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クワングワ語動詞アクセント試論

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Academic year: 2021

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(1)

クワングワ語動詞アクセント試論

A Tevitatne lanoT anA sisyl Kfoawgnaw sbreV

湯川恭敏

Y a s u t o s h

i awakuY

はじめに

クワンク・ヮ語({白

)awgnawkis

というのは、ザンピアの西部地方

nretseW( )ecnivorP

の主 要都市モング

)ugnoM(

とセナンガ

)agnaneS(

を結広報の東方に話されるパントゥ系の言語 であり、話し手人口は

3

万人程度と恩われる。この言語は、

09

世紀に現在の西部地方の 主要言語であるロズィ語

zoliS(

i)をもたらした〉南ソト系のコロロ族側

)ololoka

によるこ の地方の征服以前の主要言語であったルヤナ語

iS()anayul

の東部方言の一つであるが、モ

ングの西方のカラポ

)obalaK(

等に話される西部方言(ニェンゴ語やムエニ語等)とは異な り、ロズィ語に押されて衰退過程にあるようである。りなお、いいったえによれば、西部 地方の中心に住み、ロズィ語を母語として話しているロズィ族とクワングワ族はもと同ー の集団であったが、対立して逃亡したのがクワングワ族だとのことである。

本論文でこの言語の表記に用いる子音字とその概略的音価は、次の如くである。ほぽ、

ロズィ語の正書法に従う

o

b

([~]-{b]) , c t[(

) ] : j

d ( ) ] d [

f

)]f[( g ()]g[

h ( ) ] h [

j

([d~]) ,

k ( ) ] k [

1 ( ] 1 [ r - - [

)] m [() n ([~]), ny. )JrC( n

句 (

.)J ('p)Jp[ s ()]s[ hs

) ( [ t ]

t ()]t[ w ()Jw[ y )]j[( z ()Jz[ n/m

(子音前鼻音).

2)

母音字は、次の通りである。

i )Ji[(

e ()]e[ a ()Ja[ 0 )Jo[( u (.)]u[

アクセントは、母音上の/で「高

J

を、無印で「低J をあらわす。この言語においては、

高い音節の直後の低い

1

音節は、語末にない限り、下降調もしくは高くなり、そのような 音節の直後に高い

l

音節があれば、後者は上昇調に発音されることがある。

r

遅下がり

J

f 遅上がり

J

と仮に呼んでおく。

r

遅下がり

j

はそもそも下がらないことも多く、たとえ ば--cvcvcÝ--が多くの場合--cvcvc~--または~ctctcV~ 〈ぜは上昇調)と聞こえるなど、

極端である。ただし、これは、筆者の解釈であり、別の解釈も可能かも知れない。この筆

者の解釈については、

6 1 - 1

参照。

(2)

この言語における人称主格・対格接辞幻の形は、次の通りである。

主 格 対 格 主 格 対 格

単数

i

人称

s/in i )¥1

2

人称

U

3

人称

a

- - - - -

n M

複数

l

人称

2

人称

3

人称

t

u ut

HubHH

m

u lm

U a a

クラス幻主格接辞・対格接辞は、次の通りである。クラスは、名調例で示す。ハイフン は 、 (冒頭母音

ω

っきの〉接頭辞と語幹の境界を示す。

1 '" IV.I XI

は単数名詞のクラス で 、

xVX'"

は複数名詞のクラス、

IV

Ilは単複の区別のないクラスである。アクセントの表 示は省略する。

1

. )0(un-um r

J ilao)-o( r

アフリカ水牛

J

(接頭辞ゼロ).

ub-m)o( ul rj

単数

3

人称に同じ

1

. l

omas-um)o( r

j

.1 )e( -ilotoI il rしずくJ

I V

. alak-is)e( rバケツJ

V

. ogoid-n)e( r

J )-e( ikomok r茶碗J

(接頭辞ゼロ)

V I

. okuk-ul)o( r

魚用のわな

J

HU

HU

•.•

- -E E

- - a

••••.

