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個別要素粒状体の残留強度・変形挙動に与える粒子間付着力の影響

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Academic year: 2022

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キーワード 粒子間付着力

,

 残留強度, せん断ひずみ

連絡先:〒657-8501 神戸市灘区六甲台町

1-1,TEL:078-803-6030,FAX:078-803-6030

個別要素粒状体の残留強度・変形挙動に与える粒子間付着力の影響

○神戸市         正会員  吉森久貴        神戸大学都市安全研究センター 正会員 加藤正司 

      CRC ソリューションズ 正会員 榊原辰雄

はじめに 土質力学において,飽和土の挙動についての研究は数多くなされており,ある程度解明されてき ている.しかし,盛土などの多くの土構造物は不飽和状態であり,この不飽和状態の土の挙動を解明するこ とが土質工学上重要な課題であるといえる.これまでの研究の結果,不飽和土の挙動にはサクションが大き く影響を及ぼすことが分かっており,サクションを考慮した解析により,不飽和土の挙動を解明することが 必要といえる.そこで土の挙動の重要な要素であるピーク強度,残留強度,変形特性について,個別要素粒 状体の 3 次元 DEM(個別要素法;Distinct Element Method)解析に粒子間付着力を導入し,検討を行った.

ただし,ピーク強度による破壊規準の検討については別稿1)を参照されたい.また本研究では解析に Itasca 社の PFC3D プログラムを用いた. 

材料定数と解析条件 供試体は,

2(m)×2(m)×4(m)

の壁面を仮定 し,その中に直径を

5(cm) ~ 10(cm)

の間に正規分布するように 調整した球形粒子を間隙比が 0.4 となるように 5438 個の粒子 を発生させた.粒子の材料定数は表 1 の通りである.また供 試体を図示すると図 1 のようになる.次にその供試体を等方 圧縮応力 1000(kPa)まで 50(kPa)毎に圧縮し,平衡状態となっ た後,供試体の上下の載荷板によりせん断試験を行った.せ ん断時の応力経路は図 2 のように,静水圧軸上からπ面を見 た と き の σ 軸 方 向 か ら の 角 θ が 60°,75°,90°,105°,120°の5種類とし,同一π面上を移 動 す る よ う に , 時 間 増 分 毎 に 応 力 制 御 し た . 粒 子 間 付 着 力 (Adhesion)は 粒 子 接 平 面 に 対 し 鉛 直 方 向 の 値 を 5000(N),

10000(N)の 2 種類とし,粒子接平面に対し接線方向の値を 1010(N)とした.この理由として,粒子間付着力は粒子間に働 く力が粒子間付着力の規定値に達するまでは剛性を発揮する

が,粒子間に働く力が粒子間付着力の規定値を超えると,その後剛性を発 揮しなくなるといった性質によるものである.また本解析で用いたプログ ラムの応力とひずみは伸張を正としている. 

Lade 規準の特性  Lade と Duncan は Monterey No.0 Sand の立方供試体を 用いた True triaxial test による実験結果から,以下の破壊規準を提案し た2). 

      13

3

Constant I

I =

      (1) 

ただし,

I

1

= σ σ

1

+

2

+ σ

3

I

2

= σ σ

1 2

+ σ σ

2 3

+ σ σ

3 1

I

3

= σ σ σ

1 2 3 

式(1)をπ面上に図示すると図 3 のようになる.図からも分かるように Lade‑Duncan の破壊規準はφの値によって形状が変化している. 

4 (m)

2 (m)

2 (m)

1 供試体    図 2 応力経路

1

 材料定数

Particle-particle Particle-wall Normal stiffness k

n

(N/m) 9.0

×

10

9

1.8

×

10

10

Shear stiffness k

s

(N/m) 3.8

×

10

8

6.0

×

10

8

Coefficient of friction 0.287 0.0

Density of particles 

ρ(kg/m3)

2700

φ=30°

φ=40°

φ=50°

Mohr-Coulomb Lade

σ σ1

σ3

Lade 規準と  Mohr‑Coulomb 規準の比較 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑1051‑

III‑526

(2)

解析結果と考察 図 4,図 5 は粒子間付着 力 0(N),10000(N)のシリーズにおいて,応 力〜ひずみ関係の軸ひずみ 0.2 の点を残留 強度点とし,π面上に図示したものである.

