中性子ラジオグラフィとは,中性子が物質を透過す
2
0
0
全文
(2) 土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月). Ⅴ‑385. グラフィを用いて測定した.ここで湿潤状態とは,セ. に含有水率 90%の部分があった.自然乾燥試験体は,. メント硬化体内の自由水が飽和している状態,自然乾. 側面側の水分が逸散していることが伺える.絶乾試験. 燥は湿潤試験体をドライヤーで乾燥させて任意の含有. 体では,ほとんどの部分の水分が逸散していることを. 水率とした状態,絶乾状態は乾燥炉において 105℃,. 示している.この結果より中性子ラジオグラフィを用. 24 時間乾燥させた状態である.. いてセメント硬化体断面内の含有水分分布が可視化で. 3.実験結果および考察. きることが示された.. (1)実験 1:図 3 に三角試験体における中性子透過距離. 4.おわりに. の測定結果を示す.縦軸は中性子強度が高いほど含有 水分量が多いことを表している.横軸は試験体厚さを. 本研究で得られた知見は以下の通りである. (1)実験 1:中性子透過距離の測定. 示し,試験体の厚さが 0~100mm と変化する.原子炉. 三角試験体を用いて試験体厚さを考慮した測定を. 出力による中性子透過距離の比較では, 1MW の場合,. 行った結果,KUR における原子炉出力 1MW では試験. 試験体厚さが 3mm を超えると中性子強度の値が減衰. 体厚さ 3mm,5MW では 7mm までは補正の必要がな. し始める.5MW においては,試験体厚さが 7mm を超. いことが分かった.また,それ以上の厚さの場合に対. えると減衰し始めている.この結果より,KUR におけ. して補正式(1)を得た.. るセメント硬化体の測定では,1MW の場合は試験体. (2)実験 2:円断面における含有水分分布. 厚さが 3mm 程度,5MW では 7mm 程度までが適して. 円柱試験体を用いて,セメント硬化体の各種状態に. いると考えらえる.撮影時間による違いは,試験体厚. おける含有水分分布について中性子ラジオグラフィを. さが 15mm を超えると,180 秒の方が 60 秒よりも中性. 用いて測定,評価した.また,セメント硬化体断面内. 子強度の値が大きく,また,60 秒ではデータのバラつ. の含有水分分布が可視化できることが示された.. きが見られた.. 参考文献. 強度を示す.元データは,透過画像から画像解析した. [1] 舟川 勲,沼尾達弥,飯倉 寛:中性子ラジオグラフィを 用いたセメント硬化体中の水分評価に関する基礎的研究,土木 学会論文集 E2,Vol. 67, No. 4,pp.596-604,2011.11. においても中性子は透過しているが,中性子が減衰し 始める前の線形部分から補正を行えば,100mm 厚の試. 2.5. 中性子強度. 算出した値である.測定結果より試験体厚さが 100mm. 18. 3. 結果で,補正データは,元中性子強度の線形部分から. 2. 1.5 1MW60s. 1. (1). 6 4 2. 0. 20. 40. 60. 80. 0. 100. 0. 試験体厚さ(mm). ここで,y:補正中性子強度 x:元中性子強度. 中性子透過距離測定 結果. 湿潤. 絶乾. 乾試験体である.解析は図中矢印の方向で行った. 図 6 に補正後の単位厚さ中性子強度を示す.湿潤と 絶乾では中性子強度に大きな差があることがわかり,. 60. 湿潤 自然乾燥. 1. 絶乾. 0.5 0 5. 10. 15. 20. 図 6 円柱試験体の中性子強度. 図 7 に各状態における含有水分分布を 示す.左から,湿潤試験体,自然乾燥試 験体,絶乾試験体を示す.この図では青 色から赤色に向かうにつれ含有水率が減 自然乾燥試験体 図 7 各状態における含有水分分布. が含有水率 98%以上であったが,わずか. ‑770‑. 25. 位置(mm). 有水分が低いことが伺える.. 湿潤試験体. 100. 1.5. っており,水分が逸散し,表面近傍の含. 少することを表す.湿潤試験体は大部分. 80. 2. 0. 図 5 円柱試験体の透過 画像. 40. 図 4 元データの中性子強度と 補正データの中性子強度の 関係. 単位厚さ中性子強度 (1/cm). 輝度の高い左側が湿潤試験体で,輝度の低い右側が絶. 20. 試験体厚さ(mm). (2)実験 2:図 5 に円柱試験体の透過画像の一例を示す.. 乾燥においては,試験体側面側の中性子強度が低くな. 補正データ. 8. 0. 図 3. 水分が多いほど中性子強度が高いことがわかる.自然. 元データ. 14 10. 5MW60s. タの実験関係式(補正式)は,式(1)のようになった. y=0.779x5-2.742x4+4.090x3-2.800x2+1.788x-0.093. 16 12. 1MW180s. 0.5. 験体を測定できる可能性がある.元データと補正デー. 中性子強度. 図 4 に元データの中性子強度と補正データの中性子. 絶乾試験体.
(3)
関連したドキュメント
鉄道総合技術研究所 正会員 ○清水 紗希 鉄道総合技術研究所 正会員 及川 祐也 鉄道総合技術研究所 正会員 西宮 裕騎
東京地下鉄株式会社 正会員 ○星子 遼 東京地下鉄株式会社 正会員 大澤 純一郎 東京地下鉄株式会社 河野 陽介 鉄道総合技術研究所 正会員
(公財)鉄道総合技術研究所 正会員 ○窪田 勇輝 正会員 篠田 昌弘 正会員 中島 進 正会員 阿部 慶太 正会員 江原 季映 西日本旅客鉄道株式会社 正会員 坂本
東京測器研究所 正会員 福田 浩之 岐阜大学 正会員 村上 茂之 維持管理工房 正会員 古市
分岐器トングレール先端部のかみ合せ管理について JR東日本 正会員 中達 太郎 正会員 上部 誠 牛膓 徹
国土交通省 国土技術政策総合研究所 正会員 笛田 俊治,宮武 一郎,坂本 俊英 社団法人日本建設機械化協会 施工技術総合研究所 正会員 藤島
(株)コムスエンジニアリング 正会員 ○土屋 智史 東京大学大学院 正会員 本庄 勇治 東京大学大学院 正会員 石原
東邦技術株式会社 正会員 山村 浩一 岩手大学工学部社会環境工学科 正会員 岩崎 正二 株式会社中央コーポレーション 日下 徹 岩手大学工学部社会環境工学科 正会員 出戸