S L S 1

l u ul V

I.Iedoes-ak)a( r

コオロギ

J ak ak V

I

I

. l

)0( k-u i r峰蜜 u u

I X

. )0(iwt-uk r

uk uk

X

. uo-a)a( r

J lao-a)a( i r

アフリカ水牛

J c.f .1

複数

3

人称に同じ

X.I s-im)e( o r

J c.f.II X

I.1ilotoI-am)a( rしずくJiwt-am)a( r

J .fc LI/III . a a X

I

I .Ialak-i)e( rバケツJ .fc .VI

XI~ ognid-nit)e( r

首 J ,

)e(

i

i

t

komok- r

茶碗 J ,

)e(oku

i t

n;.. r

魚用のわな J

( e

) ut b-mi 1 u r c.f V/V.I!I

i t i t

X V

. )0(ednes-ut r

コオロギ

J c.f IV.I ut ut

この他に、対格接辞の一種として再帰接辞

uk

1>がある。

主格接辞を

S

であらわす。対格接辞を

O

であらわすが、単数

1"'3

人称〈クラス

I

も含

む〉とその他の対格接辞がアクセントの面で異なる扱いを受けることがあるので、そのよ

うな場合、前者を

.O

、後者を

O2

であらわす。再帰接辞は、

O2

に属するが、少し変わったあ

らわれかたをする場合があるので、アクセント表示では、実際の音形であらわす。

(3)

この言語の動詞自体は元来のアクセントの型 (A 型・ B型肝〉の対立を保存している。

なお、本論文においては、語幹が子音ではじまる動詞のみを扱うことにする。 9) また、

動調語幹が子音lつから成るものについては、データが断片的なため、省略する。

このインフォーマント〈言語

) 1

のアクセントは極端に聞き取りにくく、かっ、ひどくぷ れる。 10) 従って、本論文の言改主に誤りが含まれている可能性がかなりある。

g .1 不定形

この言語の動詞にも、不定形と呼んでよい形( r-.,すること J の意)や、その否定形が ある。

g 1 - 1. 肯定不定形 肯定の不定形は、

(

0 )t

t (対格接辞 )t 語幹 t a 0(は冒頭母音)

という構造を有する。適常は冒頭母音があらわれるので、ここでは、官頭母音があらわれ た形で示す。アクセントは、次のように表示しうる。 cは(子音前鼻音

) t

子音

t (

半母音)

V は母音をあらわし、 X は任意の音索列を示す。 t I は、調整規則1l) Iを付け加え る必要がある、の意である。

A

型:)C(VCuk6 xV ( X 1Q= なら、)C(

れ ま

V)C( となり、その前のVC VC となる。 r調整 規則

I

J と呼ぶ).

6 k u O C V ( C ) V

X ( t I )XV)C(VCuk06 ( t I ). B Xuk6

0uk6 1X.

XVCzOuk6 .XVCuk06

6 k u m 6 n

a r見る

J

asinomuk6 r見せる

J

al

ut6gnamuk6 r脱がせる

J

o k u t e 6 l i s

a r預ける

J

o k u n i m o n

a r私を見るJ inuk6 as{no r私に見せるJ 6kunimang~tula r私を脱がせるJ ; an&mauk6 r彼らを見るJ:.cte 6

0 k u m 6 n

a r自分を見る

J

nomuko6 .as{ 6gnamuk06 t u .1 a (以上 A型)

6 k u l a h

a r叱る

J

asulatuko r説明する

J

atodnoluk6 rついて行く

J

6 k u

n i ahal r私を叱るJasulatinuk6 r私に説明するし;atodnolinuk6

6kual~ha r彼らを叱るJ

6kuat~lusa. ;atodn61auk6 6

0 k u l a h

a r自分を叱る

J

.asulatuko6 (以上 B型) 再帰接辞のあらわれる形の"-uk06 は、おそらく、 "-ukuk6 から生じたものであろうo

(4)

た、最初に述べた「遅下がりJ によって、 A型もB型もuk6 uk まで高く発音される。冒 頭母音6 があらわれないで不定形だけを発音する時は、 uk は低く発音されるので、ukが音 韻的には低く、 「遅下がりJ によって高く発音される、という筆者の解釈がここから出て くる。 rはじめにJ に述べた、 「遅下がりj といえる現象がこの言語に存在するという筆 者の解釈を支えるかなり確かな証拠は、今のところこれくらいしかない。ugnamuko luta

6 k u n i m a n g u t u l

a alutugnamuk06 におけるutasulatauk6 asul'tuko6 におけるul、それ atodn61auk6 odn は、やはり

f

運下がりj によって下降調で、または、高く発音され る。また、anomuk6 は、加が高く発音されるとともに血0は上昇調で発音される。後者は、

「遅上がりj であると解釈される。

f

t 1-2. 否定不定形 否定の不定形は、

(

0

) t

uk

t

a + (対格接辞

) t

語 幹 + a

という構造を有し、アクセントは、次のように表示しうる。

A:6ktlackC)dx(+I)

6kuaOCV(C)dx(+I)

dohuaCV(C)dx(+I).

