土石流の挙動に関する解析と磁界を用いた計測システム
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(2) 最 適 な砂 防 堰 堤 の 形 状 を 検 討 す る こ とが 可 能 とな る. 土 石 流 の シ ミ ュ レー シ ョ ン は,個 SPH(Smoothed 下2層. 別 要 素 法(DEM),. Particle Hydrodynamics),土. 石 流 を小. に 分 離 す る2層 モ デ ル 等,い くつ か の 手法 を 用 い. 行 われ て お り2)3),巨. 礫 の 浮 き上 が り現 象 に 関 して は,. 底 面 よ り伝 わ る応 力 鎖 に よっ て 巨礫 が浮 き上 が る とい う 説 等 が 唱 え られ て い る)4.本 研 究 にお い て は,礫 の ひ と つ ひ とつ の 動 き に 着 目 をす るた め に,個 別 要 素 法(DEM) を用 い る こ と と し,巨 礫 が 浮 き上 が る原 因 は,巨 礫 が 回 転 し小 さな 礫 の 上 に 乗 り上 げ るか らで は な い か と仮 説 を 立 て,シ. ミ ュ レー シ ョン を行 っ た.シ. は 個 別 要 素 法 を 用 い た 解 析 ソ フ ト,PFC2D(Itas 用 い る.個 別 要 素 法 とは,粒 子 間 に,図‑1に な バ ネ,ダ. ンパ ー,ス. ライ ダー(せ. 図‑1個. 別要素法における物体の接点概念図. ミュ レー シ ョン に 社)を 示す よ う. ん 断 機 構)で. 表 され. あ る た め,壁. を斜 面,粒. す る.勾 配40流. 子 を砂 礫 と見 立 て モ デ ル を 作成. 下 方 向 長 さ600mの. 斜 面 の 上 流 部 に,. 土 石 流 流 下 の シ ミュ レー シ ョン を行 う前 に粒 子 を配 置 す. る接 触 メ カ ニ ズ ム を導 入 し,運 動 方 程 式 を解 く手 法 で あ. る部 分 を設 け,こ れ をパ ッ キ ン グ ス ペ ー ス とす る.パ. り,砂 礫 な どの 粒 子 の集 合 体 の運 動 をモ デ ル 化 す る こ と. キ ン グ スペ ー ス は,25mの. 間 隔 で 向 か い 合 う1対 の壁 で. が で き る.バ ネ に よ り,接 触 面 に対 して 垂 直 方 向,お. 構 成 され て い る.な お,斜. 面 はデ ー タ整 理 の便 宜 上x軸. び せ ん 断 方 向 の 衝 突 力 が 計 算 され,ダ に よ る エ ネ ル ギ ー 損 失 を 表 現 す る.ス ル ・ク ロー ン の破 壊 規 準 に 従 い,せ. よ. ンパ ー に よ り衝 突 ライ ダー はモ ー. ん 断 力 が抵 抗 力 よ り. 大 き け れ ばす べ りが 発 生 す る機 構 を表 す.一 方,底. 面は. に 重 ね,x軸. 方 向 に‑0.7m/s2,y軸. ッ. 方 向 に‑9.8m/s2の. の 重 力 を付 加 し,勾 配 が4° で あ る と き と同 等 の 重 力 を 受 け る よ うに した.そ. の斜 面 モ デ ル を図‑2に. 壁 面,粒 子 のパ ラ メー タ を表‑1,表‑2に. 示 す.こ. のモ. 剛 体 の 平 板 で モ デ ル 化 され,平 板 と粒 子 の接 触 は,粒 子. デ ル に お け る,斜 面 の傾 斜,礫. 同 士 の接 触 モ デ ル と 同様 で あ る.. あ る流 域 に お け る礫 のデ ー タか ら算 出 され た,牧 野 らに. シ ミ ュ レー シ ョンで は,大 粒 子 を 巨 礫 と見 立 て,小 粒. の径,パ. 示 す.. ラ メ ー タ等 は,. よ る もの で あ る4).. 子 と共 に 斜 面 を 流 下 させ る.小 粒 子 の 径 と摩 擦 係 数 は一 定 と した ま ま,大 粒 子 の径 と摩 擦 係 数 を変 化 させ る こ と. 表‑1壁'・. 粒子 のパ ラメー タ. に よ っ て,大 粒 子 の 挙 動 に 現 れ る特 徴 を観 測 し,巨 礫 浮 き上 が りの 要 因 を検 討 した.そ. の結 果,回. 転 した 大 粒 子. が 小 粒 子 の 上 に 乗 り上 げ るの は,大 粒 子 と小 粒 子 との 間 に生 じ る摩 擦 力 の た め で あ り,一 度 乗 り上 げ た 大 粒 子 は, 粒 径 の 大 き さの た め に 間 隙 に 落 ち に くい傾 向 が あ り,土 石 流 の 上 層 部 ま で 浮 き上 が る とい う知 見 が 得 られ た5),6). 表‑2粒. 2.1.土. 石流 モデルの作 成. PFC2Dで. 扱 え る要 素 は厚 み を持 っ た粒 子 と壁 の み で. 図‑2シ. ミュ レー シ ョンで 用い た斜 面 モデ ル. ―526―. 子 の パ ラ メー タ.
