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道床バラスト粒子間の摩擦抵抗力に関する振動台実験

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Academic year: 2022

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(1)

振動器 加速度計

レーザー変位計

バラスト 標的板

Personal  Computer

鋼製円錐冶具

1 実験装置の概略

1 実験条件

ケース 加振条件 遠心効果(Z) バラストの種類 1-1 スポット

0.5

新品 1-2 スポット 1.0 新品 1-3 スポット 1.5 新品 1-4 スポット 1.5 磨耗 1-5 スポット 1.5 発生

2-1

スイープ 1.5 新品

2-2

スイープ 1.5 磨耗

2-3

スイープ 1.5 発生

道床バラスト粒子間の摩擦抵抗力に関する振動台実験

東海旅客鉄道 ○ 正会員 長戸 博        正会員 永沼泰州              正会員 川崎祐征

1.

はじめに

 軌道沈下の主因である道床部の変形は,まくらぎ下面圧力と道床振動加速度を考慮した推定式で求められる.道 床振動加速度は,道床バラスト粒子間の摩擦抵抗力の減少および道床部の動的変形量の増大により,道床部の変形 量が変化することを示している

1) .

道床部変形特性に関する残された課題の一つとして,振動加速度の周波数の影響 を明らかにすることがあり,これまでに重畳波荷重による実物大軌道の繰返し載荷試験によって,高周波成分の影 響が検討されている

2)

.本研究は,軌道への繰返し載荷ではなく,振動場における道床バラストの摩擦抵抗力の変 化を調べる試験を行い,道床バラスト粒子間の摩擦抵抗力が振動周波数の影響を受けることを明らかにした.

2.

実験装置

 粉体工学では,乾燥粉体に与える振動がある強度に達すると,内部摩擦 力が消失し,見掛け上粘性流体の力学的性質をもつようになり,この振動 粉体層中に振動粉体層のかさ密度より大きな密度の物体を入れると沈降 することが知られている

3)

.この性質が粒状体である道床バラストにも適 用されると考え,図

1

に示す実験装置を用いて振動場での道床バラスト 粒子間の摩擦抵抗力の変化を調べた.装置は,道床バラスト(約

37kg)

を入れた箱を振動台に固定し,道床バラスト表面の中央に道床内部へ沈降 させる鋼製の円錐形冶具を設置した.鋼製冶具には一定箇所で沈下するよ うにガイドを設け,この沈下量は上面に設置した標的板の移動をレーザー 変位計で計測した.

3.

実験条件

 実験条件を表

1

に示す.加振条件は,オクターブバンド周 波数(8-250Hz)毎に

2

分間の加振を行うスポット加振および

10Hz

から

100Hz

までを

900

秒(

0.1Hz/

s)で掃引するスイ ープ加振とした.振動強度は,遠心力の大きさと重力との比で 表した遠心効果

Z(Z=rω 2 /g, r;振動振幅,ω;角振動数,g;重

力加速度)で表すこととし,スポット加振では,Z=0.5,1.0,1.5 と振動強度の異なる条件を設定し,スイープ加 振では,Z=1.5 の一定強度とした.使用したバラストは,新品バラスト,この新品バラストを強制的に摩耗させた 摩耗バラスト(摩損率

12.1

%)および発生バラスト(敷設年数

13

年)である.なお,各ケースは同じ条件で

3

回 の試験を行った.

4.

実験結果

2~3

には,スポット加振による加振周波数と最大沈下量の平均値の関係を示す.図

2

より,

Z=1.0

以上になる と沈下現象が現れることがわかる.遠心効果の影響は,低周波加振では大きいが,高周波加振になるほど遠心効果 の影響が小さくなっている.図

3

より,遠心効果が一定であってもバラストの種類が異なると沈下傾向が異なるこ

キーワード 道床バラスト,摩擦抵抗力 振動台

連絡先 〒454-0815 名古屋市中川区長良町

1-1 TEL 052-363-7924 FAX 052-369-1501

土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

‑271‑

IV‑136

(2)

8 16 32 64 128 256 0

5 10 15 20 25 30 35

最大沈下量(mm)

加振周波数(Hz)

新品バラスト(Z=0.5) 新品バラスト(Z=1.0) 新品バラスト(Z=1.5)

2 振動強度と沈下量の関係

8 16 32 64 128 256

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55

最大沈下量(mm)

加振周波数(Hz) 新品バラスト(Z=1.5)  磨耗バラスト(Z=1.5)

発生バラスト(Z=1.5)

3 バラストの種類と沈下量の関係

とがわかる.磨耗および発生バラストは,新品バラストに比べて低周波 加振で沈下量が大きく,発生バラストは

8Hz,磨耗バラストは 63Hz

で最大沈下量を示した.次に図

4

の(a)~(c)には,スイープ加振におけ る各バラストの種類毎の沈下曲線をスムージングしたものを示す.沈下 曲線の沈下量は異なるものの,加振周波数に対してほぼ同じような沈下 傾向を示している.図

4

の(d)~(f)には,スムージングした沈下曲線を 微分した沈下速度曲線と,これらを平均した平均曲線を合わせて示す.

