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博士(工学)守田 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)守田 学位論文題名

多重解像度解析に基づく空間推論に関する研究 学位論文内容の要旨

  コ ンピ ュ一夕 ビジョ ンの応 用分野 は, ベルト コンベ アや物 体の 掴み上 げや, 航空写真からの特 定 の建物 の検出 など ,限定 された 環境で 限定された物体の認識がほとんどである。今後21世皋己に む けてよ り高度 な推 論を行 える知 能ロボ ッ卜 が要求 される ことに なるで あろ う。し かし,より一 般 的な環 境を理 解す る知能 口ボッ トを考 えると,構成要素は平面や直線の他に不定形の自由曲線、

曲 面を含 んでい るた め,従 来研究 が行わ れて きた画 像の構 造化に 基づく アプ 口ーチ だけでは環境 理 解は困 難であ り, 視覚の 高度化 をめざ した空間推論のための形状記述方式を考える必要がある。

一 般 的 環 境理 解のた めの形 状記 述に必 要な性 質には ,次の よう なもの がある 。1.雑音 の影響 を 受 け に く い。2. 記述に 要する 容量が 小さ く体系 的で, パ夕一 ンの探 索を 効率的 に行え る構造 で あ る こ と 。3. 形 状 の 移 動回 転 拡 大に対 して不 変で あるこ と。4.形 状の粗 いレベ ル細か いレ ベ ル の両方 の照合 が可 能なこ と。

  従 来の 認識手 法で用 いられ に形状 記述 パラメ ータは 雑音や 隠ぺ いの影 響を受 け易く,大量の形 状 デ一夕 を記述 する のにも 十分で はなか った 。これ は従来 の記述 方式が 階層 構造を 取り扱うのに 適 さ な か っ たた め で あ る 。D,Marrは 形 状 を いろ い ろ に 尺度を かえて みるこ との 重要性 にっい て 述 べ て い る。A.Witkinは図 形 の 形 状 を 巨視 的 に あ るい は微視 的に分 析す ること の重要 性に っ い て 述 べ てい る 。 ま た ,W. Richardsら は 形 状 を記 号 化し て解析 する手 法を提 案し たが, 図 形 を 単 一 の 記 号 列 で 解 析 す る こ と は 上 述 の (1) ( 4) の 点 で 問 題 が あ る 。   特 に本 研究で は,複 数の形 状に対 して も効率 的に対 応でき る解 像度に 応じた 照合を念頭にいれ て いるた め,特 徴点 の位置 による 照合で はな く,木 の要素 の並び と変化 のみ で階層 的に照合でき る 簡潔で 記号化 され た木構 造が必 要にな る。 さらに その木 構造は マッチ ング に適し たデータベー ス を 作 り 易 い 構 造 で ある こ と が 要 求さ れ る 。 こ の立 場 か ら , 輪 郭線 お よ び3次元 自 由 曲 面 を scale‑spaceを 用い て階層 的に記 号化し て記 述し, 形状を 木構造 で表現する手法を提案している。

  2章 では 形 状の階 層構造 をえる ため に重要 な道具scale−spaceの性質 とその 証明 にっい て述べ て いる。

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  3章 で は 輪郭線 形状を 階層 的に記 述する 手法を 述べて いる 。具体 的には ,対象 とな る輪郭 線を 角度表 現に なおし ,角度 波形に 各種の ロを もつ低 減フア ルタを かけ る。フ アルタ リングされた各 角 度波 形 をcodon記 述 子に い っ た ん 変換 す る 。codon記 述 子は , 曲 線 を 図が 左 ,地 が右に なる 向 きに 追 跡 し , 曲率 の 極 小 点 をも と に 分 割 し たも の で ある 。しか し,codon記 述子は スケー ル ス ペー ス に 基 づ く記 述 に 適 し たも の で は な い 。そ こ で ,codon記述 子をス ケー ルスペ ースに 適 した曲 率要 素(記 号列) に変換 してい る。 各尺度 に対し て得ら れた 記号列 は形状 をおおまかな構 造から 細部 の特徴 へ分析 するた めに適 して おり, 尺度方 向の記 号列 の変化 規則を 求めることによ り効率 的に 木を形 成して いる。

  同 様 に4章で は3次 元 自由 曲 面 を 階 層 的記 号 列 に 変 換し ている 。ま ず3次 元形 状を階 層的に 取 り扱う ため に,scale‑spaceの 手法を3次 元に拡 張し ている 。

