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土石流の挙動に関する解析と磁界を用いた計測システム

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Academic year: 2022

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(1)土木学会. 応 用 力 学 論 文 集Vbl.1k,pp.525‑533(2008年8月). 土 石 流 の 挙 動 に 関 す る 解 析 と磁 界 を 用 い た 計 測 シ ス テ ム Simulation. and sensing. system. for behavior. of mudflow. 川 村 洋 平1・ 杉 山文 乃2・ 倉 岡 千 郎3・ 松 島 亘 志4・ 大 川 浩 一5. Youhei KAWAMURA, Ayano SUGIYAMA,. Senro KURAOKA,. Takashi MATSUSHIMA. 1正 会員 工博 筑波 大学大 学院 シ ステ ム情報 工学研究科 講師(〒305‑0001茨 2工 修 筑波大学 大学院 システム情報 工学研 究科(〒305‑0001茨 3正 会員 工博 日本 工営株式会 社(〒300‑1259茨. Okawa. 城 県つ くば市天王 台1‑1‑1). 城 県つ くば市天 王台1‑1‑1). 城県つ くば市稲 荷原2304). 4正 会員 工博 筑 波大学大学院 システ ム 情報工学研 究科 准教授(〒305‑0001茨 5工 博 秋 田大学 工学資源学部 助 教(〒010‑8502秋. and Hirokazu. 城 県つ くば市天王 台1‑1‑1). 田県秋 田市手形学 園町1‑1). In Japan, there are many precipitous mountains. Because of it, mudflow often occurs in rainy and typhoon season. Countermeasure for mudflow is required as soon as possible, but prediction is to establish In. flowing. system of mudflow has not been established yet. The purpose the simulation of mudflow that is useful for countermeasure mudflow, has been. paper, this measurement. phenomenon method. Electromotance Key Words:. 1.は. boulder. phenomenon. comes. confirmed is for. floating. and published.. and. it. moves. of a. But it has not been figured. reproduced by the DEM verifying the validity of. simulation. a simulation. is used for this system to be able to sense position mudflow, sensing, DEM, simulation, electromotance. And, is. of invisible. flow.. This. out. In this the new proposed. boulder.. って い る.ま ず,シ ミュ レー シ ョンでは巨礫 が何 故浮 き. じめ に. 上が るのか に重 点を置 き,個 別 要素法 を解 析手 法 と して. 日本 の国土はそ の3分 の4が 山地で あ り急峻 な地形 で あ るた め,毎年 降雨が集 中す る と各 地で土石流 が頻発 し, 多 くの尊 い人命や財 産が失 われてい る.2006年7月, 長野 や北 陸,山 陰,九 州地方 で,の べ9000戸. ahead. of this study for mudflow.. が浸水す. 挙動 の解 析 を行 った.そ の結果,巨 礫 が上層部 へ浮 き上 が り,先 頭部へ押 し流 され る現象 の再 現がで き,巨 礫が 浮 き上が る原 因は,礫 の摩擦 抵抗 か ら生 じる回転が原因 で はないか とい う仮説 の検討 を行 った.し か し,シ ミュ レー シ ョンが実 現象 と整合 性が あるか とい う点につい て. る集 中豪 雨が発生 した.長 野県岡谷 市 にお いては,19日 方不明. はまだ検討 され てい ない.と い うの は,礫の挙動 を実験 で. 者1名 とい う尊い人命 が失 われ た.ま た,住 宅や農 業施 設,道 路 な ど貴 重な財産 が,土 石流 に よる甚大 な被 害 を. 計測す るシステムが未 だ確 立 していないた めであ る.そ のため に,次に計測 で用い る新 たな システ ム を提案す る.. 受 けた.土石 流 に対 しての早急 な対 策が求 め られてお り,. これ は,磁 界 を用い,従 来で は計測 が不可能 だった不 可. そ の一 つ と して砂 防堰堤 が挙げ られ る.砂 防堰堤 の設計. 視 の状態 にある礫の位置 を測定 でき るものであ る.本 論. 手法 は未 だ確 立 されてお らず,経 験則 に基づ き試 行錯誤 してい るのが現 状で ある.. 文 では,計 測 システ ムの原 理 と,そ れ を大型施 設 を用 い. 未明 に豪 雨 によ る土石流 が発 生 し,死 者7名,行. 土石 流が流 下す る間 に,巨 礫が泥や 小 さい礫 の上 に乗. た実験へ と応 用 し,土 石 流 中の礫 の位 置,速 度 が測 定で きた こ とを示す.. り上 げ土石流 の上層部 に浮 き上が る現象が確認,報 告 さ れ てい る1).土 石流 の流 下す る速度 は底面部 と比較 し上 層部 の方が速 いた め,上 層 部 に浮 き上が った巨礫 は流れ に乗 り土石流 の先頭部 に押 し出 され るもの と予想 され て. 2.個. 別 要 素 法 に よ る シ ミ ュ レー シ ョ ン. 本 章で は,シ ミュ レーシ ョンを用いて 巨礫 の浮 き上 が. い る.こ の,巨 礫が浮 き上が る挙動 につい てのメカニ ズ. り現象 のメカニズ ムの解 明 を試み た.メ カニズム の解 明. ムはまだ解 明 されて いない.メカニ ズムが解 明 され る と,. に よ り,浮 き上が り現象 のモデル を計算上 で表現す る こ. 計算 に よ り土石 流の挙動 の再現が 可能 になる.そ して, シ ミュ レー シ ョンを用 いて様 々な試 行 を行 い,砂 防堰堤. とが可能 とな るた め,よ り実現象 と整合 性のあ るシ ミュ. の設 計 に役 立て られ る こととなる.. 様 々な条件 の土石流,も しくは様 々な形状 の砂 防堰堤 を. 本 研 究 で は シ ミュ レー シ ョン と計 測 手法 の検 討 を行. ―525―. レー シ ョンが作成で き る.このシ ミュ レー シ ョンを用い, 再 現 し,土 砂 の体積形状 や捕捉状 況 を比較す るこ とで,.

