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車輪アタック角がレール波状摩耗の成長に及ぼす影響 

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Academic year: 2022

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(1)

車輪アタック角がレール波状摩耗の成長に及ぼす影響 

芝浦工業大学大学院  学生員  ○福田拓也 芝浦工業大学大学院  学生員    内田忠之 芝浦工業大学工学部  正会員    松浦章夫 1.研究目的 

図−2  車両の力学モデルの概略図

軌道線形

円曲線

緩和 曲線 車体 進行方向

台車枠 車輪軸

2軸

4軸 3軸 1軸

3

次元

39

自由度   軌道のレール頭頂面には,波状摩耗という連続し

た凹凸が現れる.特に急曲線内軌側レール頭頂面の 波状摩耗は発生例も多く,重要な研究課題とされて いる.そこで,本研究では車輪アタック角が急曲線内 軌側レール波状摩耗の成長に及ぼす影響を,車両モ デルと車輪モデルの二種類の解析モデルを用いて解 析する.

2.急曲線内軌側レール波状摩耗の発生過程    図−1に示すように,最近の研究では先頭車輪軸の 大きなアッタク角とレール頭頂面の微小な凹凸の二 つの要因がきっかけに起こるスティック・スリップ が,レールの小返り振動を引き起こし,それが急曲 線内軌側レールに波状摩耗を発生させると言われて いる.しかし,この発生過程(力学的メカニズム)

は,必ずしも充分に明らかにされていないのが現状 である. 

図−3  軌道線形モデルの概略図

要因 ① 先頭車輪軸に大きな

アタック角が発生

要因 ② レール頭頂面の

微小な凹凸 スティック・スリップが発生

(粘着とすべりの周期的繰り返し運動)

レールの小返り振動が増大

急曲線内軌側レール に波状摩耗が発生

3.解析モデルと解析方法

(1) 車両走行シミュレーション法(車両モデル) 

本研究で対象とする車両は,図−2 に示す

2

軸ボギ ー車である.車両要素は,車体,台車枠及び車輪軸 である.軌道線形は 図−3に示すように,直線,緩 和曲線及び円曲線からなる小区間を連続的に組み合

わせて構成している.この解析モデルでは,多くの パラメータに対して波状摩耗に関する現象を詳しく 調べることができる.そこで,車両モデルでは車輪 アタック角に絞って解析を行い,最終的には車輪ア タック角に影響する軌道条件を検討する.

(2) 車輪モデル 

  波状摩耗の特性を大域的に把握するため図−4 に 示す車輪モデルを用いる.このモデルの運動方程式 は下式で表すことができる.

r r ry r ry r

0 m y + c y + k y − = Q

  ここで,mr

,c

ry

,k

ryはレールの小返りyrに関する等価 的な振動パラメータであり,

Qはレール頭頂面の微小

凹凸及び車輪・レール間のクリープ特性等に対応し て変動する横圧である.小返りを用いた簡易なモデ 図−1  急曲線内軌側レール波状摩耗の発生過程

ルである.

アタック角 ψa

外軌側レール 内軌側レール

進行方向 x

レール小返り

yr 車輪軸

横圧 Q

図−4  車輪モデルの概略図 キーワード  波状摩耗,スティック・スリップ,アタック角,車両モデル,車輪モデル

連絡先      〒108-8548  東京都港区芝浦

3-9-14  芝浦工業大学工学部土木工学科  TEL 03-5476-30

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑61‑

4‑031

(2)

4.解析結果および考察 

(1) 車両走行シミュレーション法(車両モデル) 

図−5は,一定の走行速度での車輪軸

1〜4

軸の外軌 側に発生する車輪アタック角を示している.この図よ り

2,4

軸の車輪アタック角は大きな変化がないため,

波状摩耗の成長にはさほど影響しないことが分かる.

そこで車輪軸

1,3

軸に着目して解析を進めた. 

