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五角形断面桁の空力特性に与える底面傾斜角の影響に関する研究

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Academic year: 2022

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五角形断面桁の空力特性に与える底面傾斜角の影響に関する研究

九州工業大学大学院 学生員 ○野田辰徳 九州工業大学 学生員 小野元嗣 九州工業大学 フェロー 久保喜延 正会員 木村吉郎 加藤九州男 鹿島建設株式会社技術研究所 正会員 大窪一正

1.はじめに 橋梁などに風が作用する場合,渦励振やギャロッピング,フラッターなどの空力弾性振動現象が発 生し,橋梁などの構造物を破壊に至らせる危険性がある.このような,空力弾性振動を抑制する手法の一つとし て,フェアリング等の空力的付加部材を設置する方法があるが,施工性や経済性を考慮すると付加部材の使用は 好ましくない.そこで,構造部材のみで耐風性が得られ,かつ経済性に優れている五角形断面桁(図-1)に着目し,

風洞実験を通して断面の底面傾斜角θおよび桁高Dを変化させ五角形断面桁の対風特性を明確にしてきたところ,

その対風特性は底面傾斜角θによって大きく異なることが明らかにされた.しかしながら,そのメカニズムにつ いては解明されていないのが現状であり,このメカニズムが解明されれば,空力的付加部材を使用しなくても耐 風性が得られ,かつ経済性に優れた新しい桁断面として五角形断面桁を提案で

きると考えられる.そこで本研究では,五角形断面桁の対風安定性メカニズム を解明することを目的としている.

β

θ

D

B β

θ

D

B

図-1 五角形断面桁 2.既往の研究 五角形断面桁において桁上面の断面形状が一定であっても,底

面傾斜角が変化すると桁周辺の流れ特性も変化することが既往の研究により 確認されている.ここでは上面剥離角βをβ=27°に固定し,幅員桁高比B/Dが 4.0,4.5,5.0 の場合について,底面傾斜角θを11°から 14°まで 0.5°刻みに変 化させた既往の三分力測定実験の実験結果について述べる.

-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4

10.5 11.0 11.5 12.0 12.5 13.0 13.5 14.0 14.5 B/D=4.0

B/D=4.5 B/D=5.0

Lift coefficient C L

Lower plate slope θ(°)

測定された三分力のうち,図-2に迎角α=0°の場合について底面傾斜角θに 対する揚力係数CLを示す.図-2を見ると,θ=13.5°,14°の場合は各B/Dでの差 は小さいが正の値を示している.B/D=5.0の場合ではθ=12.5°から13°にかけて,

B/D=4.0,4.5 の場合ではθ=13°から 13.5°にかけて値が大きく変化している.

θ=11°から 12°の場合はB/Dに関わらず負の値を示した.このように,五角形 断面の三分力特性は底面傾斜角θによって大きく異なる.

3.底面傾斜部を対象とした検討 3-1 実験概要 まず本研究では,桁高の影

響を小さくするために,図-3 に斜線で示す五角形断面桁の底面傾斜部に着目し,可視化実験及び流速測定実験を 行った.実験は九州工業大学の可視化実験用小型風洞(測定断面:400mm×400mm)にて実施し,実験で用いた模型 は図-3に示すような断面の縮尺率1/100の透過性のあるアクリル製とした.可

視化手法としてはスモークワイヤー法を用い,底面傾斜角θを8°から18°まで 2°刻みで変化させ計6ケースについて実験を行った.可視化実験時の風洞内の 風速は,可視化映像が良好であった0.6m/sとした.流速測定にはスプリットフ ィルムプローブを用い,θが 12°の場合と 14°の場合について,それぞれ断面 周辺の184点,212点の流速を測定した.流速測定時の風洞内の風速は2.0m/s, 4.0m/s,6.0m/sとした.

θ B=122.5mm

θ D B=122.5mm

D

図-3 底面傾斜部断面図

3-2 可視化実験・流速測定結果 図-4に可視化実験で得られた 映像のうち,θ=12°,14°の場合の静止画を示す.θ=12°の場合 をみると,模型の上部や後流での流れにほぼ乱れが見られない.

一方,θ=14°の場合をみると,底面傾斜部の頂点から剥離した 流れが模型後流で渦を生成しており,さらに逆流が見られる.