(2) 最 適 な砂 防 堰 堤 の 形 状 を 検 討 す る こ とが 可 能 とな る. 土 石 流 の シ ミ ュ レー シ ョ ン は,個 SPH(Smoothed 下2層. 別 要 素 法(DEM),. Particle Hydrodynamics),土. 石 流 を小. に 分 離 す る2層 モ デ ル 等,い くつ か の 手法 を 用 い. 行 われ て お り2)3),巨. 礫 の 浮 き上 が り現 象 に 関 して は,. 底 面 よ り伝 わ る応 力 鎖 に よっ て 巨礫 が浮 き上 が る とい う 説 等 が 唱 え られ て い る)4.本 研 究 にお い て は,礫 の ひ と つ ひ とつ の 動 き に 着 目 をす るた め に,個 別 要 素 法(DEM) を用 い る こ と と し,巨 礫 が 浮 き上 が る原 因 は,巨 礫 が 回 転 し小 さな 礫 の 上 に 乗 り上 げ るか らで は な い か と仮 説 を 立 て,シ. ミ ュ レー シ ョン を行 っ た.シ. は 個 別 要 素 法 を 用 い た 解 析 ソ フ ト,PFC2D(Itas 用 い る.個 別 要 素 法 とは,粒 子 間 に,図‑1に な バ ネ,ダ. ンパ ー,ス. ライ ダー(せ. 図‑1個. 別要素法における物体の接点概念図. ミュ レー シ ョン に 社)を 示す よ う. ん 断 機 構)で. 表 され. あ る た め,壁. を斜 面,粒. す る.勾 配40流. 子 を砂 礫 と見 立 て モ デ ル を 作成. 下 方 向 長 さ600mの. 斜 面 の 上 流 部 に,. 土 石 流 流 下 の シ ミュ レー シ ョン を行 う前 に粒 子 を配 置 す. る接 触 メ カ ニ ズ ム を導 入 し,運 動 方 程 式 を解 く手 法 で あ. る部 分 を設 け,こ れ をパ ッ キ ン グ ス ペ ー ス とす る.パ. り,砂 礫 な どの 粒 子 の集 合 体 の運 動 をモ デ ル 化 す る こ と. キ ン グ スペ ー ス は,25mの. 間 隔 で 向 か い 合 う1対 の壁 で. が で き る.バ ネ に よ り,接 触 面 に対 して 垂 直 方 向,お. 構 成 され て い る.な お,斜. 面 はデ ー タ整 理 の便 宜 上x軸. び せ ん 断 方 向 の 衝 突 力 が 計 算 され,ダ に よ る エ ネ ル ギ ー 損 失 を 表 現 す る.ス ル ・ク ロー ン の破 壊 規 準 に 従 い,せ. よ. ンパ ー に よ り衝 突 ライ ダー はモ ー. ん 断 力 が抵 抗 力 よ り. 大 き け れ ばす べ りが 発 生 す る機 構 を表 す.一 方,底. 面は. に 重 ね,x軸. 方 向 に‑0.7m/s2,y軸. ッ. 方 向 に‑9.8m/s2の. の 重 力 を付 加 し,勾 配 が4° で あ る と き と同 等 の 重 力 を 受 け る よ うに した.そ. の斜 面 モ デ ル を図‑2に. 壁 面,粒 子 のパ ラ メー タ を表‑1,表‑2に. 示 す.こ. のモ. 剛 体 の 平 板 で モ デ ル 化 され,平 板 と粒 子 の接 触 は,粒 子. デ ル に お け る,斜 面 の傾 斜,礫. 同 士 の接 触 モ デ ル と 同様 で あ る.. あ る流 域 に お け る礫 のデ ー タか ら算 出 され た,牧 野 らに. シ ミ ュ レー シ ョンで は,大 粒 子 を 巨 礫 と見 立 て,小 粒. の径,パ. 示 す.. ラ メ ー タ等 は,. よ る もの で あ る4).. 子 と共 に 斜 面 を 流 下 させ る.小 粒 子 の 径 と摩 擦 係 数 は一 定 と した ま ま,大 粒 子 の径 と摩 擦 係 数 を変 化 させ る こ と. 表‑1壁'・. 粒子 のパ ラメー タ. に よ っ て,大 粒 子 の 挙 動 に 現 れ る特 徴 を観 測 し,巨 礫 浮 き上 が りの 要 因 を検 討 した.そ. の結 果,回. 転 した 大 粒 子. が 小 粒 子 の 上 に 乗 り上 げ るの は,大 粒 子 と小 粒 子 との 間 に生 じ る摩 擦 力 の た め で あ り,一 度 乗 り上 げ た 大 粒 子 は, 粒 径 の 大 き さの た め に 間 隙 に 落 ち に くい傾 向 が あ り,土 石 流 の 上 層 部 ま で 浮 き上 が る とい う知 見 が 得 られ た5),6). 表‑2粒. 2.1.土. 石流 モデルの作 成. PFC2Dで. 扱 え る要 素 は厚 み を持 っ た粒 子 と壁 の み で. 図‑2シ. ミュ レー シ ョンで 用い た斜 面 モデ ル. ―526―. 子 の パ ラ メー タ.

