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博士(工学)田中 哲 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)田中   哲 学位論文題名

Study on Eigen‑modes Propagated in Externally Deformable Birefringent Single‑mode Fiber and     Their Application to Fiber‑optic Sensors     

(外的に変形し得る複屈折単―モ―ド光ファイバの

    

伝搬固有モードとそのセンサ応用に関する研究)

. 学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  1966年 、 光 伝 送 媒 体と し て 損失 が20 dB/kmの 光フ ん イ バが 実 現 で きれ ば 、 これ は 光 通 信 に十 分 利 用可 能 で ある と い う理 論 予 測が なされ て以来、 長距離 光フんイ バ通信を 目 的 と した 光 フ ァイ バ の 研究 開 発 が積 極 的 にな されて きた。特 に、光 パルス信 号の伝送 を 可 能 と す る 広 帯 域 単 一 モ ー ド 光 フ ん イ バ が 開 発 さ れ 、 現 在 、 実 用 化 に 至っ て い る 。   一方 、1980年 代に 新 し い通 信 方 式と し て 、光の 波動とし ての性 質を利用 するコヒ ーレ ント 光通信が 提案さ れた。こ のコヒー レント 光通信に おいて は、光フ んイバ 伝搬光波の偏 光 状 態を 制 御 ある い は 保持 し て 伝送 す る こと が要求 され、こ れを満 たすーつ の解決策 と して;凌屈折単一モード光フんイノ弋(Highly Birefringent Single‑mocle Fiber[HiBiSMF]) が 開 発さ れ た 。こ れ は 、単 一 モ ード 光 フ んイ バに複 屈折を持 たせる ことによ って作製 さ れ、 この光フ ァイバ のーつの 複屈折軸 に直線 偏光の偏 光方向 を一致さ せて入 射すると、直 線 偏 光の 状 態 を保 持 し たま ま 伝 搬さ せ る こと ができ る。コヒ ーレン ト光通信 は、未だ 実 用 化 に 至 っ て い な い が 、HiBiSMFは 光 の 波 動 と して の 性 質を 利 用 する 干 渉 型 の光 フ ァ イバ センサ、 および 光学素子 への有カ なデバ イスとし ても大 きな期待 が寄せ られている。

  従来 、HiBiSMFを 伝 搬す る 光 波の 偏 光 状態 に 関 し て、 積 極 的な 研 究 がなさ れると とも に 、HiBiSMFの 偏 波 保 持 能 カ の 向 上 が 図 ら れ て きた 。 し かし な が ら、 他 の 光 フん イ バ と 同 様 に 、HiBiSMFを 伝 搬 す る 固 有 モ ー ド の 位 相も 外 カ や温 度 変 化等 の 外 的 要因 に 対 し て 、敏 感 に 応答 す る こと が 知 られ て い るが 、これ らの要因 となる 定量的な 固有モー ド の 伝 搬特 性 に つい て は 、必 ず し も明 ら か にな ってい ない。本 論文は 外カによ って静的 あ る い は 動 的 に 変 形 を 受 け たHiBiSMFを 伝 搬 す る 固有 モ ー ドの 特 性 を明 ら か に する と と も に 、こ れ ら の特 性 に 基づ ぃ て 、新 し い 偏波 干渉光 ファイバ センサ の基本原 理を示す こ とを目的とする。

  本 論 文 は 、 7章 で 構 成 さ れ て い る 。 以 下 、 各 章 に つ い て 概 要 を 述 べ る 。   1章 は 、HiBiSMFに 関 する 研 究 動向 を 概 説し 、 本 研究 の 背 景と 目 的 を 述べ て い る。

  2章 は 、HiBiSMFの 引 張応 力 誘 起複 屈 折 につ い て 述べ て い る。 楕 円 ジ ャケ ッ ト 型、

お よ び サ イ ド ・ ホー ル 型 の2種 類 のHiBiSMFに つい て 、 引張 応 カ に対 す る り タデ ー シ ョ

(2)

