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(1)

重み付きプロクラステス解法の研究 : プロクラス テス関連諸解法の体系化

その他のタイトル A Study of Weighted Procrustes Analysis : A Systematization of Methods Related to

Procrustes Analyses

著者 柴田 満

雑誌名 関西大学社会学部紀要

巻 22

号 1

ページ 1‑32

発行年 1990‑09‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/00022608

(2)

重み付きフ゜ロクラステス解法の研究

―プロクラステス関連諸解法の体系化_ー

柴 田 満

A Study of Weighted Procrustes Analysis: A Systematization  of Methods Related to Procrustes Analyses 

Mitsuru  SHIBATA 

Abstract 

The  purpose  of  this  study  is  to  systematize  the methods  related to  Procrustes analyses,.  such as  the  rotation to  get  maximum  coefficient  of  congruence,  the  fitting  rotation  to  hyperplane,  therotation ‑to  achieve  parallel proportional profiles and the Procrustes r9tation and also to propose  the  criteria  for  appling  a synthetic  system in  order to  confirm a  multidimensional  structure model. 

The author pointed out that four sorts of methods re lated to  Procrustes  analyses are  mathematically interpreted ,as1the iSpecial cases 1of'the weighted  Procrustes  analysis  proposed  by  Meredith.  The  hierarchical  structure  of  this  criteria  was explained by means of  mathematical  formulations. (author  abstract) 

Key words : Procrustes problem, coefficient of congruence, hyperplane fitting, parallel pro portionality, rotation of factor axes, factor analysis 

抄 録

この研究の目的は, プロクラステス関連諸解法, たとえば, 一致性係数の最大値をうるための回 転,超平面への適合をめざす回転,平行比例を達成するための回転,そしてプロクラステス回転など の体系化をはかるとともに,これら諸解法に基礎をおく多次元構造モデルを確認するためのシステム の適用基準を提示することである。

著者は,

4

種類のプロクラステス関連諸解法を,

Meredith

によって提案された重み付きプロクラ ステス解法の特殊形であると指摘した。また,適用基準の階層構造が,数学的展開によって解説され た 。

キーワード:プロクラステス問題,一致性係数,超平面への適合,平行比例,因子軸の回転,因子分

析法

(3)

関西大学「社会学部紀要」第

22

巻第

1

I

要 約 目 次

J

【 問 題 】 ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ・(3)

(因子解の類似性を高めるために提起された一致構造への回転.平行比例への回転.

超平面への回転,およびプロクラステス回転について整理し,これらの方法を体系 化するための視点を提示した)

【 解 法 の 比 較 】 ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ・

(5) 1. 

制約条件による解法比較の意義

(上記 4種類の解法の解が,類似する目的関数の解として与えられるとともに.

それに付随する制約条件に様々な相違があることを指摘した)

2. 

プロクラステス回転法とその制約条件

3. 

平行比例への回転法とその制約条件

4. 

一致構造への回転法とその制約条件

5. 

超平面への適合をめざす回転法とその制約条件

6. 

制約条件からの解法の比較と整理

(重み付きプロクラステス解法の枠組みの中に,上記 4 種類の回転法を組み込 むとともに,適用基準を明示した)

7.  Meredith

の重み付きプロクラステス解法

【 考 察 】 ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ・(

25) 1. 

不変性の構想と制約条件

2. 

定数の役割と諸問題

3. 

回転行列の類同と相違

4. 

要 約

【 参 考 文 献 】 ・ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ・

(31)

(4)

〖問題】

心理学をはじめとする社会科学の研究領域では,人間が経験をもとに作り上げた構成概念を媒 介として研究を進めることが多い。たとえば,人間が示す様々な行動がいかなる社会的態度に規 定されて発生するのかを研究する場合など,構成概念が用いられた研究例は枚挙にいとまがな い。しかし,このような構成概念は,人間が経験によって組み立てたものであり,確固とした実 体をともなうものではない。心理学の領域では,長年にわたって,このような構成概念の存在を 妥当性研究の立場から検証してきた。そして,この構成概念妥当性を検証する手段として,心理 測定法の立場から提供された方法が因子分析法であった。

