• 検索結果がありません。

博 士 ( 農 学 ) 岡 本 博 史

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 農 学 ) 岡 本 博 史"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 農 学 ) 岡 本 博 史

学 位 論 文 題 名

う ね 追 従 制 御 の た め の 作 物 列 検 出 法 に 関 す る 研 究 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  近年,環境負荷低減のために化学農薬に代わる物理的防除・除草法への期待が高まっているが,

これに応えるには,根際や株間まで処理する高精度で省力的な作業機が必要である。中耕,除草,

間引きなどの栽培管理作業では,作業部位を正確にうねに合わせるために,運転者は多くの時間 を後方の作業機位置を監視しながら運転しており,さらなる高精度化は運転者に過大な負担を強 いるものとなる。本研究では,卜ラクタ自律走行や作業機自体の自動うね合わせなど,栽培管理 作業におけるうね追従制御システムヘの適用が可能な作物列検出センサを開発することを目的と し,生育初期段階の脆弱な作物や欠株への対応を考慮して,作物を列として光学的に検出する方 法 に つ い て 検 討 す る 。 第1章 で は 以 上 の よ う な 研 究 背 景 と 研 究 目 的 を 述 べ て い る 。 1.作物列検出法

  本研究の作物列検出手法は,前方の作物列を見下ろすカメラの全視野を遠視野と近視野に分割 し,それぞれの視野毎に画像輝度を縦方向に積算して作物部を抽出する独自の手法を採用してい る。第2章では,広範囲な外光条件や土壌色条件下でも安定した作物列検出を実現するため,ビ デ オ カ メ ラ のRGBカラ ー 信 号を 使 用 する 手 法 を検 討 し ,G胃 積 算輝 度 の 間 でG‑Rある い は

〇田の演算を行うことにより,安定して作物部が抽出できることを明らかにした。したがって,

抽出した作物部に対応する積算輝度演算値のピーク位置を遠近両視野で結んだ直線は作物列に相 当するため,カメラに対する作物列のオフセットと方向角が実用的精度で検出でき,2次元画像 を2値化して作物列を検出する一般的な方法に比べて検出時間の大幅な短縮が可能と判断された。

2.基本検出システムの検討

  第3章では,本検出手法を用いて試作したハードウェア処理システムおよびソフトウェア処理 システムについて,検出性能,特性などを定置実験により明らかにし,実用システムとしてどち らが適当かを比較検討した。

  ハードウェア処理システムは,本検出手法の重要部である縦方向輝度積算をカラーラインセン サと回転ミラーでハードウェア的に行うことで高速処理を実現したものであり,低速な演算装置 でも実用的な処理速度が得られるのが特徴である。ソフトウェア処理システムは,縦方向の輝度 積算を含めたすべての処理をコンピュータ上のソフ卜ウェアで行うものである。処理速度はハー ド ウ ェ ア処 理 シ ステ ム に劣る が,検出 アルゴリ ズム変 更の自由 度が高 いのが特 徴であ る。

  これら両システムの特徴に加えて,圃場における定置検出実験により,両システムの実用面か ら見た性能特性を比較検討した。両システムともに誤検出が約20%生じ,この点に対する対策が 必要と判断された。検出誤差については,ハードウェア処理システムでは,オフセットと方向角

966

(2)

の誤差平均がそれぞれ3.09〜3.94 cm,l.18〜1.90°となり|カラーラインセンサの高性能化が必 要と判断された。ソフトウェア処理システムでは,オフセットと方向角の誤差平均がそれぞれ9.38

〜 9.64 cm|0.81〜1.01°となり,実用値に近い値が得られた。ソフトウェア処理システムでの処 理時間は約100 ms/frameとなり,ハードウェア処理システムより長い時間を要したが,高速な CPUを使用するなどにより処理速度をさらに向上させる余地はあり,ソフトウェア処理システム の方が有利な点が多いと結論できた。

3.実用検出システムの開発と改良

  第4章では ソフトウェア処理システムの実用性能を検討するため,走行中のトラクタから撮 影した連続画像を使用して作物列検出実験を行った。また,基本検出システムでの1列検出とと もに,種々の作物条間への対応も考慮して,中央2列を同時検出する方法についても検討した。

  1列検出では,検出精度向上のため|遠視野,近視野の分割位置を変更した。検出実験の結果,

オフセッ卜と方向角のR.M.S.検出誤差がそれぞれ1.68〜1.75 cm,0.65〜1.08°となり,良好な 検出精度が得られ,誤検出もゼロとなった。また,1画像当たりの検出時間は5〜6 msとなり,

