• 検索結果がありません。

学位論文内容の要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文内容の要旨"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

    パ ト ウ ル シ   ア サ ド

博 士 ( 水 産 科 学 ) PATURUSIASAD

     学 {tL 論文題名

Growth and Population Dynamics of Cultured Scallop    Patiyzopecten (Mizuhopecte7z) yessoe,zsis (Jay)     in Tokoro and Yubetsu, Sea of Okhotsk, Japan:

     An Assessment by Underwater Photograph.

(オホーツク海沿岸の常呂・湧別海域における地まき放流ホタテガイ Patinopecten (Mizuhopecten) yessoensZS(Jay)の成長と個体群動態     ー水中カメラを用いた解析―)

学位論文内容の要旨

  ホタテガイPatinoJpecten (Mizuhopecten) yessoensisは産業的価値が非 常に高いイタヤガイ科の二枚貝類である。日本の生産量は世界全体の大部分 を占め、北海道は国内最大の生産地である。北海道における1998年のホタテ ガイの生産量は約40万トンで、北海道内の総水揚げ量の24%を占めている。

約40万トンのうち約6割は主にオホーツク海沿岸で実施されている地まき放 流によって生産されたものである。

  オホーツク海沿岸の常呂・湧別の両海域の漁場はそれぞれ4つの区画(1 区画は35から45krr12)に分けられている。毎年、常呂海域では34億から37億 個体、湧別海域では22億から27億個体の1令貝(殻高30から50mm)がひと つの区画に放流され、各放流区のホタテガイが4年ごとに殻長約120mmのサ イズになって漁獲対象となる4輪採制が採用されている。したがって、各放 流区においてホタテガイは単一の年級群ごとに漁獲までの3年間を生息する はずだが、実際に放流後のホタテガイがどのような成長過程を示すのかは明 らかでなく、また各放流群の動態も不明である。

  本研究では常呂と湧別海域における地まき放流ホタテガイの成長と個体群 動態を明らかにした。解析には水中カメラによって撮影された写真を用い

(2)

た 。写 真 撮 影は ホ タテ ガ イ の成 長 期で あ る4月 から10月ま で の間 、2力 月 ご とに 行 わ れた 。 撮影 の た めに 各 放 流区 か ら無 作 為に約100地 点が選ば れ、各 地 点 で は5か ら10回 ず つ 撮 影 を 繰 り返 し た。1回 の 撮 影は 、 湧別 海 域 での6 月 と8月の1令 貝 のサ ン プ ル(0.51T12)を除 け ば、 全 て1rr12単位 で 撮 影さ れ た。 し た がっ て 、本研 究で使用 したそれ ぞれの海 域におけ る写真の 総数は75 00枚から15000枚となった。

  各放流区 のホタテ ガイの密 度は写真(1II12)上のホタ テガイの数から直接計 算 す る こ と で 求 め た 。 ま た 、 ホ タ テ ガ イ の 殻 長 は コ ン ピ ュ ー タ ソ フ ト PhotoshopNIH image analyserを 用い て 写 真上か ら測定し た。常呂 と湧別 海域 に お ける 年 令ごと のホタテ ガイの成 長を調べ る上で、 殻長デー タから求 めたコホートを分離して年級群とした。

  放 流 され た ホ タテ ガ イは 両 海 域と も に放 流 後2年 目までは 最も早い 成長を 示し た が 、年 令 が増す に連れて その成長 は徐々に 遅くなっ ていった 。最も遅 い 成長 は4令 群 で観 察 され た 。 漁獲 ま での3年 間 を 通じ て のホ タ テ ガイ の 成 長率 に は 各海 域 内の放 流区間で は差があ ったもの の、ふた つの海域 間で明白 な 差 は み ら れ な か っ た ( 常 呂 海 域 で は1.8mm/月 、 湧 別 海 域 で は1.9mm/

月) 。 こ れは 、 両海 域 の ホタ テ ガ イ個 体 群の 成 長率が、3年後の漁 獲サイズ

(殻 長118から120mm)に 達 す るま で ほ ぽ等 し いこ とを示し ている。 また、両 海域 の ホ タテ ガ イの成 長率は他 地域の場 合と比較 しても違 いはみら れなかっ た。

  常 呂 と湧 別 海 域におけ る成長様 式は、季 節変動の ある成長 を考慮し た修正 バー タ ラ ンフ イ ーの成 長関数を 適用する ことで確 かめられ た。得ら れた式は 以下のようになった。

常呂海域では

    L.r 146.60[1−exp(−0.374(T+0.383)十0.077sin(27匸(7LO.872)))]

湧別海域では

    工T 135.00[1―exp(−0.519(T‑O.110)十0.051sin(2兀(7LO.769)))]

ここで、LTは時間丁(年)における殻長(mm)である。

  こ れ らの 式 か ら、ホタ テガイの 殻長は放 流後3年目 (4令)に 市場価値 のあ     ―1306

(3)