(3) 実 際 の 土 石 流 にお い て,礫. は三 次 元 空 間 上 に 存 在 す るた. 置 ・生 成 した.600個. の 小 粒 子 を ラ ン ダ ム に発 生 させ た. め,本 来 な らば 三 次 元 の 球 体 で表 現 す べ き で あ る.し か. 後,重. し,こ の シ ミュ レー シ ョン で扱 え るの は,奥 行 き の 一 定. ッキ ン グ に 用 い た壁 を消 去 す る と重 力 に よ り流 下 が 始 ま. 力 を 付 加 し 自然 落 下 させ パ ッキ ン グ を行 っ た.パ. な 円盤 の み で あ る.し た が っ て,円 盤 の形 状 で 表 現 され. る.流 下 方 向 は 図‑2に. る粒 子 の厚 さは,大 粒 子,小 粒 子 共 に300mmに. 統一 し. 流 れ 場 の モ デ ル 化 は 、 流 下 方 向 に一 定 の 流 速 分 布 を与 え. い う厚 さは,粒 子 が 同 半 径 の球 で あ. る も の と した 。 粒 子 に は,流 下 方 向 に,式(1)に 示 す 外 力. た.こ. の300mmと. っ た 場 合 の 質 量 と同 等 に な る よ うな 厚 み を 計 算 し,大 粒. お け るx軸 の負 の 方 向 で あ る.. を与 え た の8). 子 と小 粒 子 の 中間 の値 と した こ と に よ る.. (1). これ を基 本 モ デ ル と し,以 下 の 試 行 で,大 粒 子 の 径 と こ こで,M:粒. 摩 擦 係 数 を 変 化 させ る際 のベ ー ス とす る. 2.2.粒. 子 パ ッキ ン グ と基 本 モ デ ル の 流 下. 土 石 流 の シ ミュ レー シ ョン に お い て,対 象 領 域 に 何 ら か の 方 法 で 粒 子 をパ ッ キ ン グ しな けれ ば な らな い.そ. の. 方 法 は,大 別 す る と,規 則 的 に 設 定 す る方 法 とラ ン ダ ム に 設 定 す る方 法 の2種 岩 盤 が,規. 類 と な る.自 然 に存 在 す る斜 面,. 方 向 の 重 力,d:粒. 抵 抗 係 数,ρ:水. の 密 度,w:水. 速 度 で あ る.右 辺 第2項 力,第3項 す.本. って,本 解 析 に お い て は,粒. 子 体 積 相 当 の水 子 の 直 径,CD:. の 流 速 と粒 子 との相 対. は 水 との相 対 速 度 に 起 因 す る抗. は 推 力 を表 す.計 算 に 用 い た値 を表‑3に. シ ミュ レー シ ョ ンは,水. 示. と砂 礫 の 混 同 体 で あ る 土. 石 流 実 験 を再 現 した も の で あ る た め,水 の 密 度 は1000 kg/m3,水 の流 速 は10m/sと 設 定 した.. 則 的 に配 置 され た 岩 石 ・土 に よ り構成 され て. い る例 は少 な い.よ. 子 の 質 量,m:粒. の質 量,gx:x軸. 表‑3粒. 子をラ. 子 に与 える外力 のパ ラメー タ. ン ダ ム に 配 置 す る 方 法 が 適 切 だ と考 え られ る.粉 粒 体 の ラ ン ダ ム パ ッキ ン グ に つ い て は,棄 却 法,局 所 移 動 法, 成 長 法 等 い くつ か の 手 法 が提 案 され て い るが,そ. の 中に. 落 下 法 とい う手 法 が あ る の.こ れ は,粒 子 に重 力 を作 用 す る こ とに よ りモ デ ル の パ ッ キ ン グ を行 う方 法 で あ る. 従 来,地 盤 解 析 な どに お い て は,こ られ て き た.そ. 図‑3は,基. 本モデル の粒 子 を流 下 させ た際の変化 の. 様 子で ある.こ れ よ り,均 一 にパ ッキ ング され て いた大. の 落 下 法 が 多 く用 い. の 理 由 は以 下 の とお りで あ る.. 粒 子が,時 間の経過 とともに先頭 部へ流れ て くる様子 が わか る.開 始 直後,大 粒 子は均等 に配置 され てい たが,. 1)土. の 生 成 や 土構 造 物 の建 設 環 境 に 近 い. 2)パ. ッキ ン グ終 了 時 に実 際 に 近 い 応 力 状 態 が得 られ る. 開始10秒. 3)粒. 状 体 シ ミ ュ レー シ ョン解 析 の プ ロ グ ラ ム が そ の ま. 面 か ら浮 き上が った.粒 子群 の上層 部 に浮 き上が った大 粒 子は進行方 向へ押 し流 され,40秒 後 には約 半数 の粒 子. ま 利 用 で き る. よ っ て,本. シ ミュ レー シ ョンで は,こ の 落 下 法 をパ ッ. キ ン グ 時 に 採 用 す る. こ の 中 に,20個. 後 には全 ての大粒子 が小粒子 に乗 り上 げ,底. の 大 粒 子 を縦4段,横5列. が全 粒子数 の うち先頭部20%へ 集 ま った. また,全 粒子620個 の粒子 の うち,底 面部50%の310. と均 等 に配. 個 と,上 層部50%の310個. 流下開始直後. 10秒 後. 20秒 後. 40秒 後. 図‑3基. 本 モデ ル流 下 の様 子. ―527―. のx軸 方 向へ の平均速度 を.
