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博 士 ( 工 学 ) 篠 原 雅 彦 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 篠 原 雅 彦

学 位 論 文 題 名

ふ く 射 ・ 透 過 を 利 用 し た すす を 含む 火炎 内温 度・

゛ す す 濃 度 . C02 分 圧 分 布 の 推 定 法 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  様 々 な 燃 焼 形 態 の メ カ ニ ズ ム 解 明 や ェ ン ジ ン , ガ ス ター ピン ,ポ イラ ー 等燃 焼機 器の 開 発の 際に , 火炎内の温度,すすの濃度 ,ガス分圧の分布を知るこ とは非常に重要である.

  火 炎 内 の 温 度 を 測 定 す る 方 法 の う ち 接 触 式 と し て は ,熱 電対 によ る測 定 があ る. 熱電 対 は安 価で 扱 い や す い が , 火 炎 内 の 多 数 の 点 を 同 時 に 計 測 し て 温 度 分布 を得 よう とす る 場合 には ,多 数 の熱 電対 を 火 炎 内 に 挿 入 す る こ と に な り , 熱 電 対 は 燃 焼 ガ ス の 流 れ に 対 す る 外 乱 と し て 無 視 で き な く な る .   非 接 触 で 火 炎 内 の 温 度 , ガ ス 濃度 等の 分布 を 測定 でき る方 法 とし てはPLIF法(Planar la8er‑induced fluore8cence),CARS法(Coherent anti‑Stokes Raman scatter血g) ,レ ー リー 散乱 法,CT法等 が提 案 さ れ て い る . 前3者 が 大 掛 か り な 装 置 が 必 要 と な る の に く ら べ , ふ く 射 を 利 用 し たCT法 は , 比 較 的 安価に測定できる方法であ る.

  ふ く 射 を 利 用 し て , 燃 焼 機 器 な ど 現 実 の 火 炎 内 の 温 度, すす 濃度 ,ガ ス 分圧 分布 の測 定 を行 う際 , その 測定 法に は 下記 の要 求を 満た す こと が理 想的 であ る .a) 非対称な分布の火炎を測定で きること,b) 不輝 炎を 測定 で きる こと ,c)輝 炎を 測定 で きる こと .こ こで ,ふく射を利用して,b)の 不輝炎を測定で きる こと ,と い うの は, 厳密 には ,b.1)火 炎内 のガ ス からの ふく射を考慮した方法で, かつ,b.2冫火 炎 内 の ガ ス に よ る 自 己 吸 収 を 考 慮し た方 法, で ある こと を意 味 する .同 様にc冫 の輝 炎を 測 定で きる こ とと いう のは , 厳密 には ,c.1) 火 炎内 のす すか らの ふ く射を 考慮した方法で,かつ,c.2冫火炎内のす すによる自己吸収を考慮し た方法,であることを意味 する・

  と こ ろ が , こ れ ま で 開 発 さ れ た ふ く 射 を 利 用 し た 火 炎内 温度 ,ガ ス濃 度 ,す す濃 度の 分 布測 定法 の うち,上記む,b),b.1),b.2),c),c.1),c.2)をすべて満たすものはない.たとえば徽粒子を含む 火炎 を対 象と した方法では,b.1) のガスふく射とc.1)に相当 する徽粒子からのふく射は 考慮されている が,b.2)のガスによる自 己吸収とc.2)に相当する 微粒子による自己吸収が考慮 されていない.また,b. 1)のガスふく射とb.2) のガスによる自己吸収を考慮した方法の場合,c.1)のすすふく射とc.2)のすすに よる 自己 吸収 を 考慮 して いな いた め ,c)の輝炎を測定できない .輝炎を測定できる方法で は,c.1)のす すふく射とc‐2)のすすに よる自己吸収を考慮してい るが,b.1)のガスふく射とb.2)のガスによる自己吸 収 を 考 慮 し て い な い た め ,b)の 不 輝炎 を測 定で きず , また むに 関し て火 炎 温度 が同 心円 状 に一 定と の 仮定が必要となる.

  以 上 の よ う な 背 景 か ら , 本 論 文 で は , 火 炎 内 の 温 度 , す す 濃 度 ,C02分 圧 の 二 次 元分 布 を非 接触 で 推 定 でき る方 法の う ち上 記む 〜c.2)す べて を満 たす 方 法の 提案 を行 う. っ まり この 方法 は ,火 炎内 の 温 度 , す す 濃 度 ,C02分 圧 が 非 対 称 な 二 次 元 分 布 で も こ れ ら を 非 接 触 で 推 定 で き , また , 火炎 内の す す ,C02に よ る 自 己 吸 収 と , す す ,C02か ら の ふ く 射 を 考 慮 し た 推 定 法 で あ る た め , 不 輝 炎 の み で な く輝炎や輝炎中にすすのな い部分を含む火炎でも推定 できる方法である.