(3) 実 際 の 土 石 流 にお い て,礫. は三 次 元 空 間 上 に 存 在 す るた. 置 ・生 成 した.600個. の 小 粒 子 を ラ ン ダ ム に発 生 させ た. め,本 来 な らば 三 次 元 の 球 体 で表 現 す べ き で あ る.し か. 後,重. し,こ の シ ミュ レー シ ョン で扱 え るの は,奥 行 き の 一 定. ッキ ン グ に 用 い た壁 を消 去 す る と重 力 に よ り流 下 が 始 ま. 力 を 付 加 し 自然 落 下 させ パ ッキ ン グ を行 っ た.パ. な 円盤 の み で あ る.し た が っ て,円 盤 の形 状 で 表 現 され. る.流 下 方 向 は 図‑2に. る粒 子 の厚 さは,大 粒 子,小 粒 子 共 に300mmに. 統一 し. 流 れ 場 の モ デ ル 化 は 、 流 下 方 向 に一 定 の 流 速 分 布 を与 え. い う厚 さは,粒 子 が 同 半 径 の球 で あ. る も の と した 。 粒 子 に は,流 下 方 向 に,式(1)に 示 す 外 力. た.こ. の300mmと. っ た 場 合 の 質 量 と同 等 に な る よ うな 厚 み を 計 算 し,大 粒. お け るx軸 の負 の 方 向 で あ る.. を与 え た の8). 子 と小 粒 子 の 中間 の値 と した こ と に よ る.. (1). これ を基 本 モ デ ル と し,以 下 の 試 行 で,大 粒 子 の 径 と こ こで,M:粒. 摩 擦 係 数 を 変 化 させ る際 のベ ー ス とす る. 2.2.粒. 子 パ ッキ ン グ と基 本 モ デ ル の 流 下. 土 石 流 の シ ミュ レー シ ョン に お い て,対 象 領 域 に 何 ら か の 方 法 で 粒 子 をパ ッ キ ン グ しな けれ ば な らな い.そ. の. 方 法 は,大 別 す る と,規 則 的 に 設 定 す る方 法 とラ ン ダ ム に 設 定 す る方 法 の2種 岩 盤 が,規. 類 と な る.自 然 に存 在 す る斜 面,. 方 向 の 重 力,d:粒. 抵 抗 係 数,ρ:水. の 密 度,w:水. 速 度 で あ る.右 辺 第2項 力,第3項 す.本. って,本 解 析 に お い て は,粒. 子 体 積 相 当 の水 子 の 直 径,CD:. の 流 速 と粒 子 との相 対. は 水 との相 対 速 度 に 起 因 す る抗. は 推 力 を表 す.計 算 に 用 い た値 を表‑3に. シ ミュ レー シ ョ ンは,水. 示. と砂 礫 の 混 同 体 で あ る 土. 石 流 実 験 を再 現 した も の で あ る た め,水 の 密 度 は1000 kg/m3,水 の流 速 は10m/sと 設 定 した.. 則 的 に配 置 され た 岩 石 ・土 に よ り構成 され て. い る例 は少 な い.よ. 子 の 質 量,m:粒. の質 量,gx:x軸. 表‑3粒. 子をラ. 子 に与 える外力 のパ ラメー タ. ン ダ ム に 配 置 す る 方 法 が 適 切 だ と考 え られ る.粉 粒 体 の ラ ン ダ ム パ ッキ ン グ に つ い て は,棄 却 法,局 所 移 動 法, 成 長 法 等 い くつ か の 手 法 が提 案 され て い るが,そ. の 中に. 落 下 法 とい う手 法 が あ る の.こ れ は,粒 子 に重 力 を作 用 す る こ とに よ りモ デ ル の パ ッ キ ン グ を行 う方 法 で あ る. 従 来,地 盤 解 析 な どに お い て は,こ られ て き た.そ. 図‑3は,基. 本モデル の粒 子 を流 下 させ た際の変化 の. 様 子で ある.こ れ よ り,均 一 にパ ッキ ング され て いた大. の 落 下 法 が 多 く用 い. の 理 由 は以 下 の とお りで あ る.. 粒 子が,時 間の経過 とともに先頭 部へ流れ て くる様子 が わか る.開 始 直後,大 粒 子は均等 に配置 され てい たが,. 1)土. の 生 成 や 土構 造 物 の建 設 環 境 に 近 い. 2)パ. ッキ ン グ終 了 時 に実 際 に 近 い 応 力 状 態 が得 られ る. 開始10秒. 3)粒. 状 体 シ ミ ュ レー シ ョン解 析 の プ ロ グ ラ ム が そ の ま. 面 か ら浮 き上が った.粒 子群 の上層 部 に浮 き上が った大 粒 子は進行方 向へ押 し流 され,40秒 後 には約 半数 の粒 子. ま 利 用 で き る. よ っ て,本. シ ミュ レー シ ョンで は,こ の 落 下 法 をパ ッ. キ ン グ 時 に 採 用 す る. こ の 中 に,20個. 後 には全 ての大粒子 が小粒子 に乗 り上 げ,底. の 大 粒 子 を縦4段,横5列. が全 粒子数 の うち先頭部20%へ 集 ま った. また,全 粒子620個 の粒子 の うち,底 面部50%の310. と均 等 に配. 個 と,上 層部50%の310個. 流下開始直後. 10秒 後. 20秒 後. 40秒 後. 図‑3基. 本 モデ ル流 下 の様 子. ―527―. のx軸 方 向へ の平均速度 を.