処理速度の点でも実用的な性能が得られた。

  2列検出でも視野の分割位置を変更し,目標となる2.列を適切に選択するためのアルゴリズム を導入するなどの改良を施した。誤検出はゼロとなったが,オフセットと方向角のR.M.S.検出誤 差はそれぞれ3.64〜  4.73 cm,0.39〜0.42°となり,特にオフセッ卜の検出精度に課題が残った。

これは,画像に映る作物列がハの字形に斜めになるためである。1画像当たりの検出時間は1列 検 出 と 同 等 の5〜 6msと な り , 処 理 速 度 の 点 で は , 十 分 に 実 用 的 な 性 能が 得 ら れた 。   第5章では,2列検出法で課題となった検出精度低下を解決するため,地上座標系画像を用い た検出手法を開発して,検出実験によりその効果を検討した。

  地上座標系画像は作物列を真上から見たものに相当し,画像上の作物列が垂直に近くなるため,

高精度検出が期待できる。画像の視野分割についても,5視野に分割して最小2乗法により回帰 直線を求め,さらなる検出精度の向上を図った。これらの改良の結果,オフセットと方向角の R.M.S.誤差はそれぞれ2.17^‑2.91 cm,0.22〜  0.32°となった。また,演算量増加のため,検出 時 間 は20〜30 ms/frameと 改 良 前 よ り 長 く な っ た が , 十 分 に 実 用 範 囲 内 で あ っ た 。 4.自動うね合わせ除草機への応用

  第6章では,改良した2列検出用作物列センサを除草機の自動うね合わせ制御に応用し,その 効果を検討した。この除草機はうね間だけでなく株間除草にも対応して高精度のうね合わせを要 求するが,本システムを作業機に付加することにより,運転者は前方のみを向いて操舵に専念で きるようになる。

  試f乍したシステムは,作業機と作物うねのオフセットを作物列センサで検出し,油圧シリンダ により作業機全本を横にスライド移動させてうね合わせする構造とした。圃場実験の結果,走行 速度が遅いとき(0.42 m/s)には,うね合わせ精度の向上が確認されたが,走行速度が速くなる にしたがって,うね合わせ精度が悪化した。これは,油圧ポンプの流量不足による制御遅れが原 因であり,作業内容に応じてスライド移動機構の可変速化などを行えば,速い走行速度において も実用的なうね合わせ精度が実現できると期待できた。

967

(3)

  以上の結果より,本研究で開発した作物列検出法は実用的な精度と検出速度を有し,自動うね 合わせ市I亅御に使用することにより,うね合わせ情度の向上が可能であることが明らかとなった。

‑ 968

(4)

学位論文審査の要旨 主査    教授    高井宗宏 副査   教授    寺尾日出男 副査    教授    伊藤和彦 副査   助教授   端   俊一

学 位 論 文 題 名

うね追従制御のための作物列検出法に関する研究

  本 論 文 は , 図91, 表20, 引 用 文 献74を 含 み ,7章 か ら な る総 頁数181の 和文 論文 であ り ,他 に参 考論 文5編 が添 えら れて いる 。

  近年 ,化 学農 薬に 代わ る物 理的 防 除・除草法への期待が高まり,根際や株間まで処理す る 高精 度な 作業 機が 求め られ てい る 。また,現状の中耕除草作業などでは,正確なうね合 わ せの ため に, 運転 者は 多大 な時 間 を後方の作業機位置を監視しながら運転しており,運 転 者に 過大 な負 担を 強い てい る。 本 研究は,高精度・省力的な栽培管理作業を実現するた め の う ね 追 従 制 御 シ ス テ ム に 適 用 可 能 な 作 物 列 検 出 法 の 開 発 を 目 的 と し て い る 。

(1)作 物列 検出 法の 開発

  生 育初 期の 脆弱 な作 物に 対応 する ため ,作 物を 光学 的に検出する方法を採用した。前方 の作 物列 を見 下ろ すカ メラ の全 視野 を遠 視野 と近 視野 に 分割 し, それ ぞれ の視野 毎にRGB カ ラ ー 信 号 のG月 輝 度 を 縦 方 向 に 積 算 し てGー 月 あ る い は 〇 田 の 演 算 を 行う こと によ り 各視 野に おけ る作 物列 の位 置を 検出 し, カメ ラに 対す る目標作物列のオフセットと方向角 を算 出す ると いう 独自 な方 法を 開発 した 。本 手法 は, 広範囲な外光条件や土壌色条件下で も安 定し て作 物列 を検 出す ることができ,画像を2値化 して検出する一般的な方法に比べ,

