly smal玉cleaved cell   Diffuse areas   Sclerosis Malignant lymphoma, follicu】ar Mixed, small cleaved and large cell   Diffuse areas   Sclerosis 乃2参θ㎜θ4毎彪。η46 Malignant lymphoma, follicular  Predominantly large cell   Diffuse areas   Sclerosis Malignant lymphoma, di伽se. 一Small cleaved cell   Sderosis Malignant lymphoma, di任use l  Mixed, small and large cell   Sclerosis   Epithelioid cell component Malignant lymph6ma, di蜘se  Large cell   Cleaved cel}   Noncleaved cell   Sc奎erosis 田幼G駕4ε Malignant lymphoma  Large ce11, immunoblast童。   Plasmacytoid   Clear cell   Polymorphous   Epithelioid cell compoロent Malignant lymphoma  Lymphoblastic   Convoluted cell   Nonconvoluted cell.. Malignant lymphoma  Small noncleaved cell   Burkitt’s   Follicular argas ル露5‘θ1‘αηθ0粥 Composite;mycosis fungoides;histiocytic;extramedul・  lary plasmacytoma;unclassifiable;others cellの増殖から成る腫瘍であるとの考え方に立て ば,彼らの反論は妥当とは言えない.

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 すでに述べたようにintermediate

lymphocytic lymphomaはnodularな増殖をと るものとdiffuseな増殖を示すものとがあるわけ であるが,前者の増殖様式をとるものが多いこと から,intermediate lymphocytic lymphomaと mantle zone lymphomaとは同i義語として扱われ ることもある.またLennertを中心とするドイツ

の研究者はintermediate lymphocytic

lymphomaに相当する腫瘍としてcentrocytic

lymphomaと名づけている4).彼らによれぽfol− licular lymphomaはcentroblastic/centrocytic lymphomaに相当し, centrocyteだけの増殖する 腫瘍としてcentrocytic lymphomaと呼んでい る.また最近ではmantle zone lymphomaという 名称よりはmantle cell lymphomaの方が良いと するものもある5).組織学的には,mantle zone lymphomaのリンパ節には,多くの場合リンパ節 全域に不明瞭な結節性増殖巣を認める(図1).濾 胞性リンパ腫とくにsmall cleaved typeなどでは 増殖巣の辺縁は正常のmantle zoneのリンパ球 で囲まれることが多く,このため個々の増殖巣は 境界が明瞭である.一方,mantle zone lymphoma の結節性増殖巣は当然のことながら,辺縁は正常 のmantle zoneのリンパ球で囲まれておらず,こ のため個々の増殖巣は境界が明瞭となる.mantle zone lymphomaでは結節性増殖巣の中心部に萎 縮性の胚中心(residual germinal center)がしぼ しぽ存在する(図2).この所見は腫瘍細胞が胚中 心周囲性に増殖したもので,胚中心由来の腫瘍で ある濾胞性リンパ腫ではほとんど認められない. 従って,萎縮性の胚中心の存在はmantle zone lymphomaの診断に有力な傍証となることが多 い.ただこのような萎縮性の胚中心は早晩消失す る運命にあることから,この所見が無いからと 言ってmantle zone lymphomaを否定すること はできない.mantle zone lymphomaの腫瘍細胞 はすでに述べたようにsmall cell typeとsmall cleaved cell typeの中間的性状をもつ.腫瘍細胞 の核はやや細長く,多少共くびれを有するが, small cleaved cell typeのような細長い核をもつ ものは少ない(図3).結節性増殖巣中には小リン

鑛灘

懸’嫌

灘灘鍵

田鱒顯 図1 mantle zone lymphoma症例のリンパ節織 不明瞭な結節性増殖(vague nodularity)を認める. ヘマトキシリン・エオジン(H.E)染色,×30  図2 mantle zone lymphoma症例のリンパ節像 増殖巣の中心部に痕跡状の胚中心(residual germinal center)の残存を認める. H.E染色,×150

