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博 士 ( 農 学 ) 劉

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 劉    孟 雨

Study on the Improvement of Salt and Drought Tolerance          and Water Use Efficiency of Wintre Wheat       in Saline Soil Distributed in Semi‑Arid Region       of Huang‑Huai‑Hai Plain, China

(中 国黄淮 海平 原の 半乾 燥地 域に 分布 する 塩類 土壌 地帯における 冬 コ ム ギ の 耐 塩 一 耐 乾 性 と 水 利 用 効 率 の 改 善 に 関 す る 研 究 )     学位論 文内 容の 要旨

  黄淮 海平原は中国最大の沖積平原であり、総土地面積35万krri2、耕地面積は1800万haで あ って 、そのうち330万haが塩類土壌である。塩類土壌地域は農業生産性が低く、かつ不安 定 であ る。 この 地域 の農 業生 産の 主な制限要因は塩害、早魃と低い土壌肥沃度にあると考 え られ る。 そこ で本 研究 は、1)中 日共 同研 究で 半乾 燥地 域の 塩類土壌における生育が最 も 良好 であ る品 種と して 選抜 され た冬コムギ品種A115と代表的な在来種Jimai‑36の耐塩性 な らび に耐 乾性 の特 性を 比較 解明 し、2)冬 コム ギの 水利 用効 率に影響をもたらす要因と コ ムギ の水 利用 効率 の向 上を もた らす方法を検討して、この地域における冬コムギの収量 性 向上 と水 の効 率的 利用 法を 明ら かにすることを目的として実施レた。得られた結果の概 要 は以 下の 通り であ る。

1.選抜品種と在来品種における耐塩性の特性解析

1)塩 スト レス は種 子の 水吸 収を 阻害し 、種 子の発芽率と発芽に要する時間に対する発芽 率の 比(発 芽指 数) を低 下さ せた 。塩 スト レス が発 芽に 及ぼ す悪影 響は 種子の低水分含 有率 による ,も のではなく、培地の高塩濃度自体に起因レた。発芽指数は、発芽時におけ   る 耐塩性 を評 価する良い指標であった。塩ストレス下での発芽指数はA115でJimai‑36よ   り 常に高 く、A115に30%以 上の 発芽障 害を もたらす溶液中の限界塩濃度は1.2%であり、

土壌 の塩含 有率 に換 算す ると0.3u/0に 相当 した 。し たが って 発芽過 程に おけるA115の耐   塩性はJimai−36より強いと判断された。

2)A115の 出芽 は、 発芽 後の 幼芽 の成長 速度 が速いためJimai―36より早く、30%以上の出 芽障害をもたらす限界の土壌中塩含有率は0.3%であった。

3)高 濃度 塩の 阻害 作用 は根 より 茎葉の 成長 に対レて大きいため、塩ストレス下で生育し   たコムギの根/地上部乾物重比( R[lC比)は塩ストレスがない土壌で生育したコムギより   上昇した。しかし、塩ストレス下におけるA115のRJT比はJimai‑36より低く、その原因は 体 内 の 高Na含 有 率 に 対 す る 耐 性 がA115でJimai‑36よ り 高 い こ と に 起 因 レ た 。 4) A115の 根 のNa排 除 排 除 能 はJimaiー36よ り 高 く 、K吸 収 能 も 高 か っ た 。

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5)A115が保持する以上の諸機能により、耐塩性はA115でJimai‑36より高く、塩ストレス   下におけるバイオマスと子実収量はA115でJimai‑36より高かった。A115に30%以上の収   量低下がもたらされる土壌の塩含有率は0.35%であった。

6)レたがって、冬コムギの耐塩性を改善するためには、発芽時の耐塩性、発芽後の幼芽 の伸長速度、根のNa排除排除能とK吸収能、ならびに体内の高Na含有率に対する耐性を高 めることが重要である。

2.選抜品種と在来品種における耐乾性の特性解析

1)早魃が発生する水ストレス強度は品種によって異なり、Jimai‑36でA115より高かった。

したがって、耐乾性はJimai‑36でA115より高かった。

2)発 芽時 の 耐乾 性 は発 芽 率と 発芽に 必要な時間 によって決 定された。 発芽率は、

A115で は0.4M以上 の マン ニ トール 濃度で低下 したのに対 し、Jimai‑36では0.7M以 上で低下し、発芽に必要な時間はすべてのマンニトール濃度でJimai‑36で短かった。

  こ れらの結果 は種子によ る水吸収能 がJimai‑36でA115より高いことによるもので   あ り、水スト レス下での 水吸収能がJimai‑36でA115より高いことは種子の粒径が   小さいことと関連した。

3)両 品種の出芽 率は土壌の水含有率が80/0以下で低下し、出芽に要する時間は120/0   以 下で遅延し た。しかし 、このよう な水ス卜レ ス下での出芽率はJimai‑36でA115   よ り 高 く 、 出 芽 に 要 す る 時 間 も Jimai‑36で A115よ り 短 か っ た 。 4)葉の水含有率は土壌の水含有率が高い場合にはA115でJimai−36より高かったが、

