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内軌波状摩耗の波高の周期的変化に関する検討

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Academic year: 2022

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キーワード:波状摩耗,うなり,周波数,輪重変動,軸箱上下加速度,軌道振動

連絡先:〒185-8540 東京都国分寺市光町2-8-38 (財)鉄道総合技術研究所 軌道管理 TEL042-573-7278

内軌波状摩耗の波高の周期的変化に関する検討

鉄道総合技術研究所 正会員 ○田中 博文

1.はじめに

主に急曲線内軌に発生する波状摩耗は,騒音・振動 の観点から大きな問題となっている.その波状摩耗の 管理は,線路巡回時の目視検査や,任意の数か所にお ける凹凸測定器の測定値から求めた波高を用いて行わ れることが多い.しかし,この度,波状摩耗の凹凸を 連続的に測定した結果,同一曲線内であっても波状摩 耗の波高にばらつきが見られ,それが「うなり(Beat)」

のように周期的に変化している例が見られた.本報告 では,その波状摩耗の波高の周期的な変化を車両-軌 道間の振動のうなりによるものと仮定してその周波数 を特定し,検討を行った結果について述べる.

2.波状摩耗の波高の周期的な変化

図1(a)に,CAT(Corrugation Analysis Trolley)と 呼ばれる波状摩耗の凹凸をレール長手方向に連続的に 測定可能な装置 1)を用いて測定した内軌波状摩耗の波 形例を示す.なお,波形は,50~250mmでバンドパス フィルタ処理をして,内軌波状摩耗に起因する凹凸の みを抽出している.同図より,波状摩耗の波高が波長1

~2m 程度の間隔で周期的に変化していることがわか

る.図 1(b)に,同じ区間を走行した列車で測定された

軸箱加速度の波形を示す.なお,波形は,CAT と同様

に50~250mmでバンドパスフィルタ処理をしている.

同図より,測定方法を変えても,波状摩耗の波高が周 期的に変化していることがわかる.なお,周波数分析 の結果,波状摩耗の波長は CAT,軸箱加速度ともに

140mm程度であった.

-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3

振幅 [mm]

5m

(a) CATによる直接測定結果

-100 -50 0 50 100

加速[m/s2]

5m

(b) 軸箱加速度による間接測定結果

図1 内軌波状摩耗の波高の周期的な変化の一例

このような波状摩耗の波高の周期的な変化は,複数 線区において実施したCATあるいは軸箱加速度の測定 によって,ほぼ全ての波状摩耗発生区間において確認 されており,線区や区間に特有の現象ではないと考え られる.

3.うなり

うなりとは,周波数がわずかに異なる振動(波)が 重なったときに生じる現象である.例えば,式(1)およ び(2)に示す周波数f1f2 の2つの単振動を仮定する.

1 sin(2 1 )

y = πf t (1)

2 sin(2 2 )

y = πf t (2)

この2 つの単振動を合成した振動は,数学的に式(3) で示される.

1 2

1 2 1 2

sin(2 ) sin(2 )

2 cos 2 sin 2

2 2

2 cos 2 a sin 2 b

Y f t f t

f f f f

f f

π π

π π

π π

= +

− +

= ×

= ×

(3)

この関係を波状摩耗に適用する場合,波状摩耗はレ ール上に生じる波長λの空間軸(空間周波数)上の波 であり,列車はその上を速度V で移動するので,時間 軸(時間周波数)上の振動 f が発生し,さらには列車 速度によって発生する振動の周波数が異なることに注 意が必要である.すなわち,式(4)の関係を利用する必 要がある.

[ / ] [ ] 1

[ ] 3.6

V km h

f Hzm × (4)

4.車両-軌道間で発生する振動に基づく波状摩耗の うなりの発生原因の検討

うなりが生じるには,周波数の近い最低 2 つの振動 が必要となる.そのおおよその周波数は,内軌波状摩 耗の波長と列車の走行速度から求めることができる.

図 1 の例では,波状摩耗の波長は約14cm程度,列車 の走行速度は約 60km/h であることから,式(4)の関係 から式(5)のように求めることができる.

[ ]

1 60

0.14 3.6 119

f = × = Hz (5) このことから,急曲線の軌道において,車両-軌道 間の相互作用によって発生する119Hz前後の振動が2 つあれば,式(3)の関係から,波状摩耗にうなりが生じ る可能性がある.

