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ミリング式レール削正車による最適なレール削正について

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Academic year: 2022

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ミリング式レール削正車による最適なレール削正について

西日本旅客鉄道株式会社 正会員 ○筒井 俊幸 正会員 今西 進也 株式会社レールテック 正会員 大崎 英二 佐藤 登志勝

1. ミリング式削正車の導入

レールに発生する傷は成長するとレール損傷に至り、大きな輸送障害となる 事例も多いことから、レール傷管理は鉄道の安全・安定輸送の観点から極めて 重要な課題である。JR 西日本ではレール傷発生を抑制することを目的に、作業 効率が高いミリング式レール削正車(写真‐1)を増備し、レール削正の推進 を図ることとした。日本国内の鉄道事業者では初めての導入であり、最適なレ ール削正方法について検証を実施した。

写真-1 削正車外観 2.ミリング式レール削正車の概要

ミリング式レール削正とは、超高度の合金による超硬カッター刃(以下、『カ ーバイドチップ』という。)を60kg形状に装備したミリングホイール(写真

‐2)を、レール長手方向に縦回転をさせてレール頭頂面の表面を削り取る方 式である。ミリング式レール削正車は1回の削正で0.3㎜~1.0㎜までのレー ル削正能力を有し、1時間あたり最大約900mの作業が可能である。

写真-2 ミリングホイール 3.基地内検証試験

保守基地内において削正後の列車の走行安全性について検証を実施した。走行安全性は削正前後のレール断面形 状、レール摩擦係数等により評価を行った。削正条件は 50PS レール、木まくらぎ、削正速度 600m/h、削正深さ 0.3mm、

天候晴れで実施した。

GC FC

青:60k断面 赤:削正後断面

(1)レール断面形状

図‐1 に削正後のレール断面と 60kg 正規断面を比較した。ゲー ジコーナー側のレール断面は 60kg のレール形状に似通っており、

設定したとおりの形状とすることができている。

(2)レール摩擦係数 図-1 削正後の断面形状比較

トリボメーターを用いて、レール摩擦係数 の測定を行った(図‐2)。削正後の摩擦係数 は内軌側頭頂面で 0.36~0.64、外軌ゲージ コーナーで 0.46~0.54 であった。また、ト リボメーターにより測定される内軌摩擦係 数のおよそ 8 割であることを考慮すると、こ の値は通常測定される値と同程度であり、レ ール削正が列車走行安全性に与える影響は 小さいことがわかった。

外軌摩擦係数 内軌摩擦係数

図-2 レール削正後の摩擦係数

キーワード レール削正,ミリング式

連絡先 〒530-8341 大阪市北区芝田二丁目 4 番 24 号 西日本旅客鉄道株式会社 施設部 保線課 TEL06-6375-8960 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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4.本線検証試験

(1)レール削正が列車騒音に与える影響

削正条件は 60k レール、PC まくらぎ、削正速度 900m/h、削正 深さ 0.3mm で実施した。

レール削正前から削正後 1 ヶ月間の近傍点の列車騒音について、

騒音レベル(図‐2)と周波数分析グラフ(図‐3)を示す。削正後は 騒音が大きくなり、その後小さくなるが 1 ヶ月後においても削正 前のレベルには戻らないことがわかった。また、周波数の 6,300Hz バンドでピークが生じているが、レール削正による凹凸(波長約 5.7mm)によるものと推定される。なお、検証試験の後に削正方 法を工夫した結果、当初見られた騒音レベルを抑える可能性(図

‐5 )があることが判明したことから、引き続き検証を続けていく。

図-3 騒音レベル速度依存

図-5 騒音レベル速度依存図 図-4 1/3オクターブバンド周波数分析グラフ

(2)レール削正時の注意点

削正試験を実施した結果、以下について注意すべきことがわかった。

・レール摩耗が大きい箇所では、レール頭頂面の一部が削正できない箇所 がある(図‐6)。なお、解消するには深い削正量を設定する必要がある。

・レール頭頂面が摩耗し、極端にゲージコーナー部が角張っているレール の場合、複数回に分けてレール削正を行う必要がある。試験では無理な 削正で、カーバイドチップ破損により異常削正が発生した。

図-7 ばたつき箇所の削正ムラ 図-6 削正シミュレーション

・レール頭頂面の落ち込みや、軌道にばたつきがある区間では、一部削正ム ラが発生する(図‐7)。なお、レール削正効果をより発揮させるには事前 にMTT軌道整備等とあわせて実施するのが望ましい。

・波状磨耗区間でレール削正を行う場合は、波状磨耗区間の波高を把握しそ の波高以上の削正量を設定する。

5、まとめ

・レール削正方法の工夫により、列車騒音に与える影響を低減できる可能性があることがわかった。今後も継続し て検証を実施する。

・削正前の軌道状態による削正ムラや、レール形状による複数回の削正をする必要があることがわかった。今後、

軌道状態がレール削正に与える影響についてデータを蓄積し明らかにしていく。

・ミリング式レール削正車によるレール削正が、レール傷抑制効果の有無ついて中長期的に検証していく。

なお、検証試験においては、公益財団法人鉄道総合研究所のご指導をいただきましたことをこの場を借りて厚く 御礼申しあげます。

土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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参照

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