る117から119mmに達することが予測される。両海域において、ホタテガイ がこのサイズ(年令)に達した後では顕著な成長がみられなかったことから、

現在、常呂および湧別海域で実施されている4令貝を対象とした漁獲は、ホ タ テ ガ イ の 漁 獲 の 最 適 な タ イ ミ ン グ で あ る こ と が 示 唆 さ れ る 。   全ての年級群を通して放流後のホタテガイの生残率は、以下のように表さ れる。

常呂海域では

    ハ此= 10.402exp(−0.163め 湧別海域では

    Nt〓6.170exp(ーO.169t)

ここで、Ntは時間f(月)における1rr12あたりのホタテガイの個体数である。

  これらの式は放流後から漁獲までの期間(約37カ月)に、ホタテガイの密度 は減少する傾向にあることを示している。この式によると、1令、2令、3令 のホタテガイの生残率は、常呂海域の場合はそれぞれ85、71、60%であり、

湧別海域の場合はそれぞれ85、72、61%である。また、両海域のホタテガイ の生残率はこれまで報告されている他地域の場合と比較して高い値であっ た。

  常呂海域と湧別海域ではどの放流区の個体群も、殻長30から162 mmの範 囲の大きさの個体で構成されていた。これは各放流区の個体群が放流された 同一の年級群だけで構成されているのでなく、放流群以外の個体が混在して いることを示している。殻長に基づくコホート解析の結果、放流群以外の個 体は、天然発生により加入した個体か、または放流前年の漁獲を免れて生き 残った個体であると考えられた。各放流区に占める天然発生による加入個体 の割合は6から49%の範囲であり、一方、1令群と2令群が生息する放流区に お い て 漁 獲 を 免 れ た 個 体 の 割 合 は 、 3か ら 6% の 範 囲 だ っ た 。   本研究の結果から、ひとつの海域内において、天然発生による加入量が年 間、および放流区間で変動することが明らかになった。また海域間で比較し た場合、その加入量の程度は常呂海域よりも湧別海域の方が大きかった。こ れは湧別海域においてホタテガイの天然発生が多いことを示唆している。し

(4)

かしながら、両海域間でなぜこのような加入量の差が生じるのかについて は、十分な証拠は得られなかった。

  散発的な天然発生による加入は、計画的なホタテガイの資源管理を行う上 で負の効果をもたらす。この加入による放流ホタテガイの過密化は成長阻害 などを引き起し、ホタテガイの小型化は商品価値を下げるので経済的に深刻 な問題となる。この問題を最小限に止めるためには、増殖期間全体を通して の定期的なモこタリングが不可欠であり、正確な個体群動態の把握には水中 カメラによる調査が有効となるだろう。もし過密状態が観察された場合は、

直ちに過剰分のホタテガイを移植などによって除去する必要がある。種苗放 流を行う際に、天然発生による加入の予測は漁場内の過密を避ける上で非常 に重要である。そのためには、ホタテガイの再生産に関わる生物学的知見と 漁場環境およびオホーツク海沿岸の海流の詳細な物理学的知見が求められ る。さらに科学的に裏打ちされた漁業者の豊かな経験も要求されることにな るだろう。

(5)

学位論文審査の要旨 主 査    教授    中尾    繁 副 査    教授    梨本勝昭 副査   助教授   五嶋聖治

    学位 論文 題名

Growth and Population Dynamics of Cultured Scallop     ヱ'ati7zoウ ¢c地 刀(Aイ茲 勿カ9ウ ¢cを 刀) ッ¢ss〇¢髭sぬ(Jay)     inTOkoroandYubetSu,SeaofokhotSk,Japan:

    AnASSeSSmentbyUnderWaterPhotograph.

( オ ホー ツク 海沿 岸の 常呂・ 湧別 海域 にお ける 地ま き放 流ホ タテ ガイ Patinopecten (Mizuhopecten) yessoenszs(Jay)の成長と個体群動態     一 水中 カメ ラを 用い た解 析― )

  オホ ーツ ク海 沿岸 の常 呂・ 湧別 の両 海域 の漁 場はそれぞれ4区画に分けられ、毎 年 、 常 呂 海 域 で は34億 か ら37億 個 体 、 湧 別 海 域 で は22億 か ら27億 個 体 の1令 貝

( 殻高30か ら50mm)をひと つの 区画 に放 流し てい る。 各放 流区 のホ タテ ガイ が4年 ご とに 殻長 約12 0mmのサ イズ にな って 漁獲 対象 となる4輪採制が採用されている。

し たが って 、各 放流 区に おい てホ タテ ガイ は単 一の年級群ごとに漁獲までの3年間 を 生息 する はず だが 、実際には天然稚貝の加入や漁獲取り残しによって複数年級群 の 生息 が予 想さ れ、 また放流後のホタテガイがどのような成長過程や生残を示すの かは明らかでなぃ。

  本研 究で は常 呂と 湧別海域における地まき放流ホタテガイの成長と個体群動態を 明 らか にす るた めに 、従来のホタテ桁網によるサンプル採集を水中カメラによって 撮 影し 写真 を用 いる 新しい方法で試みている。写真撮影はホタテガイの成長期であ る4月 か ら10月 ま で の 間 、2カ 月ご とに 各放 流区 から無 作為 に約100地点 を抽 出し て各地点で5から10回ずつ撮影した。