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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Ⅳ‑288

(2)

ここで,図 2 に波状摩耗の発生していない直線区間 を異なる速度で列車が走行した場合の軸箱上下加速度 のパワースペクトルの例を示す.速度によらず,55Hz 付近に最大ピークが見られる,さらに 110Hz および

165Hz にその高調波のピークが見られる.なお,列車

の走行速度が高速になるにつれ 55Hz 付近のピークが 顕著になる一方で,低速の方が110Hz付近のピークは 明瞭になり,前後の周波数帯域のパワーと比較して相 対的に大きくなることがわかる.なお,55Hz付近のピ ークは,車両のばね下質量と軌道の連成振動の固有振 動数と考えられる.

次に,図 3 に有道床軌道の曲線区間において内軌の 頭頂面を上下方向にインパルスハンマーによって衝撃 加振した場合のレールのアクセレランスの例を示す.

同図より,120Hz 付近にゆるやかなピークがあり,特 に左右振動において顕著であることがわかる.なお,

この左右振動,すなわちレールの小返り振動は,内軌 波状摩耗の発生要因の一因であるとの知見が既に得ら

れている2),3)

10-2 10-1 100 101 102 103

0 50 100 150 200 250

60km/h

軸箱加速度のPWS [(m/s2)/Hz]

周波数 [Hz]

図2 軸箱上下加速度のパワースペクトルの一例

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1

10 100 1000

上下(アクセレランス)

左右(クロスアクセレランス)

アクセス [(m/s2)/kN]

周波数 [1/m]

図3 有道床軌道の衝撃加振試験の一例

(内軌上下加振時のレールのアクセレランス)

ここまでの検討で,軌道への加振力としては 110Hz が卓越しており,また軌道は120Hzで振動し易いとい う結果が得られた.そこで,この 2 つの周波数の振動 のうなりについて検討する.図 4 は, f1=110Hz, f2=120Hz として,式(3)によって,2 つの振動を合成 した結果である.なお,列車は 60km/h で走行するも のとし,横軸は距離軸に変換している.同図より,約

1.8m(式(3)の fbの項)のうなりが生じていることがわ

かる.また,その中に波長0.15m(式(3)の faの項)の 振動があることもわかる.

-3 -2 -1 0 1 2 3

合成振動の振幅

5m

-3 -2 -1 0 1 2 3

合成振動の振幅

0.5m

図4 2つの周波数の合成振動によるうなりの計算例

このように,車両-軌道間に生じる振動に着目した 結果,その相互作用によってうなりが生じる可能性を 示すことができた.したがって,レール/車輪間の接 触力にうなりのような変動が生じ,波状摩耗の波高の 周期的な変化が引き起こされると考えられる.なお,

図 1 に示したように,実際の波状摩耗の波高の変化は 図 4 ほど規則的ではない.これは,複雑なばね-質点 系である車両-軌道の振動系は,ここで示した以外に も複数の振動モードを有していると考えられること,

また,実際の列車の走行速度のばらつきや軌道変位に よる影響があること等があり,これらが複雑に影響し 合った結果であると考えられる.

5.おわりに

波状摩耗の波高が周期的に変化していることを踏ま えると,曲線中の任意の数か所で波状摩耗の波高測定 を行った場合,その波高を過小評価する可能性がある.

波状摩耗は,騒音・振動の観点から管理すべきもので あり,その波高はレール削正やレール交換等,軌道の 保守作業にかかわる対策を行う上での重要な管理項目 の一つである.今回の結果を踏まえると,今後は,レ ール長手方向の連続的な凹凸測定を実施する,あるい は軸箱加速度等を用いて間接的に波高の大きな箇所を 推定し,その箇所の波高を直接測定する等の対応が必 要であると考えられる.

参考文献

1) Stuart L. Grassie:Rail corrugation: advances in measurement, understanding and treatment,Wear,No.258,pp.1224-1234,2005.

2) M. Ishida,T. Moto, M. Takikawa:The effect of lateral creepage force on rail corrugation on low rail at sharp curves,Wear,No.253,

pp.172-177,2002. 3) 松浦章夫,内田忠之,福田拓也:急曲線に おける内軌波状摩耗の発生メカニズムに関する研究,土木学会論文集,

No.773,Ⅰ-69,pp.125-135,2004.

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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参照

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