その後,因子分析法は広く心理学者に受け入れられ,多くの構成概念をあらわす因子を抽出し てきた。そこでは, 同じ構成概念をあらわすと想定された変量が

1

つの因子として凝集するか

(収束的妥当性),また,異なる構成概念であると仮定された変量が異なる因子に分かれて負荷す るか(弁別的妥当性)について検証が行われ,人間の経験を科学的に実証する試みが行われてき た 。

この検証の中で生じた問題の

1

つが,所謂, 因子的不変性

(factorialinvariance)

の問題で あった。すなわち,因子分析的研究が進められ, しだいに分析結果が蓄積されてくると,

1

つの 集団で抽出された因子が,別の集団でも同じように見いだされるか否かという問題や資料の収集 にあたって状況等を変えても同一の因子が抽出されうるか否かという問題に研究者の関心が注が れ,しだいに『因子の存在の確かさ」とでも言うぺき視点が重要視されるようになってきた。

Cattell (1944)

は,この因子的不変性の概念と密接に関係する真の機能的単位としての根元的 因子に言及し, いわば不変性の操作的定義とでもいうべき

"parallelproportional profiels"

の 構想(本稿では,以下,平行比例の構想と呼称する)を示した。また,

Cattell& Cattell (1955) 

は,この平行比例の構想を実現するための解法を提案した。

一方,

Tucker(1951)

に代表される一致構造への回転の構想は,

2

つの因子の負荷の相似関 係を一致性係数を用いて評価するとともに,この係数を最大化するための解法を与えるものであ

, 因子の不変性の問題を考える

1

つの試みである。そして,

Tucker

Meredith (1964),  Ten Berge (1979), Brokken (1983)

などの研究者は, この一致性係数を最大化する解法を提 案し,類似度の高い因子空間を導く方途の

1

つを示した。

これらの構想や評価指標および解法は,構成概念が経験的構成物であることを反映して,研究

者が行う因子の解釈に主眼を置いて開発されたものであった。すなわち,集団や状況の異なる

2

つの資料から抽出された

2

様の因子の負荷の類似性の評価にあたって,誤差平方和などの単なる

数学的指標の大小ではなく,平行比例や相似関係を導入することによって,心理学的解釈の側面

から同等の因子が抽出されたことを示そうとしたのである。そして,これらの構想を満たす解法

(5)

関西大学「社会学部紀要」第

22

巻第

1

を適用することによって,同一の因子が抽出されたことを示し,因子的不変性を検証しようとし た 。

このように,研究者の解釈に力点を置く因子比較のための解法としては,上記の

2

種の解法の 他に,心理学的仮説にもとづく標的への最小二乗近似をはかる

"hyperplanefitting"

の構想

(超平面への適合の構想)に属する一連の解法群がある。この方法は,構成概念を,心理学的知 見の蓄積によって明らかにされた因子と変量の関係にもとづいて表現し, これを仮説標的とし て設定した上で, この標的に因子行列を適合させる解法である。 この解法は,

Horst  (1941),  Lawley & Maxwell (1964), Joreskog (1965), Browne (1972a,  1972b)

などによって発展継 承され,今日では,不完全要素の推定を含む最小二乗問題として独自の発展を示している。柴田

(1990)

は,この方法を用いて

2

つあるいはそれ以上の数の因子解を比較する方法の利点を示し た 。

一方,この因子の類似性を最大化する方法の研究は,プロクラステス解法の立場からも行われ てきた。プロクラステス解法は,

Mosier(1939)

にはじまり,彼によって提起された条件付き の最小二乗問題の解法の開発を中心として多様な発展をとげてきた。この解法群は,開発当初,

回転ベクトルの正規条件(あるいは回転行列の正規直交条件)のもとで, 2つの因子解の一方を 標的として, あるいは両因子解を相互に回転して,

2

つの因子解の最小二乗近似をはかること を目的とするものであった。 この

2

つの因子解を念頭においた代表的な解法としては,

Green (1952)

の解法,

Schonemann(1966)

の解法,

Cliff(1966)

の解法,

Browne(1967)

の解法な どがあげられる。そして,この解法における近似は,

2

つの因子解の対応要素の誤差の平方和の 全要素にわたる総和の最小化の結果として与えられるので,一般に,先の平行比例や一致性係数 の構想とは異なった構想にもとづく解法として位置づけられてきた。しかし,

Korth& Tucker  (1976)

の研究や

TenBerge (1979)