(4) 表‑4に. 表 す.粒. 子 はx軸. の 負 の方 向 に流 下す るた め,. とい う帰 無 仮 説Hを. 立 て,カ イ 二 乗 分 布 を用 い た 適 合 度. 平 均 速 度 も負 の 値 に な っ て い る.こ れ よ り本 シ ミュ レー. 検 定 法 に よ り検 定 した9).流 下 開 始 後5秒. シ ョ ンに お い て,上 層 部 は 底 面 部 に 比 べ 流 速 が 大 きい と. ム の カ イ 二 乗 値 を 求 め る と19.87と. い う現 象 の 再 現 が で き た. 表‑4上. 自由 度8の. カ イ 二 乗 値 は20.09と. 20.09と な り仮 説Hは. 層 部 と底 面部の粒子 速度比較. 後10秒,15秒. な る た め,19.87>. 棄 却 で き な い.同 様 に,流 下 開 始. の ヒ ス トグ ラ ム の カ イ 二 乗 値 を 求 め た と. こ ろ,19.58,11.22と 自由度8の. の ヒス トグ ラ. な る.有 意 水 準0.01,. な る.い ず れ も,有 意 水 準0.01,. カ イ 二 乗 値 よ り小 さい 値 で あ る た め,仮 説H. は棄 却 で き な い.従. っ て,流 下 中 の粒 子 の 分 布 は,正 規. 分 布 に 従 う とす る.. 先 頭 部20%. こ の基 本 モ デ ル に お い て,確 認 で き た 現 象 は以 下 の2 点 で あ る. (1)大 粒 子 は 流 下 す る過 程 で,回 転 し小 粒 子 の上 に 乗 り 図‑4先. 上 げ る.. 頭部20%の 粒子. (2)上 層 部 に 乗 り上 げ た 大 粒 子 は 流 れ に 乗 り先 頭 部 に 集 ま る.. 2.3.大. 粒 子 の 粒 径 を変 更 した 場 合. 実 際 の 土 石 流 中 の 岩 石 は そ の 大 小 に 関 わ らず 同 じ密 度 で あ る が,巨 礫 が 小礫 の 上 に 浮 き上 が る現 象 が 見 られ る.粒 子 の 大 き さの 差 異 が 巨礫 の 浮 き 上 が る原 因 だ と考 え,基 本 モ デ ル の大 粒 子 の 半径 を250mm,300mm, 400mm,500mm(基. 本 モ デ ル),600mm,700mm. の5種 類 に 置 き換 え そ れ ぞ れ の ケ ー ス に お け る大 粒 子 の 挙 動 を比 較 した.各. ケ ー ス の設 定 で 異 な る点 は,大 粒 子. の 径 だ け で あ る.大 粒 子 のパ ッキ ン グ 時 の 配 置 位 置 は す べ て 同 じ位 置 とな っ て お り,ま た,小 粒 子 の 配 置 は,ラ ン ダ ム に発 生 させ,重. 図‑5流. 力 に よ るパ ッキ ン グ とい う方 法 を. どの ケ ー ス に お い て も用 い て い る.以. 下 中の粒 子個数 の ヒス トグラム. トに 示 す 結 呆 は,. 上 記 シ ミュ レー シ ョ ン を各 ケ ー ス1度 ず つ 行 い 得 た もの. こ の 比 較 方 法 を 用 い,各 ケ ー ス の,先 頭 部20%に れ る粒 子 の 個 数 の推 移 を 図‑6に. で あ る. 比 較 方 法 は,図‑4に の うち,先 頭 部20%で 個 数 で 行 っ た.た. 示 す よ うに,620個 あ る124個. の全粒 子数. に含 ま れ る大 粒 子 の. だ し,斜 面 上 で 粒 子 の 個 数 の 偏 りが 発. 600mm,700mmの. 大 粒 子 の 約1/3が 先 頭 部 に押 し出 され,40秒 とほ ぼ 同 じ特 徴 と言 え る.対. の 時 刻 に お け る先 頭 部 の 個 数20%に. こで,斜. 面 を流 下 中 の 粒. 後に. 後 には大粒. 子 の 半数 以 上 が先 頭 部 を流 れ て い る.こ れ は 基 本 モ デ ル の 粒 径 の 小 さい400mm,300mmは,大. 個 数 の 比 較 が 行 え な く な る.そ. 粒子 の半径が. ケ ー ス は,流 下 開始 か ら20秒. 生 し,そ れ が 時 間 の 経 過 と と も に変 化 す る と,そ れ ぞ れ 含 まれ る大粒 子 の. 示 す.大. 含ま. し,基 本 モ デ ル よ り大 粒 子 粒 子 が 前 に押. し出 され る特 徴 がや や小 さい.. 子 を斜 面 方 向 に 沿 っ て ヒス トグ ラ ム を 求 め た と ころ,こ の 分 布 は 正 規 分 布 に 従 う こ とが 確認 で き た.