土 壌 の水 含 有率 が 低 い場 合 にはJimai‑36でA115よ り高かった 。水ストレ ス下で認 め られたJimai‑36の葉の 高い水含有 率は、出芽 後の根の伸長速度がJimai‑36でA115   よ り速いこと に起因した。その結果、水ストレス下での茎葉の生育もJimai‑36でA 115よ り 勝 っ た 。 生 育 初 期 の 水 利 用 効 率 に は 両 品 種 間 に 有 意 差 が な か っ た 。 5)子実収 量は、水ス トレスが緩 やかな場合 にはA115でJimむ‑36より 高かったが 、 強 い 水ス ト レス 下 で はJimむ‑36でA115より高く 、子実生産 のための水 利用効率も Jimai‑36で高かった。

6)し たがって、 冬コムギに おける耐乾 性の改善の ためには、種子による水吸収能、

出 芽 後 の 根 の 伸 長 速度 お よび 開 花後 の 水 利用 効 率を 高 める こ とが 重 要で あ る。

3.水利用効率に影響を及ぼす要因と効率的水利用法

1)水利用効率は土壌の水分含有率、潅漑の水量と時期、施肥量および品種によっ で義響された。

2)土壌の水分含有率が著しく低い場合には乾物生産の低下が蒸散の低下より激し   いために水利用効率は低下し、水分含有率が比較的高い場合には水利用効率は上 昇レた。

3)潅漑水量が水利用効率に及ぼす影響も基本的に2)と同じであった。しかし、

潅漑水量が過剰である場合には水利用効率が低下するばかりでなく、倒伏がおこっ て 収 量 は 低 下 し 、 倒 伏 が 起 こ ら な い 場 合 で も 増 収 の 程 度は 小 さ かっ た 。 4)潅漑 を2ない し3回に分けて行うことにより、子実収量と水利用効率がともに 上昇した。幼穂形成期と開花期に潅漑することにより子実収量と水利用効率が特   に上昇した。

5)潅漑下で窒素肥料を施肥することにより、子実収量と水利用効率がともに上昇

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  した。リン酸肥料の施肥も両者を上昇させたが、その寄与度は窒素肥料より小さ かった。カリ肥料の施肥効果は小さかった。

6) 潅 漑 下 で の 堆 肥 施 与 も 子 実 収 量 と 水 利 用 効 率を と も に 上 昇 さ せ た 。   以上の結果に基づいて、半乾燥塩類土壌地域における冬コムギの収量性向上と水 の効率的利用のために下記の方法を提案した。

1)耐塩性と耐乾性の高い品種の選抜および育種。

2)幼穂形成期と開花期における地下水潅漑。

3)窒素とりン酸肥料の施肥。

4)堆肥の施与。

(4)

学 位 論 文 審 査 の要 旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 助教授 助教授

但野 波多野 大崎 高橋

利秋 隆介     

英紀(北海道大学地球環境科学研究科)

     学  VL 論文題 ri

Study on the Improvement of Salt and Drought Tolerance          and Water Use Efficiency of Wintre Wheat       in Saline Soil Distributed in Semi‑Arid Region       of Huang‑Huai‑Hai Plain, China

( 中 国 黄 淮 海 平 原 の 半 乾 燥 地 域 に 分 布 す る 塩 類 土 壌 地 帯 に お け る 冬 コ ム ギ の 耐 塩 ― 耐 乾 性 と 水 利 用 効 率 の 改 善 に 関 す る 研 究 )

  本 論 文 は 、 図 61、 表 42、 引 用 文 献146を 含 み 、 6章 か ら な る 総 頁 数 132 の 英 文 論 文 で あ る 。 別 に 参 考 論 文23編 が 添 え ら れ て い る 。

  本 論 文 は 、 半 乾 燥 塩 類 土 壌 地 帯 に お け る 冬 コ ム ギ の生 産 性 向上 と 効 率 的水 利 用 法 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し て 実 施 し た 研 究 の 成 果 をと り ま とめ た も の であ る 。 得 ら れ た 結 果 の 概 要 は 以 下 の 通 り で あ る 。

1. 選 抜 品 種 と 在 来 品 種 に お け る 耐 塩 性 の 特 性 解 析

1)発 芽 時 の 耐 塩 性 はA115Jimai‑36よ り 高 く 、 こ の 品 種 間 差 は 種 子 の 水 吸 収 能 の 差 異 に よ る も の で は な く 、 培 地 の 高 塩 濃 度 自 体 に 対 す る 耐 性 の 差 異 に 起 因 レ た 。 A11530%以 上 の 発 芽 障 害 を も た ら す 土 壌 の 水 溶 性 塩 含 有 率 は3gkg"で あ っ た 。 2)出 芽 時 の 耐 塩 性 もA115Jimai‑36よ り 高 か っ た 。 こ の 品 種 間 差 は 発 芽 後 の 幼 芽 の 伸 長 速 度 の 差 異 に 起 因 し た 。A11530%以 上 の 出 芽 障 害 を も た ら す 土 壌 の 水 溶 性 塩 含 有 率 は3gkg‑1で あ っ た 。