  本 論 文 は , 全4章 よ り 構 成 さ れ て い る . 第1章 の 序 論 で は , ふ く 射 ・ 透 過 を 利 用 し た す す を 含 む 火 炎 内 温 度 ・ す す 濃 度 .C02分 圧 分 布 の 推 定 法 開 発 の 背 景 と , 本 研 究 の 目 的 , 本 論 文 の構 成 を述 べた ・   第2章 では ,開 発し た方 法 を解 説し た, この 方 法は ,す すの み の吸 収帯 く0.53ロm)とC02とす すの 吸

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収帯(4.3肛n)について,火炎からのふく射と,火炎とは別に設けた光源からのふく射が火炎内を透過 した ふく射を ,それ ぞれ火炎 のまわりから測定して,火炎内の温度,すす濃度,C02分圧の二次元分 布を 推定する方法である.すす濃度は,測定したふく射強度をもちいて,透過率に関する非線形方程 式を 全測定光 路に対 して立て ,これらを連立して収束計算で解くことで求める.温度とC02分圧は,

先に 求めたす す濃度 と,測定 したふく射強度をもちいて,温度とC02分圧を陰に含むふく射と透過に つい ての非線形方程式を全測定光路に対して立て,これらを連立して収束計算で解くことで求める,

  第3章では,開発した方法の妥当性をシミュレーションによって検証した結果とその考察を示した・

ふく射の測定値が誤差を含まない場合,温度,C02分圧,すす濃度は十分な精度で推定できることを示 した.ふく射の測定値が士0.5%以内の誤差を含む場合,温度,C02分圧,すす濃度の推定誤差は,測 定誤差を含まない場合に比べて,それぞれ最大でO.1%,3.1%,5.1%の増加であった.温度が高いほ ど, 温度の推定精度は高かった.これは,温度は計算で得られた黒体ふく射強度からプランクの法則 を用 いて求めるが,温度と黒体ふく射強度の関係が線形でないためである,すす粒子の球形近似が精 度に 与える影讐,すす粒径一定の仮定が精度に与える影響,ふく射測定誤差が精度に与える影響,光 源のふく射強度がすす濃度の推定精度に与える影響,火炎中のすす濃度.COユ分圧の大きさが精度に与 える影響についても示した・

  第4章の結諭では,本研究で得られた結果を要約した.

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学位論文審査の要旨

主 査   教 授   工 藤 一 彦 副 査   教 授   菱 沼 孝 夫 副 査   教 授   伊 藤 献 一 副 査   助 教 授   早 坂 洋 史

学 位 論 文 題 名

ふく射・透過を利用したすすを含む火炎内温度・

すす濃度・ C02 分圧分布の推定法に関する研究

  様 々な 燃焼 形態 のメ カニズム解明やエンジン,ガスタービン,ボ イラー等燃焼機器の開発 の 際 に , 火 炎 内 の 温 度 , す す の 濃 度 , ガス 分圧 の分 布を 知る こと は 非常 に重 要で ある .   火 炎内 の温 度や 化学 種濃度を測定する方法のうち接触式としては ,熱電対やガスクロマト グラ フに よる 測定 があ る.しかし火炎内の多数の点を同時に計測し てこれらの分布を得よう とする場合には,多数の検出器を火炎内に 挿入することになり,検出器は燃焼ガスの温度場,

流れに対する外乱として無視できなくなる .

  非 接 触 で 火 炎 内 の 温 度 , ガ ス 濃 度 等 の分 布を 測定 でき る方 法と し てはPL工F法(Planar laserーinduced fluorescence),CARS法(Coherent anti―Stokes Raman scattering),  レーリ ー散 乱法 ,ふ く射 ・透 過を利用した方法等が提案されている.なか でも,PLIF法,レーリー 散乱 法は シー ト状 のレ ーザ ー によ る螢 光, 散乱 を利用して温度等の2次元分布を求めること がで きる 方法 で, 時間 ・空間分解能が高く応答性が良いという利点 がある.しかし,装置が 大掛 かり で, レー ザー 光の入射に対して直角方向で測定しなければ ならなぃという制約があ る, また 火炎 内に すす を含む輝炎を対象とする場合,螢光や散乱光 の測定は,すす粒子によ る 吸 収 や す す か ら の ふ く 射 の 影 響 を 受 け , 定 量 的 な 評 価 が 困 難 と な る .   一 方, ふく 射・ 透過 を利用した方法とは,火炎からのふく射量や ,火炎とは別に設けた光 源か らの ふく 射が 火炎 を透過した透過量を様々な角度から火炎の周 りで測定して,これらの 測定 値か ら火 炎内 部の 温度や化学種濃度など物理量の分布を再構成 する方法である.この方 法は ,空 間分 解能 はレ ーザーによる散乱・蛍光を利用する方法に劣 るが,測定装置が簡易で あり ,光 源の 透過 光を 利用する場合でも,透過光の入射方向と測定 方向が同一面でよいこと は実 用上LIF等 にく らべ 有利 であ る. さら に火 炎が輝炎の場合,火 炎内のすす粒子によるふ く射 の吸 収と すす から のふく射を考慮に入れた(利用した)方法で あれば,螢光・散乱光を 利用した方法のようにすすによる吸収,. ふく射の存在自体が誤差を引き起こすことはない.