(4) 表‑4に. 表 す.粒. 子 はx軸. の 負 の方 向 に流 下す るた め,. とい う帰 無 仮 説Hを. 立 て,カ イ 二 乗 分 布 を用 い た 適 合 度. 平 均 速 度 も負 の 値 に な っ て い る.こ れ よ り本 シ ミュ レー. 検 定 法 に よ り検 定 した9).流 下 開 始 後5秒. シ ョ ンに お い て,上 層 部 は 底 面 部 に 比 べ 流 速 が 大 きい と. ム の カ イ 二 乗 値 を 求 め る と19.87と. い う現 象 の 再 現 が で き た. 表‑4上. 自由 度8の. カ イ 二 乗 値 は20.09と. 20.09と な り仮 説Hは. 層 部 と底 面部の粒子 速度比較. 後10秒,15秒. な る た め,19.87>. 棄 却 で き な い.同 様 に,流 下 開 始. の ヒ ス トグ ラ ム の カ イ 二 乗 値 を 求 め た と. こ ろ,19.58,11.22と 自由度8の. の ヒス トグ ラ. な る.有 意 水 準0.01,. な る.い ず れ も,有 意 水 準0.01,. カ イ 二 乗 値 よ り小 さい 値 で あ る た め,仮 説H. は棄 却 で き な い.従. っ て,流 下 中 の粒 子 の 分 布 は,正 規. 分 布 に 従 う とす る.. 先 頭 部20%. こ の基 本 モ デ ル に お い て,確 認 で き た 現 象 は以 下 の2 点 で あ る. (1)大 粒 子 は 流 下 す る過 程 で,回 転 し小 粒 子 の上 に 乗 り 図‑4先. 上 げ る.. 頭部20%の 粒子. (2)上 層 部 に 乗 り上 げ た 大 粒 子 は 流 れ に 乗 り先 頭 部 に 集 ま る.. 2.3.大. 粒 子 の 粒 径 を変 更 した 場 合. 実 際 の 土 石 流 中 の 岩 石 は そ の 大 小 に 関 わ らず 同 じ密 度 で あ る が,巨 礫 が 小礫 の 上 に 浮 き上 が る現 象 が 見 られ る.粒 子 の 大 き さの 差 異 が 巨礫 の 浮 き 上 が る原 因 だ と考 え,基 本 モ デ ル の大 粒 子 の 半径 を250mm,300mm, 400mm,500mm(基. 本 モ デ ル),600mm,700mm. の5種 類 に 置 き換 え そ れ ぞ れ の ケ ー ス に お け る大 粒 子 の 挙 動 を比 較 した.各. ケ ー ス の設 定 で 異 な る点 は,大 粒 子. の 径 だ け で あ る.大 粒 子 のパ ッキ ン グ 時 の 配 置 位 置 は す べ て 同 じ位 置 とな っ て お り,ま た,小 粒 子 の 配 置 は,ラ ン ダ ム に発 生 させ,重. 図‑5流. 力 に よ るパ ッキ ン グ とい う方 法 を. どの ケ ー ス に お い て も用 い て い る.以. 下 中の粒 子個数 の ヒス トグラム. トに 示 す 結 呆 は,. 上 記 シ ミュ レー シ ョ ン を各 ケ ー ス1度 ず つ 行 い 得 た もの. こ の 比 較 方 法 を 用 い,各 ケ ー ス の,先 頭 部20%に れ る粒 子 の 個 数 の推 移 を 図‑6に. で あ る. 比 較 方 法 は,図‑4に の うち,先 頭 部20%で 個 数 で 行 っ た.た. 示 す よ うに,620個 あ る124個. の全粒 子数. に含 ま れ る大 粒 子 の. だ し,斜 面 上 で 粒 子 の 個 数 の 偏 りが 発. 600mm,700mmの. 大 粒 子 の 約1/3が 先 頭 部 に押 し出 され,40秒 とほ ぼ 同 じ特 徴 と言 え る.対. の 時 刻 に お け る先 頭 部 の 個 数20%に. こで,斜. 面 を流 下 中 の 粒. 後に. 後 には大粒. 子 の 半数 以 上 が先 頭 部 を流 れ て い る.こ れ は 基 本 モ デ ル の 粒 径 の 小 さい400mm,300mmは,大. 個 数 の 比 較 が 行 え な く な る.そ. 粒子 の半径が. ケ ー ス は,流 下 開始 か ら20秒. 生 し,そ れ が 時 間 の 経 過 と と も に変 化 す る と,そ れ ぞ れ 含 まれ る大粒 子 の. 示 す.大. 含ま. し,基 本 モ デ ル よ り大 粒 子 粒 子 が 前 に押. し出 され る特 徴 がや や小 さい.. 子 を斜 面 方 向 に 沿 っ て ヒス トグ ラ ム を 求 め た と ころ,こ の 分 布 は 正 規 分 布 に 従 う こ とが 確認 で き た.よ. 2.4.大. っ て,全. 粒 子 の 摩 擦 係 数 を 変 更 した 場 合. 含 ま れ る大 粒 子 の 個 数. 粒 子は 流 下 の過 程 で 回 転 す る.回 転 した 大 粒 子 が 小 粒. に よ り,大 粒 子 の偏 りを比 較 す る方 法 は 適 切 で あ る と し. 子 の 上 に 乗 り上 げ るの は,大 粒 子 と小 粒 子 との 間 に 生 じ. 体 の粒 子 数 の うち,先 頭 部20%に た.. る摩 擦 力 の た め で あ る,と い う仮 説 を 実 証 す る た め に,. 土 石 流 モ デ ル を 流 下 させ た 直 後 の,全 粒 子 のx軸 方 向 へ の分 布 は 一 様 分布 で あ るが,流 下 開 始 後5秒 ほ どで 正. 大 粒 子 の 摩 擦 係数 を変 更 す る とい う試 行 を行 っ た.こ れ. 規 分 布 とな る.こ の こ とを,以 下 の 手 順で 検 証 した.図. 0.5,0.7,1.0(基. 5に,流. 下 開 始 後5秒. の粒 子 数 の,x軸. の ヒス トグ ラ ム を示 す.横 4に 示 すx軸. 方 向へ の ‑ 分布. 軸 の 「斜 面 上 の 位 置 」 は,図. は,大 粒 子 と他 の 要 素 との 間 の 摩 擦 係数 を,0.0,0.3, 本 モ デ ル)の5種. 類 に置 き換 え,そ れ. ぞ れ 挙 動 を調 べ た もの で あ る.大 粒 子 の摩 擦 係 数 に 着 目 し各 ケ ー ス を比 較 す る た め に,小 粒 子 同 士,小 粒 子 と底. を 参 照 とす る.こ の 分 布 は 正 規 分 布 に 従 う. ―528―. 面 の 摩 擦 係 数 は,基. 本 モ デル と同様 いず れ の ケー ス も.