検出 時間 の大 幅短 縮が 可能 であ るこ とが 認め られ た。

(2)基 本検 出シ ステ ムの 検 討

  本 検出 法の 主要 部で ある 縦方 向輝 度積 算を カラ ーラ インセンサと回転ミラーで行うハー ドウ ェア 処理 シス テム と, 縦方 向の 輝度 積算 を含 めた すべての処理をソフトウェアで行う ソフ トウ ェア 処理 シス テム を試 作し ,検 出性 能・ 特性 を明らかにし,実用性を比較倹討し た。 前者 は高 速処 理が 特徴 であ り, 後者 は自 由度 が高 い検出アルゴリズムに特徴がある。

  圃 場に おけ る定 置検 出実 験の 結果 ,両 シス テム とも に誤検出が約20%生じ,これに対す

969

(5)

る 対策 が必 要と 認め られ た。 検出 誤差 につ い ては ,オフセットと方向角の誤 差平均が ハ ードウェア処理システムでは,それぞれ3.09〜3.94 cm,1.18〜1.20°であったのに対し,

ノ フト ウェ ア処 理シ ステ ムで は, それ ぞれ9.38〜9.64 cm,0.81〜1.01°と ,実用値に近 い 値が 得ら れた 。ソ フト ウェ ア処 理シ ステ ム での 処理 時間 は約100 ms/回 と長 い時間を要 し たが ,高 速化 の余 地は ありIソフ トウ ェア 処理 シス テム の方 が有 利で あ ると 結論した。

(3)実用検出システムの開発と改良

  ソフ トウ ェア 処理 シス テム の検 出精 度向 上 をは かるため,視野の分割位置 を変更し,走 行中の卜ラクタから撮 影した連続画像により作物列検出実験を行い,実用 匪能を検討した。

ま た , よ り 実 用 的 な 中 央2列 を 同 時 検 出 す る 方 法 に つ い て も 検 討 し た 。   1列検出では,誤検出も全くなく,オフセットと方向角のR.M.S.検出誤差がそれぞれ1.68

〜1.75 cm, 0.65〜1.08°, 検出 時間 は5〜6 ms/回と,実用的な性能が得ら れた。一方,

2列検 出に おい て は, 誤検 出はゼロ,検出時間5〜6 ms/回,R.M.S.検出誤差 の方向角0.39

〜0.42° と 良 好 で あ っ た が , オ フ セ ッ ト の そ れ は3.64〜4.73 cmと 課 題 が 残 っ た 。   2列 検 出 で の 検 出 精度 向上 のた め, 地上 座標 系画 像を 用い た 手法 を開 発し ,視 野を5分 割して最小2乗法により回帰直線を求める方法とし た結果,オフセットと方向角のR.M.S. 誤 差は それ ぞれ2.17〜9.91  cm,0.29〜0.32゜となり,検出精度が向上した 。演算量増加 の た め , 検 出 時 間 は20〜30 ms/回 と 長 く な っ た が , 実 用 範 囲 内 と 認 め ら れ た 。

(4)自動うね合わせ除草機への応用

  改良 した2列 検 出法 を株 間除草機の自動うね合わせ制御に応用し,その効果 を検討した。

試 作シ ステ ムは ,検 出し たオ フセ ット によ り ,油 圧シリンダで作業機全体を 横にスライド 移動させてうね合わせ をする構造とした。圃場実験の結果,走行速度が0.42 m/sの時には,

平 均追 従誤 差1.59〜2.33 cmと 良好 な精 度で あっ たが ,走 行速 度が 速く な ると ,うね合わ せ 精度 が悪 化し た。 これ は, 油圧 ポン プの 流 量不 足が原因であり,流量を増 大することに より,速い走行速度に おいても実用的なうね合わせ精度が実現できることを明 らかにした。

  以上 の研 究結 果は ,新 たに 開発 した 作物 列 検出 法が実用的な精度と検出速 度を有するこ と を実 証し ,自 動う ね合 わせ 制御 に使 用す る こと により,うね合わせ精度の 向上が可能で あることを明らかにし たものであり,学術上応用上高く評価される。よって審 査員ー同は,

岡 本 博 史 が 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。

970

参照

関連したドキュメント

帯広市の 消費者 評価額19 円 を用い て,第6 章で, 消費者 負担によ る酪農家の環境対策に 伴う費用 負担の

率的水利用法を提示したものであり、学術上、応用上高く評価される。よって審査

第1 は豆類と収穫作業の競合する馬鈴薯, とりわけ菜豆類の作業と競合する食用・加工用

  

ゼインミセル、両方とも加熱温度の増加とともにゲル化開始時間は増加し、ゲル

従来の画像解析装置による自動計測では細長い粒子の測定の場合,誤差が生じ易く,ま

   第 6 章では、 野菜の 産地集荷 商人によ る労働 力確保の 形態とそこでの問題点を、北 海道の 長ねぎ産 地を対 象として