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博 士 ( 工 学 ) 篠 原 政 良 学 位 論 文 題 名

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博 士 ( 工 学 ) 篠 原 政 良

学 位 論 文 題 名

大 気 中 の微 小 粒 子 (PM2 . 5 )測 定への TFH フ イ ル タ の 適 用 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  大 気 中に 浮 遊して いる粒子 のうち 、粒径 が10pm以 下のもの を浮遊 粒子状 物質(SPM)と呼ぶ 。 SPMは健康 に悪影 響を及ば すこと から、 我が国 では1972年 に大気環境基準が設定された。さらに 最 近 米 国 にお い て 、 疫学 調 査 に 基づ きSPMよ り も粒 径 の 小 さい2.5pm以下の 微小粒 子(PM2.5) が 健康に 悪影響 を及ば すこと が指摘 されて いる。 以上のこ とから、今後大気中のPM2.5の濃度の 正確教測定が必須である。

  通常、大気中に浮遊している粒子濃度の測定は、粒子をフアルタ上に吸引ろ過捕集し、捕集前後 のフアルタの重量を秤量して捕集粒子の質量を求め、それを採気量で割ることによって求められて い る。こ れまで にSPMの大 気申濃 度の測 定にお いては 、使用を推奨されるフアルタが存在してい る 。しか し、よ り粒径 の小さ いPM2.5の濃 度測定 におい ては、以下のよう教問題点が残されてい た 。す顔 わち(1)SPMの環境 基準に 関する質量濃度測定はほとんどがロ線吸収法自動測定機により 行 われて きた。 しかしPM2.5はよ り低濃度 である ため、 これまで使用されてきたフアルタを装着 したロ線吸収法自動測定機では精度が不十分であり、より低濃度の測定を可能にするフアルタの開 発 が望ま れてい る。(2)PM2.5は有害顔微量成分を多く含むことから、その化学組成を明らかにす る ことが 重要顔 課題で ある。(3)これまで大気中のPM2.5について、その各種成分の濃度分布と空 間 ・時間 変動お よぴ各 種発生 源からの寄与率を明確にした研究は極めて少数い。それゆえPM2.5 の年間測定を行ってその実態を明らかにする必要がある。

  そこで本研究では、まずPM2.5の捕集用フアルタとして、 重量が軽いこと 、 帯電性が小さい こと および 吸湿性が小さいこと 、さらに ロ線吸収法にも使用できる強度を有していること の すべて を満た したも のを開 発した。す教わち、PTFEフアルタと通気性の不織布から成る補強層 か ら 構 成 され た 新 し いフ ィ ル タ (本 研 究 に おい てTFHフ ア ルタ(TFH‑01およ びTFH‑47)と名 づ け た)を 開発し た。次 に、こ のTFH‑01フ ィルタを1時間値 測定用 のp線吸 収法自 動測定機に装着 し 、 ま たTFH‑47フ ィ ル タ を目 平 均 値測 定用の ローポ リュー ムェアサ ンプラ ーFRM‑LVに 装着し てPM2.5濃度 測 定 の 実測 試 験 を 行っ た 。 そ の結 果 を 基 に、 こ のTFHフアルタ を用い たPM2.5測 定の暫定マニュアルへの適用性を検討した。

  さ ら に、 京 都 市 内に お い て2007年5月 から2008年5月 の1年 間 に わ たり 、TFHフ アル タお よ び 石英繊 維フア ルタを ローポ リュー ムェア サンプ ラに装着 し、PM2.5の大気サンプリングを行っ

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た。 得られた試料フアルタについ て、イオンクロマトグラフ によるイオン成分分析、PIXEによる 元素 分析およびTOR(光反射補正式 炭素熱分析法)による炭素 成分分析を行って、それらの成分の 大 気中 濃 度の 年間変動を明ら かにした。次に、てれらのPM2.5の各種成分の実測値を用 いて、統 計 解析(PMF法 )と後退流跡線 解析を行い、京都におけるPM2.5の変動を決める因子とそ の寄与率 の推 定を行った。

  本研 究 の成 果は以下の通り である。今回開発したTFH‑01をロ線吸収法自動測定機に 装着して1 時間 値の連続測定実験を行った結 果、このロ線吸収法自動測 定機はPM2.5の自動測定機としての用 件で ある「標準測定法と同等を測 定値もしくは良好教相関を持つこと」および「低濃度(2p g/m3) から 高濃度(数100pぎノガ)まで安定した測定値が得られること」、「1時間平均値の測定が可能で あ るこ と 」を 満た すこ と が確 認さ れた 。ま たTFH‑47を ロー ポリ ュ ーム ェア サン プ ラ‑ FRM‑LV に 装着 し 、24時間 の連 続 大気 捕集 を行 い、PM2.5の1日平 均値を測定したが、得られた 結果は暫 定 マニ ュ アル に示されている 標準測定法での測定値と良く 一致した。これらのことか らTFHフィ ル タは 、 ロ線 吸収 法自 動 連続 測定 機に よるPM2.5の1時 間値 の測 定 およ びロ ーポ リ ュー ムェア サ ンプ ラ を用 いたPM2.5の日平 均値の測定の、両方に使用 可能緩フアルタであることが 明らかと をっ た。

