図1 地盤中の移流分散現象の概要 図
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(2) 土木学会東北支部技術研究発表会(平成22年度). 5.解析条件及び解析解 移流分散解析には様々な解析条件があるが,ここ では2つの条件の解について報告する.対象とする 化学物質の性質は,土中で化学的,あるいは生物的 な反応を生じず,また土粒子への吸着や溶脱もない ものとする. 以下に,2条件で使用した解析条件・入力パラメ ータの値を示す.. 5-2.条件Ⅱにおける解析解と解析解の表現 式(1)から,Mathematica により,流出液濃度を表 わす解析解を得る. C Vt L Vt Clr ( L, t ) 0 [erfc( ) erfc( )] 2 2 Dt 2 Dt. . C0 2VL V 2t VL 2L Vt [(1 ) exp( ) erfc( ) 2 D D D 2 Dt. (1 Ⅰ:土のカラムは,土中溶液中に対象とする化学物 質が存在せず,土粒子へ吸着していない状態で ある. 時間 t 0 で流入水バルブを初期の純水から濃度. (4). VL V 2t VL L Vt ) exp( ) erfc( )] D D D 2 Dt. V 2t VL (2 L Vt ) 2 ( L Vt ) 2 [exp( ) exp( )] D D 4 Dt 2 Dt また,流出液濃度に対する時間変化を図4に表す. C0. C 0 の供給溶液へと瞬間的に切り替え,定常流れ. で流し続ける. Ⅱ:土のカラムの溶液中のみに対象とする化学物質 が溶質として存在している状態である.. 流出液濃度 C rl L, t 3.0. D1 10.0 D2 5.0. 2.5. D3 2.5 2.0. C0 Ⅰ 1.0 Ⅱ 1.0. 表1. 入力パラメータ. V 2.0 0.5. L. D1. D2. 50 50. 10 10. 5 5. D3 2.5 2.5. D4. 1.5. 0. 1.0 0.5. C0 :濃度 (g cm-3 ) , V :間隙流速 (cm h -1 ) L :カラム長 (cm) , D :分散係数 (cm2 h -1 ). また,流出液濃度は,条件Ⅰではフラックス濃度 ( C f ),条件Ⅱではレジデント流体濃度( Clr )で表し ている.一次元流れにおいて C f は水フラックスに対 する溶質フラックスの比で定義され,Clr はレジデン ト溶液相の単位体積当たりの溶質質量で表される. C f と Clr は,次式で関係付けられる.. C f Clr . D Clr V z. (2). 5-1.条件Ⅰにおける解析解と解析解の表現 式(1)に,試験条件や溶質の性質を考慮し, Mathematica で数学的操作を行うことにより,流出 液濃度を表わす解析解が得られる. C f L, t C L Vt L Vt VL 0 erfc exp erfc 2 D 4 Dt 4 Dt . (3). また,流出液濃度に対する時間変化を図3に表す. 流出液相対濃度 C f L, t C 0 1.0. D1 10.0. 時間 t h. 0.0 0. 50. 100. 150. 200. 250. 300. 図 4 液相が汚染されているとき,濃度 0 の純水を流し続 けた場合の流出液濃度の時間変化. 6.考察 流出液濃度曲線から,カラム内で移流,拡散,水理 学的分散,吸脱着といった作用が溶質の挙動に,どの ように影響しているかを読み取ることができる. 本研究では,入力パラメータの値を変えてグラフ 表示することにより,汚染物質の挙動の特徴を読み 取った.条件Ⅰ,条件Ⅱで変化させたパラメータは, 土の構造による分散係数 D である.以下に図3,図 4で表している流出液濃度曲線の特徴を示す. 図3:分散が大きいほど,溶質が流出端に達する時 間は速いが,全て出切るまでに時間がかかる. これは,分散係数が大きいほど溶質がカラム 内の上下方向に分散されるためである. 図4:分散が大きいほど,流出液濃度の最大値が小 さくなり,緩やかに変化する.これは図3と 同様に,分散係数が大きいほどカラム内の上 下方向に分散されるためである. 化学物質が土部分に吸着している場合,土粒子か ら吸着・溶脱を行う場合についても解析を行ったが, この場合には,Mathematica において,解析解を得 ることが難しく,数値積分が必要となる.. D2 5.0. 0.8. D3 2.5 0.6. D4 0. 0.4 0.2. 時間 t h 10. 図3. 20. 30. 40. 50. t 0 に階段状に入力濃度変化を与えたときの 流出液濃度の時間変化. 7.参考文献 1) 取出信夫監訳,井上光弘,長裕幸,西村拓,諸 泉利嗣,渡辺信夫訳:ウィリアム・ジュリー,ロ バート・ホートン著 土壌物理学 土中の水・ 熱・ガス・化学物質移動の基礎と応用,2006. 2) 筑紫二郎訳:W.A.ジュリー,K.ロース著 土壌 中の溶質移動の基礎,2005..
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