博士学位論文
内容の要旨
および
審査結果の要旨
平成 26年3月
近畿大学大学院
医学研究科
大学院医学研究科博士課程修了者
氏名(生年月日) 籍 本
博士の専攻分野の名称
学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位論文題目
博士学位論文審査結果の報告書
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小田 大阪府 医学 医第Ⅱ39号 平成26年3月20日
学位規程第5条第1項該当
ZymoS飢誘発関節炎モデルおよび自然飼育加齢モ
デルマウスにおけるレクチン様酸化LDL受容体、1(Lectin・1ike oxidized LDL receptor・1,LO×・1)の
役割:ノックァウトマウスを用いた研究だ
佃召57.8.31生)
審査委員 主査=赤 副主査=福
副主査=義 木
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男
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教授
教授
教授 イ惨
論文
智昆 二
將寛
佃制
レクチン様酸化LDL受容体、1(LO×、1)ノックァウトマウスを用いて, LO×、1/酸化LDL系の亜急性関節炎に おける滑膜炎症および軟骨変性ヘの関与,および,加齢に伴う関節軟骨変性ヘの関与を検討すること
【方法】
LO×、1 ノックァウト(KO)マウスおよび C57BL 野生型(WT)マウスに Zymosan 誘発関節炎を作製し, 炎症細胞浸潤,滑膜過形成,軟骨変性をHE染色,サフラニン0染色にて組織学的に評価した.また,滑 膜細胞,軟骨細胞,滑膜血管内皮細胞におけるLO×、1の発現,酸化LDLの局在を免疫染色により評価した 同様のマウスを長期自然飼育し,9 週,6,12,18ケ月で膝関節を摘出,加齢に伴う組織学的変化をサフラ ニン0染色にて評価し,軟骨細胞におけるLO×・1の発現,酸化LDLの局在を免疫染色にて評価した.さ
らに,陽性細胞数をカウントし,軟骨変性スコアと相関するか検討した
【結果】
炎症細胞浸潤はZymosan投与1日後,滑膜過形成は3,7日後,軟骨変性は7日後においてK0マウスで 有意な抑制が認められた.免疫染色では WT マウスの滑膜細胞,軟骨細胞において LO×,1の発現,酸化 LDLの局在が認められた.長期自然飼育加齢モデルでは12,18ケ月においてK0で軟骨変性は有意に抑制さ れていた.軟骨細胞における免疫染色では,軟骨変性部分の軟骨組織浅層と肥大軟骨様細胞にLO×、1および 酸化LDL染色性が亢進していた. WTマウスにおいてLO×、1および酸化LDLの陽性細胞率は軟骨変性の進 行と共に増加し,これらの間には有意な正の相関を認めた
【考察】
本研究では,動脈硬化症の発症および進展に関わる重要な分子LO×,1および酸化LDLが,関節滑膜炎症 と軟骨変性にも関与していることを明らかにした.メタボリックシンドロームとロコモティブシンドロームはその進 行に共通の分子機構を有する可能性がある
【結論】
LO×・ν酸化LDL系は,亜急性関節炎における滑膜炎症の増悪と軟骨変性の進行,および,軟骨組織の加 齢変性に関与することが示唆された
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平成26年6月
表 年 月
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日
日
表
公表予定
全文と要約 内
出版物の種類及び名称
出版物名 近畿大学医学雑誌
第39巻第 1号
平成26年6月 日 発行予定
容
博士論文の印刷公表
最終試験担当者
最終試験結果の要旨
主査 副主査
学位申請者氏名
副主査
副査
学位論文題目
副査 小田
要
血管内皮の酸化低比重りポ蛋白(LDL)受容体として同定されたレクチン様酸化LDL受容体 .1(Lectin・1ike oxidizedLDLreceptor・1、LO×'1)が軟骨ホ醐包にも発現することが示され、LO×'1/
酸化 LDL 系と関節症の関連が示唆されている.しかし、 LO×'1 ノツクァウト(KO)マウスを 用いてこれを血Viv0で証明した報告はない.K0およびC57BL野生型(WT)マウスにZymosan 誘発関節炎を作製し、炎症細胞浸潤、滑膜過形成、軟骨変性を組織学的に評価した.また同様の マウスを長期自然飼育し、 9週、 6、 12、18ケ月で膝関節を摘出し加齢に伴う組織学的変化を評 価した.炎症細胞浸潤はZymosan投与 1日後、滑膜過形成は3、7日後、軟骨変性は7日後にお いて K0 で抑制が認められた.免疫染色ではW'Tマウスの滑膜細胞、軟骨細胞において LO×'1 の発現、酸化LDLの局在力沸忍められた.長期自然飼育加齢モデルでは12、18ケ月においてKO の軟骨変性は抑制されており、 WTマウスにおいてLO×・1、酸化LDLの陽性細胞竿は軟骨変性 の進行と共に増加し、これらの間には有意な正の相関を認めた.本研究により LO×"1 および酸 化LDLが滑膜ヘの炎症細胞浸潤、それに引き続く滑膜過形成および軟骨変性、そして関節軟骨
の加齢変性に関与している可能性が示された.
