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ツ 軽部昭夫

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(1)

秋田市内河川水の重金属'*,

軽部昭夫 佐藤孝行

HeavyMetalsofRiverWatersinAkitaCity

AkioKARuBE,TakayukiSATo

1緒

先に著者らは秋田運河を中心に秋田市内河川水の水質

調査を, 1%8年7月から1%9年6月までの1年間毎月1

回おこない,その結果を報告した1)2)。今回そのうち主

な採水試料について,原子吸光法により,銅,亜鉛, カ

ドミウム,鉛の分析をおこなったので報告する。分析の

結果,雄物川,旭川では各成分とも非常に少なく問題な いが,秋田運河の場合は共存物質が多く,分析法の検討 も必要であるが,やや重金属の流出が多いことを確認し た。なお共存物質の影響は興味ある問題なので,塩化ナ

トリウムの場合について検討を試ふた。

2試料と分析法 2. 1試料の調製

先の調査で採水した試料を,試料11につき濃塩酸5 mlを加えて, ポリエチレン製びんに保存しておいたの で,そのうち図1の各地点について,下記の方法で処理

して分析した。

(直接濃縮法)図1の採水地点の全試料についておこ

なった方法で,試料200mlをとり,加熱濃縮で10〜15 mlとし, これに1規定過塩素酸2mlを加え,不純物を ろ過してのぞき,水を加えて全体を20mlとし測定溶液 とする。ただし濃度1ppm以上の亜鉛については濃縮 しないでそのまま測定し, 3ppm以上の場合は逆に10 倍に希釈して測定する○過塩素酸は市販試薬特級を使用

し,水は蒸留水をイオン交換樹脂で処理する。

(ジチゾン抽出法)新川橋の試料についての承おこな った方法で,概略を図2に示す3)。この方法でカドミウ ム,鉛を抽出できる(亜鉛も抽出されるが抽出量が一定 でない)。なお,ブランクについても同様に操作して,

図1採

所定波長の吸光度を求め,試料の吸光度から差し引き,

その値を試料の吸光度とする。抽出,測定の操作は同一

試料について3回おこない,その平均を分析値とする。

ジチゾンは市販試薬特級を精製してクロロホルム溶液と

する。クロロホルムは新しく蒸留する。そのほかの試薬

はすべて市販試薬特級を使用する。

2.2原子吸光分光分析法

次のような機器および操作法による。

Instrument;NipponJarrellAsh,Modell

AA−1

Burner;TotalConsumptionType,Heto‑

*lこの報文を'、秋田市内およびその周辺の水質に関す

る研究(第2報) 〃とする。

*2前報(第1調,軽部昭夫,佐藤孝行,秋田工業高

等専門学校紀要, 5, 85, (1970)

(2)

3結果および考察 3. 1雄物川の結果

各成分とも非常に少なく現在のところ汚染されていな い。特にカドミウムと鉛は検出されない場合が多い。し たがって雄物川の水質では共存物質の干渉も少ないもの

と推定される。

3.2旭川の結果

雄物川よりやや多いが,各成分ともかなり少なく, カ ドミウムと鉛はほとんど含まれていない。

3.3秋田運河の結果

秋田運河は海水の浸入で共存物質がかなり多い上に,

測定は10倍に濃縮しておこなうので共存物質も10倍に濃 縮され,その影響は非常に大きくなる。原子吸光におけ る共存物質に関する報告はそれほど多くないが,NaCl の分子吸光の干渉が波長に応じてバックグランドに加わ ることなどが報告されている5)。しかし干渉の程度は単 にバックグランドとして加わるだけとは結論できず, ま た食塩の量に比例するとも言えない。図3, 5, 7, 9