平均曲線でみると,新品バラストは

20Hz

付近および

40Hz

付近で沈下 速度が大きくなっている.発生バラストは,新品バラストと同様に

20Hz

および

40Hz

付近で沈下速度が大きくなっているが,新品バラス トには存在しない加振直後の

10Hz

付近でも沈下速度が大きくなって いる.一方,磨耗バラストは,加振直後の

10Hz

付近,新品および発生 バラストにも存在する

20Hz

付近でピークを示しているが,40Hz付近 では明確なピークを示さず沈下と隆起を繰り返している.また,スポッ ト加振で最大沈下量となった

63Hz

付近にもピークが存在している.以 上より,道床バラストに与える振動がある強度以上になると粒子間の摩 擦抵抗力が減少し,道床バラストの流動性が高くなることがわかった.

また,この摩擦抵抗力は,振動強度が一定であってもバラストの性質お よび振動加速度の周波数によって変化することがわかった.

4 スイープ試験結果(Z=1.5)

5.

おわりに

 今回の振動台実験によって,道床バラスト粒子間の摩擦抵抗力が振動強度,バラストの性質および振動加速度の 周波数によって変化することがわかった.今後は,振動台実験を各種条件で行い,道床バラスト粒子間の摩擦抵抗 力特性を定量的に把握し,実軌道における道床部変形特性の振動周波数の影響を明らかにしたい.

(参考文献)1)鉄道総合技術研究所編:鉄道構造物等設計標準・同解説[有道床](案),1997.3 

2)名村明:荷重振幅,

振動数に着目した有道床軌道の繰返し載荷試験,鉄道総研月例発表会講演要旨,2001.7 3)粉体工学会編:粉体工 学便覧第

2

版,1998

0 2 0 4 0 6 0 8 0 10 0

0 2 0 4 0 6 0 8 0

0 2 0 4 0 6 0 8 0 10 0

0 2 0 4 0 6 0 8 0

0 2 0 4 0 6 0 8 0 10 0

0 2 0 4 0 6 0 8 0

0 2 0 4 0 6 0 8 0 10 0

- 3 - 2 -1 0 1 2 3 4 5 6

0 2 0 4 0 6 0 8 0 10 0

- 3 - 2 -1 0 1 2 3 4 5 6

0 2 0 4 0 6 0 8 0 10 0

- 3 - 2 -1 0 1 2 3 4 5 6

( b )

沈下(mm)

加 振 周 波 数 (H z ) 摩 耗 バ ラ ス ト(1s t ) 摩 耗 バ ラ ス ト( 2 n d ) 摩 耗 バ ラ ス ト( 3 r d )

( c )

沈下(mm)

加 振 周 波 数 (H z ) 発 生 バ ラ ス ト(1s t ) 発 生 バ ラ ス ト( 2 n d ) 発 生 バ ラ ス ト( 3 r d )

( a )

沈下(mm)

加 振 周 波 数 (H z ) 新 品 バ ラ ス ト ( 1s t)

新 品 バ ラ ス ト (2 n d)

新 品 バ ラ ス ト (3 r d)

( d )

沈下速度(mm/s)

加 振 周 波 数 (H z )

新 品 バ ラ ス ト(1s t ) 新 品 バ ラ ス ト( 2 n d ) 新 品 バ ラ ス ト( 3 r d ) 平 均

( f )

沈下速度(mm/s)

加 振 周 波 数( H z )

発 生 バ ラ ス ト(1s t ) 発 生 バ ラ ス ト( 2 n d ) 発 生 バ ラ ス ト( 3 r d ) 平 均

( e )

沈下速度(mm/s)

加 振 周 波 数( H z )

摩 耗 バ ラ ス ト(1s t ) 摩 耗 バ ラ ス ト( 2 n d ) 摩 耗 バ ラ ス ト( 3 r d ) 平 均

土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月)

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参照

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