よ. 2.4.大. っ て,全. 粒 子 の 摩 擦 係 数 を 変 更 した 場 合. 含 ま れ る大 粒 子 の 個 数. 粒 子は 流 下 の過 程 で 回 転 す る.回 転 した 大 粒 子 が 小 粒. に よ り,大 粒 子 の偏 りを比 較 す る方 法 は 適 切 で あ る と し. 子 の 上 に 乗 り上 げ るの は,大 粒 子 と小 粒 子 との 間 に 生 じ. 体 の粒 子 数 の うち,先 頭 部20%に た.. る摩 擦 力 の た め で あ る,と い う仮 説 を 実 証 す る た め に,. 土 石 流 モ デ ル を 流 下 させ た 直 後 の,全 粒 子 のx軸 方 向 へ の分 布 は 一 様 分布 で あ るが,流 下 開 始 後5秒 ほ どで 正. 大 粒 子 の 摩 擦 係数 を変 更 す る とい う試 行 を行 っ た.こ れ. 規 分 布 とな る.こ の こ とを,以 下 の 手 順で 検 証 した.図. 0.5,0.7,1.0(基. 5に,流. 下 開 始 後5秒. の粒 子 数 の,x軸. の ヒス トグ ラ ム を示 す.横 4に 示 すx軸. 方 向へ の ‑ 分布. 軸 の 「斜 面 上 の 位 置 」 は,図. は,大 粒 子 と他 の 要 素 との 間 の 摩 擦 係数 を,0.0,0.3, 本 モ デ ル)の5種. 類 に置 き換 え,そ れ. ぞ れ 挙 動 を調 べ た もの で あ る.大 粒 子 の摩 擦 係 数 に 着 目 し各 ケ ー ス を比 較 す る た め に,小 粒 子 同 士,小 粒 子 と底. を 参 照 とす る.こ の 分 布 は 正 規 分 布 に 従 う. ―528―. 面 の 摩 擦 係 数 は,基. 本 モ デル と同様 いず れ の ケー ス も.
(5) 1.0の ま ま と した.以 下 に示 す 結 果 は,こ の 試 行 を各 ケ ー ス1度 ず つ 行 い 得 た もの で あ る . 図‑7に,先 す.大. 頭 部 に含 ま れ る大 粒 子の 個 数 の推 移 を示. 粒 子 の摩 擦 係 数 が0.0で. あ る と き,流 下 中 に大 粒. 子が 先頭 部 ま で 出 る現 象 は 見 られ ず,時. 間 が経 過 して も. 大 粒 子 は お お よそ 一 様 な 分 布 で あ っ た.対 の摩 擦 係 数 が0.7,1.0と. して,大 粒 子. (a). 大 き くな る につ れ,先 頭 部 を 流. れ る大粒 子の 数 は増 加 した.図‑8に,大. 粒 子が他 の小. 粒 子 を 乗 り上 げ る図 を(a),(b),(c)の 順 に 時 系列 で 示 す.移 動 を伴 い 底 面 を回 転 して きた 大 粒 子 は 前 を 流 れ る小 粒 子 に接 触 す る.そ. して,小. 粒 子 と反 対 の 時 計 回 りに 回転 し. 始 め,小 粒 子 を乗 り越 え る.一 度 小 粒 子 の 上 に 乗 り上 げ た 大粒 子 は,粒 径 が 間 隙 よ り大 き い と間 隙 に 落 下 しな い た め,上 昇 を 続 け る.. (b). 以 上 の シ ミュ レー シ ョン結 果 よ り,巨 礫 が 浮 き 上 が る 現 象 は,大 粒 子 が 回転 す る こ とに よ り,下 部 の 粒 子 か ら の摩 擦 力 に影 響 を受 け て い る と考 え られ る.. (c) 図‑8小. 粒子 を乗 り越 え る大粒子. き 上 が り,先 頭 部 を流 れ る とい う現 象 の,シ. ミ ュ レー シ. ョン 上 で の 再 現 を 行 っ た.し か しな が ら,シ. ミュ レー シ. ョン で 用 い た 数 種 の パ ラ メ ー タや 流 体 モ デ ル の 妥 当性 は 検 討 され て い な い.そ. こで,土 石 流 実 験 にお い て,礫. の. 動 き を 計 測 す る た めの シ ス テ ム の提 案 を行 う. 図‑6粒. 径を変化 させた場合の先頭部に含まれる大粒子個数の変化. 現 時 点 で の 土石 流 実 験 に お け る計 測 手 法 は,主. に高 速. 度 カ メ ラ に よ る撮 影 が 用 い られ て き た.こ れ は,土 石 流 を 固 体 と流 体 の集 合 体 と捉 え た 場 合,視. 覚 的 に 挙 動 を計. 測 す るの に非 常 に 有 効 的 な 手 法 で あ る.そ の反 面,対 象 と した 礫 が,他. の 礫 の 下 へ入 り込 ん だ 場 合や,カ. メラの. 