バンクロフト糸状虫症の免疫血清学的研究補遺
其の一Dirofilaria immitisの抗原性について
﹀ 援援 数教 助 一助 精大 村峰︶ 北片十一 博 員任大
所拙叩
訝福 住第部長 林 兼臨院 ︵︳・′し
所院
戯瞞 風立
脚.暇 長長
田辺紀夫
1こな一こq)りを
緒言及び研究目的
バンクロフト糸状虫症の免疫反応について ほ,過去において,既に犬剛強糸状虫Dtro filariaimmitis虫体を用いた皮膚反応,沈 降反応,補体結合反応に関する業績が多数報 告されている.
皮膚反応についてほTailiafero‑Hoffma̲
nn(1930)を初として,Fairley(1932)小 林(1935),文(1940),‑の瀬(1942),妹 尾,坪井'呉(1943)等の報告があり,なお 高山(1942),永書(1952)ほバンクロフト 糸状虫仔虫を,片峰,吉田(1952)は患者尿 を,叉岡部,山口,山下(1954)ほ馬糸状虫 を抗原として皮膚反応を行っている・
沈降反応には仲地(1930),村上(1935), 小林(1935)等の報告があり'補体結合反応 ではFairley(1932)を初として,Lloyd Chandra(1933)小林(1935),池田(1936), Goodman外(1945),Warren外(1946), W.Minning(1956),D.S.Ridley(1956) 等の報告がある。
以上現在までの先人の業績によっても人体
にバンクロフト糸状虫が寄生すると,生物学 的反応としての免疫現象が起ることは明かで あるが,しかし,糸状虫のような粗大寄生虫 による免疫現象ほ,細菌の場合に比べて更に 複雑であって,糸状虫診断の目的に行われた 在来の皮膚反応,沈降反応,補体結合反応等 も,ある程度の特異反応は認められながら も,その反応が微弱であったり,或ほ他の寄 生虫の問に類属反応が認められて,必ずしも 満足な成績を得ていない・
免疫学的見地からすれば,患者の体内の糸 状虫と抗体との間におころ抗原抗体反応が, 症状の発生と密接な関係があるものと考えら れるがその詳細は明かでない・
本研究の主目的ほ糸状虫症患者における抗 体のあり方と症状の経過や感染糸状虫の運命 との関係を追求することにあるが,本報にお いてほ先づ動物■(家兎)を用いて糸状虫虫体 の抗原性と抗体発生状態を,沈降反応,補体 結合反応を手段として観察したl
実験方法及び材料
抗寧、として,、'ンクT=フト糸状虫そのものを用いる ことが望まれるのは勿論であるが,これを感作抗翠、
として実験に供するに足る虫体を人体から得ること は殆んど不可能に近い./J、杯(1935)はDirofilaria immitis其の他多数の感染犬臓器抽出液を同いて家 兎を免疫し,沈降反応,補体結合反応を行っている
が,その抗体産生ほ後弱でありSchlepperを必要 とし'ことにD.immitisのみでは反応物質を認 めなかったといっているl
従って著者も先人にならいD.immitisを用い,
これより数笹の抗慣を製し,Scl‑lepperを用いるこ
となく家兎を免疫せしめ,その免疫血清との間に沈
降反応,補体結合反応を実施し,その免疫の程度,
各抗原の感作原性,反応原懐を比較検討した.
I抗原の種類及びその製法
(1° 犬糸状虫雄虫棒杭直(DFX.8)
o・im汀乙££王∫乾爆虫体粉末(8虫体,フラン器内 乾燥,生:乾燥二10:1.5°の1gに生理的食塩 水(10000倍マーゾニン加°100cc を徐々に加えつ ゝ乳鉢で充分研磨し,4日間0−5。C浸出(時々振 造°,重盗煎(60。C60分°の後遠心挽僚(10000回 転30分),その上清を抗原100倍液とする.
(2° 犬糸状虫雌虫抗原A(DVX 〇A°
雌虫のみで前者と同様に製する.
(3° 犬糸状虫雌虫抗原3(DVX〇n°
製法は(1° と同様であるが遠心沈澱回数を4000 回転30分とした.
