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博士(工学)嶋田 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)嶋田 学位論文題名

コンクリートダムの施工の効率化に関する研究 学位論文内容の要旨

  コンク リート ダム 工事の 特徴と しては ,@ 多量の 資材, 労働カ が必要 であ ること,◎特殊大型 機械類 が必要 である こと ,◎骨 材生産 からコ ンクリ ート 打設ま での一 連の作 業の 中で,一っのト ラブル が全体 の円滑 な施 工の流 れを阻 害する こと, @工 事は長 期にわ たり, 地域 社会への影響の 度合い が大き いこと ,◎ 繰り返 し作業 が多い こと, 等が 挙げら れる。

  このよ うなこ とか ら,従 来から 機械化 ,自 動化等 の試み が数多 く行わ れて きているが,最近の 建設業 をとり まく社 会環 境の変 化,す なわち 人手不 足, 高齢化 ,環境 保全な どの 面からも,ダ厶 建 設 工 事 に 於 い て , 特 に 効 率 化 施 工 が 求 め ら れ て い る の が 現 状 で あ る 。   本研究 では, ダム 工事の コンク リート 打設 を対象 に,施 工技術 の機械 化, 自動化,システム化 を行い ,更に 一台の 大型 タワー クレー ンでダ ム全域 をカ バーで き,ま たコン クリ ートの運搬・打 設を完 全に自 動化し た打 設シス テムを 提案し ,実用 化し ている 。

  本研究 により ,得 られた 主な結 果を要 約す れば次 のとお りであ る。

  第1章 におい ては, コン クリー トダム 施工に 関する 既往 の研究 成果を 略述す ると ともに ,本研 究 の 目 的 と 意 義 を 明 ら か に し , 次 い で 本 論 文 の 内 容 に っ い て 略 述 し て い る 。   第2章 におい ては, コン クリ― トダ厶 工事に おける 労働 生産性 を上げ るため には ,施工 の効率 化が必 要であ ること ,こ のため には施 工の機 械化, 自動 化を実 施する 必要が ある ことを指摘して いる。 更に, 効率化 に影 響を及 ぼす工 種にっ いて品 質, 原価, 工程お よび安 全の 面から検討した 結果 , コ ン ク リー ト 打 設 が 全て に わ た っ て 大き な 影 響 を 持っ て い る こ とを 明確 にして いる 。   第3章 におい ては, 施工 の効率 化を骨 材製造 時の細 骨材 および 粗骨材 表面水 の調 整方法 ならび に骨 材 製 造 プ ラン ト か ら バ ッチ ャー プラン トまで の骨材 輸送 の自動 化の面 から検 討して いる 。   著者が 提案し た振 動によ る細骨 材表面 水調 整方法 により ,安定 したコ ンシ ステンシ―のコンク リート が製造 できる こと を実証 してい る。また,粗骨材の表面水の影響は,超硬練ルコンクリ―ト を製造 する場 合には 大き いこと ,その ため粗骨材の表面水調整が重要であることを指摘している。

その方 法とし て著者 が提 案した 方法を 用いる ことで ,コ ンシス テンシ ーの評 価値 であるVC値の変

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動を従来の1/2以 下にすることがで きることを実証し ている。

  次 に, 骨 材輸 送に 関 して は,骨材 輸送を完全自動化 することで,骨材輸 送作業の省力化お よび 作業員を苦渋作業 から開放できるこ とを明らかにして いる。

  第4章においては ,施工の効率化を コンクリートのコ ンシステンシー制御 ,打継目処理,型 枠,

コンクリートの運 搬・打設,給水設 備,目地切りおよびコンクリートの冷却の面から検討している。

  超 硬練 ル コン クリ ー トの コンシス テンシー管理方法 として,細骨材,セ メント,粒径の小 さい 粗骨 材を 先 に投 入し , 水を 人れなが らミキサの電力値 でコンシステンシー を制御し,次に残 りの 粒径 の大 き い粗 骨材 を 投入 して練り まぜる二段階練り まぜ方法が効果的で あることを実証し てい る 。 実 構 造 物 に 本 方 法 を 適 用し た結 果 ,VC値の 変 動を 従来 の1/2以下 に する こと が でき た。

  次 に, 打継目処理におい てfま,岩 盤清掃に超強力吸 引作業車の採用と, また水平打継ぎ面 のレ イタ ンス 除 去に グリ ー ンカ ットの機 械化を実用化する ことにより,大幅な 省力化,品質の向 上,