(5) 1.0の ま ま と した.以 下 に示 す 結 果 は,こ の 試 行 を各 ケ ー ス1度 ず つ 行 い 得 た もの で あ る . 図‑7に,先 す.大. 頭 部 に含 ま れ る大 粒 子の 個 数 の推 移 を示. 粒 子 の摩 擦 係 数 が0.0で. あ る と き,流 下 中 に大 粒. 子が 先頭 部 ま で 出 る現 象 は 見 られ ず,時. 間 が経 過 して も. 大 粒 子 は お お よそ 一 様 な 分 布 で あ っ た.対 の摩 擦 係 数 が0.7,1.0と. して,大 粒 子. (a). 大 き くな る につ れ,先 頭 部 を 流. れ る大粒 子の 数 は増 加 した.図‑8に,大. 粒 子が他 の小. 粒 子 を 乗 り上 げ る図 を(a),(b),(c)の 順 に 時 系列 で 示 す.移 動 を伴 い 底 面 を回 転 して きた 大 粒 子 は 前 を 流 れ る小 粒 子 に接 触 す る.そ. して,小. 粒 子 と反 対 の 時 計 回 りに 回転 し. 始 め,小 粒 子 を乗 り越 え る.一 度 小 粒 子 の 上 に 乗 り上 げ た 大粒 子 は,粒 径 が 間 隙 よ り大 き い と間 隙 に 落 下 しな い た め,上 昇 を 続 け る.. (b). 以 上 の シ ミュ レー シ ョン結 果 よ り,巨 礫 が 浮 き 上 が る 現 象 は,大 粒 子 が 回転 す る こ とに よ り,下 部 の 粒 子 か ら の摩 擦 力 に影 響 を受 け て い る と考 え られ る.. (c) 図‑8小. 粒子 を乗 り越 え る大粒子. き 上 が り,先 頭 部 を流 れ る とい う現 象 の,シ. ミ ュ レー シ. ョン 上 で の 再 現 を 行 っ た.し か しな が ら,シ. ミュ レー シ. ョン で 用 い た 数 種 の パ ラ メ ー タや 流 体 モ デ ル の 妥 当性 は 検 討 され て い な い.そ. こで,土 石 流 実 験 にお い て,礫. の. 動 き を 計 測 す る た めの シ ス テ ム の提 案 を行 う. 図‑6粒. 径を変化 させた場合の先頭部に含まれる大粒子個数の変化. 現 時 点 で の 土石 流 実 験 に お け る計 測 手 法 は,主. に高 速. 度 カ メ ラ に よ る撮 影 が 用 い られ て き た.こ れ は,土 石 流 を 固 体 と流 体 の集 合 体 と捉 え た 場 合,視. 覚 的 に 挙 動 を計. 測 す るの に非 常 に 有 効 的 な 手 法 で あ る.そ の反 面,対 象 と した 礫 が,他. の 礫 の 下 へ入 り込 ん だ 場 合や,カ. メラの. 画 角 の 外 や ピン トの 合 わ な い 場 所 へ 移 動 した 場 合 な どに, 土 石 流 中の 礫 の ひ とつ ひ とつ の 動 き を 捉 え る に は 不 十 分 で あ る とい う弱 点 が あ る.こ の 弱 点 を 補 うた め に,不 可 視,非. 接 触 で礫 の 動 き を測 定 す る シ ス テ ム を提 案 す る必. 要 が あ る.こ の シ ス テ ム に は,透 過 性 の あ る磁 界 を用 い る こ と と した10).. 3.1.計. 測 シス テ ム の 原 理. 周 囲 の磁 束 が 変 化 す る と,コ イ ル に 起 電 力 が 生 じる電 図‑7摩. 擦 を変化 させた場合の先頭部に含まれる大粒子個数の変化. 磁 誘 導 とい う現 象 が あ る.こ の シ ステ ム は,電 磁 誘 導 を 用 い,セ. 3.磁. ンサ で あ る コイ ル と,磁 石 を 取 り付 け た測 定 対. 象 で あ る 礫 との 距 離 を,計 測 す る も の で あ る.図‑9に. 界 を用 いた 位 置 計 測 シ ス テ ム の 提 案. 概 念 図 を 示 す.. 2章 において,土 石 流 中の巨礫が土石 流の上層部 に浮. ―529―. 磁 束 と起 電 力 の 関係 式 は式(2)で 表 され る..

