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2 粒度粒状体のせん断時に生じる粒子回転と連続体回転の比較

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Academic year: 2022

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2 粒度粒状体のせん断時に生じる粒子回転と連続体回転の比較

筑波大学大学院 学生会員 ○上田高生 筑波大学 正会員 松島亘志 筑波大学 正会員 山田恭央

1. はじめに

粒状体を連続体的に捉える上で,各粒子の回転をど う扱うかは重要なテーマである.粒径幅の広い粒状体 の連続体回転量と各粒子の平均回転量がほぼ一致する ことは実験及び DEM シミュレーションによって確か められている[1-4].本研究では,せん断時に生じる2粒 度粒状体の連続体回転と大・小粒子それぞれの回転の 関係をDEMシミュレーションにより調べてみた.

2. 連続体回転

粒状体のマクロなせん断は,以下の2ステップで捉 えることができる[4](図 1).(1) 粒状体にRのマクロ の回転量が与えられ,(2) Vの力で伸張圧縮される.そ の際,粒子回転に注目すると,(1)の過程では全粒子が R回転し,(2)の過程では粒子がランダムに回転するた め回転量がばらつくが,平均回転量はRのままである.

ただし,大粒子と小粒子が接触して回転する場合,小 粒子の回転量は大粒子の回転量の粒径比(大粒子の粒 径/小粒子の粒径)倍になるため(図1(d)),小粒子回転 量の偏差は大粒子回転量の偏差の粒径比倍になると考 えられる.

3. DEMシミュレーション

粒径比約10:1の大・小の円形要素を小粒子の重量混

合割合(WS)が0, 5, 10, 15, 20, 30, 50%になるように発生 させ,粒子間摩擦角をゼロにして等方圧縮した.その 後,上・下端の粒子を固定し,左・右端を周期境界と して,右方向及び左方向にせん断した.せん断に当た って,粒状体を10層に区分し,各層の連続体回転と各 層に含まれている粒子の粒子回転を計測した(図 2).

せん断シミュレーションには2次元 DEM公開プログ ラム「DEMseg」[5]を用いた.

4. シミュレーション結果

図3.1は,2粒度粒状体のうちWsが小さいケースの 例として Ws = 15%における変形状況を示したもので ある.図3.2 にこのケースでの大・小粒子の粒子回転 量を連続体回転量に対してプロットしている.この図 で線形近似の傾きが1であった場合,粒子回転量と連 続体回転量が等しいが,小粒子の線形近似の傾きは 2.58であり,大粒子の傾き 0.787より大きくなってい て,連続体回転と比較して小粒子の回転量が大きく,

大粒子の回転量が小さいことが分かる.これは,Ws が小さいケースでは,大粒子が変位するに当たって,

大粒子の隙間に詰まった小粒子がコロの役割を果たし

図2 せん断シミュレーション

図1 粒状体せん断時の回転

キーワード:2粒度,粒子回転,DEM

連絡先:茨城県つくば市天王台1-1-1,tel:029-853-5138

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

‑791‑

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ていることを示唆している.図4は回転する粒子(コロ) と連続体変形の最も単純な関係を表しており,この場 合には粒子回転量(δ)は連続体回転量(γ)の 4 倍になる.

図3.3はWs = 15%のケースでの大・小粒子回転量の標 準偏差を示してたものである.小粒子の標準偏差は大 粒子の約10倍(=粒径比倍)となっており,小粒子の 偏差が大粒子の偏差の粒径比倍になるという図1(d)に おける考察と整合している.図5.1はWsが大きいケー スの一例として Ws = 50%における変形状況を示して おり,図 5.2 はこのケースでの粒子回転量を連続体回 転量に対してプロットしている.大・小粒子回転量の 線形近似の傾きはそれぞれ1.57,1.11であり,どちら も粒子回転量が連続体回転量に近い値であることが分 かる.図 5.3 は大・小粒子回転量の標準偏差を示して おり,小粒子の標準偏差(傾き 10.6)は大粒子の標準偏 差(傾き2.26)の約4.7倍であり,粒径比倍(10倍)より小

さい値となった.Ws = 50%では,大粒子に接触してな い小粒子数が多く,図1(d)のモデルを適用できる小粒 子が限られていたためだと考えられる.

5. まとめ

2 粒度粒状体のせん断時に生じる連続体回転と大・

小粒子それぞれの粒子回転を DEMシミュレーション により比較した結果,(1)小粒子混合割合(WS)が大き いケースでは連続体回転量と大・小粒子の平均回転量 は一致すること,及び(2)WSが小さいケースでのせ ん断変形に当たって,小粒子の粒子回転が連続体回転 量より大きくなることから,小粒子がコロの役割を果 たしている可能性があることが分かった.

参考文献

[1] Bardet, J. P. and Proubet, J., Geotechnique, 41(4), 1991 [2] Choi, S., K. and Muhlhaus, H. B., Computer Methods

and Advances in Geomechanics, 1991

[3] Calvetti, F., Combe, G. and Lanier, J., Mech. Cohesive Frictional Materials, 2, 1997

[4] Matsushima, T., Saomoto, H., Tsubokawa, Y. and Yamada, Y., Soils and Foundations, 43(4), 2003

[5] Matsushima, T. and Saomoto, H., Proc. NUMGE2002, 2002

図4 回転粒子(コロ)と連続体変形

0 5 10 15 20 25

-20 0 20 40 60 80 100

WS = 15 % layer num. = 10

large particles small particles

y = 2.58 x

y = 0.787 x

particle rotation (deg.)

continuum rotation (deg.) 0 5 10 15 20 25 30

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18

約10倍 (粒径比倍) large particles small particles

y = 3.21 x

WS = 15 % layer num. = 10

y = 32.8 x

standard deviation

continuum rotation (deg.)

図3.1 WS = 15%のサンプル 図3.2 粒子回転と連続体回転 図3.3 粒子回転の標準偏差

0 2 4 6 8 10 12 14

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22

24 large particles

small particles

WS = 50 % layer num. = 10

y = 1.57 x

y = 1.11 x

particle rotation (deg.)

continuum rotation (deg.) 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

3.0 large particles

small particles WS = 50 %

layer num. = 10

y = 10.6 x

y = 2.26 x

standard deviation

continuum rotation (deg.)

図5.1 WS = 50%のサンプル 図5.2 粒子回転と連続体回転 図5.3 粒子回転の標準偏差

土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)

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参照

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