B XVCauk6 .XVClOauk6 XVCzOauk6 60kuaC~X.

6 k

uano r見ない

J

uk6 .as{no. utugnamauk6 al16etauk6 ;asi 6

k u a n i m o n

a r私を見ないJ a

s{nominauk6 ;alutGg

naminauk6 6

k u a a m 6 n

a r彼らを見ないJ

:.cte 6

0 k u a m 6 n

a r自分を見ないasjfnoma

ilE106 -aluhg

namallk06 6kual~ha r叱らないJ.asul'tauk6 ;atodn6lauk6 o

k u a n i l ' h

a r私を叱らない

J

as

ul'tinauk6 ;ato

dn6linauk6 6

k u a a l ' h

a r彼らを叱らない

J

;.cte

(以上

A

型)

6 0 k u a l a h

a r自分を叱らないJ.asul'tauko6 (以上 B型) 再帰接辞のあらわれる形の"-auko6 "-ukauk6 が予想されるが、奇妙なことに、デー タでは上記の知くである。

f

t .2 直説法形

直説法形に用いられる語尾としてはegna/e/eli/V/agna/a がある。

(5)

~ 2-1. 語尾a を用いる形

まず、不忠彦と同じ語尾を用いる形を見る。

~ 2-1-1. 過去形

昨日あるいはそれ以前の過去のある時点において行われた行為をあらわす形は、

n

a + 主 格 接 辞 +uk + (対格接辞+)語幹+ a

という構造を有するo +an 主格接辞の形は、単数1人称 sian

2人称.on 3人称(=

クラスI) an であり、また、+an 主格接辞+再帰接辞の形は、単数 l人称ukoonis 2 .ukoon 3人称(=クラス )1ukukan , 複数1人称.ukuutan 2人称anukuu 3人称

(=クラス )X.ukoan である。アクセントは、次の如く表示しうる。

A:flashbcv(C)dx(+ILB4shdocv(C)dx(+I)

ds4IE tuckC)GX(+I).

B

x6kS'n n~Sk601X, I20GkS'n n~S6kuX.

Gs/S が短いl音節の時は、高くなる。

n ' t u k u m 6 n

a r私たちは見たJ.as{nomukutan utan .alut6gnam ut'n Gk;asil6et n

a t u l u a m

u an6 r私たちは彼を見たJasinomumGkutan

6kutan namultI;alut n

a t u k u a m 6 n

a r私たちは彼らを見たJ

:.cte 1

1 6 t t 1 6 1 4 1 1 m 6 n

a

f

私たちは自分を見たJasin

omuk6ut'n .alut6gna

muk6utan

(以上

A

型)

n a t u k u l a h

a r私たちは叱った

J

asu

lat6kut'n ;atodn

olukutan n

a t u k G m u l a h

a

f

私たちは彼を叱ったJasulatum6kut'n utin6k;atodnolu n

a t u k u a l a h

a r私たちは彼らを叱ったJ nátuk~atalusa. nátuk~alondota;

n a t u 6 k u l a h

a r私たちは自分を叱ったJ nátuGkutalus~ (以上

B

型)

s i n

a

an6m r私は見た

J

an6mGk6n rあなたは見た

J

an6mGkan r彼は見た

J

s i n 0 6 k u m 6 n

a r私は自分を見たalI6IEJllh

661I 「あなたは自分を見たJ "

n a k G k u m 6 n

a r彼は自分を見た

J

inukGu an6 rあなたがたは自分を見た

J

n i 6 k u m 6 n

a r彼らは自分を見た

J

B

型の場合、XzOGkS'n とならんでXYCzOGkSan も許されるようであるo

n a t u k 6 a l a h

a asul'taGkutan utan 6.aktodnola

おそらく、 n'S6kuX とならんでn'StJkuC~X も許されると恩われるが、確認もれである。

(6)

g 2-1-2. 過去進行形 1)(

過去のある時点において行われていた行為をあらわす形は、

( k a m

e )+ 主格接辞 t na t加 + (対格接辞 )t 語幹 t a

という構造を有する。単数1人称主格接辞は、isであらわれる。アクセントは、主格接辞 から高く発音される場合もあるなど、ひどくぶれて確認しがたいが、次のように表示しう ると解釈しておく。em'k がつかない形で例示する。

A

型: Snak~CV(C)ÝX

( + 1 ).)C(VCOokanS (+I)

sn06kuCV(C)dx(+I).