Ⅰ 免 疫 方 法
以上の3項の抗原を3日間隔でperl唱0・25,0・5,
0.75,1・Occ の割合で4回に捗り,各々3群の家 兎耳静腺より注射し,初回免疫後,初の10頭に関し ては フ,14,20,30日目前後に心臓穿刺により採 血し,分離した血清に対し,沈降反応,補体結合反 応を突起したところ,大路14日前後に最強の反応結 実 験
■ 感 作 成績(表1,2°
DFX8,DFX〇A,DfーX〇Bの3抗原を用いて,
それぞれ4,10,6,討20頭の家兎を感作し,DFX8 感作群4頭(No.1−4° とDFX〇A感作群中の6 頭(No.5−10°については反応抗原としてDVX8,
果を得たので,以後のものは14日前後の採血時成績 をその家兎の反応成績とした。
なお感作に用いた家兎は2.0ー2・5kg,613〇7 計20頭で,〇は妊娠していないものを用い,各家兎 は感作前に採血,各抗原の両応共に陰性であること を確めた.
Ⅲ 沈 降 反 応
前記感作に用いた各抗原を倍数稀釈(抗原原液 100倍液を8−128倍に稀釈し800ー12800倍稀釈液 とする° して重層法による沈降反応を行い(37。Cフ ラン器内°1,2,3時間の反応成績を見た.
Ⅳ 補体結合反応
梅毒血清反応における緒方法に準じて,定性及び 定量法を実凝ルた.定性法においては,抗血清は10 倍稀釈,各抗原は原液(100倍°を40ー2560倍に倍 蓼釈稀し,4000ー256000倍稀釈液とした・定量法に おいては抗血清を10,20,40,80,160倍に稀釈し,
各抗原は32000,48000,64000倍稀釈液を用いて抗 体価(血清稀釈倍数°を決定した.
なお者抗原は,何れも,反応に用いた稀釈倍数の ものでは溶血作用,抗補体作用共に認められなかつ た。
成 績
DFX〇Aの2種を用い,DFX〇A感作群中の4頭
(No.11−14°とDFX〇B感作群6頭(No.15−20°
に対しては,DFX〇A DFX〇ぉの2笹を反応抗原 とし,DFX〇Aを全例に共通した反応抗原として,
沈降反応,補体結合反応を行つた・
表 1 感 作 夷 険 成 績
感 作 群 別 一 反 応 抗 原 別
蛋 1 蓋 三三謁 還 反 応抗原 . ■ ぎ ・崇 ・ .ノ … … 1で莞 ・ 児 . .
D FX 8 4 0 2 5 %
反 応(十° 検 数
%
4 0 0
4 0 0
\ 4
1 25 4 2
50
\
D I√ Ⅹ〇A 6 10 4 6 10 4
10 フ 8 反 応(i ) 3 5 3 4 8 4 フ0% 80 % oノ / o ′ 50 50 75 66 . 7 8 0 100
DFX 〇 ち 6 5 6 反 応 (+ ° ゝ 6 5 6 5 ミ 6 6 6 6
8 3 .3 % 10 0 % % 8 3 .3 8 3 . 3 10 0 10 0
討
20 1 2 1 6 検 数 1 0 20 1 0 1 0 2 0 10
反 応 (十 ° 3 10 8 5 1 6 1 0
o/ /o 6 0 8 0 % 3 0 5 0 8 0 5 0 8 0 1 0 0
表 2 沈降反応及び補体結合反応
抗 体 価
10 10 家 反
兎 応
葦偶
感 作 抗 原
沈 降 反 抗原稀釈倍数−1=100
8n 1611 32n
DF X
8 1
2
補 体 結 合 反 応 抗原稀釈倍数n=100(血清1…10°
40n80n160n320n480n640n960n1280n1920n2560n
〇A ■ 一 − 8
〇A − ■ ■
3〇(6
)㌔
4〇㌔. ̄ ■  ̄
一 寸廿 ≠ト・珊・
一 鼎・肛
− 一肝 鼎
.肝
常
州・・冊・・Ⅲ 十 − ー ー
十
十ト
0 0
10 0
0 0
D F X
〇A 5
6
了
8
9
10
11
〇A 8
〇A 8
〇A 8
〇A 8
〇A 8
〇A 8
+ + +
+ 十 十
≠ト ≠ ≠ 1≠ 一肝 +十
+ 十 十
鼎 1+ 寸十 廿 十 十
十+ 十
+ 十
十 十
1≠ 寸廿 朝 刊・・附 +廿 鼎 鼎 鼎 鼎 ≠ 鼎 鼎 ≠ 鼎 鼎 朝 潮
鼎1≠ 鼎 鼎 寸廿1≠
鼎 ≠ 朝・.廿 − − ■
≠・・榊・・帖 一 一 ー 一 朝 鼎 ・肛 鼎 ≠ ≠ −