嚇  , 認   鶴

 蓼   蜘   戯

図3 mantle zone lymphomaの結節性増殖巣の拡  大  多くの腫瘍細胞は核に軽度のくびれを有する.HE.  染色,×600

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パ球様細胞やsmall cleaved cellも存在するが, Weisenburgerらの定義に従えば,これらの細胞 は全体の30%を越えない.  免疫組織化学的にもmantle zone lymphoma の腫瘍細胞はsmall cell typeとsmall cleaved cell typeの中間的性状を示す6). small cell type のリンパ腫ではsurface IgM(sM), surface IgD (sD), Leu 1(CD5)などが陽性である.一方small celaved cell typeではsM, CALLA(CD10), DRC−1(濾胞樹枝状細胞抗原, dendritic reticulum cell antigen)などが陽性となる. mantle zone lymphomaではsM, sD(図4), Leu 1, DRC−1 などがほぼ全例陽性で,CALLAは陽性例とそう でないものがある.alkaline phosphatase(AP) は正常のリンパ節ではmantle zoneあるいは一 次濾胞のBリンパ球に陽性である.しかし腫瘍性 の場合にmantle zone lymphoma以外に濾胞性 リンパ腫なども陽性となるため,APの陽性所見 はmantle zone lymphomaセこ特異的ではない. 我々が検索した症例では10例中7例が陽性であっ た.  DRC・1染色では濾胞性リンパ腫とくにsmall cleaved cell typeでは正常の胚中心と同様に密な 網目状陽性像を示すが,mantle zone lymphoma の場合には中心部が網目上構造を欠いていたり, 全体に不規則な配列を示すことが多い(図5).  パラフィン標本での胞体内免疫グロブリン染色 では経験した全例に単クローン性免疫グロブリン 陽性像を認めた.陽性重鎖はすべてIgMであっ た.mantle zone lymphomaではときに単クロー ン性ガンマグロブリン血症を伴うことがある.こ のような症例では結節性増殖巣の周辺部に形質細 胞を数多く認め,免疫染色で腫瘍細胞と同じ単ク ローン性免疫グロブリン陽性を示す.すな:わちこ れらの陽性細胞の一部は形質細胞へと分化したも のと考えられ,Bリンパ球の分化成熟過程を考え る上で興味深い.  結節性増殖巣の中心部に存在するいわゆる residual germinal centerは・くラフィン標本での 免疫グロブリン染色で多クローン性の陽性像を示 すことが多い.これは正常の胚中心をmantle 図4 mantle zone lymphomaにおけるsurface IgD  (sD)染色像  腫瘍細胞の半数程度に陽性像を認める.×300  図5 mantle zone lymphomaのDRC−1染色像 結節性増殖巣に一致して不規則なネットワークを示 す.×100 zone lymphomaの腫瘍細胞がとり囲むため,胚中 心は萎縮性となって残存するものと考えられる. まれではあるが症例によっては中心部の胚中心が 単クローン性の陽性像を示すことがある.この場 合はおそらく胚中心は残存する反応性のものでは なく,腫瘍細胞の一部が濾胞性リンパ腫へと分化 したものと推測される.われわれは5年間の経過 中にmantle zone lymphomaから濾胞性リンパ 腫へ進展した症例を経験しており7》,このような 症例の存在は上記の考えをうらづけるものと言え よう.  mantle zone lymphomaではパラフィン標本に おける免疫染色でLN−1, LN−2染色が有力な検索 方法であると言える.反応性リンパ節ではしN・1 は胚中心に強陽性に染まるが,一次濾胞あるいは