の研究などを通じて,これらプロクラステス解法が,一致 性係数を評価指標とした場合も優れた解法特性をもつことが明らかにされ,誤差平方和の最小化 の指標も,上記の比例関係を基盤とする因子の類似性評価と密接にかかわることが明らかにされ た 。

これら多様な因子の類似性研究の方法について,柴田

(1989)

は,一致構造への回転法とプロ クラステス解法の関係を中心に,また,柴田

(1990)

は,超平面への適合をめざす解法とプロク ラステス解法の関係を中心に,それぞれの解法の長所・短所を比較検証した。そして,これら

2

論文においては,プロクラステス回転法が,回転ベクトルの正規条件(あるいは回転行列の正規 直交条件)をともなう最小二乗解法であるのに比して,一致構造への回転法は,因子ベクトルの 正規条件をともなう最小二乗解法

(Brokken

の解法ではさらに回転行列の正規直交条件をとも なう)であり,また,超平面への適合をめざす回転法は,回転ベクトルの正規条件に加えて,不 完全要素の推定をともなう最小二乗解法であることが明示された。そして,このような制約条件

(本稿での制約条件は,目的関数に組み込まれる制約条件のみならず,解法過程において付加さ

(6)

れる諸条件も含めた広義の制約条件を指すものとする。)の相違が, 解法過程を複雑なものにし たり,解法後の分析結果の加工を困難にし,その結果として解釈の困難な多次元座標系を導くこ とがままあることが明かとなった。本稿では,これらの知見をふまえながら,因子的不変性を追 求する上でもっとも厳しい制約条件をもつ方法として,新たに,平行比例への回転法を位置づけ た上で, これら制約条件の観点から, 因子的不変性の問題についての方法論的吟味を行う。 ま た , この方法論的研究の過程においては,

Meredith (1977)

の重み付きプロクラステス問題に ついての知見を参考として,上記

4

種の解法の体系化をはかるとともに,一連の研究(辻岡・柴 田

1983;

柴田・辻岡

1983, 1984 ; 

柴田

1985, 1986,  1987a,  1987b,  1988,  1989,  1990)

の知見を ふまえて,新たな視点の導入をはかる。

本稿では,これらの視点をふまえ,目的関数がいかなる指標の最適化をめざしているのかとい う従来からの観点を変更して,解法における制約条件の相違に力点をおいた解法の比較研究を行 う。そして,このような研究を行う目的は,これまでに提案された因子的不変性にかかわる構想 の相違が,この制約条件の相違として的確に表現しうると考えたからに他ならず,また,このこ とによって,因子的不変性の構想がもつ今日的意義を考察したいと考えたからに他ならない。な お,柴田

(1990)

において述べたとおり,因子の存在を確認する方法には,心理学者が知りたい 因子の類似性の程度を,目的関数の最適化の結果として得られた指標の大小によって評価する記 述統計的立場と,検定論の立場から棄却値を設定し,この値を境に因子の類似性を評価する推測 統計的立場が存在するが,本稿では前者の記述統計的立場をとる。

1

解法の比較】

1. 

制約条件による解法比較の意義

因子の類似性を高めるための解法の研究は,上記のように,主として,

4

つの立場から行われ てきたが,これら諸解法の相違は,因子の類似性あるいは因子の不変性に対する構想の相違に他 ならない。換言すれば,因子解のなんらかの意味での近似を実現するための目的関数を構成する にあたっては,それぞれの構想に合致させるための制約条件を付加することになるが,この条件 の相違が解法過程および解法結果の相違としてあらわれてくるのである。

さらに,具体的な研究にあたって,これら

4

つの解法のいずれを用いるのが適切であるかとい

う解法の選択基準は,その背景にある因子の類似性・不変性の構想と密接にかかわるものである

が,上記のような制約条件の観点から各解法群をみれば,構想のみならず,解法原理や解法結果

に至るまで見通した方法の選択が可能になるものと考えられる。そして,このような解法原理や

解法結果を見通した解法選択の第一の利点は,今日的視点から,構想と現実の解法結果との遊離

をとらえ,その上で,適した解法を選択することができるところにある。換言すれば,各構想に

(7)

