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中性子ラジオグラフィとは,中性子が物質を透過す

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Academic year: 2022

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(1)土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月). Ⅴ‑385. 中性子ラジオグラフィによるセメント硬化体中の含有水分分布の測定 茨城大学 正会員 ○沼尾達弥 正会員 舟川 勲 鉄道総合技術研究所 正会員 渡辺 健 正会員 大野又稔 NIPPO 熊倉識政. 東日本旅客鉄道 松島由布子. 京都大学 齊藤泰司 伊藤大介 川端祐司 理化学研究所 山形 豊 広田克也 森田晋也 1.はじめに. 表 1 中性子ラジオグラフィ装置の諸元. 中性子ラジオグラフィとは,中性子が物質を透過す. 3.2×105 (n/cm2・sec) 100 400 1.1×106(n/cm2・mR) 蛍光コンバータ(6LiF/ZnS : Ag) 2048×2048pixel (16bit) 80~100μm/pixel 程度 85mm 1,5 理研開発連続画像取得ソフト. 中性子束 コリメーション比 L/D Cd 比 n/γ 比 コンバータ 冷却型 CCD カメラ画素数 空間解像能 レンズ 原子炉出力(MW) 画像取得ソフト. る際に原子核と中性子の相互作用により生じる減衰特 性を利用した非破壊可視化技術である.中性子は物質 内の元素や分子,試料の密度や厚さを因子として減衰 するが,特に水素に対しては強い吸収・散乱の作用を 示すため,水分存在状況の測定に適している [1] . 本研究では,中性子ラジオグラフィを用いて,セメ ント硬化体を透過する中性子透過距離(能力) ,セメン. 中性子. ト硬化体中の含有水分分布の測定および評価を試みた. なお, 本研究は平成 24 年度京都大学原子炉実験所共同 利用研究による成果である. 2.実験概要 2.1 中性子ラジオグラフィ概要. 図 1 実験状況. 本研究における中性子ラジオグラフィの測定は京. 図 2 三角試験体の透過画像. 表 2 実験 1:試験体概要および実験水準. 都大学原子炉実験所, KUR E2 ポート内にて実施した.. 試験体. 装置の諸元を表 1 に示す.. 使用セメント W/C (%) 実験開始材齢(日) 原子力出力(MW) 撮影時間(秒) コンバータとの距離(cm). 2.2 実験方法 (1)実験 1[セメント硬化体を透過する中性子透過距離 (能力)]:中性子は水素に対して強い吸収・散乱の作 用があるため,水を含んでいるセメント硬化体の厚さ. 三角試験体(高さ 100mm×底辺 100mm×厚さ 30mm) 高炉セメント B 種 40 28 1, 5 の 2 水準 60,180 の 2 水準 1. 表 3 実験 2:試験体概要および実験水準. を因子として減衰する.このとき,中性子の透過距離. 試験体 使用セメント W/C (%) 試験体直径(mm) 試験体長さ(mm) 含有水分の状態 実験開始材齢(日) 撮影時間 (秒) コンバータとの距離 (cm). は原子炉の出力等に依存することとなり,測定で得ら れる中性子強度の値は,ある透過距離以上で小さくな る.そこで,原子炉出力と撮影時間を実験水準とし, セメント硬化体における中性子の透過距離と中性子強 度の関係を検証した.ここで,KUR は原子炉出力が 1MW,5MW であり,実験水準を表 2 に示す.. 円柱 高炉セメント B 種 40 20 9.25 5.95 湿潤 , 自然乾燥 絶乾 28 60 1. 実験は図 1 のようにセメント硬化体として作製した. 水分分布の評価]:セメント硬化体断面内の含有水分分. 三角試験体の斜面側に中性子を照射し,図 2 の透過画. 布について測定および評価するため,本実験では表 3. 像を取得した.なお,実験時の試験体とコンバータと. に示す含有水分状態を変化させた円柱形状のセメント. の距離は 1cm である.次に,透過画像を Image J を用. 硬化体を用いて測定を行った.測定においては湿潤状. いて画像処理し,中性子の透過距離である試験体厚さ. 態,自然乾燥状態,絶乾状態の 3 水準とし,その状態. ごとの画像データを得た. (2)実験 2[円断面における. での円断面内における含有水分分布を,中性子ラジオ. キーワード 中性子ラジオグラフィ,中性子強度,セメント硬化体,含有水分分布,含有水率 連絡先. 〒316-8511 茨城県日立市中成沢町 4-12-1 茨城大学工学部都市システム工学科 Tel:0294-38-5168. ‑769‑.

