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中空部を有する PC 壁体による振動遮断実験 立命館大学理工学部

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Academic year: 2022

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(1)III‑566. 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月). 中空部を有する PC 壁体による振動遮断実験 立命館大学理工学部. フェロー会員. ○早川. 清. 立命館大学大学院. 学生会員. 星子. 直樹. 日本コンクリート工業. フェロー会員. 可児. 幸彦. 1.はじめに:本報告では、地盤振動の伝播経路対策法としての地中壁の利用に着目し、その中でも幾つかの現 1.はじめに: 地調査事例 1),2)から有効性が確認されてきている PC 壁体の利用を考えている。この場合の振動遮断メカニズムは 十分解明されたとは言い難いので、今回は室内実験からその効果の検討・評価を試みた。 100cm、横 60cm、高さ 50cm の EPS ブロックである。EPS 地盤の下部 2.実験概要:使用した模型地盤は、縦 2.実験概要: には振動の反射を防ぐため、厚さ 15cm のウレタンマットを敷いた。この地盤を使用し、PC 壁体がある状態とな い状態で振動計測を行った。なお、使用した模型 PC 壁体は、一辺が 12cm、長さが約 42cm の正方形で、中空部 の内径を 2cm、4cm、6cm、8cm および 10cm の 5 種類とした。発生振動は、電気式加振装置を用いて上下方向 に連続的振動させた。この場合の加振振動数は 50Hz〜300Hz までの 50Hz ピッチの6段階とした。振動計測には、 振動加速度計を5台用い、壁体前後での地表面上の振動加速度記録を計測している。 3.実験結果および考察 3.1. に 各壁体による低減量:壁体背後の測点2のデータを代表例として、各壁体による低減量の比較を図.1 各壁体による低減量:. 示した。なお、低減量は壁体設置前後の振動加速度レベルの差である。150Hz 以上で内径が 6、8、10cm の中空 部の大きい壁体の振動遮断効果の大きいことが理解できる。50、100Hz では振動値が増加しているが、この EPS 地盤では 50〜100Hz の間が 1/4 波長則による卓越振動数となり、加振源と共振したからだと考えられる。しかし ながら、この結果は地盤に有限長の EPS を使用した特殊な例であるがために発生した固有の現象だと推察される。 3.2. 中空部内径と伝播波動の波長との相関性の検討:ただ単に中空部内径と振動遮断効果の関係を検討する 中空部内径と伝播波動の波長との相関性の検討:. だけでなく、壁体の中空部内径(D)と伝播波動の波長(λ)との比で表して無次元化し、この(D)/(λ)と振幅軽減係数 ARF(Amplitude. Reduction. ARF =. Factor)との関係から振動遮断効果の有意性を検討した。. 壁体有りの状態での振動加速度値 壁体無しの状態での振動加速度値. 図.2には、壁体背後の測点2における ARF と D/λの関係を示したものである。これより、(D/λ)の増加ととも に ARF が小さくなることが理解できる。すなわち、中空部内径も振動遮断効果に及ぼす影響パラメータの1要素 であることと考えられる。 測点2における低減量の比較. 低減量(dB). 15. 振幅軽減係数(ARF). 25 空洞無し 2cm空洞 4cm空洞 6cm空洞 8cm空洞 10cm空洞. 5 -5 -15. 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0. 測点No.2 近似曲線. 0. -25. 0.02. 50Hz 100Hz 150Hz 200Hz 250Hz 300Hz. 図.1. 測点2(壁体背後)における各壁体の低減量. 図.2. 地盤振動、模型実験、PC 壁体 〒525-8577. 草津市野路東 1-1-1. TEL077-561-2789. FAX077-561-2789. ‑1131‑. 0.04 D/λ. ARF と D/λの関係. 0.06. 0.08.

(2) III‑566. 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月). 4.振動遮断効果の評価:ここでは模型実験から得られたデータを、 同じく模型実験から得られた既往の実験式、 振動遮断効果の評価: 及び理論式と比較させて評価した。 1) 図.3に既往の実験式 3)による地中壁の振幅軽減量と 振幅比 (γ´). 本実験の実験値との比較を示す。 γ´=γ+(1−γ)β =e−2.35H/λ+(1−e−2.35H/λ)e−CWB/λA λ:伝播波動の波長. W:地中壁の厚さ. A,B,C:定数. 実験値は空洞が無い壁体を使用したときに得られた値であ る。これより実験値が近似曲線の下方に分布しているもの. 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0. 既往の実験式. 実験値 0. の、ほぼ同じ傾向であることがわかる。すなわち、この推. 0.05. 0.1. 0.15 0.2 H/λ. 0.25. 0.3. 0.35. 定式により、筆者が行った模型実験の振動遮断効果の評価 が可能であると言える。. 図.3. 地中壁の振幅軽減量. 2)図.4に波動透過理論による振動低減量の比較を示す。なお、この図に示す低減量は、壁体前後の振動加速度レ ベルの差である。これより波動透過理論によって得た値と実験値とでは低減量にして、10〜15dB の差がある。 しかしながら、波動透過理論においては、壁体の設置幅および壁体の深さが無限遠であると仮定されているため、 回折による影響が考慮されていないことに留意する必要がある。また、内径が 10cm の空洞を有する壁体の中空 部を空溝と仮定し、空溝の評価式を用いて波動透過理論から求めた理論値を補正して計算値とし、実験値と比較 したものが図.4の右図である。両者は 50Hz において一致しているが、振動数が増加するに従い離れていく結果 となった。しかし、左図に比べ実験値との差が減少していることがわかる。これは、壁体の深さのパラメータを 必要とする空溝の実験式を用いたことで、より実測値に近づいたからだと考えられる。 40. 35 理論値による式. 25. 低減量(dB). 低減量(dB). 30. 実験値の近似曲線. 20 15 10 5. 実験値 100. 150 200 振動数(Hz). 250. 図.4. 理論値による式+空溝の式. 25 20 15 10. 実験値の近似曲線. 実験値. 5 0. 0 50. 35 30. 300. 50. 100. 150 200 振動数(Hz). 250. 300. 波動透過理論による低減量の比較. PC 壁体による振動遮断効果を検討した。以下に本実験結果の結論を述 5.結論:本報告では、中空部を有する 5.結論: べる。 ①中空部の大きい壁体が、振動遮断効果において有意であることが確認できた。②本実験で得られた値と既往の 実験式、および理論式との比較・評価を行った結果、既往の式が示す傾向と良く一致した。③模型実験の実験値 から現場との相似性を関連付けることは、非常に困難であるが、現場の状況や振動源に合わせて実験式の適用限 界を設ければ、対応できると考えられる。 参考文献:1)早川、可児、松原:PC 壁体による地盤振動の軽減効果とその評価、構造工学論文集、Vol45A、pp713 〜718、1999-3.. 2)早川、松原、可児、漆畑:中空孔径を変化させた壁体モデルによる地盤振動低減効果に関. する研究、地盤工学会-地盤環境振動の評価・予測・対策に関するシンポジウム発表論文集、pp79〜84、2001-2. 3)江島:空溝と地中壁による振動遮断効果、土と基礎、Vol.28、No.3、pp49〜55、1980.. ‑1132‑.

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参照

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