(6) νx. コイ ル に 生 じた 起 電 力 と,移 動 平 均 を取 り ノイ ズ を 除 去. (2). した も の,起 電 力 を 積 分 した もの の波 形 を 図‑10に. 示 す.. あ る1つ の コイ ル よ り得 られ る積 分 値 は,そ の コイ ル の ε:起 電 力,φB:磁. 束 とす る.. 方 向 の 磁 束 変 化 に よ る もの で あ る.礫 は 三 次 元 空 間 上 を,. 電磁 誘 導 に よ りコイ ル に 生 じる 起 電 力 は,コ イ ル と磁. 動 くた め,3つ. の コイ ル を それ ぞ れ 直 交 に3軸. 石 の 距 離 と,磁 石 の動 く速 度 に 関係 す る.コ イ ル と磁 石. 置 す る.よ っ て,3方. 方 向 に配. 向 の磁 束 変 化 に応 じた起 電 力 が,. との 距 離 が近 い ほ ど,ま た,磁 石 の移 動 速 度 が 速 い ほ ど,. それ ぞ れ の コイ ル に 生 じ る.式(3)に 示 す,3つ. 起 電 力 の ピー ク値 は 大 き くな る.つ ま り,起 電 力 の ピー. 積 分 した 値 を 足 し合 わ せ た もの を磁 束 変 化 率 強度. ク値 だ けで は コイ ル と磁 石 との 距 離 を 算 出す る こ とが で. す る.こ れ は,理 想 的 な状 態 に お い て,コ イ ル と磁 石 の. き な い.し か し,磁 石 の速 度 は,入 力 波 形 の 立 ち 上 が り. 距 離 に 相 関 の あ る値 で あ る.. か らノ イ ズ レベ ル に 収 束 す るま で の 時 間 に関 係 す る.即. 磁束変化率強 度. の電圧 を と定 義. ち,磁 石 の速 度 が 速 けれ ば,そ の 時 間 間 隔 は 小 さ くな り, 速 度 が 遅 け れ ば 大 き く な る.そ. こで,磁 石 の 移 動 速 度 に. 影 響 され ず コイ ル と磁 石 の 距 離 を計 測 す るた め に,コ イ ル に生 じた 電 圧 を積 分 した値 を 計 算 に用 い る こ と と した.. (3) ,νy,νzは,x軸,y軸,z軸. そ れ ぞ れ の方 向 の コ. イ ル に 生 じる起 電 力 を示 す.kx,,ky,kzは,起 乗 算 す る係 数 で あ る.こ. の実 験 に お い て,3個. 電力に の コイ ル. は,磁 石 か らの 距 離 が 等 し くな る よ う,ま た,中. 心軸が. い ず れ も同 じ位 置 に な る よ う配 置 す る の が 理 想 的 で あ る. しか しな が ら,そ れ は 物 理 的 に 不 可 能 な た め,こ. の係 数. は 、 そ れ ぞれ 起 電 力 に 適 当 な係 数 を与 え る た め の もの で あ る. 3.2.磁 図‑9磁. 束 変 化 率 強 度 と コイ ル ー磁 石 間 の 距 離 の 関 係. 実 際 に,磁 束 変 化 率 強 度 が コ イ ル と磁 石 の 距 離 に相 関. 界を用い た礫 の位置計 測 システム概念図. が あ る か を検 証 す る た め に,コ させ,電. イ ル の 近 傍 で 磁 石 を移 動. 界 強度 係 数 を 算 出 した.こ. 装 置 を図‑11に. れ に用 い た 基 礎 実 験. 示 す.こ の 装 置 は,厚 さ3mmの. アク リ. ル 板 で 作 られ て お り,底 画 板 の上 を 磁 石 が通 過 す る こ と で コイ ル に起 電 力 が 生 じ る.3つ. の コイ ル を 直 交 す る 角. 度 で 配 置 し,三 次 元 の 磁 束 の変 化 に反 応 す る よ うに した. ま た,磁 石 は 装 置 の底 面 を 転 が る が,底 面 の と コイ ル と の 距 離dは,底. 面 の 高 さの 調 節 に よ り,任 意 に 変 え る こ. とが 可 能 で あ る.こ の 装 置 を用 い,磁 石 と コイ ル との 距 離 を 変 え,起 電 力 を何 ケ ー ス か 測 定 し,磁 束 変 化 率 強度 を 算 出 した.図‑12に,距. 離 を横 軸 に,磁 束 変 化 率 強度. を縦 軸 に プ ロ ッ トした グ ラ フ を示 す.な お,kx,ky,kz は い ず れ も1.0と. した.こ れ よ り,磁 石 と コイ ル との 距. 離 が 遠 ざ か る に つ れ,磁. 束変化率 強 度 が 減 少 す る とい う. 傾 向 が 見 て取 れ る.デ ー タ に ば らつ きが あ る の が 欠 点 で. 図‑10磁. 界を用い た礫 の位置計 測 システ ム概 念図. 図‑11基. ―530―. 礎実験 装置.