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二次濾胞のmantle zone cellは弱吟{生である. LN−2は逆にmantle zone ce11に強陽性であるが, 胚中心細胞は弱陽性である.  mantle zone lymphomaの腫瘍細胞では反応性 と同じくLN−1染色で弱陽性かあるいは陰性で, 中心部のresidual germinal centerは陽性であ る.LN−2染色では腫瘍細胞は強陽性で,中心部の residual germinal centerは弱陽性のことが多い.  mantle zone lymphomaにおける最近の話題と して染色体t(11:14)転座とbc1−1遺伝子再構成 が注目されている5).すなわちintermediate lymphocytic lymphomaあるいはmantle zone lymphoma症例では比較的高頻度にt(11:14)転 座が認められ,これに伴い11染色体上にあるbcl・1 遺伝子が活性化され,腫瘍化に伴いbcl−1遺伝子の 再構成がおこるとされている.濾胞性リンパ腫で はt(14:18)染色体転座とbcl−2遺伝子の再構成 が高頻度に生ずることが知られており,mantle zone lymphomaでのt(11:14)転座とbcl−1遺伝 子再構成はこれに対応するものとして注目を集め ている.  2.monocytoid Bリンパ腫

 monocytoid Bリンパ腫は1986年Scheibani

ら8)が3例報告したのが最初である.彼らはこの 腫瘍がトキソプラズマリンパ節炎9)などで出現す るmonocytoid B cellの腫瘍化したものと考え, monocytoid Bリンパ腫と名づけた. monocytoid Bcellは以前よりimmature sinus histiocytosis と呼ばれてきた細胞で,名前が示すようにリンパ 洞に単球あるいはマクロファージ様の豊かな胞体 と,腎形様の核をもつ細胞の集二字として認めら れる.またリンパ洞の中だけ’でなく,洞の周囲や 血管や梁柱の周囲にも増殖する(図6,7).この ような増殖巣中には好中球が必ずと言って良い程 混じっており,ときとして膿瘍を形成することも ある.  monocytoid B ce11の増殖はトキソプラズマ症 以外にも認められ,ウイルス感染症,なかでも伝 染性単核症で顕著なことが多い.monocytoid B cellは従来マクロファージ起源の細胞と考えられ ていたが,表面免疫グロブリンが陽性であったり,

@■.3..

図6 反応性リンパ節炎におけるmonocytoid B細  胞増殖巣  リンパ濾胞間に明るい帯状の増殖巣が見られる.H.  E.染色,×60   図7 反応性monocytoid B細胞増殖巣 離として写真左側に豊かな胞体をもつmonocytoid B 細胞を認める.右側には好中球の浸潤が目立つ.H.E。 染色,×600 種々のB細胞抗原をもつことなどから,Bリンパ 球の一種と考えられている.しかしこの細胞がど のような機能あるいは働きをもつのか,あるいは Bリンパ球のどの分化段階にある細胞なのかなど 不明な点が多い.  形態的にmonocytoid Bリンパ腫の腫瘍細胞は 豊かで境界鮮明な淡明の胞体をもち,核は中型で 異型性に乏しく,卵円形や腎形の型をとるlo)(図 8).リンパ節では胚中心やmantle zoneなどの 残存が認められ,濾胞間にはmonocytoid B ce11 様細胞のびまん性増殖を認める(図9).多くの場 合反応性のmonocytoid B cellとの鑑別が困難で ある.また残存する胚中心のまわりをとり囲むと