(2) 土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月). Ⅴ‑385. グラフィを用いて測定した.ここで湿潤状態とは,セ. に含有水率 90%の部分があった.自然乾燥試験体は,. メント硬化体内の自由水が飽和している状態,自然乾. 側面側の水分が逸散していることが伺える.絶乾試験. 燥は湿潤試験体をドライヤーで乾燥させて任意の含有. 体では,ほとんどの部分の水分が逸散していることを. 水率とした状態,絶乾状態は乾燥炉において 105℃,. 示している.この結果より中性子ラジオグラフィを用. 24 時間乾燥させた状態である.. いてセメント硬化体断面内の含有水分分布が可視化で. 3.実験結果および考察. きることが示された.. (1)実験 1:図 3 に三角試験体における中性子透過距離. 4.おわりに. の測定結果を示す.縦軸は中性子強度が高いほど含有 水分量が多いことを表している.横軸は試験体厚さを. 本研究で得られた知見は以下の通りである. (1)実験 1:中性子透過距離の測定. 示し,試験体の厚さが 0~100mm と変化する.原子炉. 三角試験体を用いて試験体厚さを考慮した測定を. 出力による中性子透過距離の比較では, 1MW の場合,. 行った結果,KUR における原子炉出力 1MW では試験. 試験体厚さが 3mm を超えると中性子強度の値が減衰. 体厚さ 3mm,5MW では 7mm までは補正の必要がな. し始める.5MW においては,試験体厚さが 7mm を超. いことが分かった.また,それ以上の厚さの場合に対. えると減衰し始めている.この結果より,KUR におけ. して補正式(1)を得た.. るセメント硬化体の測定では,1MW の場合は試験体. (2)実験 2:円断面における含有水分分布. 厚さが 3mm 程度,5MW では 7mm 程度までが適して. 円柱試験体を用いて,セメント硬化体の各種状態に. いると考えらえる.撮影時間による違いは,試験体厚. おける含有水分分布について中性子ラジオグラフィを. さが 15mm を超えると,180 秒の方が 60 秒よりも中性. 用いて測定,評価した.また,セメント硬化体断面内. 子強度の値が大きく,また,60 秒ではデータのバラつ. の含有水分分布が可視化できることが示された.. きが見られた.. 参考文献. 強度を示す.元データは,透過画像から画像解析した. [1] 舟川 勲,沼尾達弥,飯倉 寛:中性子ラジオグラフィを 用いたセメント硬化体中の水分評価に関する基礎的研究,土木 学会論文集 E2,Vol. 67, No. 4,pp.596-604,2011.11. においても中性子は透過しているが,中性子が減衰し 始める前の線形部分から補正を行えば,100mm 厚の試. 2.5. 中性子強度. 算出した値である.測定結果より試験体厚さが 100mm. 18. 3. 結果で,補正データは,元中性子強度の線形部分から. 2. 1.5 1MW60s. 1. (1). 6 4 2. 0. 20. 40. 60. 80. 0. 100. 0. 試験体厚さ(mm). ここで,y:補正中性子強度 x:元中性子強度. 中性子透過距離測定 結果. 湿潤. 絶乾. 乾試験体である.解析は図中矢印の方向で行った. 図 6 に補正後の単位厚さ中性子強度を示す.湿潤と 絶乾では中性子強度に大きな差があることがわかり,. 60. 湿潤 自然乾燥. 1. 絶乾. 0.5 0 5. 10. 15. 20. 図 6 円柱試験体の中性子強度. 図 7 に各状態における含有水分分布を 示す.左から,湿潤試験体,自然乾燥試 験体,絶乾試験体を示す.この図では青 色から赤色に向かうにつれ含有水率が減 自然乾燥試験体 図 7 各状態における含有水分分布. が含有水率 98%以上であったが,わずか. ‑770‑. 25. 位置(mm). 有水分が低いことが伺える.. 湿潤試験体. 100. 1.5. っており,水分が逸散し,表面近傍の含. 少することを表す.湿潤試験体は大部分. 80. 2. 0. 図 5 円柱試験体の透過 画像. 40. 図 4 元データの中性子強度と 補正データの中性子強度の 関係. 単位厚さ中性子強度 (1/cm). 輝度の高い左側が湿潤試験体で,輝度の低い右側が絶. 20. 試験体厚さ(mm). (2)実験 2:図 5 に円柱試験体の透過画像の一例を示す.. 乾燥においては,試験体側面側の中性子強度が低くな. 補正データ. 8. 0. 図 3. 水分が多いほど中性子強度が高いことがわかる.自然. 元データ. 14 10. 5MW60s. タの実験関係式(補正式)は,式(1)のようになった. y=0.779x5-2.742x4+4.090x3-2.800x2+1.788x-0.093. 16 12. 1MW180s. 0.5. 験体を測定できる可能性がある.元データと補正デー. 中性子強度. 図 4 に元データの中性子強度と補正データの中性子. 絶乾試験体.

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