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軌道検測データの位置ずれの実態とその補正手法の検討

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Academic year: 2022

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軌道検測データの位置ずれの実態とその補正手法の検討

東海旅客鉄道㈱ 正会員 福島 誠志

1. はじめに

近年,軌道状態管理の各種システム化や軌道整備手法の高度化が進むなか,軌道検測データの用途は従来と 比べ大きく拡がっている.一方で,この軌道検測データの測定ごとの微妙な位置ずれや,サンプリング間隔の 微妙な変化が問題となっている.これは軌道検測データが車輪の回転パルスに同期してサンプリングされるた め,測定開始位置の微妙なずれや,雨や雪による車輪の空転や滑走の影響,あるいは車輪の摩耗による車輪径 の微小な変化などの影響を受けるためと考えられる.今回,相互相関演算やアップサンプリング処理などを組 み合わせることにより,軌道検測データの位置ずれを正確に補正する手法を考案した.実際の軌道検測データ を用いて検証を行った結果,この手法の有効性を確認することができたので紹介する.

2. 軌道検測データの位置ずれ

1

は東海道新幹線の軌道検測データにおいて,同一区間に含 まれるデータ個数を測定ごとに集計したものである.それぞれの 区間においてデータ個数に若干のばらつきが確認できる.一方,

1

は東海道本線の軌道検測データであり,連続する

2

回の高低 狂いと両者の差分を示している.両者の波形にはほとんど差が見 られないにもかかわらずその差分はゼロになっていない.

これらのことから複数の軌道検測データには微妙な位置ずれが 存在していることが確認できる.このことは,MTT(マルチプル タイタンパ)施工のように現場のキロ程と軌道検測データを正確 に一致させたい場合や,波形の時系列変化を詳細に解析する上で は大きな問題となる.

3. 位置ずれ補正手法の検討

この微妙な位置ずれの問題を解決するため,アップサンプリング処理と相互相関演算を組み合わせて,位置 ずれを正確に補正するアルゴリズムを検討した.図

2

に処理の流れを示す.

3.1 アップサンプリング処理

より正確な調整を実現するため,まず生データをゼロ挿入法によりア ップサンプリングする.これにより例えば

25cm

サンプリングのデータ を

25

倍にアップサンプリングすれば,

1cm

レベルでの正確な位置あわせ が可能となる.

3.2 相互相関演算によるずれ量の補正

一般に軌道狂いは短期間で大きく変化することは稀であるため,直近 のデータとの相互相関を計算すれば,極めて高い相関が得られる.この ことを利用して一定区間ごとに測定データを切り出し,前後の相互相関 を計算することで位置ずれの量を把握し補正を行う.補正されたデータ は,元のサンプリング間隔にダウンサンプリングして直近データとのデ ータ個数を一致させる.

キーワード:軌道狂い,軌道検測データ,相互相関,ゼロ挿入法

連絡先:〒485-0801 愛知県小牧市大山

1545-33

東海旅客鉄道㈱ 技術開発部 軌道管理

G TEL 0586-47-5380

2 位置ずれ補正手法

D010903 D010911 D010925 D011003 D011016 D011029

323k000m 4005 4007 4004 4003 4004 4003

324k000m 3985 3985 3982 3981 3982 3982

325k000m 4004 4006 4003 4003 4003 4002

326k000m 4004 4003 4001 4000 4000 4001

327k000m 4001 4003 4000 3999 4000 4000

※サンプリング間隔:0.25m D010903 D010911 D010925 D011003 D011016 D011029

323k000m 4005 4007 4004 4003 4004 4003

324k000m 3985 3985 3982 3981 3982 3982

325k000m 4004 4006 4003 4003 4003 4002

326k000m 4004 4003 4001 4000 4000 4001

327k000m 4001 4003 4000 3999 4000 4000

※サンプリング間隔:0.25m

1

区間

1km

に含まれるデータ個数

-20 -10 0 10 20 -20 -10 0 10 20 -20 -10 0 10

20 東海道本線 高低狂い

東海道本線 高低狂い(1ヶ月後)

差分

200m

-20 -10 0 10 20 -20 -10 0 10 20 -20 -10 0 10

20 東海道本線 高低狂い

東海道本線 高低狂い(1ヶ月後)

差分

200m

1 連続する 2

回の測定データとその差分

参照データ

修正前

修正後 a

100m 100m 100m

b c d

20m

a’ b’ c’ d’

参照データ

修正前

修正後 a

100m 100m 100m

b c d

20m

a’ b’ c’ d’

入力データ 処理フロー 出力データ 参照データ

修正データ

アップサンプリング 相互相関演算 ダウンサンプリング

データ個数の調整 出力データ 修正結果出力

b)相互相関演算による補正 a)処理の流れ

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑83‑

4‑042

(2)

3.3 データ処理により実現されること

これらの一連の処理によって以下のことが実現される.

・ アップサンプリング処理及び相互相関演算により微小な位置 ずれがすべて補正される.