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  図8 monocytoid Bリンパ腫の増殖巣 腫瘍細胞は類円形核をもち,明るく豊かな胞体を有す る.HE.染色,×600  図9 monocytoid Bリンパ腫のリンパ節像 濾胞間に胞体の明るい細胞のびまん性増殖を認める. H.E染色,×60 ころから,mantle zone lymphomaとの鑑別も問 題となる.脾臓に病巣がある場合hairy cell leu− kemiaとの鑑別が問題となる.研究者の中には monocytoid Bリンパ腫とhairy cell leukemiaは 同一起源の腫瘍である可能性を指摘するものもあ る’1).monocytoid Bリンパ腫では完全にびまん 化し,残存する胚中心なども消失してしまった場 合,他のびまん性中細鋳型リンパ腫との鑑別が困 難となる.この腫瘍に比較的特徴的であるとされ る豊かで淡明な胞体は固定条件に左右されやすい からである.  monocytoid Bリンパ腫ではSj6gren症候群を 伴うことが多い.まれには白血化を示す症例や他 の高悪性度群リンパ腫へ進展することがある,  表面形質では腫瘍細胞は単クローン性表面免疫    図10hairy cell leukemiaの骨髄生検像 腫瘍細胞は類円形中型核をもち,明るい豊かな胞体を 有する,このような組織像であるとhairy cell leuke− miaの診断は比較的容易である. H.E染色, x 600 グロブリンを有し,B細胞抗原であるB、やLeu 14陽性を示す.Leu M5も通常陰性であり, B2や BA・2も陰性である.また, T細胞抗原のLeu 1, Leu 2, Leu 3, Leu 6も陰性である. IL−2 receptor も陰性を示す.  3.hairy cell leukemia  hairy cell leikemiaの腫瘍細胞は末梢血中では 特有の毛髪様胞体突起をもち,位相差顕微鏡で見 れば診断は容易である.骨髄の組織像でも典型例 では他のリンパ腫との鑑別は比較的容易である (図10).hairy ce111eukemiaは原発巣が脾臓であ ることが多いことから,病巣が脾臓に生じた場合 や,リンパ節浸潤をきたした時などはmantle zone lymphomaやmonocytoid Bリンパ腫との 鑑別が困難な場合がある.病変が脾臓である場合 には腫瘍細胞は赤脾髄で増殖し(図11),濾胞間の 増殖パターンをとり,白磁髄は萎縮,痕跡状とな る.腫瘍細胞は豊かで淡明な胞体をもち,核は小 型でリンパ球様を呈する.腫瘍細胞は形態的に monocytoid Bリンパ腫ときわめて類似の像をと る,またすでにmonocytoid Bリンパ腫の項で述 べたように,hairy cell leukemiaの腫瘍細胞と monocytoid Bリンパ腫の腫瘍細胞とは同一起源 のものであるとする考え方もある.hairy cell leu− kemiaが濾胞間の増殖パターンをとることから, mantle zone lymphomaとの鑑別も問題となる.  marker的にはhairy cell leukemiaではsur・

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   図11hairy cell leukemiaの脾臓所見 写真のような像を呈すると他の低悪性度群リンパ腫と の鑑別が難しい.H.E染色,×600  図12hairy cell leukemiaのLeu M5の染色像 腫瘍細胞の多くに陽性像を認める,×300 face IgM(sM), OKB 22, Leu 14, Leu 8, Leu M5(図12)などが陽性となることが多い12)13).し かしLeu M5を除く他の抗体はhairy cell leuke・ miaに特異的ではなく,鑑別診断に有用とは言え ない.

 4.MALTリンパ腫

 小腸の粘膜にあるリンパ球は抗原刺激を受ける と循環して骨髄に入り,再び抗体産生細胞である 形質細胞となって小腸にもどってきて,その場の 免疫反応にあずかるとされており,mucosa・ associated lymphoid tissue(MALT)と呼ばれ’ ている.Isaacsonらは消化管をはじめとする節外 性リンパ腫の多くはMALTリンパ球が腫瘍化し

たものであると考え,MALToma(MALTリンパ

腫)と呼んだ14}.IsaacsonらによれぽMALTリン    図13MALTリンパ腫の胃の組織像 表面はびらんを示し,腫瘍は濾胞間にびまん性の浸潤 を呈する.H.E染色,×15     図14 MALTリンパ腫の増殖巣 リンパ濾胞間に明るい胞体をもつ腫瘍細胞のびまん性 増殖をみる.HE.染色,×60 パ腫の腫瘍細胞の特徴はcentrocyte−like cellで あり,濾胞間に増殖,浸潤すると言う(図13,14). centrocyte・like ce11は形態的にintermediateの 大きさで,小リンパ球より少し大きく,典型的な centrocyteほどの核の不規則性は無いが,不規則 な形をするクロマチンの濃い核を有するという (図15).  その他MALTリンパ腫の特徴としては腫瘍細 胞が腺上皮間に入り込むいわゆるlymphoepith・ elial lesionや,リンパ腫細胞が有する免疫グロブ