画 角 の 外 や ピン トの 合 わ な い 場 所 へ 移 動 した 場 合 な どに, 土 石 流 中の 礫 の ひ とつ ひ とつ の 動 き を 捉 え る に は 不 十 分 で あ る とい う弱 点 が あ る.こ の 弱 点 を 補 うた め に,不 可 視,非. 接 触 で礫 の 動 き を測 定 す る シ ス テ ム を提 案 す る必. 要 が あ る.こ の シ ス テ ム に は,透 過 性 の あ る磁 界 を用 い る こ と と した10).. 3.1.計. 測 シス テ ム の 原 理. 周 囲 の磁 束 が 変 化 す る と,コ イ ル に 起 電 力 が 生 じる電 図‑7摩. 擦 を変化 させた場合の先頭部に含まれる大粒子個数の変化. 磁 誘 導 とい う現 象 が あ る.こ の シ ステ ム は,電 磁 誘 導 を 用 い,セ. 3.磁. ンサ で あ る コイ ル と,磁 石 を 取 り付 け た測 定 対. 象 で あ る 礫 との 距 離 を,計 測 す る も の で あ る.図‑9に. 界 を用 いた 位 置 計 測 シ ス テ ム の 提 案. 概 念 図 を 示 す.. 2章 において,土 石 流 中の巨礫が土石 流の上層部 に浮. ―529―. 磁 束 と起 電 力 の 関係 式 は式(2)で 表 され る..
(6) νx. コイ ル に 生 じた 起 電 力 と,移 動 平 均 を取 り ノイ ズ を 除 去. (2). した も の,起 電 力 を 積 分 した もの の波 形 を 図‑10に. 示 す.. あ る1つ の コイ ル よ り得 られ る積 分 値 は,そ の コイ ル の ε:起 電 力,φB:磁. 束 とす る.. 方 向 の 磁 束 変 化 に よ る もの で あ る.礫 は 三 次 元 空 間 上 を,. 電磁 誘 導 に よ りコイ ル に 生 じる 起 電 力 は,コ イ ル と磁. 動 くた め,3つ. の コイ ル を それ ぞ れ 直 交 に3軸. 石 の 距 離 と,磁 石 の動 く速 度 に 関係 す る.コ イ ル と磁 石. 置 す る.よ っ て,3方. 方 向 に配. 向 の磁 束 変 化 に応 じた起 電 力 が,. との 距 離 が近 い ほ ど,ま た,磁 石 の移 動 速 度 が 速 い ほ ど,. それ ぞ れ の コイ ル に 生 じ る.式(3)に 示 す,3つ. 起 電 力 の ピー ク値 は 大 き くな る.つ ま り,起 電 力 の ピー. 積 分 した 値 を 足 し合 わ せ た もの を磁 束 変 化 率 強度. ク値 だ けで は コイ ル と磁 石 との 距 離 を 算 出す る こ とが で. す る.こ れ は,理 想 的 な状 態 に お い て,コ イ ル と磁 石 の. き な い.し か し,磁 石 の速 度 は,入 力 波 形 の 立 ち 上 が り. 距 離 に 相 関 の あ る値 で あ る.. か らノ イ ズ レベ ル に 収 束 す るま で の 時 間 に関 係 す る.即. 磁束変化率強 度. の電圧 を と定 義. ち,磁 石 の速 度 が 速 けれ ば,そ の 時 間 間 隔 は 小 さ くな り, 速 度 が 遅 け れ ば 大 き く な る.そ. こで,磁 石 の 移 動 速 度 に. 影 響 され ず コイ ル と磁 石 の 距 離 を計 測 す るた め に,コ イ ル に生 じた 電 圧 を積 分 した値 を 計 算 に用 い る こ と と した.. (3) ,νy,νzは,x軸,y軸,z軸. そ れ ぞ れ の方 向 の コ. イ ル に 生 じる起 電 力 を示 す.kx,,ky,kzは,起 乗 算 す る係 数 で あ る.こ. の実 験 に お い て,3個. 電力に の コイ ル. は,磁 石 か らの 距 離 が 等 し くな る よ う,ま た,中. 心軸が. い ず れ も同 じ位 置 に な る よ う配 置 す る の が 理 想 的 で あ る. しか しな が ら,そ れ は 物 理 的 に 不 可 能 な た め,こ. の係 数. は 、 そ れ ぞれ 起 電 力 に 適 当 な係 数 を与 え る た め の もの で あ る. 3.2.磁 図‑9磁. 束 変 化 率 強 度 と コイ ル ー磁 石 間 の 距 離 の 関 係. 実 際 に,磁 束 変 化 率 強 度 が コ イ ル と磁 石 の 距 離 に相 関. 界を用い た礫 の位置計 測 システム概念図. が あ る か を検 証 す る た め に,コ させ,電. イ ル の 近 傍 で 磁 石 を移 動. 