・ 任意の区間のデータ個数とサンプリング間隔を揃えることが できるため,複数のデータの直接的な引き算が可能になる.

・ 可搬式軌道検測装置などで軌道検測データと現場のキロ程と のずれ量を把握することにより,現場のキロ程との正確なつき あわせが可能となる.

4. 実測された軌道検測データでの検証

新幹線及び在来線の軌道検測データにより本手法の検証を行っ た.それぞれの測定周期は新幹線が

10

日に

1

回,在来線が

1

ヶ月 に

1

回である.結果を図

3

及び図

4

に示す.図は直近

2

回の高低 狂いのデータ(①及び②)と両者の差分(③及び④)を示してお り,③は補正なしでの差分結果,④は本手法による補正をしたデ ータとの差分結果である.図中のハッチングをした箇所は

2

回の 測定の間に

MTT

施工が行われている.両者のキロ程が正確に一致 していれば,差分演算の結果は 2回の測定の間に軌道狂いが大き く変化していない箇所では小さな値を示し,軌道整備等により軌 道狂いが変化した箇所では大きな値を示すはずである.

しかしながら③では,微妙な位置ずれのために,本来小さな値を 示すべき箇所(軌道狂いが大きく変化していない箇所)でも,あた かも大きな軌道狂いの変化があったかのような値を示している.一 方,④では

MTT

施工が行われた箇所とそれ以外の箇所との差を明 確に確認できる.このことから今回の補正手法により,正確な位置 の補正が行われていることが確認できる.

5

は補正後の修正結果出力の例であり,各点における位置ずれの補正量を示している.図より位置ずれは 同一方向に発生しているわけではなく,その方向,量ともにばらつきがあることがわかる.また東海道新幹線 の例では

0km

から

20km

の区間で比較的大きな位置ずれが発生していることが確認できる.この区間は

R2500

未満の急曲線が多いことから,曲線部においてレールと車輪の接触位置が変化することにより,エンコーダを 装備した車輪の車輪径が相対的に変化していることが想定されるが,このことは列車速度等を勘案しながら今 後検証を重ねていく必要がある.

5. おわりに

今回,軌道検測データの位置ずれやサンプリング間隔不整の問題を解決するため,相互相関演算やアップサ ンプリング処理を組み合わせることによりデータの補正をする手法を考案した.実際の軌道検測データによる 検証結果から,本手法により微小な位置ずれやサンプリング間隔の補正が可能であることが確認された.

本手法を利用して軌道検測データのキロ程を正確に補正することは,軌道状態管理へのさまざまな応用が期 待できる.軌道状態のモニタリングという視点で考えれば,軌道狂いの進展や軌道整備による軌道状態の変化 を定量的に扱うことが可能となるため,より合理的な軌道整備計画の策定や施工効果の正確な把握に役立てら れる可能性がある.また,軌道整備作業の高精度化や合理化という視点で考えれば,MTT 施工時の位置あわ せへ応用することにより,より精密な軌道整備や作業効率の向上が期待できる.今後はこれらの具体的な応用 について検討を進めていく予定である.

3

新幹線データでの補正結果

4

在来線データでの補正結果

-3 -2 -1 0 1 2 3

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0

-2 -1 0 1 2

250.0 255.0 260.0 265.0 270.0 275.0 280.0 285.0 290.0 295.0 300.0 キロ程(km)

キロ程(km)

補正量(m)補正量(m)

-3 -2 -1 0 1 2 3

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0

-2 -1 0 1 2

250.0 255.0 260.0 265.0 270.0 275.0 280.0 285.0 290.0 295.0 300.0 キロ程(km)

キロ程(km)

補正量(m)補正量(m)

東海道新幹線

東海道本線

5

各地点における位置ずれの補正量

-20 -10 0 10 20 (mm)

200m

①東海道本線 高低狂い

②東海道本線 高低狂い(1ヶ月後)

③差分(補正なし)

④差分(補正あり)

-20 -10 0 10 20

-20 -10 0 10 20

-20 -10 0 10 20 -20 -10 0 10 20 (mm)

200m

①東海道本線 高低狂い

②東海道本線 高低狂い(1ヶ月後)

③差分(補正なし)

④差分(補正あり)

-20 -10 0 10 20

-20 -10 0 10 20

-20 -10 0 10 20 (mm)

200m

①東海道新幹線 高低狂い

②東海道新幹線 高低狂い(10日後)

③差分(補正なし)

④差分(補正あり)

-10 -5 0 5 10

-10 -5 0 5 10

-10 -5 0 5 10

-10 -5 0 5 10 (mm)

200m

①東海道新幹線 高低狂い

②東海道新幹線 高低狂い(10日後)

③差分(補正なし)

④差分(補正あり)

-10 -5 0 5 10

-10 -5 0 5 10

-10 -5 0 5 10

-10 -5 0 5 10

土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)

‑84‑

4‑042

参照

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