  3次 元 離 散点群 に対す るフ アルタ リング の問題 に対し て, ガウス フィル タを畳 み込 みする 操作 の代わ りに 拡散方 程式を 差分方 程式で 近似 するこ とによ り,等 価な 処理を 実現し ている。本手法 はフア ルタ リング の過程 でおこ る非単 調性 を例外 的に扱 うこと で, 階層構 造を抽 出できることを 明らか にし ている 。階層 構造の 抽出の ため の特徴 量とし ては, 観測 方向に 不変な 微分幾何学的特 徴量で ある ガウシ アン曲 率と平 均曲率 のゼ 口交差 輪郭を 用いる 。本 手法で は,安 定して領域階層 を 追跡 す る ために2段 階に形 状を記 述す る。ま ず基本 的な記 述は ,原デ ータか ら安定 して記 述を えるた めに ,局所 的なス ケール 変化に より 引き起 こされ る輪郭 のト ポロジ カルな 変化(輪郭の生 成と連 結関 係の変 化)の みから 生成し ,そ の後, 記述の 比較時 の高 速化と 安定性 のために輪郭の 生成と 連結 関係の 変化を 記述し たネッ トワ ーク構 造に領 域の個 数と 分布の 変化を 加える。さらに 照合を 効率 的にす るため ,複数 の領域 をひ とまと まりと とらえ ネッ トワー ク記述 を木に変換して いる。 複数 の形状 から得 られた 記述の 共通 部分を 重複さ せて記 述す ること によっ て効率的にデ一 夕ベー ス木 が構成 でき, 効果的 なマッ チン グが行 えるこ とを明 らか にして いる。 データの記述に 用いた 木構 造は対 象の巨 視的微 視的形 状を階層的に表現しているため,パターン照合だけでなく,

カテゴ リー 化や部 分形状 の照合 にも適 して いる。

  しか し,多 重解像 度記述 はあ る程度 物体の 見え方 を吸収 する が,反 面類似 した形 状を認識の初 期段階 で大 きく区 別して しまう 可能性 があ る。こ れは多 重解像 度の アプロ ーチが ,射影(投影)

空 間と3次 元空 間の関 係にっ いて考 慮し ていな いため におこ る。 そこで ,あら たに視 線方向 によ る物体 の見 え方の 定性的 変化と 形状の 不連 続な特 異点の 関係に っい て,見 え方と 多重解像度解析 と いう2っ の パ ラダ イ ム を 儲 け, 一 般 的 環 境に お け る 形状 認識 の問題 にアプ 口ーチ してい る。

  5章 で は ,多視 点から 捉え たシル ェット 画像を 元に, 見え 方の遷 移関係 をネッ トワ ークで 階層

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的に 記述 する手 法を述 べてい る。 実際に は,多 視点か ら捉え たシ ルエッ ト画像 を抽出し,輪郭波 形に 数種 のびを 持つフ アルタ を畳 み込む。視線の移動に伴う記号列の変化を多重解像度で解折し,

各び を階 層的に 取り扱 うため に, 形状要 素の並 びが等 しい要 素を 同一の アスペ クトに分類し,視 点半 球面 を分類 してい る。し かし ,一般 にびを もとに 分割さ れた 視点空 間は一 度に多くの分割を 作っ てし まい階 層的探 索には 適さ ない。 そのた め,視 点空間 を階 層的に 取り扱 うために,ロをも と に 分 割さ れ た 視 点 空 間を 形 状の 曲率の1次 微分,2次 微分の 数(形 状階層 レベル )を 一定に お いた 視点 空間に 変換す る。こ の形 状階層 レベル が等し く,隣 合う 視点で 異なる 要素に分割する境 界線 をも とに視 点空間 を分割 し, 遷移関 係をネ ットワ ークに 記述 し,階 層的に アスペクトグラフ を生 成し ている 。特に 投影さ れた 形状が 視点の 移動に ともな い不 連続に 変化す るカスプ点が現れ る変 化を 多重解 像度で 解析し ,限 られた 視点と 解像度 から信 頼性 の高い アスペ クトグラフを自動 生成 する ことが 可能に なる。

  同 様に6章 で は3次 元 自 由 曲面 対して ,同様 のア プ口― チを適 応して いる 。本記 述は, 視点空 間 を 階 層的 に 分 割 し て いる た めcoarse・to一fine戦略に 基づく 形状の 位置 姿勢の 探索お よび,

動画 像に おける 物体追 跡に適 して いる。

  7章で は, 本論文 の総括 を行 うとと もに, 残され た課 題にっ いて述 べてい る。本 研究 は,形 状 のパ ター ンマッ チング や動画 像追 跡のみ ならず ,一般 的環境 理解 のため のコン ピュータビジョン にお ける 内部表 現とし て有望 であ る。

学位論文審査の要旨

  本論文 は,計 算機視 覚の 分野における複雑ナょ物体形状の効果的な表現方式として多重解像度解 析 に基 づく階 層表現 をとり あげ ,これ に基づ く物体 の識別 ・認 識のた めのアリゴリズムを提案す る とと もに, 物体の 観測方 向に よる見 え方の 変化の 仕方を 統一 的に表 現するための手法にっいて

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由  

  義

   

授 授

授 授

   

   

