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柱列状改良体を連結した橋台耐震補強工法に関する振動台実験

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Academic year: 2022

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キーワード 橋台 改良体 耐震補強 振動台実験

連絡先 〒151-8512 東京都渋谷区代々木

2-2-6

東日本旅客鉄道(株)構造技術センター

TEL03-6276-1251

柱列状改良体を連結した橋台耐震補強工法に関する振動台実験

東日本旅客鉄道 正会員 ○水野 弘二・池本 宏文・細井 学

・高崎 秀明・藤原 寅士良 鉄道総合技術研究所 正会員 西岡 英俊・佐名川 太亮

1.はじめに

筆者らは,地震時に生じる橋台と背面盛土の相対変位の抑制を目 的として,橋台背面盛土内に柱列状の改良体(以下,改良体と称す る)を造成し,橋台に作用する土圧を低減させることで耐震性向上 を図る工法を提案している.既往の研究

1)

により,重量桁のように 橋台に作用する桁慣性力の割合が大きい場合は,土圧が低減された としても,軽量桁と比較して耐震性の大きな向上効果が得られない 点が確認されている.本稿では重量桁を想定し,橋台と改良体を連 結した場合の補強効果を振動台実験により確認したことから,その 内容について報告する.

2.振動台実験の概要

実験ケースは,図-1に示す改良体,および改良体の連結の有無と 改良体の線路方向の長さの違いによる 4 ケースとした.図-2に

Case3

の模型概要および計測機器配置を示す.橋台と改良体の連結

は,ピン結合とし,橋台上端部でユニバーサルジョイントを用いて 模擬した.模型縮尺は

1/15

とし,文献

1)

と同じ条件で実験を行った.

加振波形は正弦波

5Hz

10

波とし,

100gal

から崩壊形態が明確にな

るまで,

1

ステップ

100gal

間隔で段階的に増加させた.なお,本稿

で記載している加速度の数値は,振動台実験の目標加速度であり,

実際に入力されている加速度とは若干の差がある.

3.実験結果

3.1 橋台・背面盛土の崩壊形状

図-3,4に

Case2

800gal

Case3

1100gal

における加振後の崩 壊状況のスケッチと模型地盤側面に設置した標点の残留変位から 求めた変位ベクトルを示す.

Case2

では橋台の傾斜に伴い,橋台背 面盛土にすべりが生じ,橋台近傍で

150mm

の沈下が発生した.そ れに対して

Case3

は橋台,改良体が一体で挙動し,橋台近傍での沈 下量は少なく,改良体背面側ですべりが生じて沈下した.

3.2 橋台の残留変位

図-5に,橋台フーチング直下地盤の最大加速度(慣性力主働方向)と 橋台下部の残留水平変位および残留回転角の関係を示す.残留水平変位 は

Case1

2

では

400gal

Case3

では

900gal

Case4

では

700gal

程度から 増加しはじめる傾向にある.同じ加速度で比較すると,改良体の連結に よって橋台の変位が大幅に抑制され,耐震性が向上していることがわか る.改良体を連結した場合の

Case3

4

を比較すると,改良体の長さの大 きいものほど耐震性が高いことがわかる.また,改良体を連結すること で,橋台上部での水平変位が抑制されるため,残留回転角が小さくなり

(図-5 (b)),崩壊形態が転倒モードから滑動モードに移行している.

3.3 改良体連結による抵抗力

図-6は,橋台に作用する慣性力,土圧合力,およびその両者を足し合 わせた全水平力について,

Case2

3

における

500gal

加振時の時刻歴波形 を示したものである.慣性力は橋台模型を上部(桁・壁体上部)と下部

(壁体下部・フーチング)で高さ方向に

2

分割して壁体天端,およびフ ーチングに設置した加速度計の計測値に各々の質量を乗じて求めた.土

8269.58251.529.583828269.551.551.529.583

71.5 79.5 100 100 100 84 71.5 129.5 200 129.5

315350535

300

273.5 300 165

橋台

東北硅砂6号支持地盤 Dr=80%

γ=15.9kN/m3

67 20020050

1000

改良体測線 断面図

415

468

改良体

535 153

185

橋台

2000

295 1445

117.75

改良体測線 135

235117.75

55 235

253.5

51.551.551.5 860

430

平面 図 橋台 背面正面図

加速度計(水平)

変位計 土圧計 加速度計(鉛直) 2方向ロードセル

LI10

凡例

硬質ゴム10mm

改良体

[単位:mm]