関西大学『社会学部紀要』第

22

巻第

1

対応して開発された諸解法の相互関連についての研究が進み,類似する構想の解が,かなり異な る性質をもったり,逆に,解法の開発段階において当初に考えられていた構想の相違が,実際に はあまり大きな結果の相違を導かなかったり(同一の結果を導くこともある)することが明らか になってきたのである。また,本稿でとりあげる平行比例への回転のように,構想があまりにも 理想的すぎて,それを実現するための解法原理の側に矛盾が生じる場合もある。

なお,このような比較を試みる場合に留意すべきことは,それぞれの解法群ごとに,①直交回 転法と斜交回転法の区別,R標的設定型回転法

(2

つの因子解のうち,一方を標的,一方を回転 の対象とする)と相互変換型回転法

(2

つの因子解を同時回転する)の区別を明確にし,型が対 応する解法同士を比較していくことである。しかし,解法群によっては,これら各解法の型のす べてが開発されておらず

1

部の型のみが提案されているものもあるので,適宜必要に応じて組み 合わせを考える必要がある。また,本稿の目的が,

4

種の解法の比較と体系化にあることから,

比較の主眼となる回転ベクトルや回転行列の記号の表記も,体系化の各段階で対比しやすいよう に ,

4

種の解法において,ともに,斜交回転ベクトルを

t,

斜交回転行列を

T,

また, 標的設定 型の場合の直交回転行列を T 。,相互回転型の場合の直交回転行列を T A ,TB と統一して表記す ることとする。なお,ここでの統一は,表記上の形式的統一を示すものであり,回転ベクトルや 行列の個々の要素値は,もちろん,それぞれの解法ごとに異なる。また,これらの回転ベクトル および回転行列は,

4

種の解法の解説において,それぞれ厳密に定義されるとともに,他の解と の相違についても検討される。

以下, 4種の解法を,制約条件,誤差ベクトルおよび誤差行列や目的関数の鍛点から概観し,

ついで,

Meredith (1977)

の重み付きプロクラステス解法の構想を加味しながら, 本稿の知見 を交えて比較検討を試みる。また,

Meredith

の重み付きプロクラステス解法の解法過程につい ても概観し,これら

4

種の解法群の一般化問題にも言及する。

2. 

プロクラステス回転法とその制約条件

プロクラステス解法は,

2

つの因子行列の間の最小二乗解を,回転ベクトルの正規条件あるい は回転行列の正規直交条件のもとで達成する方法論の研究を主題として,今日まで約

50

年にわた って研究が続けられてきた。したがって,方法論の主眼は,この最小二乗解の与え方にあるが,

ここでは,このような発展史の問題を離れて,この解法の制約条件のもつ意味と解法結果の諸性 質について検証する。すなわち,この解法における最小二乗解が,制約条件から見て,他の 3解 法といかなる点で類似し,また相違するのかを検証するための基本的枠組みを与えることが,ま ず,ここでの主要な目的である。

この解法におけるもっとも基本的な制約条件は,

Mosier

の研究以来, 回転ベクトル

t(mx  1

次)に対して,

(8)

(1)  t't=l 

という正規条件を課することである。そして,この条件のもとで最小二乗解を導く問題が,当初 のプロクラステス問題に他ならない。また,この ( 1 ) 式の制約条件のもとでのプロクラステス解法 を斜交プロクラステス解法と呼称する。その後,この制約条件付き最小二乗問題は,様々な発展 をとげ,上記の斜交プロクラステス解法に対応して直交プロクラステス解法も提案された。この 直交解法では,上記の正規条件に加えて,回転行列の個々の列に直交条件を付加し,

(2)  T,

'T,

=I

という正規直交条件のもとで最小二乗解を求める。

また, ( 1 ) 式の正規条件のもとで最小化の目標となる 2 つの因子ベクトル間の誤差を要素とする ベクトル

e(nx1

次)は,

( 3 )  

e=b‑At 

とあらわされる。ここで,

b(

か<

1

次)は回転の標的となる因子ベクトルであり,

A(nxm

次)は 回転の対象としての因子行列である。そして,この斜交プロクラステス解法における最小二乗解 法では,この誤差要素の平方和

e'e

を , ( 1 ) 式の条件のもとで最小化することになる。そして,こ のときの目的関数は,ラグランジュの未定乗数

iを用いて,

( 4 ) 八

=(b‑At)'(b‑At)‑A(t't‑1)