  また 、 京都 市内 にお け る上 記の 観測 で得られたPM2.5中 の各成分濃度を用い、PMF法 をらびに 後 退流 跡 線解 析を用いて、京 都市におけるPM2.5の変動を 決める因子とその寄与率の推 定を行っ た 。今 回 の解 析に おい て は、 因子 数を8個としたとき、測 定結果とPMF法による推測値 とが最も 良 く一 致 した 。最 も寄 与 率が 高か った のは因子7の硫酸ア ンモニウム粒子で39%の寄与 率であっ た。 その次に高かったのはガソリ ン自動車粒子の18 010で、一方、ディーゼル自動車粒子は8%であ り、 ガソリン自動車による寄与率 の方がディーゼル自動車排ガスよりも寄与率が高かった。また、

ガ ソリ ン 自動 車とディーゼル 自動車を合わせると26%と大 き顔寄与率と顔った。後退流 跡線解析 によ り、中国大陸域からの影響が 大きい因子として、黄砂と中国大陸地域の都市大気汚染微粒子が 上げ られ、それらの寄与が160/0、中国大陸地域からの金属粒 子による寄与が3010となった。その 他の 人為起源による発生源として 、硝酸イオン粒子が8%、廃 棄物燃焼により排出された微粒子が 160/0の寄与率を示した。一方、 自然起源の粒子としては、土 壌粒子が4%の寄与率を示した。す教 わ ち、 京 都市 内に おけ るPM2.5は96%が 人為活動に由来す るものであることが明らかと 次った。

  以 上のように本研究では、大気 中の微小粒子(PM2.5)の測定 のために、重量が小さく、吸湿性が 小 さく て 、秤 量や計測誤差が 小さく、さらに強度があり、 帯電性が少教いTFHフアルタ を開発し た 。こ のTFHフ ィ ルタ を、PM2.5の1時 間値 測定 用の ロ 線吸 収法 連続測定機、および日 平均値測 定 用のFRM−I´Vに装 着し て京 都市 内 で1年 間 にわ たり 実測 試験 を 行い 、TFHフ ィル タのPM2.5 の測 定への適用が適切であること を明らかにした。

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査

教 授 教 授 准 教 授

太田 五十 嵐 村尾

学 位 論 文 題 名

幸雄 敏文 直人

大気中の微小粒子(PM2 .5 )測定への TFH フ イ ル タ の 適 用 に 関 す る 研 究

  大 気 中に 浮遊し ている 粒子の うちで 粒径が10pm以下の ものを 浮遊粒 子状物 質(SPM)と呼 ぶ。

こ のSPMは 健康に悪 影響を 及ばす ことか ら我が 国では1972年に大 気環境 基準が 設定さ れた。 さ ら に最 近 で は 米国 に お い て、 疫 学調 査に基 づきSPMよ りも粒 径の小 さい2.5um以 下の微 小粒子 (PM2.5)が健 康に悪 影響を 及ばす ことが 指摘され ている 。以上のことから、今後大気中のPM2.5 の濃度の正確を測定が必須である。通常、大気浮遊粒子の濃度は、粒子をフアルタ上に吸引ろ過捕 集し、捕集前後のフィルタの重量を秤量して捕集粒子の質量を求め、それを採気量で割ることによ り求め られる 。これ までSPMの 大気中 濃度の 測定に おいては、使用を推奨されるフアルタが存在 してい る。し かし、 より粒 径の小 さいPM2.5の 濃度測 定においては以下のよう教問題点が残され ていた 。す改 わち(1)SPMの環境基準に関する質量濃度測定はほとんどがロ線吸収法自動測定機に より行 われて きた。 しかしPM2.5はより 低濃度 である ため、これまで使用されてきたフアルタを 装着したロ線吸収法自動測定機では精度が不十分であり、新しいフィルタの開発が望まれている。

(2)PM2.5は有害を微量成分を多く含むことから、その化学組成を明らかにすることは重要を課題 である 。(3)これ まで大 気中のPM2.5について、その各種成分の濃度分布と空間・時間変動および 各種発 生源か らの寄 与率を 明らか にした 研究は極 めて少をい。それゆえPM2.5の年間測定を行っ てその実態を明らかにする必要がある。

