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田辺征夫

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Academic year: 2021

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昭和47年 3月 、明 日香村平 田に眠る高松塚古墳 か ら色鮮 やかな男女の人物像 や 日月星宿 図、四神 図の壁画が発見 され、人 々に驚 きと感動 を与 えました。

古墳 は昭和48年に特別史跡 に、壁画は昭和49年 に国宝 に指定 されました。地下に埋 もれ た状態 にある絵画の国宝指定 は前例のない もので したが、国内外 の専 門家 による保存・修 理方法 の検討の結果、発掘以前 の環境 を維持 しつつ現地で保存す ることが最善である と 判断 され、爾来30有 余年 に及ぶ壁画の修理 と保存 の努力が積 み重ね られて きま した。

しか しなが ら近年、石室 内の温度上昇 とともに、壁画 を汚損す る恐 れのある徴 の発生 や、石室内へ の虫の侵入、 ダニの発生 な どが続 き、壁画の保存環境 の劣化 が深刻 な事態 となってい ます。 このため文化庁 は、平成15年 に「国宝高松塚古墳壁画緊急保存対策検 討会」、平成16年 に「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会」 を設置 して、壁 画保存 環境 の調査研 究 と壁画保存方法の抜本 的な検討 を進めて きました。

本書 は、壁画保存環境 の劣化 原 因の解 明 を目的 に、文化庁 の委託事業 として平成16年 度 に実施 した発掘調査 の報告書 です。壁画保存施設建設 に伴 う昭和49年 の発掘調査以来、

実 に30年 ぶ りとなる発掘調査 で したが、築造時の古墳 の規模や形態が明 らか になる とと もに、墳丘 の後世の開削や周溝 の埋没、大規模地震 による墳丘版築層の損傷 な どが壁 画 保存環境 の劣化 と密接 に関係す ることが明 らか にな りま した。

発掘調査 と併行 してお こなわれた石室内の微生物調査 では、 ダニ と徹 の食物連鎖が認 め られ、壁画の生物被害が加速度的 に進行す る恐 れが指摘 されてい ます。 また石室壁面 の漆喰層 も、粉状化や中空化が進行 し、剥落や崩壊 の危機 に直面 してい ます。

こうした現状 を受 けて、平成17年 6月27日 に開催 された恒久保存対策検討会 において、

石室 を解体 し壁画 を修理す ることが決 ま りま した。 これは従来の保存方針 の大 きな転換 であ り、苦渋 の決断で したが、か けが えのない高松塚古墳壁画 を後世 に残す ためには、

やむを得 ない選択 であった と考 えます。

現在、壁 画の恒久保存方法 の細部 の検討が進め られてい ますが、今 回の発掘調査成果 が、高松塚古墳壁画の再生 に向けた解体修理計画の策定や、古墳 の整備計画立案 の基礎 資料 として活用 されることを期待致 します。

最後 にな りま したが、共 同調査 に参加 いただいた奈良県立橿 原考古学研究所、明 日香 本寸教育委員会 をは じめ、調査 の実施 にご協力 を賜 った奈 良県教育委員会、 国営飛鳥歴史 公 園事務所、発掘調査 の ご指導 とご助言 をいただいた研 究者の皆様、関係諸機 関に厚 く 感謝 申 し上 げる次第です。

平成18年 3月31日

独立行政法人 文化財研究所 奈 良文化財研 究所 長

田 辺 征 夫

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