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議論を行ったものである。

  本論文は以下に示す7章から構成されている。

  1章では,序論で本論文の研究が行われるに至った背景を述べ,全体の概要と構成を示してい る。

  2章では, 本論文の数理的背景となる多 重解像度解析のscale‑spaceの基本原理と,Gauss 関数を核とした場合のscale−space座標におけるゼ口交差輪郭の性質,特徴にっいて説明してい る。

  3章ではscale‑spaceを用いて輪郭線形状を階層的に記号化し形状を解析する手法を提案して いる。ここではまず,対象となる形状を輪郭線に変換し,これを輪郭の接線角の偏角関数,すな わち角度波形になおし,角度波形に各種の帯域幅(スケール)をもつ低減フィルタを畳み込んだ のち,部分形 状を曲率の変化によって符号化したcodon記述子列に変換する。codon記述子が スケール変化によって要素の分裂を起こす様子を木構造として表現することで,記号化された形 状の階層的に表現が得られる。この表現を用いて,物体形状の照合,図形の一般化等が可能であ ることを実験によって明らかにしている。また,安定に階層構造を得るための方策として,木構 造の分岐規則に基づく木の生成手法を提案している。

  4章では3次元自由曲面を階層的に記号化し記述する手法を,3章の手法の拡張によって実現 している。基本的な差異はフアルタリングの手法と,部分形状の符号化手法の違いである。低滅 フアルタルングは距離画像に対する拡散方程式で行っている。フアルタリング後の投影距離画像 から曲率のゼ口交差輪郭を検出し,ガウシアン曲率と平均曲率で分類することで符号化を行う。

具体的には局所的なスケール変化により引き起こされるガウシアン曲率と平均曲率のゼ口交差輪 郭の生成と連結関係の変化を記録し,領域の個数と分布の変化の記述を加えている。さらに照合 の効率化のため,複数の領域をグループ化した木構造も作成する。グループ化して得た木構造は 対象の巨視的形状から微視的形状までを階層的に表現しているため,パタ―ン照合だけでなく,

カ テゴ リ一 化や 部 分形 状の 照合 にも 適 して いる こと を 実験 例か ら明 らか に して いる 。   またこの章では多重解像度の手法の欠点として、形状の微少な差異がしばしば木の上部構造の 差異となって現れることを指摘している。これは多重解像度のアプローチが,射影(投影)空間 と3次元空間の関係にっいて考慮していないために起こっている。これを解決するには,視線方 向による物体の見え方の定性的変化と形状の不連続な特異点の関係にっいて,見え方と多重解像 度解析という視点から解析する必要があることを強調し,続く4,5章でこれらの問題を扱って いる。

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  5章で は多視 点か ら捉え たシル エット 画像を 統合 し,見 え方の 遷移関 係を ネット ワーク で階層 的 に記述 する手 法( 階層的 アスペ クトグ ラフ )を提 案して いる。 ここで は多視点から観測したシ ル ェット の角度 波形 に複数 のスケ ールを 持つ 低域フ アルタ を畳み 込み, 視線の移動に伴う多重解 像 度 空 間 で の符 号 列 の変 化を 形状要 素の並 びが等 しい 要素を 同一の アスペ クトに 分類 するこ と で , 視 点 半 球面 を 階 層的 に領 域分割 し,1)解 像度 の移動 に伴い 視点半 球面 のアス ペクト が変化 す る階層 的イベ ント と,2)視 点の移 動に伴 い投影 画像 に曲率 の不連 続点( カスプ 点) が現れ る 変 化,の2っ を検出 解析す るこ とで, 限られ た視点 と解 像度か ら信頼 性の高 いアス ペク トグラ フ を 自動生 成する こと が可能 である ことを 示し ている 。そし てここ で提案 したアスペクトグラフの 手 法が知 能口ボ ット などに おける 観測場 所な どを伴 う場合 にきわ めて有 効であることを示してい る 。

、6章 で は5章 と 同 様 の考 え方に 基づい て,多 視点 から捉 えた距 離画像 にっ いての アスペ クトグ ラ フ作成 アルゴ リズ ムを提 案する ととも に, 視点変 化と遮 蔽輪郭 の生成 消滅の一般的な性質につ い て 明 ら か に し , 安 定 な3次 元 形 状 認 識 の 実 現 方 法 に っ い て 議 論 を 行 っ て い る 。   7章で は本論 文の 総括を 行うと ともに ,将来 の展 望およ び残さ れた課 題に っいて 述べて いる。

  こ れを 要する に,本 論文は 計算機視覚における形状言己述と空間推論のあり方にっいて多重解像 度 解析の 立場か ら独 自の階 層的手 法を提 案す るとと もに, 視点移 動にと もなう表現の変化を階層 的 アスペ クトグ ラフ に構成 すると いう試 みを 行った もので ,その 結果得 られた数々の新知見は情 報 工学, 応用計 算機 工学に 貢献す るとこ ろ大 なるも のがあ る。

  よ っ て 著 者 は , 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

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参照

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