安全性の確保およ び作業環境の改善 を可能にしている 。

  著 者が 提 案し た自 動 型枠 は,従来 工法に較べて型枠 作業を著しく省力化 することができ, 作業 員が 高所 で 作業 する 必 要が なくなる ことから安全性を 大幅に向上させてい る。従来,苦渋作 業の 代表 格で あ った 型枠 清 掃作 業におい て結,型枠清掃機 械を開発・実用化す ることにより,作 業員 の安 全衛 生 上の 問題 点 を解 決してい る。また,コンパ クトな寸法でかつ, 狭所進入性に優れ たミ ニラ フテ レ ーン クレ ー ンを ダム工事 として初めて導入 し,堤体内における クレーン作業の安 全性 の向上を図ってい る。

  次 いで , トレ ッス ル ジブ クレーン 方式において,従 来方式とは異なり初 めてコンクリート 運搬 機械 にト ラ ンス ファ ー カー を開発・ 実用化し,あわせ てバケット開閉のた めの自動給気装置 およ びバ ケッ ト ゲー トの 遠 隔開 閉装置の 実用化により,安 全性の確保とサイク ルタイムの短縮を 可能 にし てい る 。ま た, 汎 用型 のタワー クレーンをダム工 事の重作業に耐える ように改造し,走 行装 置と 組み 合 わせ るこ と によ り, 経 済的 なダ ム 用走 行式 タ ワー クレ ー ンの 実用化を図ってい る。

  ま た, コ ンク リー ト のダ ンプ直送 運搬方式を実施検 討し,比較的堤高の 低いダムではダン プト ラック方式が施工 の効率の面から最 も適していること を指摘している。

  次 いで , 従来 の高 架 水槽 方式に代 えて,インバー夕 一制御の圧力一定方 式のポンプシステ ムを ダム工事に適用す ることにより,環 境保全を図ってい る。

  更 に, 高 周波 振動 押 込み シリ ン ダ一 式目 地 切り 機の 開 発・ 実用 化 を行 い,RCD工 法 施工 時の 品質の向上,作業 環境の改善を行っ ている。

  最 後に , 堤体 コン ク リー トの冷却 方法として,堤体 内に自然放熱面を設 置して自然冷却を 促進

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させ るクー リング ス口ッ ト工法 を提 案し, 本方法 が従来 から 実施さ れてい るパイプクーリング工 法に 代わる 効果的 な冷却 工法で ある ことを 明らか にして いる 。

  第5章 におい ては, コン クリー トダム の打設 では ,バッ チャー プラン トから 打設 箇所ま での運 搬に おいて ,従来 は人的 作業が 不可 欠であ ったが ,著者 はこ の一連 の作業 を効率化,安全性の確 保, 環境保 護等の 観点か ら機械 化, 自動化 を行っ た新打 設シ ステム を提案 し,実用化している。

本シ ステム は,大 型のタ ワーク レーンを走行させることで,バンカ一線設備を盛替えることなく,

1台の タワー クレー ンでダ ム全 域をカ バーで き,ま たバッ チャ ープラ ントか ら打設 箇所 までの コ ンク リート 運搬・ 打設を 完全に 自動 化した もので ある。 提案 した打 設シス テムは,初期投資金額 は従 来方式 に比較 し高い ものと なっ ている が,省 力化を 果た したこ とによ り全工期の運転経費を 含め て検討 すると 経済性 におい ても 優れた ものと なって いる 。

  新打 設シス テムは 安全 性にっ いても,従来の主流であるケーブルクレーン方式と比較して優れて いる 。本シ ステム の汎用 性にっ いて,これまで施工されたダムを対象にして検討した結果,堤体打 設 量10万ボ クラ スのダ ムから ,100万而ク ラス のダム までの 範囲で その 汎用性 を確認 してい る。

  新打 設シス テムの 適用 により ,ダム 建設工 事全体 の延 作業人 員を約1.5%省力化することがで き ,絶 対 数 で はIダ ム の 場合 ,約2,200人と なる。 第4章で述 べた 一連の 細部技 術の効 率化 に関 する 研究成 果と合 わせる と,ダ ム工事全体の作業人員を約4.7%,絶対数で約7,000人省力化する こと ができ るもの と考え られる 。

  第6章 は,本 研究の 総括 であり ,各章 におけ る成 果にっ いて整 理,要 約し, 更に 今後に 残され た課 題にっ いて述 べてい る。

学位論文審査の要旨

最近 の建設 業を とりま く社会 情勢の 変化, すな わち人 手不足 ,高齢化,環境保全などの面から,

コン クリー トダ ム工事 におい ては特 に施工の効率化が要望されている。本論文fま,コンクリ一卜

雄 昇

   