  こ れま で開 発さ れた ふく射・透過を利用した火炎内の温度・化学 種濃度等の測定方法は,

その ほと んど がCT法を 用い た もの であ る.CT法 に用 いるCT計 算は ,計 算量 が少なく,投影 デー タに 紛れ 込ん でい るノイズに対して安定であるという利点があ る.しかしCT法を火炎特 に,火炎内にすすを含む輝炎に適用する場 合,i)輝炎内のすすのなぃ 部分の測定が可能で,

かつ11) 輝炎 内の ガス とすすによるふく射の自己吸収を考慮できる 方法は今のところ存在し な い . こ の 理 由 は , CT計 算 が 線 形 の 式 に し か 適 用 で き な ぃ こ と に あ る ,

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  本研究 では火炎 内の温 度,C02分圧,すす濃度分布の推定法のアルゴリズムを提案する.つ まり提 案する方 法は, 火炎内の 温度,すす濃度,C02分圧が非対称な二次元分布でもこれらを 非接触 で推定で き,ま た,火炎 内のすす ,C02による自 己吸収と,すす,C02からのふく射を 考慮し た推定法 である ため,不 輝炎や火 炎全体 がすすに 覆われた輝炎だけでなく輝炎中にす すのな い部分を 含む火 炎でも対 象にでき る方法 である.

  本論文 は,全5章よ り構成さ れている ,

  第1章の序 論では ,ふく射 ・透過を 利用したすすを含む火炎内温度・すす濃度・ COz分圧分 布 の 推 定 法 開 発 の 背 景 と , 本 研 究 の 目 的 , 本 論 文 の 構 成 を 述 べ た .   第2章では, 従来開 発されて きたふ く射・透 過を利用 した火 炎内温度 分布等 の測定法 の問 題点と その原因 を述べ ,その解 決法に ついて述 べた,さ らに開発した方法を詳述した.この 方法は ,すすのみの吸収帯(0. 53ルm)とC02とすすの吸収帯(4.3pm)について,火炎からのふ く射と ,火炎と は別に 設けた光 源から のふく射 が火炎内 を透過したふく射を,それぞれ火炎 のまわ りから測 定して ,火炎内 の温度,すす濃度,C02分圧の二次元分布を推定する方法であ る.ま ず,すす のみの 吸収帯に ついて 測定した ふく射強 度をもちいて,透過率に関する非線 形方程 式を全測 定光路 に対して 立て, これらを 連立して 部分線形化を利用して収束計算を行 い,す す濃度分 布を求 める.温 度とC02分圧の 分布は, 先に求 めたすす 濃度と ,測定し たふ く射強 度をもち いて, 温度とC02分圧 を陰に含 むふく射 と透過 について の非線 形方程式 を全 測定光 路に対し て立て ,これら を連立 して部分 線形化を 利用して収束計算で解くことで求め る,

  第3章では ,開発 した方法 の妥当性 をシミ ュレーシ ョンに よって検 証した .その結果,温 度,COz分圧 ,すす 濃度は十 分な精度 で推定 できるこ とを示 した.

  第4章では,推定に影響を与える各種誤差について考察した.各種ふく射の測定値が土0.5% 以 内の誤差 を含む 場合,温 度,C02分圧,すす濃度の推定誤差は,測定誤差を含まない場合に 比 べて,そ れぞれ最大で0.1%,3.1%,5.1%増加した.温度が高いほど,温度の推定精度 は 高かった .これ は,温度 は計算で 得られ た黒体ふ く射強 度からプランクの法則を用いて求 め るが,温 度と黒 体ふく射 強度の関 係が線 形でなぃ ためで ある.すす粒子の球形近似が精度 に 与える影 響,す す粒径一 定の仮定 が精度 に与える 影響, ふく射測定誤差が精度に与える影 響 ,光源の ふく射 強度がす す濃度の 推定精度に与える影響,火炎中のすす濃度.C02分圧の大 きさが精度に与える影響についても示した.

第5章 の結論で は,本研究で得られた結果を要約した.

  こ れを要す るに著 者は、す すのみ の吸収帯 とCOzと すすの 吸収帯に ついて ,火炎からのふ く 射と,火 炎後方 の光源か らのふく 射が火 炎内を透 過したふく射の測定を利用して,火炎内 の 温度,す す濃度 ,C02分 圧の二次元分布を推定するための新しい計算手法を開発しており、

熱 工学上有 益な多 くの新知 見を得た もので あり、熱 工学の進歩に貢献するところ大なるもの が ある。

よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格ある.ものと認める。

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参照

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