壁体上部変位

壁体下部変位

50

フーチング 加速度計

フーチング直下 加速度計

0.67kN/m上載圧2 160 重錘

210

30

壁体天端加速度計

210

重錘

53 5 γ=18kN/m3 アルミニウム

橋台 γ=25kN/m3 アルミニウム

上部 下部

東北硅砂6号背面盛土 Dr=60%

γ=15.3kN/m3

468

154.5 226 154.5

150161.5

98 113 113 113 98

156.5

ユニバーサルジョイント

535

図-1 実験ケース(模型断面図)

図-2 模型概要図(Case3)

図-3 Case2 800gal 加振後の崩壊状況

図-4 Case3 1100gal 加振後の崩壊状況

連結材

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑355‑

Ⅲ‑178

(2)

圧合力は,橋台模型背面に設置したロードセルの計測値(水平力成分)から,各計器の負担面積(図-2橋台背面正 面図参照)を乗じて算定した.

Case2

は,慣性力と土圧合力の位相にずれが生じているが,Case3は橋台,改良体,背面盛土が一体で挙動するた

め,慣性力と土圧合力は同位相となっている.慣性力が主働方向に最大となる時点での土圧合力を比べると,

Case3

よりも

Case2

の方が小さい.これは,慣性力との位相のずれの影響と文献

1)の改良体による土圧低減効果によるも

のと考えられる.そのため,改良体を連結する場合は,連結しないものよりも橋台に作用する土圧は大きくなる傾 向にある.

図-7に,Case2,3における

500gal

加振時の改良体底面の鉛直地盤反力,改 良体底面のせん断力,改良体側面のせん断力,および連結材に生じる軸力,せ ん断力の時刻歴波形を示す.改良体のせん断力,鉛直地盤反力はロードセルの 計測値に各計器の負担面積(図-2改良体側面図参照)を乗じて合力として評 価したものである.連結材の軸力,せん断力は連結材に設置したひずみゲージ の計測値から算出したものである.なお,作用方向は改良体に抵抗となる方向 をプラスとして整理している.

慣性力が主働方向に最大となる時点では,

Case2

3

ともに改良体底面の鉛 直地盤反力,改良体底面のせん断力,改良体側面のせん断力は改良体に対する 抵抗力として働いており,いずれの数値も

Case3

の方が大きくなっている.

Case2

においては,これらの抵抗力によって,前述の土圧低減効果が発揮され

るものと考えられる.それに対して,Case3では連結材の軸力,せん断力と改 良体の抵抗力の位相が一致していることから,連結材を介して改良体に生じる 抵抗力が,橋台の安定における抵抗力として寄与していることが分かる.また,

連結することにより,抵抗力が大きくなる傾向にあるものと考えられる.以上 のことから,改良体の連結によって,連結しない場合よりも橋台に作用する土 圧は大きくなるものの,改良体の抵抗力によって,橋台の安定が向上する.

4.まとめ

本稿では,橋台背面の耐震補強工法について橋台と改良体を連結した場合の 振動台実験の結果を報告した.改良体と橋台を連結することにより,橋台に作 用する土圧は大きくなるものの,改良体底面の地盤反力,せん断力,側面のせ ん断力が抵抗側に大きく作用することにより,耐震性が大幅に向上することが 分かった.なお,振動台実験により確認した以外の改良体による抵抗力(例え ば鉛直方向に働く改良体側面のせん断力)については,傾斜実験

2)

により確認 しているため合わせて参照されたい.

参考文献 1) 池本ら:桁質量の異なる橋台における耐震補強効果の実験的検討,土木学会第

70

回年次学術講演会,2015.9

2) 細井ら:柱状改良体を連結した橋台耐震補強工法に関する傾斜実験,土木学会第 71

回年次学術講演会(投稿中),2016.9

(a) 残留水平変位

図-5 橋台の残留変位 (b) 残留回転角

図-7 改良体による抵抗力の時刻歴応答の比較(500gal 加振時)

(a) Case2 改良体(標準) (b) Case3 改良体(標準)連結 図-6 水平力の時刻歴応答の比較(500gal 加振時)

(a) Case2 改良体(標準) (b) Case3 改良体(標準)連結 土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑356‑

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参照

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Randolph : Vertically Loaded Piles in Non-Homogeneous Media, International Journal for Numerical and Analytical Methods in Geomechanics, Vol.21,