とあらわされる。

また, ( 2 ) 式の正規直交条件のもとで最小化の目標となる 2つの因子行列の誤差を要素とする行 列 E( か く m 次)は,

( 5 )  

E=B‑AT,

となり,さらに,

2

つの因子行列の相互回転をはかる場合には,新たに,かく m 次の因子解

A,B

のそれぞれについての

mxm

次の正規直交の回転行列を

TA,Ts

とした上で, 誤差行列

EAB (nxm

次)を,

( 6 )  

EAs=BTs‑ATA 

と設定する。そして, これら直交プロクラステス解法においても, ( 5 ) 式を用いる場合には,

tr (E'E)

(2)

式の条件のもとで,

(6)

式を用いる場合には,

tr(EAs'EAs)

TA,Ts

のそれぞれの正

規直交条件のもとで最小化する問題となる。 このうち, ( 5 ) 式と ( 2 ) 式を加味した目的関数

(Sebo nemann

の解法の目的関数)は,

(9)

関西大学「社会学部紀要」第

22

巻第

1

( 7 )  

ftr{(B‑ATi

)'(B‑ATi

。 ) )

tr{A.(Ti

'Ti

。‑/)}

となり, この跡和を最小化する問題として位置づけられる。 ここで,

A.(mxm

次)はラグラン ジュの未定乗数から成る行列である。また,この問題は, ( 7 ) 式の右辺第 1 項を展開して,変換に 無関係な項を除いた式,

( 8 )  

/a=tr(Ti

'A'B)‑tr {A.(Ti

'T,

。‑/))

を最大化する問題として取り扱われることも多い。さらに, ( 6 ) 式を基礎とする場合も,

( 9 )  

tr(T,

'A'B)=tr(TA'A'BT≫) 

という関係が成立ち(柴田・辻岡

1984),TA, T 

のそれぞれの正規直交条件のもとで,

(9)

式右辺 の跡和を最大化する問題として位置づけられることが知られている。

このようなプロクラステス解法の解は,以下のようになる。まず, ( 4 ) 式の目的関数を念頭にお いた斜交プロクラステス解法の場合について,

Mosier

の解法を例にとって解を示すと,

UO)  t=

(A'A)

→ 

A'b 

となる。なお,ここで,

d

は回転ベクトルを正規化するための定数である。また, m 個の全因子 についての斜交回転行列

T(mxm

次)は,個々の因子ごとの正規定数

d1(i=l,2, 'm)

の逆 数を対角要素とする対角行列

D(mxm

次)を介して,

Ul)  T=(A'A)

→ 

A'BD 

とあらわされる。

また, ( 7 ) 式あるいは ( 8 ) 式の目的関数を念頭においた直交プロクラステス解法の場合について,

Schonemann

の解法を例にとって解を示す。この解法では, まず,

2

つの因子行列の従積から 成る行列

S(mxm

次)を,

S=A'B 

とあらわし,この主積率および従積率の固有分解を,

U 3 )  

SS'=P4P' 

S'S=Q4Q'

とあらわす。したがって,行列 S は ,

U 5 l  

S=p,4112Q, 

と特異値分解によって表現され,また,求めんとする回転行列は,この固有ベクトルを列要素と

(10)

する行列 P(mxm次)および Q(mxm次)を用いて,

( 1 6 )  

Ti

=PQ'

とあらわされる。なお, 4(mxm次)は,固有値を対角要素とする対角行列であり ' ( 1 3 )式と ( 1 4 )式 において等しい。 また, ( 9 ) 式の関係から, 相互回転をはかる場合の 2 つの正規直交の回転行列 は ,

( 1 7 )   TA  =P, TB=Q 

とあらわされることが知られている

(Cliff

の解法)。

このように,プロクラステス解法における制約条件は,斜交解法,直交解法を問わず,回転べ クトルに正規条件を課し,直交解法の場合には,さらに,回転行列の列ベクトルの間に直交条件 を課す解法群であることがわかる。このような回転ベクトルに対する正規条件は,因子分析によ って確定された因子分散の総量が回転によって変化しないように配慮したものに他ならない。ま た,このような制約条件を加えることによって,各因子解ごとに確定された変量相互の相対的位 置関係(たとえば,対応変量ベクトル頂点間のユークリッド距離)も一定に保たれる。

3. 