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    図15MALTリンパ腫の増殖巣 腫瘍細胞は中型の類円形核をもち,胞体は豊かで明る い.H.E染色,×600 図16 びまん性小細胞型リンパ腫のリンパ腫の組織像 腫瘍細胞は胞体が狭く裸核状をなし,核はまるく核ク ロマチンは濃い.H.E染色,×600 リソと同じ単クローン性免疫グロブリンが粘膜上 皮直下の形質細胞に認められることなどがあげら れる.  Isaacsonらによれぽ腫瘍細胞の膜形質はsM, Leu 14(CD22), KB61などが陽性となり,sD, Leu 1(CD5), CD23などが陰性であるという.sD, Leu 1などが陰性であるという点からは,mantle zone lymphomaと区別できると考えられるが, Isaac−

sonらによれぽLeu 1陽性MALTリンパ腫も

あってよいとのことであり,膜形質も絶対的なも のとは言えない.言い換えれば同一の腫瘍に対し, 異なった名称を用いている可能性も高いと考えら れる.  Isaacsonらは最近centrocyte・1ike ce11か日成 る腫瘍だけでなく,intermediateやhigh grade lymphomaの一部にはcentrocyte−like cellの増 殖も伴っていることから,これらのリンパ腫は centrocyte・like cellカミより悪性度の高いリンパ 腫にかわったものと考え,これらのリンパ腫も MALTリンパ腫であるとしている15).このような ことからMALTリンパ腫は形態像,表面形質な どの所見にもとづいた腫瘍ではなく,節外性のリ ンパ腫全般を含む概念的な色彩の濃い定義である との印象が強い.MALTリンパ腫が本当に明確 な独立した疾患であるのか,あるいは単に概念の 相違だけのものであるのか,今後の課題である.  5.びまん性小細胞型リンパ腫(慢性リンパ性白 血病を含む)  この型の腫瘍細胞は類円形で濃染するクロマチ ンをもつ.胞体は乏しく裸核状に見えることが多 い(図16).しぼしぼ腫瘍増殖中に明るい小結節制 の増殖巣をみる.これはpseudofollicular prolif− eration centerと呼ばれるもので,同町には中型 や大型の芽球様細胞を認める.この部は腫瘍細胞 の分裂,増殖の活発なところと考えられている.

びまん性小細胞型リンパ腫とmantle zone

lymphomaはときとして鑑別が困難なことがあ る.主な鑑別点としてはびまん性小細胞型リンパ 腫の場合,mantle zone lymphomaとくらべて腫 瘍細胞の大きさがやや小さい.腫蕩細胞の核は類 円形で,くびれはほとんどない.また腫瘍性増殖 巣は結節状の増殖パターンをとらない,などがあ げられる.  マーカー的にはsM, sD, CD5(Leu 1)などが 表2 各種低悪性度群リンパ腫のマーカー上の特徴

MZL

MBCL

HCL

SL(B・CLL)  sD bD5 iLeu1) cRC・1 keuM5 十十升  一 一一 一∼ 十∼± ¥∼± 黶` MZL;mantle zone lymphoma, MBCL;monocytoid B・ cell lymphoma, HCL;hairy ce111eukemia, SL;smalI lymphocytic Iymphoma, sD;surface IgD immunog・ lobulin.

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陽性で,mantle zone lymphomaとこの点共通し ている.mantle zone Iymphomaとの鑑別として は,DRC−1陰性であることがあげられる.ただ pseudofollicular proliferation centerを伴うもの では二部にDRC−1の陽性像を認めることがある が,陽性像は小さく,陽性結節の数も少ない(表 2).        ま と め   以上述べたように国際分類(Working Formu− lation)に含まれない低悪性度群リンパ腫のうち, mantle zone lymphoma, monocytoid Bリンパ