界 強度 係 数 を 算 出 した.こ. 装 置 を図‑11に. れ に用 い た 基 礎 実 験. 示 す.こ の 装 置 は,厚 さ3mmの. アク リ. ル 板 で 作 られ て お り,底 画 板 の上 を 磁 石 が通 過 す る こ と で コイ ル に起 電 力 が 生 じ る.3つ. の コイ ル を 直 交 す る 角. 度 で 配 置 し,三 次 元 の 磁 束 の変 化 に反 応 す る よ うに した. ま た,磁 石 は 装 置 の底 面 を 転 が る が,底 面 の と コイ ル と の 距 離dは,底. 面 の 高 さの 調 節 に よ り,任 意 に 変 え る こ. とが 可 能 で あ る.こ の 装 置 を用 い,磁 石 と コイ ル との 距 離 を 変 え,起 電 力 を何 ケ ー ス か 測 定 し,磁 束 変 化 率 強度 を 算 出 した.図‑12に,距. 離 を横 軸 に,磁 束 変 化 率 強度. を縦 軸 に プ ロ ッ トした グ ラ フ を示 す.な お,kx,ky,kz は い ず れ も1.0と. した.こ れ よ り,磁 石 と コイ ル との 距. 離 が 遠 ざ か る に つ れ,磁. 束変化率 強 度 が 減 少 す る とい う. 傾 向 が 見 て取 れ る.デ ー タ に ば らつ きが あ る の が 欠 点 で. 図‑10磁. 界を用い た礫 の位置計 測 システ ム概 念図. 図‑11基. ―530―. 礎実験 装置.
(7) あ るが,こ れ は 磁 石 と コイ ル との 間 に,底 面 で あ る ア ク リル 板 が あ る こ とに よ る影 響 や,磁 束 変 化 率 強 度. を算 出. す るた め の積 分 範 囲 の 設 定 に よ る もの で あ る と考 え られ る.. 3.3.計. 測 シス テ ム の 大 型 水 路 へ の 適 用. 3.1で 述 べ た 原 理 を,大 型 水 路 で の 実 験 に適 用 した. コイ ル を3方. 向 に配 置 した セ ン サ を用 い礫 と各 セ ン サ と. の 距 離 を 計 測 し,セ ンサ 数 を増 や す こ とで3点. 測 量の原. 理 を用 い て礫 の 位 置 を 特 定 す る こ とが シ ス テ ム の最 終 的 な 目標 で あ る.し か し現 段 階 で は,磁 束 変 化 率 強 度. と,. セ ンサ と磁 石 との距 離 の 相 関 に 大 き な ば らつ き が あ る. ま た,大 型 水 路 で の 実 験 で は 他 の 礫 や 水 を用 い るた め に,. ‑12セ. ンサ と磁 石 との距離 と 磁 束変化率 強 度 の相 関. 更 に 誤 差 が 生 じる と予 測 され る.従 っ て,現 時 点 で は ま ず,着. 目 した 礫 の,水 路 の斜 面 方 向 で の位 置 を計 測 す る. こ とを 目的 とす る.礫 の 位 置 が 測 定 で き れ ばそ の 結 果 よ り,礫 の 流 下 速 度 も測 定 で き る こ と とな る. コイル か らの出 力電 圧 を用 い た位 置計 測 シ ステ ム の 概 要 を 図‑13に. 示 す.土 石 流 モ デ ル の流 下 す る斜 面 に コ. イ ル を 取 り付 け,こ れ をセ ン サ とす る.土 石 流 モ デ ル の 中の 着 目す る礫 の 一 つ に磁 石 を取 り付 け,こ. の礫 が セ ン. サ の 近 く を通 過 す る と,電 磁 誘 導 に よ りコイ ル に 起 電 力 が 生 じる仕 組 み で あ る.コ イ ル に 生 じた 起 電 力 は,ア プ を介 し増 幅 され,ロ 図‑14に. ガ ー に デ ー タ と して 蓄 積 され る.. セ ンサ と して 用 い た コイ ル の 写 真 を示 す.コ イ. ル は,鉄 棒 の コア にエ ナ メ ル 線 を500回 を4つ. ン. 直 列 に 接 続 した もの を1セ. 巻 きつ け た も の. 匿13セ. ンサ と磁 石 との距離 と 磁 束変化率 強度の相 関. ッ トと して 使 用 した.. コイ ル に 生 じる 起 電 力 は,コ イ ル の巻 き数 に比 例 す る. 4つ の コイ ル を 直 列 に接 続 した の は,2000回. 巻 き の コイ. ル と同等 の,よ り大 き な 起 電 力を 出 力 させ る た め で あ る. これ を水 路 内 に,約1m間 底 面 か ら約25cm上. 