平行比例への回転法とその制約条件

Cattell  (1944)

にはじまる平行比例の構想は, 因子の不変性とは, 因子と変量がいかなる関 係で結び付くことを意味するのかといった哲学的問題に操作的定義を与えようとしたものであ る。しかし,

Cattell& Cattell  (1955, pp. 8687)

自身が認識しているとおり,この平行比例の 実現をめざす解法群は,構想が理想的にすぎるために,方法論的に十分な発展をとげているとは 言いがたい。

この原因は,主に,

Cattell& Cattell

の解法が,以下に述べるように,平行比例の構想の操 作的定義を色濃く反映した数式展開を行い,これを実現する解法を導こうとした点にあるものと 思量される。すなわち,この構想に属する方法の開発にあたっての最大の課題は,平行比例に関 する

2

つの構想, すなわち, 『①分析の観点(状況等)を変えても類似した機能単位としての因 子が見出せ, Rそして,

2

つの対応因子ベクトルの負荷が比例的減衰をもってあらわれる。』と いう構想に見合う解法を導くことにあった。そして,このために構成された解法モデルの設定は きわめて制約的なものであり,これが実際の解法過程を困難なものにした。

Cattell & Cattell  (1955, p. 86)

は,平行比例をつぎのような設定のもとで実現することを提

案した。この構想は,

2

つの因子解の間の近似をはかるという意味ではプロクラステス解法とな

んらかわるものではないが,

2

つの因子解のうちの解釈の対応する因子ベクトルの負荷が,先の

平行比例の構想のRで述べた比例的減衰をもって規則正しく対応していると考えるところに大き

(11)

関西大学『社会学部紀要」第

22

巻第

1

な特徴がある。すなわち,

nxm

次でいずれも階数が

m

2

つの未回転因子行列

A,B

を設定 し

, これを横に並べた

nX2m

次の超行列を構成した場合にも, この超行列の階数が

m

である と想定して解法を進めるのである。換言すれば,因子行列

A,B

のそれぞれの第

j

因子

(j=l, 2, 

… , m) が心理学的解釈の観点から対応関係にあるとき,この因子ベクトルは,相互に代数従 属の関係にあり,一方の因子ベクトルの要素のすべてを同一の値で何倍かすれば,もう一方の因 子ベクトルの要素の値と一致すると考えるのである。また,これと同時に,①の構想に従って,

この因子解が得られた

2

つの状況において,各変数の真の影響の分散が不変であるという前提を も設けている。

Cattell & Cattell  (1955, p. 87)

は,上記の構想に合致する解を回転行列の正規匝交条件のも とで求めようと試みた。また,標的を設定せず,

2

つの因子解を,

mxm

次の未知の正方正規直 交の回転行列

TA,To

を用いて相互回転する方法を採用した。 このような構想のもとで, 彼ら は,回転後の

2

つの因子解の関係を,未知の対角行列

Dc(mxm

次)を介して,

US)  ATA=BT

c

とあらわした。 この式は, 回転後の

2

様の因子解が,対角行列

De

を介して等しくなるという 構想に合致する解を導くことを企図するものに他ならず,先の平行比例の構想を象徴的にあらわ す式である。彼らは,このような設定のもとで,未知の

3

様の行列,

TA,To, De

を求める問題

として,平行比例への回転法を組み立てた。

彼らは, この解を求めるにあたって, まず,

US)

式の両辺の右から, 正方正規直交の回転行列

TA

の転置行列を乗じ,

TATA'=[

であることに注目して,

US)

式を,

U9)  A=BTnDcTA' 

と書き換えた。ここで,

TA,To

が正規直交行列で,

De

が対角行列であることに注目し,

U9l

式 右辺の因子行列

B

を除く部分を新たに,行列

Sc(mxm

次)を用いて,

(20)  Sc=TnDcTA' 

と定義すると,直交プロクラステス解法の ( 1 5 ) 式の場合と同様,特異値分解の形式になることがわ かる。そして,これも直交プロクラステス解法の場合と同様,この主積率と従積率を,それぞれ 固有分解し,

(21)  s, 

ぷc'=Qc4cQc'

( 2 2 )  

Sc'Sc=Pc4cPc' 

とあらわした上で,これらの式の左辺の行列が,

( 2 3 )  

De= 4c112 

(12)

