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下層地盤の厚さ 層厚比β=

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Academic year: 2022

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(1)

二層砂地盤における泥水掘削溝の層厚比が安定性に与える影響について

中央大学大学院    学生会員  ○岡田  亮平 中央大学      正会員      齋藤  邦夫 中央大学      正会員      石井  武司

1.はじめに  

  既往の泥水掘削溝の安定性に関する研究は,その多くが一様砂地盤のよ うな単純地盤を対象としていた.しかしながら,現実の地盤は層状に堆積 しており,砂地盤であっても地盤性状のことなる多層構造になっている.

このため各層の厚さや性状の違いが掘削時の崩壊挙動に影響を及ぼすこと が考えられる.本文では,下層が密で上層が緩い二層砂地盤を用いた2次 元模型実験とせん断強度低減 FEM(SSR-FEM)解析を行い,層厚比の変化が掘 削溝の安定性に与える影響の把握を試みた. 

2.実験概要 

  本研究における模型地盤材料にはクロマイトサンドを用いた.このクロ マイトサンドは酸化クロム鉄(CrO2)を 46.5%以上含む材料であり,土粒 子密度はρs=4.531g/㎝3であり,豊浦砂と比べ約 1.7 倍の密度を有するこ とから,大きな自重効果を発揮できることがわかっている1).実験装置の 概要は図-1 に示す.性状の異なる二層を地盤はクロマイトサンドをホッパ ーから落下させる高さならびに流量を調整して作成した.詳しくは,既往 の文献を参照されたい2).また,二層地盤の幾何学的特性を表すため,上 層地盤と下層地盤の層厚比βを式(1)のように定義した. 

    3.実験結果ケース 

  表-1 は,実施した3ケースの模型地盤の層厚比βと工 学的性質を示している.飽和単位体積重量は,模型土槽に 投入した試料重量と体積から求め,これより相対密度,内 部摩擦角,ダイレイタンシー角を算定した.  

4.実験結果 

  図-2 はβ=0.15 のときの安定液水位と地盤内水位の水位差⊿H および地表面沈下の時間変化である.開始 直後⊿H は時間に対し,一定の速さで低下するが,⊿H<335mm になると⊿H/tは線形性を失う.同時に,地表 面沈下が発生しているのが認められる.そこで⊿H=335mm を降伏点と定義した.その後,水位差は最低値⊿H

=274mm を示した後,上昇を始める.これは安定液排出量と地盤のはらみ出し量が一致することを意味してい る.この⊿H=274mm となる点を崩壊点と定義する. 

図-3 は全実験ケースにおける崩壊点,降伏点,レーザー変位計によって計測した地表面が動き始めたとき の水位差と層厚比βの関係を示したものである. また,SSR-FEM 解析3)から算出した安全率と各実験条件で Fs=1.00 となる水位差も同時に示した.層厚比βが高くなり密な下層地盤の割合が大きくなると水位差は小さ  キーワード  泥水掘削溝  SSR-FEM   

連絡先  〒112-8551 東京都文京区春日 1-13-27  中央大学 都市環境学科 地盤環境研究室  ℡03-3817-1812 

L 1 下層地盤の厚さ    上層地盤の厚さ

溝深さ

下層地盤の厚さ 層厚比β=

300 200 100 変位計

No.1 変位計

No.2 変位計

No.3 水圧計

単位(mm)

1320

水圧計 50

50

50

50

ゴムメンブレン

1320×β

(a)平面図

(b)正面図

520

単位(mm)

レーザー変位計 ターゲット

図-1  実験装置概略図 上層地盤

下層地盤

表-1  模型実験条件

層厚 層厚比 相対密度 飽和単位体積重量 内部摩擦角 ダイレイタンシー角 (mm) β Dr (%) γsat(kN/㎥) φ' (°) ψ(°)

上層 1100 51.1 30.52 31 4.8

下層 200 87.1 31.90 35.9 15.9

上層 650 50.7 30.50 31 4.7

下層 650 80.0 31.72 34.6 13.3

上層 300 67.2 31.23 32.9 9.1

下層 1000 90.5 32.00 36.2 17.2

0.50 0.77 1

2 3

物性値 地盤条件

実験No.

