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分岐器区間における弾性化の検討

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Academic year: 2022

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分岐器区間における弾性化の検討

鉄道総合技術研究所 正会員 ○清水 紗希 鉄道総合技術研究所 正会員 及川 祐也 鉄道総合技術研究所 正会員 西宮 裕騎 1.はじめに

レールやまくらぎを弾性支持し荷重を分散することは,軌道保守の省力化に有効である.一方,分岐器区間 は一般的に弾性支持されていないため,車両走行時のレール上下変位が一般区間より小さくなる.また分岐器 区間内においても,レール断面やまくらぎ長さ等が変化するな

ど構造的に一定ではないことから,レール上下変位も一定では ないと考えられる.そのような一般区間と分岐器区間のレール 上下変位の変動が小さくなるような分岐器の支持条件について,

分岐器走行シミュレーションを用いて検討する.

2.分岐器走行シミュレーションについて

図1のように,レール,まくらぎは FEM 梁要素でモデル化す る.車輪との接触面に関しては,図2のようにレール表面をシ ェル要素でモデル化し,断面重心でレール梁要素と接点を剛体 結合している.また,クロッシングは剛性が非常に大きいことか ら剛体としてモデル化した.なお,本研究では新幹線用 18 番分 岐器をモデル化している.分岐まくらぎについては,新幹線用 PC まくらぎを想定しモデル化した.

車両は輪重変動を適切に模擬するため,図3のように 30 自由 度を有する1車体モデルとし,諸元は新幹線を想定している.走 行速度は 275km/h である.

3.分岐器内の剛性

分岐器内の剛性を把握するため,シミュレーションモデルに輪 重を想定した静荷重を与えたときの変位を調べた.まくらぎ支持 ばね係数は一般区間,分岐器区間ともにまくらぎ 1m あたり k=30kN/mm である.

結果を図4に示す.図から,一般区間に 比べ分岐器区間の変位は半分程度であり,

クロッシング区間ではさらに変位が小さく なることを把握した.

キーワード 分岐器 輪重変動 低減 走行シミュレーションモデル

連絡先 〒185-8540 東京都国分寺市光町 2-8-38 (公財)鉄道総合技術研究所 軌道構造 TEL042-573-7275 車体

車体

台車 輪軸 空気ばね

軸ばね 車体(剛体)

台車(剛体)

車体底面

台車輪軸

ばね要素 ダンパ要素

重心

図1 解析モデル(軌道)

図3 解析モデル(車両)

図2 解析モデル(走行部)

まくらぎ(FEM梁要素) レール(FEM梁要素,シェル要素)

レール締結装置 (FEMばね要素)

道床(FEMばね要素)

車輪

進行方向

レール(接触判定用シェル要素) 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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4.走行シミュレーションによる分岐まくらぎ弾性化の検討

分岐まくらぎの弾性まくらぎ化を想定してまくらぎ支持ばね係数を変更し,分岐器区間が一般区間と同程度 の剛性となるように,分岐器区間のまくらぎ支持ばね係数をまくらぎ 1m あたり kb=15kN/mm とした(図4参照).

この条件で行った走行シミュレーションのレール上下変位と輪重の結果を図5,6に示す.図5から,まくら ぎ支持ばね係数の低下によって,分岐器進入時のレール上下変位の変動が約 0.4mm から約 0.2mm に減少した.

一方,図6から分岐器内の輪重変動については,最大輪重は小さくなるものの,他はわずかだが増加する傾向 にあることがわかる.

クロッシング部のレール上下変位の減少や輪重変動の増加に関しては,クロッシングを剛体としているため に,左右車輪で変位差が生じていることが原因と考えられる.そこでクロッシング下のまくらぎ支持ばね係数 を変更することで,左右車輪の変位差を抑制する.つまりクロッシング下のまくらぎは,両端部と中央部でま くらぎ支持ばね係数が異なることとなる.各まくらぎ支持ばね係数はまくらぎ 1m あたり,一般区間 k=30kN/mm,

分岐器区間 kb=30kN/mm,ただしクロッシング下 kc=5kN/mm とした.この条件で行った走行シミュレーション のレール上下変位と輪重の結果を図5,6に示す.図5から,クロッシング部のレール上下変位が他の区間と 同程度になっていることがわかる.一方,図6からクロッシング部の輪重変動については,前端部は小さくな るが後端部では大きくなることがわかる.しかし最大輪重は分岐器区間 kb=kc=15kN/mm の場合と同程度である.

5.おわりに

分岐器区間を弾性化した場合の支持条件について検討した.その結果,分岐まくらぎを一般まくらぎの半分 程度のまくらぎ支持ばね係数で支持すると,一般区間と分岐器区間のレール上下変位の変動を 0.2mm 小さくで きることがわかった.またクロッシング部についても,クロッシング下のまくらぎ支持ばね係数を一般まくら ぎの 1/6 程度にすると変位変動を 0.2mm 小さくできることがわかった.輪重に関しては,まくらぎ支持ばね係 数の低下による変動分の顕著な増加は見られず,最大輪重については若干小さくなる効果があった.

今後はレール弾性支持やまくらぎ物性値等も検討し,最適な分岐器の弾性支持条件を求めていく.

土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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参照

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