腫,MALTリンパ腫は形態的に鑑別が困難であ

るだけ.でなく,概念的にも一部オーバーラップ.が 見られるところがあり,より明確な定義ならびに 鑑別方法が望まれる,とくにmonocytoid Bリン

パ腫とMALTリンパ腫ではその発生母細胞とし

ていずれも脾臓などにみられるmarginal zone のBリンパ球が考えられており,これが事実であ

れぽmonocytoid Bリンパ腫とMALTリンパ腫

は同一のリンパ腫ということになろう.  mucosa・associated lymphoid tissue(MALT) は本来小腸のリンパ濾胞で考え出された概念であ るが,小腸原発のMALTリンパ腫の報告はほと

んど無いなど,MALTリンパ腫には数多くの疑

問点が残されている.monocytoid Bリンパ腫,

MALTリンパ腫などに特異的な抗体の開発が望

まれるとともに,これらの発生母細胞の解析が今 後の課題である.        文  献   1)Weisenburger DD, Kim I{, Rappapo.rt H:     Mantle zone lym.phoma. A follicular variant of     l口termediate lymphocytic lymphoma. Cancer     49:1429−1438, 1982   2)Berard CW, Ja丘e ES, Braylan RC et al:     Immunologic aspects and pathology of malig・     nant lymphomas. Cancer 42:91}921,1978   3)Halris NL., Bhan AKI:Mantle zone     lymphoma. A pattern produced by lymphomas     of more than one cell type. Am J Surg Pathol     9:872−882, 1985   4)Tolksdorf G, Stein H, Lennert K:Mor−     phological and immunological de且nition of a    malignat lymphoma derived from germinal−    center ceユls witわcleaved nucle三(centrocytes).    Br J Cancer 41:.168−182,1980 5).RaHle璽d M, Ja貸e ES:bcl−1, t(11:14), and    mantle cell derived lymphomas. Blood 78:    259−263, 1991 6).Mori N, Oka K, Kojim.a M:Immunohisto−    chemica董study of mantle zone lymphoma. Am    JClin Pathol 89:143−148, 1988 7)Oka K, Mori N, Kojima M:Acase report of    mantle zone lylhphoma progressing into fol−    licular lymphoma. A卑JChn Pathol 86:    220−224, 1986 8) Sheibani K, Sohn CC, B血rke JS et al:    Monocytoid B−cell lymphoma:Anovel B・cell    neoplasm. Am J Pathol 124:310唱18,1986 9)Sheibani K, Fritz RM, Winberg CD et al:    “Monocytoid”cells in reactive follicular hyper−    pias三a with and without multifocal histiocytic    reactions:An immunohistochemical study of    21cases including suspected cases of toxoplas・    mic lymphadenitis..Am J CIin Pathol 81:    453−458, 1984 10)Sheibani K, Burke JS, Swartz WG et al:    Monocytoid B−cell lymphoma. Clinicopath・    ologic study of 21 cases of a unique type of    low・grade lymphoma. Cancer 62:1531−1538,    1988 11)Tmweek ST, Sheibani K, Wi聾berg CD et al:    Monocytoid B・cell lymphoma:Its evolution    and relationship to other low・grade B−cell neo・    plasms. Blood 73:573−578,1989 12)Schwarting R, Stein H, Wang CY:The    monoclonal antibodiesαs−HCLI(αLeu−14)and    αs・HCL3(αLeu−M5)allow the diagnosis of    hairy cemeukemia. Blood 65:974−983,1985 13)Falini B, Scbwarting R, Erber W et a璽:The    differential diagnosis of hairy cell leukemia   with a panel of monoclonal antibodies. Am J    CIin Pathol 83:289−300, 1985 14)Isaacson P, Wright DH:Malignant    lymphoma of mucosa associated lymphoid tis・    sue:Adistinctive type of Bcell lymphoma,    Cancer 52:1410−1416, .1983 15)Chan JKC, Ng CS, Isaacson PG:Relation−    ship between high−grade lymphoma and low−   grade B−cell mucosa−associated lymphoid tis・    sue lymphoma(MALToma).of the stomach.   Am J Patho1136:1153−1164,1990

参照

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