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博士(工学)森田 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)森田 学位論文題名

A Study on Test lVIethod,Arithmetic Algorithms, and Hardwa,re Implementation of Cryptography

(暗号記述におけるテスト法,高速計算法,

     ならびにハードウェア化に関する研究)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  正当な通信者間の安全な情報伝達を可能とし,不正な第三者への情報もれを排除する手段とし て発展してきた暗号tま,近年の公開鍵暗号の概念の創出に伴い,理論および実用化の両面から精 力的に研究が進められている。公開鍵暗号は,従来の秘密鍵暗号と異なり,通信相手への秘密鍵 配送を不要とするばかりでなく,相手確認機能およびデー夕確認(署名)機能が新たに加わった ため,電子契約・電子決済など,多方面での利用が期待されている。一方,最近の通信と計算機 技術の進歩に伴い,あらゆる機能を電子化された通信手段と計算機で高速かっ安全に処理するシ ステムの 重要性 が高まっており,ICカードのような小型化システムヘの適用など,暗号の実用 面における技術確立が強く望まれている。

  ところで,公開鍵暗号の安全性は,離散対策問題,または素因数分解問題の困難性と密接な関 係がある。安全性の向上のためには,データサイズが500ビットから1,000ビット程度の多倍長演 算が必須となり,一般的な単精度演算の単純な組み合わせだけでは高速処理を達成できない。こ のため,秘密通信では,各データを乱数化する秘匿処理に従来と同じ秘密鍵暗号を利用し,通信 相手との 鍵共有 には公開鍵暗号,または公開鍵配送を使う併用方式が実用的であるとされてき た。しかしながら,公開鍵暗号を鍵共有機能に限定したとしても,安価な汎用マイク口プ口セッ サで処理するにfま不十分な処理速度であり,ハ―ドウェアによる高速化が必要であった。また,

秘密 鍵 暗 号のlOOMb/s〜1Gb/s程 度 の高速処 理を実現 するに も専用ハ ードウ ェアが必 要と された。

  本論文は,こうした状況の中で,公開鍵暗号ならびに秘密鍵暗号のハードウェア化を実現する ための計 算法と 設計方法,公開鍵暗号技術を利用した署名方式をICカード上のプログラムによ り実用的な時間内で処理する計算法,さらに秘密鍵暗号の代数的な構造の有無を確かめることに より暗号の安全性を検証するテスト法に関する研究成果をまとめたものである。具体的には,秘

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密鍵暗号の安全性検証のためのスイッチ型閉構造テスト法,公開鍵暗号用ハードウェア化のため の高速剰余乗算法,公開鍵暗号用プ口グラム処理のための高速剰余乗算法,秘密鍵暗号用ハード ウェア設計方法を新たに提案し,それらの高速性,有効性,適用性を明らかにしている。以下に 本論文の概要を示す。

  第1章では,本論文の背 景,目的,および構成にっいて述べる。

  第2章では,本論文が前 提とした用語と技術を紹介する。

  第3章では,閉構造を検 出するためのスイッチ型テスト法にっいて述べる。秘密鍵暗号の安全 性の根拠は,公開鍵暗号に比べ定量的には表現し難い。しかしながら,各種暗号攻撃法に対する 暗号の強度を測定することは可能である。閉構造は暗号解読を容易にする代数的構造の代表的な もののーっであり,暗号に閉構造があれば暗号化関数で定義される関数は群をなす。この結果,

暗号 解読 に必 要な 探索 量が 鍵空 間Kの サイ ズIKIか ら その平方根打Kiまで縮退し, 暗号解読が 容易になる。

  本 章 で は , 従 来のCCT (Cycling Closure Test)法カ くDES (Data Encryption Standard) 暗 号 の み に 適 用 可能 であ った のに 対し , 全て の暗 号に 適用 可能 なSCT (Switching Closure Test)法 を 提 案 す る 。SCT法 はCCT法 が 前 提 と して いた 条件 (暗 号化 関数 にお ける 乱数 性の 仮定 など )を 不要 とす るば かりでなく,高速かっ小メ モリ量で実現できる。SCT法 は暗号の関 数を組み合わせたスイッチ型関数を周期性検出手法に拡張して実現する。従来に比べ,所要メモ リ量を3桁以上削減するこ とを可能とするとともに,膨大なメモリアクセス時間を削減する。さ らに,確率に基づく安全性評価尺度を与える。

  第4章 では ,産 業上 重 要と なっ てい る512ビ ット 規 模のRSA暗号(Rivest−Shamir−Adleman scheme)ま た はDH法(Diffie―Hellman scheme)を 対 象 に ,LSI一 個 程 度 で デ ィ ジ タ ル 通 信の 基本 通信 単位 であ る64Kb/sを越えるべき乗剰余演算法にっいて述べる。特に ,べき乗剰 余を構成する剰余乗算の高速化法を提案する。関連する研究は既に多くなされているが,大規模 ハードウェア,あるいは大容量メモりを前提とするものが多く,実用的に満足できるものは従来 なかった。本章の提案手法でtま,高基数の採用と,除算に必要な試行演算を不要とする近似算法 の 提 案 に よ り 高 速 化 を 達 成 す る 。 具 体 的 に は1.5彫mゲ ー ト 長CMOSに よ り80Kb/sのRSA 暗号用LSIが作製可能とな った。

  第5章 では ,ソ フト ウ ェア によ る剰 余演 算の 高速 化法 にっいて述べる。FS法(Fiat―Shamir scheme),ESIGN法(Efficient digital SIGNature scheme)な ど の 高 速 署名 方式 は, 発表 当初から,ICカードなどの 小規模システム上のプログラムによる実現が期待されて きたが,目 標とする数秒程度の署名は困難であった。本章では,乗余乗算法の高速化手法を提案し,8ビッェ     ―139―