3)出 芽 後 の 耐 塩 性 もA115Jimai‑36よ り 高 か っ た 。 こ の 品 種 間 差 は 根 のNa排 除 能 お よ びK吸 収 能 と 地 上 部 の 高Na含 有 率 に 対 す る 耐 性 がA115Jimai‑36よ り 高 い こ と に 起 因 し た 。

4) A115が 保 持 す る 以 上 の 諸 機 能 に よ り 、 耐 塩 性 はA115Jimai‑36よ り 高 く 、 塩 ス 卜 レ ス 下 に お け る バ イ オ マ ス と 子 実 収 量 はA115 Jimai‑36よ り 高 か っ た 。 5)し た が っ て 、 冬 コ ム ギ の 耐 塩 性 を 改 善 す る た め に は 、 発 芽 時 の 耐 塩 性 、 塩 ス ト レ ス 土 壌 条 件 下 に お け る 発 芽 後 の 幼 芽 の 伸 長 速 度 、 根 のNa排 除 能 とK吸 収 能 、 な ら

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びに体内の高Na含有率に対する耐性を高めることが重要である。

2.選抜品種と在来品種における耐乾性の特性解析

1)発 芽時 の耐乾 性はJimai‑36でA115よ り高かった。この品種間差は水ストレス下 で の種 子に よる水吸収能の差異に起因し、水吸収能がJimai‑36でA115より高いこと は種子の粒径が小さいことと関連した。

2)出 芽時 の耐乾 性もJimai‑36でA115よ り高かった。この品種間差は水ストレス下 での出芽率がJimai‑36でA115より高く、出芽に要する時間もJimai‑36でA115より短い ことに起因した。

3)出 芽後 の耐乾 性もJimai‑36でA115よ り高かった。この品種間差は水ストレス下 で の葉 の水 含有率がJimai‑36でA115より高いことによるものであり、それは出芽後 の根の伸長速度がJimai‑36でA115より速いことに起因レた。

4)子実生産のための水利用効率はJimai‑36で高かった。

5)Jimai‑36が保持する以上の諸機能により、耐乾性はJimai‑36でA115より高く、そ の 結 果 水 ス ト レ ス 下 で の 子 実 収 量 はJimai‑36でA115よ り 高 か っ た 。 6)した がっ て、冬コムギにおける耐乾性の改善のためには、種子による水吸収能、

出 芽 後 の 根 の 伸 長 速 度 お よ び 開 花 後 の 水 利 用 効 率を 高め るこ とが 重要 であ る。

3.水利用効率に影響を及ぼす要因と効率的水利用法

1)水 利 用 効 率 は 土 壌の 水含 有率 、潅 漑の 水量 と時 期、施 肥、 堆肥 の施 与お よび 品 種によって影響された。

2)水 利用 効率は 、土 壌の 水含 有率 が著 しく 低い 場合 には 乾物 生産 の低下が蒸散の 低 下 よ り 激 し い た め に 低 下 し 、 水 含 有 率 が 比 較 的 高 い 場 合 に は 上 昇 し た 。 3)潅 漑 水 量 が 水 利 用 効 率 に 及 ぼ す 影 響 も 基 本 的 に2)と 同 じ で あ っ た 。 レ か し 、 潅 漑水 量が 過剰 であ る場 合に は水 利用 効率が低下するばかりでなく、倒伏がおこっ て 収 量 は 低 下 レ 、 倒 伏 が 起 こ ら な い 場 合 で も 増 収 の 程 度 は 小 さ か っ た 。 4) 子 実 収 量 と 水 利 用効 率 は 、 潅 漑 を2な い し3回 に分け て行 うこ とに より いづ れ も 上 昇 し 、 幼 穂 形 成 期 と 開 花 期 に 潅 漑 す る こ と に よ り 特 に 上 昇 し た 。 5)潅 漑 下 で 窒 素 肥 料を 施肥 する こと によ り、 子実 収量と 水利 用効 率が とも に上 昇 した。リン酸肥料の施肥も両者を上昇させたが、その寄与度は窒素肥料より小さかっ た。カリ肥料の施肥効果は小さかった。

6) 潅 漑 下 で の 堆 肥 施 与 は 子 実 収 量 と 水 利 用 効 率 を と も に 上 昇 さ せ た 。   以上の結果に基づいて、半乾燥塩類土壌地帯における冬コムギの生産性向上と水 の効率的利用のために下記の方法を提案レた。

1)耐塩性と耐乾性の高い品種の選抜および育種。

2)幼穂形成期と開花期における地下水潅漑。

3)窒素とりン酸肥料の施肥。

4)堆肥の施与。

以 上の よう に、 本研 究は 、半 乾燥塩 類土 壌地 帯に 適応 した 冬コムギ品種の耐塩性 と 耐乾性の主要機構を明らかにすると同時に、冬コムギの水利用効率に影響を与え る 要因を明らかにして、半乾燥塩類土壌地帯における冬コムギの生産性向上法と効

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率的水利用法を提示したものであり、学術上、応用上高く評価される。よって審査 員一同は、劉孟雨は博士(農学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものと認 めた。

参照

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