公聴会及び口頭試問では,(1) OARS1スコアと従来の軟骨変性評価スコアの違い(2) zymosan によるサフラニン0染色低下のメカニズム(3)本研究でのマウスの飼育方法、飼育環境(4)老 化と LO×.1の関連(5) solubleLO×・1が関節疾患のマーカーになりうるか(6) LO×"1のⅡ宮and として酸化LDL以外に何があるか(フ) LO×・1発現を亢進させる様々な因子(8)りウマチ発症 と関節内微生物(9)自然飼育に運動負荷をかけたモデルの検討にっいて質問があった.これら の質問に対し学位申請者は適切な回答を行い,専門領域に対する十分な学識が確認、された.よっ て,最終試験に合格したものと判断した.
Zymosan誘発関節炎モデルおよび自然飼育加齢モデルマウスにおけるレク 多
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チン様酸化 LDL 受容体・ 1 (Lectin・1ike oxidized LDL teceptor'1,
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LO×・1)の役割:ノックァウトマウスを用いた研究
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近畿大学大学院医学研究科
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【目的】
レクチン様酸化 LDL 受容体・1(LO×・1)ノックァウトマウスを用いて、 LO×'ν酸化 LDL 系の亜急性 関節炎における滑膜炎症および軟骨変性ヘの関与、および、加齢に伴う関節軟骨変性ヘの関与を検討す
ること
【方法】
LO×・1ノックァウト(KO)マウスおよびC57BL野生型(WT)マウスにZymosan誘発関節炎を作製 し、炎症細胞浸潤、滑膜過形成、軟骨変性をHE染色、サフラニン0染色にて組織学的に評価した.ま た、滑膜細胞、軟骨細胞、滑膜血管内皮細胞におけるLO×・1の発現、酸化LDLの局在を免疫染色によ
り評価した.同様のマウスを長期自然飼育し、 9週、 6、 12、 18ケ月で膝関節を摘出、加齢に伴う軟骨 の組織学的変化をサフラニン 0染色にて評価し、軟骨細胞における LO×・1の発現、酸化LDLの局在 を免疫染色にて評価した.さらに、陽性細胞数をカウントし、軟骨変性スコアとの相関を検討した.
【結果】
炎症細胞浸潤はZymosan投与 1日後、滑膜過形成は 3、 7日後、軟骨変性は 7日後においてK0マウ
スで有意な抑制が認められた.免疫染色ではWTマウスの滑膜細胞、軟骨細胞においてLO×・1の発現、酸化LDLの局在が認められた.長期自然飼育加齢モデルでは12、18ケ月においてK0で軟骨変性は有 意に抑制されていた.軟骨細胞における免疫染色では、軟骨変性部分の軟骨組織浅層と肥大軟骨様細胞 にLO×・1および酸化LDL染色性が亢進していた. WTマウスにおいてLO×・1および酸化LDLの陽性 細胞率は軟骨変性の進行と共に増加し、これらの間には有意な正の相関を認めた.
【考察】
本研究では、動脈硬化症の発症および進展に関わる重要な分子LO×・1および酸化LDLが、関節滑膜炎 症と軟骨変性に関与していることを明らかにした.メタボリックシンドロームとロコモティブシンドロ ームはその進行に共通の分子機構を有する可能性がある
【結論】
LO×・ν酸化LDL系は、亜急性関節炎における滑膜炎症の増悪と軟骨変性の進行、および、軟骨組織の 加齢変性に関与することが示唆された.
審査結果の要旨
関節りウマチ(RA)や変形性膝関節症(OA)患者には動脈硬化症に関連する併存症を有するも
のが多く、その関連性が注目されている. LO×・ν酸化LDL系は動脈硬化症の発症・進展に重要な役割を果たすが、近年軟骨変性にも関与していることが指摘されている.そこで、本研究ではLO×・1 ノックァウトマウスを用いてZymosan誘発性関節炎モデル(RAモデノレ)マウスと自然飼育加齢
モデル(OAモデノレ)マウスを作製し、 LO×・ν酸化LDL系の関節症における役割をinviv0にて検 討した.その結果、 LO×・ν酸化LDL系力斗骨膜ヘの炎症細胞浸潤、それに引き続く滑膜過形成および軟骨変性、そして肥大軟骨様細胞ヘの分化を介して軟骨の加齢変性に関与している可能性が示
された.
本研究結果はLO×・ν酸化LDL系がRA、 OAモデルマウスの関節症の病態形成に関与している ことを示しており、その病態制御に生活習慣の改善が重要であるとこをinviv0にて明らかにした.
以上より本論文は医学博士の学位に値する論文と判断する.