は食塩の影響量が測定しようとするイオンの量にも関係 すると考え,測定イオンの一定濃度溶液に食塩を添加

し,見かけ上の濃度を検討したものである。図4, 6,

8, 10は海水中の各成分が塩素イオンと比例することよ り,それぞれの測定元素と塩素との相関を示したもので

ある。以上二通りの図をもとに各元素ごとに分析結果を 検討する。なお新川橋の試料についてはカドミウムと鉛

をジチゾン抽出法でも分析したのでその結果も合わせて

検討する。

(銅)大部分の月は新川橋の地点で多く,石油基地,

運河河口としだいに希釈されているo lO月, 11月, 2月

が特に多く新川橋で0.20〜0.26ppmになっているが,

そのほかの月は0.10〜0.05ppmの程度である。 10月

については原因がはっきりしないが,新川橋の地点で

pH3.65と非常に低く,工場排水などによる影響で異常 な状態であったことはたしかである。この月は海水の浸

入が多かったのでこの影響も多少は考えられる。 11月は

運河の取入口である雄物川水門が閉じており,流水が止

ってし、たので重金属の承ならず,各成分とも非常に多 いo2月は冬期褐水によるもので11月の場合以上に多く

なっている')。

銅の分析値は共存物質による干渉があるものと予想さ

れるが,図3は銅溶液に食塩を添加した場合の測定値の

増加を示したものである。たとえば濃度1・0ppmの銅

溶液に0.1モルの食塩(Clとして約3550ppm)を添加 すると一番上の曲線より測定値は1.45ppmとなる。増

試料100"@' 重金属が多い場合は50秘

F万 エン酸アンモニウム ,

中和←一一NH3水( I : I)PH9.5

T ¥ジチゾル加吋州Ⅷ

、' 1回2枢数回(抽出液が緑色にな ってからさらに2回) ,クロロホルム 2秘 2回

洗浄<−−シチゾンクロロホルム溶液2秘

丁肌水( ,川,)

1 ‑r‑

蒸発乾固

‑I‑

加熱溶解ぐ一一IN HCIO4IM',H20少量 全量!̲Qzf←H20

−1−

測定

図2ジチゾン抽出操作法

coBurner

Lamp;Multi‑elementHollowCathode Lamp(Cu‑Zn‑Cd‑Pb)

o o

Source;Cu/3247A,Zn/2139A×2,Cd/2288

. .

A×2,Pb/2833A×2

Current; 10mA

I.M.Volts;460V(Cu)600V(Zn,Cd,Pb)

Fuel ;H20.7kg/cm2

Oxidant ;Airl.Okg/cm2

測定した吸光率は吸光度に換算し,別に標準液より求 めた検量線によって濃度を決定する。標準液は,銅は結 晶硫酸銅から,亜鉛とカドミウムはそれぞれの金属か ら,鉛は硝酸鉛から調製する3)4)oジチゾン抽出法の場 合は試料の吸光度からブランクの吸光度を差引いて分析 値を求め, さらに基礎検討によってあらかじめ求めた抽 出率の補正をおこなう3)。本分析ではカドミウムの場合 は1.13,鉛の場合は1.20をそれぞれの分析値に乗じる。

昭和46年1月

(3)

I藤孝行

おり,図3から推定して0.02〜0.04ppmのずれがあ

るものと考えられる。したがって実際には図4はさらに 右下りになっているものと考える。

(亜鉛)亜鉛の場合もやはり2月が12.8ppmと非常 に多く, 6月, 5月, 8月がこれにつづいている。これ らの月はかならずしも他の成分と関係なく原因が不明だ が,何らかの人為的原因で増加しているものと思われ る。全般的に新川橋の地点で多く,海水の浸入と共に減 少している。図6は亜鉛と塩素の相関図だが強い右下り の傾向を示し,海水の測定値に対する干渉が少ないこと がわかる。このことは図5によっても明白である。した がって図11の亜鉛と表2の分析結果はほぼ実際の濃度を 表わしていると言える。

I 4

2

I 00

0 8

三mE

冠e‑‑e

6 0

.︒

0 4

0 2

0.5×10 1 .0×10 1 .5×104 Clmg/I 0 1 .0

0. 1

0.2 0.3 0.4 0.5mol/1 NaCl

図3NaClによるCu測定値の増加

0.8

宝mE

0.6

亡N

0.30

0.25

0.20

E O. 15

0

0. 10

0笹05

0.4

川の 2①

0.2

P一穂F‑面‑面一言弱

叩① 旧0

0 0. 1 0.2 0.3 0.4 0.5md/1

/NaC!

o

の①勺○OO△今畠

、 ①

qD o 図5NaClによるZn測定値の増加

10 50 100

500 1,000 5,000 10,000 CI (mg/I)

が①①①

'0.00

5.00

①新川橋

O石油基地

△.運河河口 数字は採水月

①①①

図4銅と塩素の相関

︵一︑︑E︶仁N

① 1 .00

量は食塩量のほかに銅イオンの量にも関係するので一概 0.50

には言えないが,原子吸光測定時の濃度が塩素量で1000

ppm以上の場合は影響があると考えなければならない

(10倍に濃縮して測定する場合は試料としては100pp‑

m)。図4は各試料の分析結果について銅と塩素の相関

を示したものだが,いくぶん右下りになり,海水によっ て希釈されていることを示している。しかし通常の場合 石油基地や運河河口では海水の関係で測定値が増加して

のo伽△

・0 7 蝿≦

12

① 0. 10

0.05

0 50 1001 500 1000 5,00010,000 I

CI (mgハ)