0.15

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑671‑

Ⅲ‑336

(2)

くなり安定性が高くなる.動き出しの安全率 は Fs=1.00 に近い値を示している.また降伏 点および崩壊点も層厚比βに対して Fs=1.00 と同様の傾向を示しており,SSR-FEM は実験 値の傾向を捉えているといえる. 

図-4 は各実験ケースの崩壊時における地盤 の変位ベクトル図と SSR-FEM 解析から導いた せん断ひずみ増分図である.せん断ひずみ増 分図は変位図ベクトルから得られたすべり線 の形状と良く一致している.また実験 No.1 の すべり線が層境界から発生していることに着 目し,Fs=1.00 の水位差⊿H=365mm で上層地 盤のみの単層地盤として解析を行った結果 が図-4(c)である.このときの単層地盤の 安全率 Fs=1.07 となり Fs=1.00 と近い値を示 している. 

実験 No.2 と実験 No.3 は共に底面からすべ り線が発生している.しかし,実験 No.3 は 実験 No.2 に比べて大きなすべり土塊になっ ていることがわかる.また,実験 No.3 にお けるすべり土塊の変位は層境界より上の部 分の勾配が他の比べ垂直に近い.上層地盤が 下層地盤のすべりに伴う沈下に追随してい ると考えられる.このような変位挙動から,

この実験ケースでは上層部は下層地盤に対 して上載荷重のような役割を

しているものと推察される. 

5.まとめ 

層厚比βの違いは地盤の安 定性に影響を与える.特にβ が小さい場合すべり線は層境 界から発生し,上層地盤のみ の単層地盤として評価できる. 

今後の課題として下層地盤 の条件のみの単層地盤で模型 実験を行う必要がある. 

   

参考文献 

1)齋藤正幸:クロマイトサンドを用いた泥水掘削溝模型実験の有用性,第 36 回土木学会関東支部技術研究 発表(2008)2)渡辺暁大:二層の砂地盤における泥水掘削溝壁の崩壊挙動,第 37 回土木学会関東支部技術 研究発表(2009)3)石井武司:三次元弾塑性 FEM による泥水掘削溝壁の安定性評価に関する研究(2004) 

0 100 200 300 400 500 600 700

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500

経過時間t (s)

H

0 4 8 12 16 20 24 28

変位計No.1 変位計No.2

変位計No.3

水位差⊿H 沈下が始まる

点と対応

降伏点

水位差:335mm 崩壊点

水位差:274mm

0 100 200 300 400 500 600 700

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500

経過時間t (s)

H

0 4 8 12 16 20 24 28

変位計No.1 変位計No.2

変位計No.3

水位差⊿H 沈下が始まる

点と対応

降伏点

水位差:335mm 崩壊点

水位差:274mm

図-2  水位差と沈下量の時間変化

図-3  層厚比βと水位差⊿H関係

200 250 300 350 400 450

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 層厚比β

崩壊点 降伏点

Fs=1.00(SSR-FEM) 動き出し

Fs=0.98 Fs=0.92

Fs=0.81

Fs=0.93 Fs=0.81

Fs=0.81

Fs=0.96

Fs=0.88

Fs=0.81 Fs=1.00

Fs=1.00

Fs=1.00

図-4  変位ベクトル図および

SSR-FEM

によるせん断ひずみ増分図

(a)変位ベクトル (b)せん断ひずみ

増分図 (a)変位ベクトル (a)変位ベクトル

実験No.1 実験No.2 実験No.3

β=0.15

β=0.50

β=0.77

(b)せん断ひずみ 増分図

(b)せん断ひずみ

(c)上層地盤のみ 増分図

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑672‑

Ⅲ‑336

参照

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