図−6は,軌道条件(曲線半径,カント,緩和曲線)

を変えて車輪軸

1, 3

軸の外軌側に発生する最大車輪ア タック角を示している.この図から特に曲線半径が小 さくなるほど車輪アタック角が増大することが分かる.

また,同じ曲線半径内のカントと緩和曲線の違いでは,

さほど車輪アタック角に影響しないことも分かる.車 輪アタック角に影響する軌道条件は曲線半径が大きな 要因であることを本図は示している.また,1軸より

3

軸のアッタクが小さな値を示しているのは,車体の回 転剛性が作用しているためである. 

(2) 車輪モデル 

  図−7は,一定の走行速度

36km/h,走行 30

単位(車 輪がレール上を繰り返し

30

回走行)の場合による曲 線半径の違いにおける波状摩耗波形を示している.本 図から,曲線半径が小さい程,つまり,車輪アタック 角が大きい程(曲線半径

R=120m, R=200m

を基に車 輪アタック角を式(1)より算出)レール頭頂面が掘 れていることが分かる.要因①の先頭車輪軸の大きな 車輪アタック角と,要因②のレール頭頂面の微妙な凹 凸は確かに波状摩耗の発生・成長の要因となることが 明らかである.

図−8は,一定の車輪アタック角,走行

30

単位の場 合による走行速度の違いにおける波状摩耗波形を示 している.式(2)より,走行速度

V=18km/h, V=36 km/h,

V=72 km/h

の場合,波長は約

50mm,約 100mm,約

200mm

となる.この波長の成長は,本図からも分かる.

つまり,繰り返し走行することにより,走行速度とレ ール小返り固有振動に対応する波長を持った波状摩 耗が成長していることが確認できる. 

5.まとめ 

  車両モデルと車輪モデルを用いた本研究において,車輪アタック角が急曲線内軌側レール波状摩耗の発生・

成長に深く影響していることを示すことができた.また,レールの小返り振動が波状摩耗の成長に関連してい ることも確認できた.今後,車両モデルで導いた車輪アタック角を,車輪モデルに用いて多くの条件による解 析を実施してそのメカニズムをより明確にして,実際のレール波状摩耗防止対策に役立てたいと考えている.

図−5  車輪

1

4

軸外軌側のアタック角 

0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0

-0 .0 0 2 0 .0 0 0 0 .0 0 2 0 .0 0 4 0 .0 0 6 0 .0 0 8 0 .0 1 0 0 .0 1 2 0 .0 1 4

0 .0 1 6 車 輪 軸

 アタック角 (rad)

距 離  (m )  1

 2  3  4

0 .0 0 .2 0.4 0.6 0.8 1 .0 1.2 1.4 1.6 1.8 2 .0 -0 .8

-0 .6 -0 .4 -0 .2 0 .0 0 .2

レール頭頂面凹凸

(mm)

距   離  

(m )

 レ ー ル 頭 頂 面 初 期 凹 凸  = 18km/ h

 = 36km/ h  = 72km/ h

図−8  走行速度に着目した波状摩耗の成長波形

0 .0 0 .2 0 .4 0.6 0 .8 1 .0 1 .2 1 .4 1 .6 1.8 2 .0 -0.4

-0.3 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2

レール頭頂面凹凸 (mm)

距   離  (m )

 レ ー ル 頭 頂 面 初 期 凹 凸

 R =200 m( ア タ ッ ク 角 =0.01 005rad R =120 m( ア タ ッ ク 角 =0.01 826rad

図−7  アタック角に着目した波状摩耗の成長波

曲線(m)

カント(m) 0.112 0.086 0.063 0.084 0.064 0.047 0.067 0.051 0.038 緩和曲線(m) 56 43 32 42 32 24 34 25 19

120 160 200

0.010 0.011 0.012 0.013 0.014 0.015 0.016 0.017 0.018 0.019 0.020

アタック角(rad)  1

 3

軌道条件

図−6  軌道条件を変えた

1, 3

軸外軌側のアタック角 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

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参照

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