隔 で 設 置 した.高. か か らな い 程 度 の位 置 と した.ま 2cmの. さは,水 路. 方 の,土 石 流 を流 下 させ た 際 に 水 が. 礫 に,直 径7mm,高. た,直 径3〜4cmと1. さ5mmの. 〜 円柱 型 ネ オ ジ. ム磁 石 を 接 着 剤 で 取 り付 け た もの を 図‑15に 二 つ を 測 定 の対 象 と し,大 きい 礫,小 実 験 は,図‑16に. 示 す.こ の. さい 礫 と呼 ぶ.. 示 す,全 長7m,幅0.3m,深. さ0.5m,. 図‑14セ. 勾 配5°. の 大 型 実 験 水 路 で,こ れ らの 装 置 を用 い て 行 っ. た.5セ. ッ トの コイ ル を,上 流 か ら コイ ル1,コ. ,.コ イ ル5と す る. コイ ル1よ り1.5m上. 流 に 直径2〜3cmの. ンサ とな る コ イル. イ ル2, 礫0 .03m3. の 貯 め,そ の 中 に2種 類 の 磁 石 の付 い た 礫 を 混 ぜ る.小 さい礫 を 前,大. きい 礫 を 後 ろ とい う配 置 で,1m間. 隔を. あ け て礫 群 の 中 ほ ど の深 さ に埋 め る.こ の 後,0.4m3の 水 を流 下 させ 土石 流 を発 生 させ た. 土石 流 の 挙 動 の 計 測 は,こ の シ ス テ ム と同 時 に,高 速 度 カ メ ラ も用 い て 行 う.こ の カ メ ラ は,斜 面 に 沿 って 敷 か れ た レー ル の 上 を,礫 の 流 れ と共 に 動 き,礫 の 速 度, 回 転 等 が 画 像 に よ り測 定 で き る も の で,撮 影 速 度 は200 フ レー ム/sと な っ て い る.カ メ ラ よ り得 られ た 画 像 を 図. ―531―. 図‑15ネ. オジム磁石 を取 り付 けた対象 とす る礫.
(8) (b) (a). 図‑16大. ‑17(a),(b)に示 す.こ 1.380秒. れ は 、 撮 影 開 始 後 、0.935秒. 後、. 後 の 写 真 で あ る。 白丸 で 目印 を付 け られ た 礫 は. 同 じ もの で,0.935秒 0.445秒. 型実 験水 路. の 時 点 で の位 置 を0.0mと. 後 に は0.5mの. 位 置 ま で流 下 した.他. す る と, の 礫 につ. い て も同様 に速 度 を算 出 した とこ ろ 、 土 石 流 の流 下 速 度 は 約1mlsと. い う結 果 が得 られ た 。 この とき のセ ンサ か. らの 出 力 を,ア 図‑17に. ンプ を用 い て1000倍. に 増 幅 した もの を. 示 す.そ れ ぞ れ の コ イル か らの波 形 に は,2つ. ず っ ピー クが 立 っ て お り,/小礫,大. 礫 が 通 過 した こ と に. よ る起 電 力 だ と言 え る.こ れ よ り,小,大 の 平 均 速 度 は,1.05mls,1.09m/sと. そ れ ぞれ の 礫. な り,ビ デ オ カ メ ラ. 撮 影 よ り得 られ た速 度 と同 等 の 値 が 得 られ,僅. かなが ら. 大 きい 礫 の 方 が 速 い こ とが 計 測 で き た.数 回 行 っ た 他 の ケ ー ス や,大. 小 の礫 の 初 期 配 置 を入 れ 替 えた ケ ー ス,礫. 群 の 構 成 を 変 更 した ケ ー ス で も,同 様 の 傾 向 が 見 られ た. ま た,シ ミュ レー シ ョン に よ る 土石 流 モ デ ル に お い て も, 大 きい 礫 の 方 が 流 下 速 度 が速 い とい う結 果 が 得 られ て い るた め,今 回 の計 測 に お い て は シ ミュ レー シ ョン との 整 合 性 も石 鶴 忍で き た.. 4.ま. とめ. 本 研 究 で は ま ず,砂. 防 堰 堤 の 設 計 に 役 立 て る た め に,. 個 別 要 素 法 を用 い た 土 石 流 の シ ミュ レー シ ョン を行 っ た. 次 に,シ 目的 で,磁. ミュ レー シ ョン の 実 現 象 との整 合 性 を検 討 す る 界 を用 い た 新 た な 計 測 シ ス テ ム の 提 案 を 行 っ. た.こ れ に よ っ て得 られ た 知 見 は 以 下 の とお りで あ る. (1)シ ミュ レー シ ョン に お い て,巨 礫 が浮 き 上 が り先頭 部 図‑17土. ま で 押 し流 され る 現 象 が 再 現 で きた.. ― 532―. 石 流の流 下の様 子.