≠ +汁 1≠ ≠ 十 , ー 鼎 鼎 1廿 寸廿 1≠ − 一 廿 − − − − ー ー
40 20
40 20
20 10
0 0
0 0
鼎・・鼎・・附・■帖 1≠ ≠ ≠ 80
≠・・址 鼎 鼎 ≠ ≠ − 40
12
13
〇A + − − クB 十 十 +
Al(l)ー ■ ー
クBl十 十 十
ークA 一 一 一
■ B 十 十 −
14三宝 二 = ニ
ー − −1≠ 刊十 +什
+ 一 1≠ ≠ 鼎 一 一 寸廿 朝,一肝
− − ≠ト ■Ⅲ・・榊
− − 1≠・肝 鼎
■ − ・肝 鼎 鼎
。 − 1≠ ≠ +什
− . 寸廿 朝一 −肝
≠ 1≠ 1l − − − − 1。
朝・.附 1十 − − ・ ー 1()
≠ 鼎 ≠ ≠ + − − 10
≠ ■朴 1什 ≠ 十 ■ − 10 鼎 ≠ 鼎 鳴 十 − − 20 鼎 鼎 朝 刊・・桂 一 ー 20 鼎 鼎 ≠ ー ー ー ー 10 州・・鼎・・廿 一 , M ■ 10
15芝会
16 クA
DFX17三豊
(クB)
〇万
18 クA クB
19三豊
20 クA クB
≠ 十卜 十卜 十 ー 1≠ ・什 1十 ≠ + 11 十 一 ■ −
≠ 十 十 − 一 十 − − − −
+ 十 − − 一
十 + − − ー 十 十 + ー ー 1十 + + 一 −
≠ 十 十 十 一
・附,■用一 朝 珊・・榊・一帖
肝 鼎」≠
十什 +什 ≠ト
≠ 址 一肛
+廿 鼎 ≠ト 朝・・附1≠
朴1≠ 一批
判− 一世 ■肝
≠ 鼎 朝 刊・一帖」≠
≠ト +什1廿
1≠ 鼎 ■肛 寸汁 鼎 羽十 ≠ 柵 ≠ ≠ ≠ 」≠ ≠ ≠ 鼎.・鼎 1≠ 耕 十 − −
≠ ≠ 1≠ 寸什 十 − ・ 鼎 址 ・廿 十 十 − 一 朝・.榊 1+ 十 + − −
+什 1≠ 1叶 榊,・什 − −
≠ 朝 刊・・朝・・廿 − 一 朝・・Ⅲ 1≠ 1≠ 十ト ー 一 朝 鼎 寸廿 鼎 十ト , ー
80 80
40 40
20 20
0 0
20 20
40 40
その結果両反応において,各反応抗原について何 即ち20頭中沈降反応では12頭(60%°,補体結合
れか一つの反応が場性に現われていれば感作された 反応では16頭(80%°に陽性成績を京した.その成
家兎と看倣した. 置を感作群別にみると次の如くである.
(ー)DFX8 抗原感作群
工けーⅩ8 で感作した4頭(No.1−4°において,
沈降反応ではDFX〇,DFX8両反応抗原供に全部 陰性であるが,補体結合反応では 前者で2頭(50
%°(No・1:96000,No・3:ア2000倍稀釈°,後者 でユ頭(25%°(No.1:32000倍稀釈°に腸性を 京し,他の2萌は陰性に終つている.
(2° DFX〇入坑原感作群
DFX〇Aで感作した10頭(No・5.14°の中,沈 降反応では反応抗原DlブⅩ8 で6頭(No・5−10°
中3頭(50%°(No.5:3200,No.6:12800,
No.10:3200倍稀釈°に暢懐を示し DVX〇A反 応抗原に対しては10頭中5頭(50%°(No.5:64。0,
No.6…128。0,No.7…3200,No.10:12800,
No.11…800倍稀釈°に陽性で他の5頭は陰性で ある.反応抗原DFX〇Bに対しては4頭(No.11 ー14°中3頭(フ5%°(No.11…6400 No.12:
3200,No・13:1600倍稀釈°に陽性で,他の1頭
(No.14°は陰性である.補体結合反応では 反 応抗原DFX8 に対して,6頭中4頭(66.フ%°
(No.5:64000,No.6:128。00,No.7…32000,
No.10:192000倍稀釈°に.反応抗原DFX〇A に対しては,1。頭中(No・5■14°中8頭(80%°
(No.5:96000,No.6…192000,No.7…128000,
No。10…256000,No・11…64000,No.12:128。00
No・13…128000,No.14:64000倍稀釈°,反応抗 原DI手Ⅹ〇Bに対しては4頭(No.11■14°中4頭
(10J%°に陽性で抗原の稀釈倍数は〇A抗原の場 合と全く同一である.