ン変化が理論、および実験の双方から調べられ、HiBiSMFの伸び歪に対してりタデー ションが線形に変化することが明らかにされている。有限要素法を用いた応力解析によ り、伸びに対するりタデーション変化が主に引張応力誘起複屈折によって決定されると ともに、HiBiSMFの断面形状に強く依存していることが示されている。また、光ヘテロ ダイン検出法を用いて、動的に変動する引張応カに対するりタデーション変化のインパ ルス応答、伝達関数、およびコヒーレンシが調べられ、コヒーレンシからは、リタデー ション変化が伸び歪と線形関係を示す範囲が求められている。

  第3章は、第2章で述べた引張応力誘起複屈折を利用した新しい偏波干渉光フんイバ センサについて述べている。このセンサでは、2本のHiBiSMFの速軸と遅軸の間で各々 2組のマッハーツェンダ干渉計が構成され、2本のHiBiSMFに共通に加わる環境擾乱の 影響が相殺されるとともに、高感度センシングが可能となっている。この動作原理は歪 センサ、および磁場センサを構成して実証されている。さらに、この方式に信号処理回 路を加えることによっ丶て、ダイナミックレンジの広い低感度位相出カの特定領域におい て、高感度出カが取り出せることが示されている。

  第4章 は、 振動 性外 カが 加えられたHiBiSMF伝搬固有モードの位相変動の統計処理 について述べている。外カによるモード結合によって生じた結合モードと結合せずに伝 搬するモードの位相変動を独立に検出して、それらの統計処理が行なわれている。異な る周波数で変調を受けた3光波による光ヘテロダイン検出法を用いることによって、結 合モードと伝搬モードが分離されるとともに、信号処理回路を用いて、抽出された各々 の モ ー ド の 位 相 変 動 の 、 相 関 関 数 お よび 、 パ ワ ー ス ベ ク ル が 求 めら れて いる 。   5章 は、HiBiSMFの 曲 げ 誘 起 複屈 折に つい て述 べて いる 。HiBiSMFに曲 げを 加 えた場合、リタデーション変化は曲げの曲率の自乗に比例し、光フんイバの速軸と遅軸 の方向に曲げた場合では互いに符号が異なることが知られている。これらの性質を利用 することによって、環境擾乱の除去、センシング部の局在化、およびモード結合による 不要な干渉成分の除去が可能な新しい偏波干渉光ファイバセンサが提案されるとともに、

実験によってその有用性が実証されている。

  第6章は、スペクトル光源を用いた新しい偏波干渉法について述べている。HiBiSMF に沿って多点で加えられた外カによって生ずるモード結合の解析と実験により、伝搬モー ドの特性が明かにされた。多点で加えられた外カの位置が求められ、かつ、各々の大き さが推定可能であることが示されている。

  第7章は、本論文で得られた結果を総括し、結論を述べている。力学的な変形を受け たHiBiSMFの伝搬固有モードの特性は、モード複屈折変化、および屈折率変化を反映 している。また、外カによって生じたモード結合は、外カの位置、およびその大きさに 依存している。これらのHiBiSMFの伝搬固有モードの性質を応用して、いくっかの新 しい偏波干渉光フんイバセンサが考案され、実証実験によってそれらの有用性が示され ている。

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要旨

学位論文題名

Study on Eigen‑modes Propagated in Externally Deformable Birefringent Single‑mode Fiber and     Their Application to Fiber‑optic Sensors     

(外的に変形し得る複屈折単―モ―ド光ファイバの

    

伝搬固有モ―ドとそのセンサ応用に関する研究)

  複屈折単一モード光ファイバ(Birefringent Single‑mode Fiber [BSMF])は、伝搬光波 の偏光状 態を保持したまま光伝送を行うことを目的として開発された。このBSMFを伝搬 する直交偏波固有モードの位相は、外カや温度変化等の外的要因によって容易に変調され ることが知られているが、位相変動の定量的な扱いは、必ずしも確立されていない。本論 文は、外 カによって静的あるいは動的に変形を受けたBSMFを伝搬する直交偏波固有モー ドおよびそれらの結合モードの伝搬特性を明らかにするとともに、それらの特性に基づぃ た応用として、いくっかの新しい偏波干渉光ファイバセンサを提案し、その動作原理と実 証実験を示している。