   

輿  

  英

田 伯

藤 角

佐 鎌

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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ダ厶工事において,施工の効率化に最も影響が大きいコンクリート打設に着目して実証的研究を 行い,施工技術の機械化,自動化,システム化を実行するとともに,コンクリートの運搬・打設 を 完 全 に 自 動 化 し た シ ス テ ム を 提 案 し た も の で ,6章 か ら 構 成 さ れ て い る 。   第1章では,本研究の背景,目的及び概要にっいて述べている。

  第2章では,コンクリートダム施工上の問題点を抽出,分析し,労働生産性を上げるためには,

施工の機械化,自動化,システム化を行い施工を効率化する必要があること,施工の効率化に影 響する工種としては,品質,原価,工程,安全のいずれの面からも,コンクリート打設が最も影 響が大きいことを指摘している。

  第3章では,まず著者が提案した細骨材及び粗骨材表面水調整方法により,従来よりも処理時 間を短縮し,また超硬練ルコンクリートのコンシステンシーの変動を従来の1/2以下にできる ことを実証している。次に,貯蔵ビンからバッチャープラントまでの骨材輸送の完全自動化を提 案 し , 輸 送 作 業 の 省 力 化 と 品 質 , 安 全 性 , 作 業 環 境 の 改 善 を 図 っ て い る 。   第4章では,まず超硬練ルコンクリート用二段階練りまぜ方法を提案し,実工事に適用してコ ン シ ス テ ン シ ー の 変 動 を 従 来 の1/2以 下 に で き る こ と を 実 証 し て い る 。   次に,岩盤清掃用吸引作業車の採用,水平打継ぎ面用グリーンカット機械の提案,ダム用自動 型枠の開発,型枠清掃機の開発,狭所作業用クレーンの導入,押込み式目地切機の開発など各種 施工技術の機械化,自動化を実行し,安全性,品質,作業環境,省力化を著しく向上させている。

また,給水設備としてポンプシステムと堤内配管を採用することにより,給水作業の合理化を図つ ている。さらに,堤体内に自然放熱面を設けるクーリング工法を提案し,効果的な冷却工法であ ることを検証している。

  次いで,経済的なダ厶用走行式ジブクレーン方式を実用化し,また初めてコンクリート運搬用 にトランスファ―力一を開発し,同時にバケット開閉用自動給気装置及びバケットゲ―トの遠隔 開閉装置を実用化して,安全性の確保とサイクルタイムの短縮を図っている。また,ダンプトラッ クによるコンクリート運搬方式も,堤高が低いダムの場合には有効であることを指摘している。

  さらに,開発した施工技術の効果を,省力化指数を定義して,実際のダム工事にっいて検討し,

その結果骨材輸送の自動化,打継目処理の機械化,自動型枠及び給水設備の合理化により,建設 工事全体の延作業人員を約3%省力化できることを提示している。

  第5章では,省力化,安全性,環境保全の観点から,機械化,自動化をさらに進展させた新運 搬・打設システムを提案し,実用化している。本システムは,用地などの制約がない貯水池側に 設置した走行式大型タワークレーンでダム全域をカバーし,バッチャープラントから打設箇所ま

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でのコンクリートの運搬・打設を完全に自動化したものである。本システムを前述のダム工事に 適 用 し , 作 業 人 員 を さ ら に1.5% 省 力 化 で き る こ と を 明 ら か に し て い る 。   新運搬・打設システムは,初期投資金額は従来方式より高額になるが,省力化により全工期の 運転経費を含めると経済性においても優れており,また安全性にっいても従来のケーブルクレ―

ン方式よりも優れていることを確認している。さらに,適用範囲にっいても,既往のダム工事を 対象にして検討し,堤体コンクリ―ト量10万ボから100万而までの規模のダムに広く適用できる ことを明らかにしている。

  このように,安全性の確保,品質の安定化,作業環境の改善,省力化及び環境保全を基本に,

関係する施工技術の効率化を図るとともに,完全に自動化したコンクリート運搬・打設システム を初めて提案し,実用化したことは高く評価できる。

  第6章は,研究の総括及び今後の課題にっいて述べている。

  これを要するに,本論文はダム工事におけるコンクリート打設を対象に,施工技術の機械化,

自動化,システム化を実行し,完全に自動化したコンクリート運搬・打設システムを提案し,実 用化したもので,コンクリートダム工事に関して有用な多くの知見を与えており,ダム工学及び コンクリート工学の進展に寄与するところ大である。よって,著者は博士(工学)の学位を授与 される資格あるものと認める。

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参照

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