(9) 今後 は,セ ンサ数 を増や し,信 号処理 方法 を改 善す る こ とに よって,よ り精度 の高 い計測 システム を作成 し, 礫の挙動 につい ての実験結果 を得 る.得 られ た実験結果 は シ ミュ レー シ ョンに反映 させ,実 験 の結果 に よ り近 い 礫 の動 きを再現す る.そ して,シ ミュ レー シ ョン上で実 規模 レベル の土石 流 を再現 させ,砂 防堰 堤 の設 計 に役 立 て る こ とを最終 的 な 目標 とす る. 参考文献 1) 砂 防 学 会: 土砂 災 害 対 策 一 扇 状 地 対 策, 土石 流 対 策 等 (1), 山海 堂, 1992. ‑. 2) ナ イ リ ・ム ニ ル ら: 二 次 元SPH法. を用 い た 液 状 化 に. よ る 速 報 流 動 現 象 の 解 析, 応 用 力 学 論 文 集vo1.8, pp.591‑600,. 2005. 3) 里深 好 文, 水 山 高 久, 飯 尾 達 朗: 石 礫 型 土 石 流 に含 ま れ る 巨礫 の分 級 現 象 に 関 す る研 究, 平 成19砂. 防学会. 研 究 会 発 表 会概 要 集, 2007 4)平 林 大 貴, 福 間 雅 俊, 前 田健 一, 杉 井 大 輔: マ ル チ ス ケ ー ル で み た 石 礫 集 合 体 の 流 れ とそ の 内 部 の 限 界 状 態, 平 成20防. 学 会 研 究 会 発 表 会 概 要 集, pp.30‑31,. 2008 5) 川 村 洋 平 ・杉 山文 乃 ・倉 岡 千 郎:. 土石流 の 巨礫の挙. 動 に 関す る個 別 要 素 法 シ ミュ レー シ ョ ン, 平 成19年 度 資 源 ・素 材 学 会 春 季 大 会 講 演 集, pp.35‑36, 2007 6) 倉 岡 千 郎 ・杉 山 文 乃 ・川 村 洋 平:土. 石流 の 巨礫の移. 動 機 構 の 個 別 要 素 法 に よ る検 討, 平 成19年 会 研 究発 表 会 概 要集, pp.432‑433, 図‑18セ. 7). ンサ か らの出力. 擦 係数. 2007. 伯 野 元 彦: 破 壊 の シ ミュ レー シ ョ ン‑拡 張 個 別 要 素 法 で破 壊 を追 う‑,. (2)シ ミュ レー シ ョン に お い て,大 粒 子 の径,摩. 度砂防学. 森 北 出 版 株 式 会 社, 2004. 8) 牧 野 孝 久 ・倉 岡 千 郎 ・杉 山 実: 土 石 流 の 巨 礫集 積 機 構. を変 更 した 試 行 よ り,大 粒 子の 浮 き 上 が り現 象 の 要 因. に 関 す る個 別 要 素 法 シ ミ ュ レー シ ョ ン, 社 団 法 人 砂. は,大 粒 子 が 回転 し摩 擦 力 の 影 響 で 浮 き上 が る と い う. 防 学 会, 平 成18年. こ とで あ る. (3)大型 水 路 を用 い た 室 内 実験 にお い て,磁 界 を 用 い た計 測 シ ス テ ム で,礫. 度 砂 防 学 会 研 究 会 発 表 会 概 要 集,. pp.416‑417, 2006 9) 橋 本 智 雄: 入 門 統 計 学, 共 立 出 版 株 式 会 社, 1996. の斜 面 方 向 で の位 置,速 度 の 計 測 が. 行 え た.こ れ よ り,本 シ ス テ ム の有 用 性 が示 せ た.. 10) 杉 山 文 乃 ・川 村 洋 平 ・倉 岡 千 郎 ・大 川 浩 一:. 土石 流. に お け る 巨礫 浮 き 上 が り現 象 の メ カ ニ ズ ム の 解 明 に 関す る研 究, p.50, 2007. (2008年4月14日. ― 533―. 受 付).
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