B

.XGkanS 06kanS .X SnakG02C~X. Sno6kuC~X.

t u n a k u m 6 n

a r私たちは見ていた

J

.asinom6kanut tuna凶mang~tula.

t u n a k u t e o l i s a

; t u n a k G m u m 6 n

a r私たちは彼を見ていた

J

.as{nomumokanut ;alutGgnamum6kanut t

u n a k u

a an6 r私たちは彼らを見ていた

J

:.cte t

u n o o k u m 6 n

a r私たちは自分を見ていたJ.asinomuk6onut .alutugnamuk6onut

(以上

A

型)

t u n

a

ahal r私たちは叱っていたJ.asulatGkanut ;atodnolokanut t

u n a k G m u l a h

a r私たちは彼を叱っていたJ.asulatumukanut ;atodnolum6kanut t

u n a k G a l a h

a r私たちは彼らを叱っていたJ.asulata6kanut anut

;atodn6la t

u n o o k u

l tMa r私たちは自分を叱っていたJ.asul'tuk6onut (以上

B

型) そもそも上の記述自体が不確実さを含むので、これもやはり不確実ではあるが、 B 型の 場合に、 SnakG02C~X とならんでSnak~02X も許されるようである。

t u n a k G a l a h a

. .asulataukanut .atodnolaokanut

おそらく、 Sno6kuC~X とならんでSno6kuX も許されると恩われるが、確認もれである。

g 2-1-3. 現在進行形

現在行われている行為をあらわす形は、

k a m

e +主格接辞十(対格接辞 )t 語幹 t a

という構造を有する。単数1人称主格接辞は、inであらわれる。アクセントは、特にA において確認しがたいが、次のように表示しうると解釈しておく。

A

型:

enurk )C(VCS む( + 1

).凶皿

e S)C(VCO む( t 1 ). k

a m

e XV)C(VCukS ( t 1 ). B

型:

emak SC~X. emak SOC~X. em'k .XVCukS

(7)

k a m

e an6mut r私たちは見ているJemak .as(nomut em6k.alut6gnamut k

' m e ;asil6etut

e tm u Uan6 「私たちは彼を見ている

J

emak.as(nomumut 'k;alutue tgnamumu l

a m

e anotnaut r私たちは彼らを見ているJ :.cte

eman6mukut r私たちは自分を見ている

J

k.ase t(nomuku k

a m

e .alut6gnamukut (~上A型)

k a m

e ahalut r私たちは叱っているJ k.ae tsul'tu .emak ;atodn6lut k

r u n

e ah'Jumut r私たちは彼を叱っているJ

k.asue tlatumu emak ;atodn6lumut 皿e tah'lau r私たちは彼らを叱っている

J

;.cte

l f a m

e ahalukut r私たちは自分を叱っているJ

em'k tukut~lusa. (以上

B

型)

~ 2-1-4. 現在継続形

現在まだ行われている行為をあらわす形は、

主 格 接 辞 +is + (対格接辞+)語幹+

a

という構造を有する。単数l人称主格接辞は、inであらわれる。アクセントは、次のよう に表示しうる。

A

:6sickC)dx(+I) )

C(VCOisj (+i) )C

(VCukisd

白(

+ 1 ).

B

:6sich

xdcoisi

-hGUkisi

tu

'an6mis r私たちはまだ見ているJa

sfnomiSdt lGetisift-alItt

dgnamis6t ;asi t

G s i m u m 6 n

a r私たちはまだ彼を見ている

J

as{nomumisut ;alut6gnamumis6t t

u s i a m 6 n

a r私たちはまだ彼らを見ている

J

:.cte t

o

s an6muki r私たちはまだ自分を見ているJ.as(nomukisut t6sikumang~tula.

(以上

A

型) t~s i ah'l r私たちはまだ叱っているJ.asul'tis6t ;atodn6lis6t

t 6 s i m u l ' h

a r私たちはまだ彼を叱っている

J

.asulatumisGt ;atodn61umis6t t

6 s i a l ' h

a r私たちはまだ彼らを叱っているJ ;.cte

túsikul~ha r私たちはまだ自分を叱っているし.asul'tukis6t (以上

B

型) 主格接辞が低く発音されている録音もあるが、そちらには何とも不可解な録音が含まれ ているので、本文のようなアクセントのほうを採用した。

参照

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