それぞれ図中の実線は Mises 規準,一点鎖 線は Mohr‑Coulomb 規準,破線は SMP 規準で ある.これらの図から,残留強度線は SMP 規準とほぼ一致した傾向が見られる.この ことから,限界状態の残留強度と一般にい われる残留強度が近い値を示す粘性土には SMP 規準が適用される可能性が示唆される.

またこのことは,過去に軽部ら 3)が複合応

力 状 態 に お い て 粘 性 土 の 実 験 を 行 っ て 得 た , 粘 性 土 の 破 壊 点 は Mohr‑Coulomb 規準に外接する曲線で表される,という結果にも一致する.

図 6 は粒子間付着力 0(N),10000(N)のシリーズの等γoct線をπ面上に図示 したものである.図中の等せん断ひずみ線は内側から順に 0.003,0.004,

0.005,0.007,0.010 のせん断ひずみを表している.この図から,等せん 断ひずみ線は粒子間付着力が加わることにより同心円形状から変形してい っていることが分かる.またそれぞれのシリーズにおいては,せん断ひず みが大きくなるにつれて,変形した状態から同心円形状に近づいているよ うに見える.図 7 は等せん断ひずみ点と Lade 規準を比較したものである.

図中の LADE 規準は平均主応力 500(kPa),1000(kPa)の 2 種類のシリーズに おいて粒子間付着力を 0(N),5000(N),10000(N)加えた場合のピーク強度 点を破壊点とし,求められた内部摩擦角φの値に対応するものである.こ の図から,粒子間付着力が 0(N)のシリーズは Lade 規準と一致する傾向が 見られ,付着力が 5000(N),10000(N)のシリーズではやや Lade 規準よりも 外側にある傾向だが,よい適合性が見られたと思われる.このことから,

破壊規準 1)だけではなく,変形挙動も Lade 規準に一致する傾向が見られ たといえる. 

結論 1)π面上における残留強度点は,SMP 規準に一致する傾向を示した.

このことは,正規粘土のようなせん断時に圧縮する材料の破壊規準が SMP 規準に従う可能性を示している. 

2)π面上における等せん断ひずみ線は,Lade 規準と一致する傾向を示し た.このことは,砂のような粒状材料については破壊規準のみならず,変 形挙動までもが Lade 規準に従うことを示している. 

謝辞 本研究は文部科学省科学研究費(基盤研究(c2),課題番号 13650541)の援助により行われたもので ある.ここに謝意を表する. 

参考文献 1)吉森久貴,加藤正司,榊原辰雄:個別要素粒状体の破壊規準に与える粒子間付着力の影響,

第 38 回地盤工学研究発表会,2003. 

2 ) Lade, P. V. , A.M.ASCE and James M.Duncan , M.ASCE : Elastoplastic Stress‑Strain Theory for  Cohesionless Soil, Journal of the Geotechnical Engineering Division,pp1037‑1153,1975  

3)軽部大蔵,柴田徹:複合応力状態における土の挙動について,京都大学防災研究所年報第 7 号,1964. 

-2 -1

[×106] -1

1 [×106]

0

Constant γoct p=1000(kPa) Adhesion 0(N) Adhesion 5000(N) Adhesion 10000(N)

Lade (φ=20.37) Lade (φ=40.70) Lade (φ=42.18) σz

σy

7

  π面上の等せん断ひずみ線

LADE

規準の比較

-2 -1

[×106] -1

1 [×106]

0

Constant γoct line p=1000 (kPa)

Adhesion 0 (N) Adhesion 10000 (N) σz

σy

6 π面上の残留強度線

-8 -6 -4 -2

[×105] -4

-2

2

4 [×105]

0

p=1000 (kPa) Adhesion 10000 (N) Mises Mohr-Coulomb SMP σz

σy

5

  粒子間付着力

10000(N)

π面上の残留強度点

-8 -6 -4 -2

[×105] -4

-2

2

4 [×105]

0

p=1000 (kPa) Adhesion 0 (N) Mises Mohr-Coulomb SMP σz

σy

4

  粒子間付着力

0

N

π面上の残留強度点 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑1052‑

III‑526

参照

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