(7) あ るが,こ れ は 磁 石 と コイ ル との 間 に,底 面 で あ る ア ク リル 板 が あ る こ とに よ る影 響 や,磁 束 変 化 率 強 度. を算 出. す るた め の積 分 範 囲 の 設 定 に よ る もの で あ る と考 え られ る.. 3.3.計. 測 シス テ ム の 大 型 水 路 へ の 適 用. 3.1で 述 べ た 原 理 を,大 型 水 路 で の 実 験 に適 用 した. コイ ル を3方. 向 に配 置 した セ ン サ を用 い礫 と各 セ ン サ と. の 距 離 を 計 測 し,セ ンサ 数 を増 や す こ とで3点. 測 量の原. 理 を用 い て礫 の 位 置 を 特 定 す る こ とが シ ス テ ム の最 終 的 な 目標 で あ る.し か し現 段 階 で は,磁 束 変 化 率 強 度. と,. セ ンサ と磁 石 との距 離 の 相 関 に 大 き な ば らつ き が あ る. ま た,大 型 水 路 で の 実 験 で は 他 の 礫 や 水 を用 い るた め に,. ‑12セ. ンサ と磁 石 との距離 と 磁 束変化率 強 度 の相 関. 更 に 誤 差 が 生 じる と予 測 され る.従 っ て,現 時 点 で は ま ず,着. 目 した 礫 の,水 路 の斜 面 方 向 で の位 置 を計 測 す る. こ とを 目的 とす る.礫 の 位 置 が 測 定 で き れ ばそ の 結 果 よ り,礫 の 流 下 速 度 も測 定 で き る こ と とな る. コイル か らの出 力電 圧 を用 い た位 置計 測 シ ステ ム の 概 要 を 図‑13に. 示 す.土 石 流 モ デ ル の流 下 す る斜 面 に コ. イ ル を 取 り付 け,こ れ をセ ン サ とす る.土 石 流 モ デ ル の 中の 着 目す る礫 の 一 つ に磁 石 を取 り付 け,こ. の礫 が セ ン. サ の 近 く を通 過 す る と,電 磁 誘 導 に よ りコイ ル に 起 電 力 が 生 じる仕 組 み で あ る.コ イ ル に 生 じた 起 電 力 は,ア プ を介 し増 幅 され,ロ 図‑14に. ガ ー に デ ー タ と して 蓄 積 され る.. セ ンサ と して 用 い た コイ ル の 写 真 を示 す.コ イ. ル は,鉄 棒 の コア にエ ナ メ ル 線 を500回 を4つ. ン. 直 列 に 接 続 した もの を1セ. 巻 きつ け た も の. 匿13セ. ンサ と磁 石 との距離 と 磁 束変化率 強度の相 関. ッ トと して 使 用 した.. コイ ル に 生 じる 起 電 力 は,コ イ ル の巻 き数 に比 例 す る. 4つ の コイ ル を 直 列 に接 続 した の は,2000回. 巻 き の コイ. ル と同等 の,よ り大 き な 起 電 力を 出 力 させ る た め で あ る. これ を水 路 内 に,約1m間 底 面 か ら約25cm上. 隔 で 設 置 した.高. か か らな い 程 度 の位 置 と した.ま 2cmの. さは,水 路. 方 の,土 石 流 を流 下 させ た 際 に 水 が. 礫 に,直 径7mm,高. た,直 径3〜4cmと1. さ5mmの. 〜 円柱 型 ネ オ ジ. ム磁 石 を 接 着 剤 で 取 り付 け た もの を 図‑15に 二 つ を 測 定 の対 象 と し,大 きい 礫,小 実 験 は,図‑16に. 示 す.こ の. さい 礫 と呼 ぶ.. 示 す,全 長7m,幅0.3m,深. さ0.5m,. 図‑14セ. 勾 配5°. の 大 型 実 験 水 路 で,こ れ らの 装 置 を用 い て 行 っ. た.5セ. ッ トの コイ ル を,上 流 か ら コイ ル1,コ. ,.コ イ ル5と す る. コイ ル1よ り1.5m上. 流 に 直径2〜3cmの. ンサ とな る コ イル. イ ル2, 礫0 .03m3. の 貯 め,そ の 中 に2種 類 の 磁 石 の付 い た 礫 を 混 ぜ る.小 さい礫 を 前,大. きい 礫 を 後 ろ とい う配 置 で,1m間. 隔を. あ け て礫 群 の 中 ほ ど の深 さ に埋 め る.こ の 後,0.4m3の 水 を流 下 させ 土石 流 を発 生 させ た. 土石 流 の 挙 動 の 計 測 は,こ の シ ス テ ム と同 時 に,高 速 度 カ メ ラ も用 い て 行 う.こ の カ メ ラ は,斜 面 に 沿 って 敷 か れ た レー ル の 上 を,礫 の 流 れ と共 に 動 き,礫 の 速 度, 回 転 等 が 画 像 に よ り測 定 で き る も の で,撮 影 速 度 は200 フ レー ム/sと な っ て い る.カ メ ラ よ り得 られ た 画 像 を 図. ―531―. 図‑15ネ. オジム磁石 を取 り付 けた対象 とす る礫.