  各放流区のホタテガイの密度は写真(1 Ill2)上のホタテガイの数から直接計数し、

殻 長は コン ピュ ータ ソフトPhotoshopとNIHimage analyserを用いて写真上から測定 し た。 また 殻長 デー タから求めたコホートを年級群とし、常呂と湧別海域における

1309

(6)

年令ごとのホタテガイの成長を調ぺた。

  放流されたホタテガイは両海域ともに放流後2年目までは最も早い成長を示した が、年令が増すに連れてその成長は徐々に遅くなっていく。最も遅い成長は4令群 で観察された。漁獲までの3年間を通じてのホタテガイの成長率には各海域内の放 流区間では差があったものの、ふたつの海域間で明白な差はみられなかった(常呂 海域では1.8mm/月、湧別海域では1.9mm/月)。これは、両海域のホタテガイ個体群 の成長率が、3年後の漁獲サイズ(殻長118から12 0mm)に達するまでほぼ等しい ことを示している。また、両海域のホタテガイの成長率は他地域の場合と比較して も違いはみられなかった。

  常呂と湧別海域における成長様式を検討するために、修正バータランフイーの成 長関数を適用し、得られた式は以下のようである。

  常呂海域では

    L.r=146.60[1―exp(―0.374(T十0.383)十0.077sin(2打(T−O.872)))J   湧別海域では

    L.r=135.00[1−exp(―0.519(T―0.110)十0.051sin(2汀(T―O.769)))t ここで、Lエは時間T(年)における殻長(mm)である。

  全ての年級群を通して放流後のホタテガイの生残率は以下のように表される。

常呂海域ではNt=10.402exp(−0.163t) 湧別海域ではNt=6.170exp(ー0.16 9t)

ここ でNtは時 間t(月 )に おけ る1ボあ たり のホタ テガ イの 個体 数であ る。

  1令、2令、3令のホタテガイの生残率は、常呂海域の場合はそれぞれ85、71、 60%であり、湧別海域の場合はそれぞれ85、72、61%である。両海域のホタテガ イの生残率はこれまで報告されている他地域の場合と比較して高い値であった。

  常呂海域と湧別海域ではどの放流区の個体群も、殻長30から16 2mmの範囲の大き さの個体で構成されていた。これは各放流区の個体群が放流された同一の年級群だ けで構成されているのでなく、放流群以外の年級群が混在していることを示してい る。天然発生により加入した固体か、または放流前年の漁獲を免れた個体であると 考えられた。各放流区に占める天然発生による加入個体の割合は6から49%の範囲 であり、一方、1令群と2令群が生息する放流区において漁獲を免れた個体の割合 は、3から6%の範囲である。

  本研究の結果から、ひとつの海域内におぃて、天然発生による加入量が年間、お よぴ放流区間で変動することを明らかにした。また海域問で比較した場合、その加 入量の程度は常呂海域よりも湧別海域の方が大きい。これは湧別海域においてホタ テガイの天然発生が多いことを示唆している。

  天然発生による加入は、放流ホタテガイの過密化をもたらし成長阻害などを引き

(7)

起こして商品価値を下げる。この問題を最小限に止めるためには増殖期間全体を通 しての定期的なモニタリングが不可欠であり、正確な個体群動態の把握には水中カ メラによる調査が有効であることを提示した。種苗放流を行う際に、天然発生によ る加入の予測は漁場内の過密や年級群構造を考える上で非常に重要であり、予測の ためには、今後ホタテガイの再生産に関わる生物学的知見と漁場環境およびオホー ツク海沿岸の海流の詳細な物理学的知見が求められるが、計画的なホタテガイの資 源管理を行う上で、写真撮影による画像解析が個体群動態の解析に有効であること を明らかにした本研究はホタテガイ栽培漁業の発展に大きく寄与するものであり、

博士(水産科学)論文に充分該当すると判定される。

参照

関連したドキュメント

   ま ず、29 個体 のコ ゲラ に足 環を っけ て個 体追 跡を 続け たと ころ、6 年間観察さ れた 個体も おり 、他 の小 型鳥 類に 比べてかなり長寿で、生存率も高いことが示唆

浮遊幼生期から寄生幼生

   野幌森林公園内のエゾリスの分布調査を繁殖期を終え個体数が最大となる夏期に行つ

     こ の種の散布距離は平均2m と比較的長く、90

2 相 流体 問題 にり いての革新的橙存在定理といえるもので、2 相流体問題に関する一連の歴史

     最初に the thymidine analog である 5 ‑bromo‑2 ‑deoxyuridine (BrdU) を用いて、無傷個体と 再生個 体のBrdU+ 細胞(

薬剤使用が短期間であり、被験者が若くて健康であったためと考えられる。また、LD

個体問のばらっきも小さかった。Clmyo は正常区域に比し梗塞区域で有意に低かったが、両群 での重なりが大きかった。