という関係のもとで,それぞれ,

S

'c'=TBDcTA'TADcTa'=TaDc2Ta',Sc'Sc=TADcTa'Ta  DcTA'=TADc2TA'

とあらわされることに着目すると,

2

つの回転行列はそれぞれ,

(24)  TA=Pc, Ta=Qc 

となることがわかる。

したがって, この問題は, 固有値の平方根を対角要素とする行列

De,

および固有ベクトルを 列要素とする正規直交行列

TA,Ta

を求める問題に還元されるのである。 しかし, この解法と 直交プロクラステス解法の決定的な相違は'

(20)

式の

Sc

が全く未知の行列のみによって構成され ている点にある。すなわち,直交プロクラステス解法においては, この

Sc

に対応する行列

S

が ,

U2l

式に示されるとおり,まず,

2

つの既知の因子解の従積

A'B

によって与えられ,これを

もとに固有分解を考えることができたが'

(20)

式の表現にはそれに対応する既知の行列が存在しな し

これを与える方法として,彼らは, U 9 ) 式の等式を可能なかぎり満たしうるように'

(20)

式の右辺 を , 行列 B の行列 A に対する最小二乗解として定義することを提案している。すなわち, U 9 l 式を念頭においた最小二乗解は,

(25)  Sc =Scs = (B'B)1B1A

となり,これを用いて,上記

!2ll

式および

(22)

式の分解を行うことを提案したのである。しかし,こ のような方法には,彼ら自身が指摘するとおり,大きな方法論的問題が存在する。すなわち,上 記のように,最小二乗解によって固有分解の対象となる行列を与える方法をとると

'(25)

式の行列 が求まる一方で, ( 1 9 ) 式とは逆の目的をもつ式

B=ATADcTs'

を満たすもう 1 つの最小二乗解,

(26)  Sc A= (A'A)1 A'B 

が求まることになる。

このように,

A,B

いずれの解を中心に考えるかによって,

2

様の固有分解の対象となる行列

が設定されうることは,解の整合性という観点からみても望ましいことではない。これは,同様

の固有分解を試みる直交プロクラステス解法の場合と比較するとよく理解できる。すなわち,直

交プロクラステス解法における

U2l

式の行列

S

は,行列

B

を目標として

A

の回転をはかるとき

には,

SA=A'B

と設定し,また行列

A

を目標として

B

の回転をはかるときには,

U2l

式を援用

し て ,

SB=B'A

と設定されることになるが,この

2

つの行列の主積率

SASA', SB

ふ と従積率

SA'SA,  SB'

ふから成る行列は, このいずれを固有分解しても同一の固有値から成る対角行列を

導くことができる。これに対して,ここでの平行比例の構想にもとづく回転では,明らかに,ぃ

ずれか一方を用いて求めた固有値が,他方の固有値と異ったものになる。すなわち,

ScA

のみを

基礎に主積率と従積率を求め

'(21)

式あるいは

(22)

式によって求められた固有値から成る対角行列の

(13)

関西大学「社会学部紀要」第

22

巻第

1

対角要素と

Sea

のみを基礎に主積率と従積率を求め,

(21)

式あるいは四式によって求まる同じく 固有値から成る対角行列の対角要素は,一般に異なるものとなる。彼らは,この解決策として,

この

2

つの対角行列の対応する対角要素の平均を用いることを提案しているが,十分な解決案と は考えられない。また,

Pc

および

Qc

も, ( 2 5 ) 式を用いるか,

(26)

式を用いるかによって異ったも のとなることに留意しなければならない。

このように,平行比例の構想にもとづく解法は,

Cattell

の平行比例の操作的構思を色濃く反 映した(

18)

式を設定したことによって,独自の解法過程を生み出すことになるが,このことによっ て,きわめて困難な解法を要求されることになった。また,このような解法は,斜交解法への拡 張がきわめて困難である。

Cattell& Brennan (1977)

は,心理学的に,斜交軸体系をもつと考 えられる因子解に対して,この直交解法がどれほどの効果を有するかについて検証したが,そこ でも,平行比例への直交回転の解が,現実の斜交解に比して遜色ないことを数値例検証によって 示しただけであり,なんら新たな解法を提案したわけではない。

また,この回転法においては,標的を設定する場合の解法が提示されていない。これは,この 回転法が,

(18)

式のような前提をふまえて導かれた

(19)

式の表現を基礎にして解法を進めるからに他 ならない。しかし,先の直交プロクラステス解法の場合と同様,この回転法においても,標的設 定時の正規直交の回転行列を

T

。 (mxm次)とすれば,

tr(Ti

'A'B)=tr(TA'A'BTs) 

という跡和の等式が成り立つ。したがって, 標的設定型の解

T

。は,

(21)

式 , 四式の

Pc

および

Qc

を用いて,

(28)  Ti=PcQc'

と与えられる。なお,この場合の

Pc,Qc

および

4c

も,もちろん, ( 2 5 ) 式を用いるか.

