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トンネル覆工における点検への噴射工法の適用性の検討

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Academic year: 2022

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トンネル覆工における点検への噴射工法の適用性の検討

(株)高速道路総合技術研究所 正会員 下田 哲史

(株)高速道路総合技術研究所 正会員 馬場 弘二

(株)ダイヤコンサルタント 正会員 重田 佳幸

(株)ダイヤコンサルタント 正会員 ○大場 諭

1.はじめに

近年,トンネル覆工からのコンクリート片のはく落が相次いで発生し,様々な箇所で問題となっている.このよ うなはく落事故を防ぐには,建設時の品質管理や供用期間中の維持管理が重要である.そのため,目視点検ととも に打音検査が実施されているが,このような点検手法は技術者の熟練度に依るところが大きい.また打音による過 度の打撃により,健全部の損傷も懸念される.

健全部を損傷せずに浮きを除去できる方法として,ウォータージェット工法やブラスト工法等の噴射工法が有効 であると考えられるが,現行ではトンネル覆工の点検に用いられてはいない.そこで,この噴射工法により,トン ネル覆工の不良部を顕在化し,はく離・はく落の危険性がある部分だけを除去する選択的なコンクリート除去処理 の可能性の確認を目的とし,トンネル覆工を模擬したコンクリート供試体を用いた噴射試験を実施した.

2.試験方法

本試験で対象とするはく離・はく落の危険性箇所は,

施工打継目部の角欠けや三日月状のひび割れがみられ る箇所(施工目地から概ね1mの範囲)とし,模擬した コンクリート供試体を作成した.

試 験 は コ ン ク リ ー ト 供 試 体 ( コ ン ク リ ー ト 強 度

18N/mm2)に向けて噴射を行い,供試体表面の目荒らし

状況,ひび割れのはつり状況等を観察し,噴射工法の適用性について検討した.コンクリート供試体にはスリット を入れ,打撃を加えることにより潜在的なひび割れを発生させた.噴射試験は,コンクリート供試体を仮設台に固 定して実施した.表-1に使用ノズルを示す.噴射工法のうちブラスト工法は,はく離・はく落等の危険箇所の除去 には不向きであるため,本試験ではキャビテーション工法およびウォータージェット工法を使用した.

キャビテーションは,沸騰しやすい 80℃の温水を用いて水蒸気の気泡を発生させ,対象物に当たると一瞬で水蒸 気が液体に戻り,衝撃力が発生し,その衝撃力により表面の塗膜等を除去する工法である.縦振りガンはノズル先 端を上下運動させて噴射するノズルである.

ウォータージェットは 50MPa~150MPa の水圧を利用し,水の衝撃力により表面の塗膜等を除去する工法である.

回転ガンはノズル先端を回転させ,水圧により塗膜の除去,コンクリート表面のケレンを行う工法である.扇形 15°

はノズル先端から 15°の角度で扇形状に噴射し,水圧により塗膜の除去,コンクリート表面のケレンを行う工法で ある.直射はノズル先端から一直線に噴射する工法である.

3.試験結果

表-2に試験結果を示す.表-2より回転ガン(2 穴),直射は供試体表面を激しく削っているため,トンネル覆工 に対して点検用に使用することは不可能であると考えられる.また,回転ガン(12 穴)はコンクリート表面に回転 ガンによる模様ができ,さらに噴射面積が大きく,単位面積あたりの圧力が低下し,不良部の除去ができないため,

回転ガン(12 穴)もトンネル覆工の点検として適用することは困難であると考えられる.

一方,キャビテーション,扇形 15°は,スタンドオフ距離(ノズル先端から壁面までの距離),噴射時間,噴射 水量を調節することにより適度な目荒らし状況となり,また,不良部に集中的に噴射を行うことにより,ひび割れ

表-1 使用ノズル

噴射工法の圧力 噴射水量

(MPa) ( /min)

キャビテーション 縦振りガン 50,60 12

(12穴) 5

(2穴) 10

扇形15° 50 18~30

直射 50 18~30

150 ウォータージェット

回転ガン ノズルパターン 工法

キーワード トンネル覆工,噴射工法,点検,ひび割れ

連絡先 〒331-8638 埼玉県さいたま市北区吉野町 2-272-3 (株)ダイヤコンサルタント TEL048-654-1909

6-053 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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(2)

ブロックの除去も可能であることから,トンネル覆 工の点検に用いることは可能であると考えられる.

本検討では,供試体表面に作用している各ノズル による仕事量を統一的に評価するため,圧力測定装 置を設置し,壁面に当たるときの圧力を各ノズルで 測定を行い,計測結果に噴射時間をかけた値(指数)

を算出・検討した.図-1に指数の算出結果を示す.

接射とはスタンドオフ距離が 0cm に近い状態を言う.

図-1よりキャビテーションは,回転ガン,扇形 15°に比べ接射の場合で指数が比較的大きいことが分かる.また,

回転ガンはスタンドオフ距離に関係なく,同程度で値が推移していることが分かる.これらの結果は,キャビテー ションの噴射面積が非常に小さく,それに比べ回転ガンは大きく,単位面積あたりの圧力が低下するためと考えら れる.このように,統一的な指数を算出することにより,点検に噴射工法を用いる際の目安となると考えられる.

4.まとめ

以上,得られた知見を以下に示す.

① キャビテーション,扇形 15°は点検用に使用することが可能であると考えられる.

② 回転ガン,直射は点検に用いることは困難であると考えられる.

③ 噴射圧力を測定し,指数を算出することにより,統一的な評価ができると考えられる.

参考文献

・ ウォータージェット工法 計画・施工の手引き(第2版)2006 年 11 月 日本ウォータージェット協会

・ 最新ウォータージェット工法 1996 年 12 月 八尋暉夫 表-2 試験結果

キャビテーション 回転ガン(12 穴) 回転ガン(2 穴) 扇形 15° 直射

噴射前噴射後拡大写真

図-1 指数の算出結果

0 3 6 9 12 15

接射 5 10 15 20 25

スタンドオフ距離(cm)

指数 (×102)(MPa・sec/cm2

キャビテーション 回転ガン(12穴)

扇形15°

6-053 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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参照

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