θ=12° θ=14°

図-4 可視化実験静止画

土木学会西部支部研究発表会 (2008.3) I-077

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(2)

図-5に風洞内風速が6.0m/sの場合の θ=12°,14°における流れ 主流方向の平均風速比分布を示す.横軸はX/B,縦軸はY/Dの 値である.θ=12°の場合では,模型の後流に逆流の発生がない が,θ=14°の場合では,模型の後流で逆流が発生している,ま た,θ=14°の場合の方が模型上面後流側から模型後流にかけて の低風速域が θ=12°の場合より広くなっており,頂点からの剥 離が大きいと考えられる.以上より,底面傾斜部の頂点からの 剥離の大きさが,三分力特性に大きく影響すると考えられる.

θ=12°

4.五角形断面桁を対象とした検討 4-1 実験概要 前章で示した実験結果は底面傾斜部のみを対象とした場合 の結果であり,実際の五角形断面桁周辺の流れ場と大きく異なる可能性がある.そこで,本章では五角形断面桁 を対象として検討を進めた結果を示す.断面が図-1に示す五角形断面であり,縮尺率が既往の研究と同様の1/46.4 の2次元剛体模型を用い,圧力測定実験およびPIVを用いた流速測定を行った.実験ケースは,既往の研究および 前章までの結果より,幅員桁高比B/Dを 4.0,4.5,5.0とし,それぞれの場合において底面傾斜角θを 12°,14°と した.実験は鹿島建設技術研究所の可視化風洞(測定断面

高さ2000mm×幅1200mm)で実施した.

4-2 PIVによる流速測定・圧力測定実験結果 B/D=4.5の場 合における底面傾斜部周辺の平均風速比分布図を 図-6に 示す.横軸はX/B,縦軸はY/Dの値である.これよりθ=12°

の場合においては,底面傾斜部の頂点と上流端において高 風速となっているが,θ=14°の場合ではさほど高風速には なっていない.さらに,θ=14°の場合,底面傾斜部の下流 側では低風速となっている.そこで,底面傾斜部の頂点下 部における気流の傾斜度を縦軸にY/D,横軸に気流傾斜角φ をとり図-7に示す.図-7より,θ=12°の場合は0°に近い値 となっているのに対し,θ= 14°の場合,頂点付近では大き な負傾斜角となっている.つまりθ=12°の場合,頂点部で 高風速となり,底面傾斜部の下流側では断面に沿うように 流下するが,θ=14°の場合,高風速には

ならず底面傾斜部の頂点から剥離する と考えられる.次に底面傾斜部における 平均圧力係数Cpmを縦軸に,X/Dを横軸に とり圧力測定実験結果を図-8に示す.こ れより,各θにおいてB/Dの違いによる 平均圧力係数には大きな差異は見られ ないが,θ=14°の場合は下流側の負圧の 方が上流側の負圧より大きくなってい

るのに対し,θ=12°の場合,底面傾斜部上流側の負圧の方が下流側の負圧よりも大きくなっている.またPIVの結 果で高風速となっていた底面傾斜部の頂点と上流端での負圧が他の部分と比較して著しく大きな値となっている.

このため,三分力特性が底面傾斜角によって大きく異なると考えられる.

5.まとめ 五角形断面において,底面傾斜角が異なると三分力特性が大きく異なるメカニズムについて検討を行 った.その結果,底面傾斜角が 12°以下である場合,底面傾斜部では断面に沿うような流れとなり高風速となる.

そのため,底面での表面圧力分布が14°以上の場合とは大きく異なり,三分力特性が大きく異なると考えられる.

図-5 主流方向平均風速比分布

図-6 底面傾斜部平均風速比分布図(B/D=4.5)

θ=14°

θ=12°

θ=14°

-15.0 -10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 -3.0

-2.5 -2.0 -1.5

-1.0 B/D=4.5,θ=12°

B/D=4.5,θ=14°

Angle of Separation Flow φ(°)

Y/D

-2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

-0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 B/D=4.0,θ=12°

B/D=4.5,θ=12°

B/D=5.0,θ=12°

B/D=4.0,θ=14°

B/D=4.5,θ=14°

B/D=5.0,θ=14°

X/B Mean Pressure Coefficient C pm

図-8 底面傾斜部平均圧力係数 図-7 頂点下部における気流傾斜角

土木学会西部支部研究発表会 (2008.3) I-077

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参照

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