序
律令 国家 を支 えた文書行政の普及 を物語 る陶硯 の出土 は、木簡 や墨書土器 とともに全 国各地の古代遺跡か ら確 認 され、官衡 。寺 院遺跡 の実態解明に とって重要 な手懸 りとなっている。
本書 は奈良文化財研究所が行 なった発掘調査 によって、平城京 か ら出土 した陶硯 資料 を集成す る資料集の第一分冊 として平城宮 跡出土資料 を収録 した ものである。当研 究所 の約50年 に及ぶ平城 宮跡 ・京跡 ・寺 院跡 における発掘調査 によって、1000点 を超 える 陶硯 資料が蓄積 されている。
平城宮跡か らの出土資料がその半分 を しめ、あ との半分 は平城 京、南都諸寺 院か らの出土である。それ らは古代 の遺跡 として群 を抜 いているばか りでな く、伴 出遺物や出土遺構 か ら時期 を限定 しうる資料 の多 さか らも、わが国における古代 の陶硯 の様相 を知 るうえで、第一級 の考古資料である。
ここに収録 した資料のなかには、報告書の刊行 に先立 って報告 した もの も含 まれるが、 これは古代史研 究 における陶硯 の もつ資 料的価値 をかんがみた結果である。本書 に続 き刊行す る F陶硯集 成 Ⅱ―平城京 ・寺院 ―』 とともに、古代史の総合的研究 に大いに 御活用 いただければ幸いである。
2006年 3月
独立行政法人 文化財研究所 奈良文化財研究所長