図6亜鉛と塩素の相関

秋田高専研究紀要第6号

(4)

秋田市内河川水の重金属

かなり大きな補正値が必要となるので,実際は新川橋よ り低い値になる。新川橋の試料についてはジチゾン抽出 法による分析もおこなったが, この結果は図11のように 直接濃縮法の結果とよく一致しているO全般的には直接 濃縮法が多少低い値になり問題があるが, この程度の共 存物質量ではそれほど大きな干渉は受けないo 7月と9 月は直接濃縮法の方が高くなっているが, これは海水の

影響であることが塩素イオンの分析値からもわかる。

(鉛)鉛は海水の影響をもっとも強く受ける元素であ るOこのことは図10の右上りの曲線からも明白であり,

また図9の曲線によると鉛量の多少にかかわらず影響を

(カドミウム) カドミウムは公害の原因として現在最 も注目されているイオンであるが,やはり2月に最高

0.105ppmと異常値を示し, この値は排水基準をも上 まわっている。つづいて11月, 3月, 5月が多く,新川 橋ではほぼ0.05ppmになっておりかなり高い。図8に よると塩素が500ppm以上の石油基地や運河河口では かなり分析値の増加がゑられ,右上りのはっきりした曲

線になっている。このことは図7の結果からもわかり,

I

I

0

二mE 二mE

0

で︒

0

ロa

0

,L¥j当営二等鶉巽

]−5×Iが 1 −0×肌 ]−5×ln4 1 .U×IC

NaCI

図7NaClによるCd測定値の増加

J・ 0.2 0←3 0−4

NaCl

図9NaClによるPb測定値の増加

2

○(0. 105)

0.8

0.8

△ 趣

△△

叩︒・ぬふ

︵三mE︶で︒

70

0○

○ ○ の

①のの① 64●●00

︵二四E︶・a

0.6

ザ帥 △・

0.4 △O△

毎レハ

0.2

① ①

Q

①①の

OO

m

0.2

10 50 100 500 1,000 5pOOO10,000 0

CI (mg/1)

10 50 100 500 1,000 5,00010,0m CI (mg/1)

図10鉛と塩素の相関 図8 カドミウムと塩素の相関

(5)

0.25

0.20

0. 15 0. 10

一世mE.︒

g−O−C

/0.05 00000208642

●●●●●I10OOO

一匹﹃︾︒■卯幸.︽空︑︾︽酉〃﹄0■■■●●●●●■

宝画E仁N一﹃︑Eで︒

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5050522110

●●●●●

00000

︵一︑︑E︶pQ.

、亀

200 160 120 80 40

三四E一○

トー0−℃ 圭一

7 8 9 10 1 1 12 2

3 4 5 6

11

■■

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Ⅱ■■

Q Q Q ロ 血 ■ 凸 B a a .

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I

n a b ロ ■

︒︾卓﹄一画ゆ﹄■﹄一

Q Q 8 0 a

( 150

18

﹄や﹄ロ■﹄■・P■

I

(6)

秋田市内河川水の重金属

の水量が多く分析値が低い場合でも汚染物質の排水量は 一定であり,現在の基準そのものに問題がある。いずれ にしても現在以上の汚染が起らないように十分注意する ことが必要である。

次に重金属の分析法だが,共存物質の多い臨海河川で は亜鉛をのぞきかなり問題がある。ジチゾン抽出法でカ

ドミウム,鉛はほぼ妥当な結果を得るが, この方法は操 作行程が多く多数の試料を少ない人数で処理するのは困 難である。したがって濃縮法を併用した方がよいが,そ の場合は他の成分,なかでも塩素イオンに十分注意する ことが必要である。石油基地と運河河口の抽出法による 分析および共存物質の影響に関する検討など現在続行中 である。

受けることになる。新川橋の場合について承ると, 7月

iと9月が著しく多いが,ジチゾン抽出法で分析した結果

では,ほかの月とほとんど変っていない。これは塩素イ オンの分析値でわかるように海水の干渉を受けているた

めである。したがって真に多いのは2月と4月で約0.18 ppm,そのほかの月は0.1ppm以下であるo 2月が多

いのはこれまでの説明と同じだが, 4月については原因

が明らかでない。石油基地や運河河口もかなり高い値に

なっているが,海水の影響によるもので,実際は新川橋

よりもかなり低いと言える。

4結

今回の分析結果を総合すると雄物川,旭川は現在のと ころ汚染されていないが,秋田運河の場合秋田県の規準 内ではあるが6) ,かなり重金属の流出があるといえる。

汚染は新川橋の点で多いのでこれより上流に発生源が

ある。さいわい秋田運河は比較的水量が多いので分析値 としては低い値に出ているが, 2月の場合のように水量

が少ない場合は極端に高い値になる。したがって秋田運 河や日本海岸全体の長期にわたる汚染を考えると,河川

終りに本研究に御指導,御助言くださった秋田大学佐 原良太郎教授,秋田高専萩野堅教授ならびに分析法の資 料をお送り下さった岡山大学小林純教授に深く感謝の意 を表します。原子吸光の測定は秋田高専豊島幸子氏の御 尽力によるところが多く深謝いたします。