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,トマイ クロプ 口セッサ が搭載さ れてい る市販ICカ ード上 に適用した結果,FS法が3秒以下,

ESIGN法が0.5秒以 下で処理 され, 実用レベ ルとし て利用で きることを初めて示す。従来に比 べ1桁 程度高速であり,小容量の内蔵メモりでも実現できる。この理由は,計算機の処理単位に 適した先行制御法と乗余乗算における除算を効率化する近似算法による。また,拡張ユークリッ ド互除法 による 剰余除算 にも,剰 余乗算に使用した近似算法と同様の手法を適用して高速化す る。

  第6章 では, 小規模・ 低速応用 におい て有効な 秘密鍵 暗号を高速領域に適用するための暗号 LSIの構 成法に っいて論 ずる。本 章では ,特に既 存マイ クロプ口セッサをべースに小規模・低 速応 用 に おい て 多 用さ れ て いるFEAL (East data Encipherment Algorithm)暗号 を高速化 す る た め , 基 本 デ バ イ ス で あ る 暗 号LSI (FEAL―LST)の 構 成 法 に っ い て 論 ず る 。   第7章で は , 複数 の 暗 号LSIを組み合 わせるこ とで高 速性と高 信頼性 を同時に 満た玄1Gb/s の処理速度まで適用可能な装置構成法を提案する。また,将来の大容量通信時代への対応と基幹回 線の暗号化二ーズに対応できる基本技術として,並列処理における高速性と高信頼性を目的に研究 された結果を述べる。

  第8章では,結論を述べる。

学位論文審査の要旨

  正当な通信者間の安全な情報伝達を可能とし,不正な第三者への情報もれを排除する手段とし て発展してきた暗号は,近年の公開鍵暗号の概念の創出に伴い,理論および実用化の両面から精 力的に研究が進められている。最近の通信と計算機技術の進歩に伴い,あらゆる機能を電子化さ れた通信手段と計算機で高速かっ安全に処理するシステムの重要性が高まっており,暗号に対す る要求は処理の高速化にとどまらず,適用性の拡大,さらには多用なニーズに対応することが必 要になってきている。

  本論文は,こうした状況の下で,公開鍵暗号ならびに秘密鍵暗号のハードウェア化を実現する     ー140−・

則 彦

彦 夫

正 精

吉 信

柴 藤

川 井

小 伊

小 永

授 授

授 授

教 教

教 敦

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

ための計算法とその設計 方法,公開鍵暗号技術を利用した署名方法をICカード上 のプ口グラム により実用的な時間内で 処理する計算法,さらに秘密鍵暗号の代数的な構造の有無を確かめるこ と に よ り 暗 号 の 安 全 性 を 検 証 す る テ ス ト 法 に 関 す る 研 究 成 果 を ま と め た も の で あ る 。   まず,閉構造を検出す るためのスイッチ型テスト法にっいて述べ,従来テスト 法,いわゆる CCT (Cycling Closure Test)法 がDES (Data Encryption Standard)暗 号 の み に 適 用 可 能 で あ っ た の に 対し ,全 ての 暗号 に適 用可 能な テス ト法 とし て ,SCT (Switching Closure Test)法 を 新 た に 提 案 し て い る 。SCT法 はCCT法 が前 提と して い た暗 号化 関数 にお ける 乱数 性の仮定などの条件を不 要とするばかりでなく,高速かつ小メモリ量で実現でき,具体的には,

暗号の関数を組み合わせ たスイッチ型関数を周期性検出手法に拡張して実現している。さらに,

確率に基づく安全性評価 尺度を与えている。

  次 に , 産 業 上 重 要 と な っ て い るRSA暗 号 (Rivest−Shamir―Adleman scheme)およ びDH 法(Dif fie―Hellman scheme)の512ビ ット 規模 の べき乗剰余のハードウェア化に利用でき,

LSI一 個 程 度 で ディ ジタ ル通 信の 基 本通 信単 位で ある64Kb/s以 上の 処理 速度 を達 成す る方 法にっいて述べている。 特に,べき乗剰余を構成する剰余乗算の高速化に新規性があり,高基数 の採用と,除算に必要な 試行演算を不要とする近似算法の提案により高速化を達 成している。

  さらに,ソフトウェア による剰余演算の高速化法にっいて述べている:FS法(Fiat―Shamir scheme),ESIGN法(Efficient digital SIGNature scheme)な ど の 高 速 署名 方法 は, 発表 当初から,ICカードなど の小規模システム上のプログラムによる実現が期待さ.れてきたが,目 標とする数秒程度の署名 は困難であったのに対して,ここでは,剰余乗算の高速 化手法を提案 し.実用レベルで利用で きることを示している。

  また ,小 規模 ・低 速応 用において有効な秘密鍵暗号を高速領域 に適用するための暗号LSIの 構 成 法 に っ い て も 論 じ , 具 体 的 に , 基 本 デ バ イ ス で あ るFEAL (Fast data Encipherment ALgorithm)一LSIの実現に成功している。

  最後 に, 複数 の暗 号LSIを組 み合 わせ るこ とで ,高 速性 と高 信頼 性を 同時 に満たす1Gb/s の処理速度まで適用可能 な装置構成法を示している。

  以上のように本論文は ,公開鍵暗号を高速化する計算手法,秘密鍵暗号の高速設計法,暗号の 安全性検証方法を開発し ,暗号の実用的な課題の多くを解決しており,通信工学,情報工学の進 歩に寄与するところが大 きい。よって,著者は,博士(工学)の学位を授与される資格あるもの と認める。

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