(3° DFX〇B感 作 群
DfーⅩ〇門 で感作した6頭(No.15■20)の沈降 反応は反応抗原 〇A,〇B共に5頭(83.3%°に暢 性で,(前抗原でNo・15:6400,No.16:1600,
No.17…800,No.19…1600,No・20:3200倍数 稀釈に甥われ,鎮者に対しては,各々前者の2倍の 稀釈倍数まで陽性である°.No.18のみが陰性に終 つている.
補体結合反応では DFX〇A,DFX〇ぉの両反応 抗原共に全部(100%°に陽性で,両抗原の稀釈倍 数も各例において一致している.(No■15…2S6000,
No.1617,19,20が共に128000,No.18ははる かに低く16000倍稀釈を示している.
以上20頭を通じて,各々用いた2程の反応抗原に 対しで何れか一方のみ場性甲ものが,沈降反応で3 頭(No.7,12,13°を数えるが,補体結合反応で はNo.3の1頭のみである・又No.1,3,14,18,
の4頭は沈降反応は2軽の抗原共に陰性であるが,
抗補体結合反応は陽性に現われている。
表 3 補体拝合反応 定量法I 反応抗原
感 作 抗 原
DV X
8
D f、Ⅹ
〇 A
「・・‥・. ̄
兎 番 _
(号)_・∴・, ̄了
32000 1 ユ 48000 打 64000 Ⅲ
3
DI√Ⅹ.〇 A
160l漂(抗)
1
− 10 10 20 40 80
鼎 鼎 鼎
DⅠr X 8
10 20 40 80 160
抗 体 価
・・十
− 10
L
O 1
ク 打
Ⅲ
5 Ⅰ ク 甘
Ⅲ
6
7
I ク Ⅱ m
1 ク ]
Ⅲ
サ
10 一
:≠ 鼎 1≠ ≠ 州・+・州
≠ ≠ 鼎 ≠ 鼎 ≠ト
≠
≠
≠
・粧 叫 十ト ー ■ 40 鼎 鼎 十
≠ト ≠ 十
≡■≡耶サ
昔]針二 _ _ 2。−−サ‖…(ー)(40)
+什 十 … −
10
1
ク m
20
10
≠ ≠ 鼎 + 鼎 鼎 ≠ 十 善 鼎 ≠ ≠ …■ ̄ ̄■ニ ̄ ̄ ̄
80
≠.+鼎.__‥牡‖…
鼎 朝 子 士 l廿 .附:■
40
表 4 補体結合反応 定量法]
感 作 抗 原
家
兎
番 号
反応抗原
D F X
〇 A
D F X 〇 A
10 20 40 80 160
抗 一 漂10204080
(DFX〇B)160
抗 体 価
32000 I l1 48000 打 64000 Ⅲ
鼎… + 10
鼎 鼎 十ト
1G
12
I Ⅲ
Ⅲ 鼎 …
≠ト … 士
10 1≠
一件 1+
10
13
†
ク 打
Ⅲ
鼎 ≠ ≡ 亜._…叶_・H…
≠ … 士
20
鼎 †什 鼎 ・肝
≠ 11
20
14
I ク Ⅲ
Ⅲ
鼎 ≡ 一 朝 ≡ ■ 1十 … −
15
I
ク 汀
Ⅲ
10 鼎 鼎
lト
− 10
鼎 寸廿 1≠ 十ト
.肝 鼎 ・附 + 1≠ ≠ ≠ 十
鼎 亜 鼎 朝.
80 珊 瑚 ≠ ≠ 鼎 朝 潮 十
戸
80
≠ 寸廿 鼎 鼎 鼎 ≠ト 1廿 1+
鼎 鼎
+什 十 16
I ク 甘
Ⅲ
鼎 +廿 1≠
州 鼎 寸十 鼎 鼎 +
40
≠ ≡
サ … ー 40 十
− 20
ヨ