表1分析結果〔銅〕 (直接濃縮法)

表2分析結果〔亜鉛〕 (直接濃縮法)

採水月雄物川旭川新川橋石油基地運河河口

0.075

0.115

0.130 0.210 0.252 0.110

0.075 0.056 0.040 0.017 0.071 0.045

0.189 3.30 0.0%

1.430 1.465 0.147

0.053 0.080 0.056 0.077 0.440 0.146 0.140 0.079 0.142 0.092 1.81 0.154

0.050 0.056 0.055 0.125 0.085 0.132 0.138 0.054 0.086 0.072 0.103 0.153 0.035

0.020 0.011 0.035 trace 0.015

0.060 0.070 0.065 0.185 trace 0.070 0.075 0.100 0.077 0.045 0.030 0.052

0.050 0.050 0.066 0.125 0.037 0.050 0.035 0.050 0.073 0.035 0.045 0.032

789蛆u胆123456

0.144 0.033 0.028

0.043 0.102

0.027 0.024 0.025 0.025 0.031 0.037 0.026 0.010

0.023 0.008 0 trace

0.010 trace 0.015 0 0.010 0.008 trace

789岨Ⅱ胆123456

0.042 0.043 0.025 0.039 0.080 0.009

0.025 0.015 0.024 06014

0.255 0.075 0.058 0.065 0.105

12.8 2.60 2.80 4.40 5.50

11

平均 0.045

│ ,"│ ・

平均 0.007 0.018 0.132 0.069 0.054

0.048 0.092

(単位mg/8) (単位mg/")

昭和46年1月

(7)

表4分析結果〔鉛〕 (直接濃縮法)

表3分析結果〔カドミウム〕 (直接濃縮法)

峠掴呵旭Ⅲ' │新川橋│石油基地│運河河。 採水月│雄物'1 1垣Ⅱ' │新川橋│石油基地│運"ロ

採水月

789岨u胆123456 OOOOOOOOOOO韮

0.50 0.38 0.41 0.57 0.59 0.27 0.26 0.78 0.37 0.57 0.35 0.57 0.05

0.31 0.45 0.54 trace

O O O trace

O

0.024 0.022 0.037 0.043 0.049 0.025

0.060 0.030 0.060 0.066

0.064 0.005 0.060 0.056 0.040 0.026 0.022 0.051 0.038 0.040 0.028 0.035

7.89岨uu123456

0.02 0.02 0.03 0.02 trace O

・0 0 0 O trace trace

0.05 0.04 0.02 0.04 trace

O

trace

trace 0.21 0.10 0.29 0.12 0.10 0.06

■■■■■■■■■■■■

0.09 0.16 0.55 0.17 0.43 0.12 0.49 0.019

0.024 0.049 0.032 0.037 0.023 0.026

■■■■■■■■■

0.15 0.0う 0.15 0.11

OOOO韮

0.05

0.105 0.051 0.017 0.046 0.037

平均1̲ol' │ 'MIM,' │ 0.039 聿葺F万TTM,│ ・旧 0.31 0.47

(単位 (mg/@)

軽部,佐藤,秋田高専紀要, 5, 85, (1970)

秋田大学鉱山学部地下資源開発研究所報告投稿 準備中

小林純,厚生省公害課提出資料

日本分析化学会北海道支部編, 解説水の分析',

東京化学同人, 1966

菅野,大八木,分析化学, 19, 877, (1970)

秋田県公害防止条例(昭44)

(単位mg/8) 表5新川橋の分析結果(ジチゾン抽出法)

Cd l Pb

採水月 Cd I Pb 1)

2)

採水月

789岨u胆

0.022 0.024 0.028 0.047 0.061 0.037

0.09 0.08 0.07 0.08 0.11 0.08

0.116 0.054 0.020 0.054 0.047

0.18 0.07 0.18 0.09 0.05

23456

3)

4)

5)

6)

平均

0.046 0.10

(単位mg/8)

参照

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