  本研究 では、 これら の問題 点の解 決を目 指して 、まずPM2.5の捕集用フアルタとして、 重量 が軽いこと 、 帯電性が小さいこと および 吸湿性が小さいこと 、さらに ロ線吸収法にも使 用でき る強度 を有し ている こと のすべ てを満た したも のを開 発した 。す叔 わちPTFEフィルタ と、通 気性の不織布から成る補強層から構成された新しいフィルタ(本研究においてTFHフィルタ (TFH‑01お よびTFH‑47)と 名 づけ た ) を 開発 し た 。 次に こ のTFH‑01フアル タを1時 間値測 定用 のB線吸 収法自 動測定 機に、 またTFH・47フィル タを1日 平均値測定用のローポリュームェアサン プ ラ(FRMーLV)に装着 し、PM2.5濃 度測定 の実測 試験を 行った 。その 結果を 基に、 このTFHフ ィ ルタを用いたPM2.5測定の暫定マニュアルへの適用性を検討した。

  さ ら に 、 京都 市 内 に おい て2007年5月か ら2008年5月 の1年間 にわた り、TFH―47フアル タお よ び石 英 繊維フ ィルタ をFRM‑LVに 装着し、PM2.5の大 気サン プリン グを行 った。得 られた 試料

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フィルタについて化 学成分分析を行い、それらの成分の大気中濃度の年間変動を明らかにした。次 に、 これ ら のPM2.5の各種成分の実測値を用い て、統計解析(PMF法)と後退 流跡線解析を行い、

京 都 に お け る PM2. 5の 変 動 を 決 め る 因 子 と そ の 寄 与 率 の 推 定 を 行 っ た 。   本研究により以下 の成果が得られている。今回 開発したTFH‑01をロ線吸収 法自動測定機に装着 して1時 間値 の連 続 測定 実験 を行 った と ころ、 この測定結果はPM2.5の自動 測定機としての用件 である「標準測定法 と同等を測定値もしくは良好 を相関を持つこと」および 「低濃度(2p g/m3) から高濃度(数100pg/m3)まで安定した測定値が 得られること」、「1時闇平 均値の測定が可能で ある こと 」 を満 たす こと が 確認 され た。 またTFH−47をFRM‑LVに 装着し、24時間の連続大気捕 集を 行い 、PM2.5の1日平 均 値を 測定 した が、 得られた結果は暫定マニュア ルに示されている標 準測 定法 で の測 定値 と良く一致した。以上のこ とから、今回開発されたTFHフィルタは、ロ線吸 収法自動連続測定機 によるPM2.5の1時間値の測定 およびローポリ、ユームェ アサンプラを用いた PM2.5の1日 平均 値の 測定 の 両方 に使 用可 能顔 、実用的をフィルタであるこ とを明らかにした。

  ま た、 京 都市 内に おけ る 観測 で得 られ たPM2.5中の各成分濃度を用い、PMF法をらびに後退流 跡線 解析 を 用い て、 京都市におけるPM2.5の変 動を決める因子とその寄与率 の推定を行った。今 回の 解析 に おい ては 、因 子 数を8個と し た時に 測定結果とPMF法による推測 値とが最も良く一致 した 。最 も 寄与 率が 高かったのは因子7の硫酸 アンモニウム粒子で39パーセ ントの寄与率であっ た。その次に高かっ たのはガソリン自動車粒子の18パーセントで、一方、デ ィーゼル自動車粒子 は8パーセントであり 、ガソリン自動車による寄 与率の方がディーゼル自動車排ガスよりも寄与率 が高かった。また、 ガソリン自動車とディーゼル 自動車を合わせると26パー セントと大き教寄与 率とをった。後退流 跡線解析により、中国大陸域からの影響が大きい因子として黄砂と中国大陸地 域の都市大気汚染微 粒子が上げられ、それらの寄 与が16パーセント、中国大 陸地域からの金属粒 子による寄与が3パー セントと教った。その他の 人為起源による発生源として、硝酸イオン粒子が 8パ ーセ ント 、廃 棄 物燃焼により排出された微 粒子が16パーセントの寄与率 を示した。一方、自 然起源の粒子として は、土壌粒子が4パーセント の寄与率を示した。すをわち、京都市内における PM2.5は 、96パ ー セ ン ト が 人 為 活 動 に 由 来 す る も の で あ る こ と を 明 ら か に し て い る 。   こ れを 要 する に、 著者 は 、大 気中 のPM2.5の 測定のためにTFHフアルタを 新たに開発し、実測 試験 を行 っ て、 このTFHフア ルタ がロ 線 吸収 法自 動測 定 機を 用い た1時間 値測 定お よ びFRM‑LV を用いた1日平均値測 定の双方に十分に適用可能 であることを明らかにしたものであり、大気環境 保全工学の発展に寄 与するところ大改るものがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)の学 位を授与される資格 あるものと認める。

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