  1章 は 、BSMFに 関 する 研 究 動向 を 概 説し 、 本研 究 の 背景 と 目的 を 述べてい る。

  第2章は、BSMFの引張応 力誘起複 屈折について述べている。楕円ジャケット型および サイド・ ホール型 の2種類のBSMFの引張応カに対するりタデーション変化を理論および 実験の双 方から解明するとともに、BSMFの伸び歪に対するりタデーション変化は線形応 答することを明らかにしている。さらに、有限要素法を用いた応力解析により、伸ぴに対 するりタ デーション変化は、主に引張応力誘起複屈折によって支配され、かつ、BSMFの 断面形状にも強く依存することが示されている。また、光ヘテロダイン検出法によって、

動的引張応カに対するりタデーション変化のインパルス応答、伝達関数、および、コヒー レンシが求められることを述べるとともに、コヒーレンシから、リタデーション変化が伸 び歪に対して線形応答する範囲が求められている。

  第3章は、 第2章で述 べた引張 応力誘起 複屈折を 利用した 新しい偏波干渉光ファイバ セン サ に ついて 述べてい る。この センサでは 、2本のBSMFの 速軸と遅 軸の間で 夫k2組     ‑ 108

弘 次

雄 則

(4)

の マツハ・ ツェンダ 干渉計を 構成することにより、2本のBSMFに共通に加わる環境擾乱 の影響を相殺し、かつ、高感度センシングを実現している。具体的には、歪センサおよび 磁場センサへの応用が図られている。さらに、この方式は、信号処理回路に若干の工夫を 加えることによって、広帯域ダイナミックレンジの位相出カを実現するとともに、その特 定 領 域 に お い て 、 極 め て 高 感 度 な 出 カ が 得 ら れ る こ と を 示 し て い る 。   4章fま、振動性外力下にあるBSMFに関して、直交偏波固有モードおよぴそれらの結 合モードの位相変動の統計処理について述べている。異なる周波数で変調を受けた3周波 光ヘテロダイン検出法によって、外力誘起結合モードと結合せずに伝搬するモードの位相 変動を独立に検出するとともに、それらの統計処理が行われている。結合モードと伝搬モ ードを分離することにより、検出された夫々のモードの位相変動の相関関数、および、パ ワースペクトルが求められている。

  5章 は、BSMFの曲 げ誘起複 屈折につい て述べて いる。BSMFを 長手方向 に曲げた 場 合、リタデーション変化は曲げの曲率の自乗に比例し、光ファイバの速軸と遅軸の方向に 曲げた場合では、その変化の符号は互いに逆になることが知られている。この性質の利用 によって、環境擾乱の除去、センシング部位の局在化、および、モード結合による不要な 干渉成分の除去が可能な新しい偏波干渉光ファイバセンサを提案し、実験によって、それ らの有用性を実証している。

  第6章は、広帯域スペク卜ル光源を用いた偏波干渉に基づく新しいフーリエ分光技術に つ いて述べている。BSMFに沿って多点で加えられた外カによる結合モードの理論解析と 実 験により、伝搬モードの特性を明らかにしている。さらに、BSMFの長手方向の多点に おいて加えられた外カの位置が求められ、かつ、夫々の大きさが推定可能であることが示 されている。

  7章 は 、 本 論 文 で 得 ら れ た 結 果 を 総 括 し 、 結 論 を 述 べ て い る 。   こ れを要するに、著者は外的に変形し得るBSMFの直交偏波固有モードおよびそれらの 結合モードの伝搬特性を、理論および実験にわたり明らかにするとともに、それらの特性 に基づぃた応用として、いくっかの新しい型の偏波干渉光ファイバセンサを提案し、かつ 実験によって、それらの有用性を実証したものであり、光ファイバを主体としたフォトニ クス分野の進歩に寄与するところ大なるものがある。

  よ って、著者は北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

参照