(26)

式を用 いるかによって異なるので,ここでも不整合性をもった解となる。

4. 

一致構造への回転法とその制約条件

平行比例の構想と同様,心理学者の解釈や了解を前提とした因子軸の回転技法として,一致構 造への回転法があげられる。この解法は,因子解の類似性を評価することを企図して提案された 一致性係数の最大化を目標として構成された方法であり,解法の性質も,この係数の性質と不可 分の関係にある。この一致性係数は,相関係数などの評価指標が,因子解の類似性の評価に対し て不向きな性質をもっている

(Pinneau& Newhouse 1964, 

柴田

1989)

ことをふまえて提案 されたものであり,

(29)  c= (a'a)11a'b 2 (b'b)112 

(14)

とあらわされる。ここで,

a,b

はともに

mXl

次の因子ベクトルである。

この一致性係数の定義式をみれば明らかなように,この係数は,

2

つの因子ベクトルをそれぞ れ正規化し,その従積によって類似性を評価しようとするものである。この構想の意図は,因子 解の類似性が,単に,

2

つの因子解の値の大小差を反映する誤差平方和によって決定されるもの ではなく,因子ベクトルに対する各変量の布置のパクーンの類似性によって評価されるというこ とを示すところにある。すなわち,因子ベクトルを正規化することによって,対応因子ベクトル 間の要素値の大小にともなう絶対差に変わって,布置のパターンのみを対象とする相対差を評価 することを企図した指標であり,布置のパターンが相似形であれば高い値が得られるように工夫 したのである。したがって,この構想においても,プロクラステス回転の目標であった誤差平方 和の指標に疑念をいだき,より実質科学的な立場からの類似性評価を考えていることになり,こ の意味で,先の平行比例への回転と同様の立場をとる構想であると考えられる。

さて,一致性係数の最大化をはかる一致構造への回転の方法は,問題で述べた様々な研究者に よって提案されているが,この解法原理を理解する上では,

Tucker

の解法および

Brokken

の 解法が適している。まず, 相互回転をはかる斜交解法として位置づけられる

Tucker

の解法で は , 上記の

(29)

式の定義式に従って,

2

つの因子行列

A,B

のそれぞれを正規直交化した上で,

この

2

つの行列の対応する因子ベクトルの従積を最大にする回転行列を求める。なお

'(29)

式の定 義からすれば,正規化のみを行えばよいはずであるが,

Tucker

は , 解法の利便性(柴田

1989)

から,因子行列

A,B

をそれぞれ正規直交化する方法を採用した。

ついで,この正規直交化された nxm次の因子解 AN,BNを用いて,先の

Cliff

の解法と同 様 , mxm次の正規直交の回転行列 T A ,TBを用いて,跡和関数,

( 3 0 )   f4=tr(TA'AN'BNTB) 

を設定し, この跡和を T A ,TBの正規直交条件のもとで最大化する問題として表現する。 この 解法手続きをみれば明らかなように,一致構造への回転も,因子行列の正規直交化の操作を除け ば,最小二乗解法を用いる直交プロクラステス解法の枠組みの中で理解することができる。

そして,この解も,

Cliff

の解法と同様,従積行列 STU(mxm次)を,

(3U 

STU=  AN'BN 

と設定し,この STUの従積率および主積率の固有分解を行う。そして, この際に求まる固有ベ クトルを列要素とする mxm次の行列 PTU,QTUを用いて,それぞれの回転行列を,

( 3 2 )   TA=PTU, TB=QTU 

とあらわす。この 2つの回転行列自体は, ( 3 0 )式の前提条件から,当然,直交回転行列であるが,

Tucker

の解法では, これ以前に因子行列の正規直交化を行っているので,元の因子解

A

およ

参照

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