(8) (b) (a). 図‑16大. ‑17(a),(b)に示 す.こ 1.380秒. れ は 、 撮 影 開 始 後 、0.935秒. 後、. 後 の 写 真 で あ る。 白丸 で 目印 を付 け られ た 礫 は. 同 じ もの で,0.935秒 0.445秒. 型実 験水 路. の 時 点 で の位 置 を0.0mと. 後 に は0.5mの. 位 置 ま で流 下 した.他. す る と, の 礫 につ. い て も同様 に速 度 を算 出 した とこ ろ 、 土 石 流 の流 下 速 度 は 約1mlsと. い う結 果 が得 られ た 。 この とき のセ ンサ か. らの 出 力 を,ア 図‑17に. ンプ を用 い て1000倍. に 増 幅 した もの を. 示 す.そ れ ぞ れ の コ イル か らの波 形 に は,2つ. ず っ ピー クが 立 っ て お り,/小礫,大. 礫 が 通 過 した こ と に. よ る起 電 力 だ と言 え る.こ れ よ り,小,大 の 平 均 速 度 は,1.05mls,1.09m/sと. そ れ ぞれ の 礫. な り,ビ デ オ カ メ ラ. 撮 影 よ り得 られ た速 度 と同 等 の 値 が 得 られ,僅. かなが ら. 大 きい 礫 の 方 が 速 い こ とが 計 測 で き た.数 回 行 っ た 他 の ケ ー ス や,大. 小 の礫 の 初 期 配 置 を入 れ 替 えた ケ ー ス,礫. 群 の 構 成 を 変 更 した ケ ー ス で も,同 様 の 傾 向 が 見 られ た. ま た,シ ミュ レー シ ョン に よ る 土石 流 モ デ ル に お い て も, 大 きい 礫 の 方 が 流 下 速 度 が速 い とい う結 果 が 得 られ て い るた め,今 回 の計 測 に お い て は シ ミュ レー シ ョン との 整 合 性 も石 鶴 忍で き た.. 4.ま. とめ. 本 研 究 で は ま ず,砂. 防 堰 堤 の 設 計 に 役 立 て る た め に,. 個 別 要 素 法 を用 い た 土 石 流 の シ ミュ レー シ ョン を行 っ た. 次 に,シ 目的 で,磁. ミュ レー シ ョン の 実 現 象 との整 合 性 を検 討 す る 界 を用 い た 新 た な 計 測 シ ス テ ム の 提 案 を 行 っ. た.こ れ に よ っ て得 られ た 知 見 は 以 下 の とお りで あ る. (1)シ ミュ レー シ ョン に お い て,巨 礫 が浮 き 上 が り先頭 部 図‑17土. ま で 押 し流 され る 現 象 が 再 現 で きた.. ― 532―. 石 流の流 下の様 子.

(9) 今後 は,セ ンサ数 を増や し,信 号処理 方法 を改 善す る こ とに よって,よ り精度 の高 い計測 システム を作成 し, 礫の挙動 につい ての実験結果 を得 る.得 られ た実験結果 は シ ミュ レー シ ョンに反映 させ,実 験 の結果 に よ り近 い 礫 の動 きを再現す る.そ して,シ ミュ レー シ ョン上で実 規模 レベル の土石 流 を再現 させ,砂 防堰 堤 の設 計 に役 立 て る こ とを最終 的 な 目標 とす る. 参考文献 1) 砂 防 学 会: 土砂 災 害 対 策 一 扇 状 地 対 策, 土石 流 対 策 等 (1), 山海 堂, 1992. ‑. 2) ナ イ リ ・ム ニ ル ら: 二 次 元SPH法. を用 い た 液 状 化 に. よ る 速 報 流 動 現 象 の 解 析, 応 用 力 学 論 文 集vo1.8, pp.591‑600,. 2005. 3) 里深 好 文, 水 山 高 久, 飯 尾 達 朗: 石 礫 型 土 石 流 に含 ま れ る 巨礫 の分 級 現 象 に 関 す る研 究, 平 成19砂. 防学会. 研 究 会 発 表 会概 要 集, 2007 4)平 林 大 貴, 福 間 雅 俊, 前 田健 一, 杉 井 大 輔: マ ル チ ス ケ ー ル で み た 石 礫 集 合 体 の 流 れ とそ の 内 部 の 限 界 状 態, 平 成20防. 学 会 研 究 会 発 表 会 概 要 集, pp.30‑31,. 2008 5) 川 村 洋 平 ・杉 山文 乃 ・倉 岡 千 郎:. 土石流 の 巨礫の挙. 動 に 関す る個 別 要 素 法 シ ミュ レー シ ョ ン, 平 成19年 度 資 源 ・素 材 学 会 春 季 大 会 講 演 集, pp.35‑36, 2007 6) 倉 岡 千 郎 ・杉 山 文 乃 ・川 村 洋 平:土. 石流 の 巨礫の移. 動 機 構 の 個 別 要 素 法 に よ る検 討, 平 成19年 会 研 究発 表 会 概 要集, pp.432‑433, 図‑18セ. 7). ンサ か らの出力. 擦 係数. 2007. 伯 野 元 彦: 破 壊 の シ ミュ レー シ ョ ン‑拡 張 個 別 要 素 法 で破 壊 を追 う‑,. (2)シ ミュ レー シ ョン に お い て,大 粒 子 の径,摩. 度砂防学. 森 北 出 版 株 式 会 社, 2004. 8) 牧 野 孝 久 ・倉 岡 千 郎 ・杉 山 実: 土 石 流 の 巨 礫集 積 機 構. を変 更 した 試 行 よ り,大 粒 子の 浮 き 上 が り現 象 の 要 因. に 関 す る個 別 要 素 法 シ ミ ュ レー シ ョ ン, 社 団 法 人 砂. は,大 粒 子 が 回転 し摩 擦 力 の 影 響 で 浮 き上 が る と い う. 防 学 会, 平 成18年. こ とで あ る. (3)大型 水 路 を用 い た 室 内 実験 にお い て,磁 界 を 用 い た計 測 シ ス テ ム で,礫. 度 砂 防 学 会 研 究 会 発 表 会 概 要 集,. pp.416‑417, 2006 9) 橋 本 智 雄: 入 門 統 計 学, 共 立 出 版 株 式 会 社, 1996. の斜 面 方 向 で の位 置,速 度 の 計 測 が. 行 え た.こ れ よ り,本 シ ス テ ム の有 用 性 が示 せ た.. 10) 杉 山 文 乃 ・川 村 洋 平 ・倉 岡 千 郎 ・大 川 浩 一:. 土石 流. に お け る 巨礫 浮 き 上 が り現 象 の メ カ ニ ズ ム の 解 明 に 関す る研 究, p.50, 2007. (2008年4月14日. ― 533―. 受 付).

(10)

参照

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