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田辺紀夫 た な〈: のり 卑

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長崎医学会雑誌第33巻第11号(増刊号) 169‑ 179京       169

バンクロフト糸状虫症の免疫血清学的研究補遺

其の二 Dirofilaria immitis抗原による糸状虫症患者の抗原抗体反応

長崎大学風土病研究所(芸床部芸2研霊室主霊芝芸孝諾教芸)

長崎県立出島病院

田辺紀夫

た     な〈:    のり     卑

著者は前報において,犬糸状虫抗原を用い て,家兎の感作実験を行い,同虫体に強い抗 原性のあることを確認した.人糸状虫症患者 についても,程々の免疫学的観察が行われて 来ている.例えば,皮膚反応についてほ, Taliafero‑Hoffman 1930, Fairley 1932, 小林1935,文1940, ‑の瀬1942,妹尾,秤 罪,呉1943,高山1952,片峰,青田1952,

岡部,山口,山下1954等,沈降反応について 紘,仲地1930,村上1935,小林1935等,補体 結合反応ほざFairley 1931‑32, Lloyd‑Cha‑

ndra 1933,小林1935,池田1936, Goodma‑

nn!945, Warren 1946, Culbertson 1944, Minning 1956, Ridley 1956等の報告があ る・これら由成績をみると,一部他の寄生虫 との問に,額属反応がみられるが,バンクロ フト糸状虫の寄生により,免疫抗体の発生が あることは否定出来ない.

一方,人糸状虫症の臨床的経過をみると, 感染後,真の意味の潜伏期の後,血中に仔虫

が出現し,所謂無症状仔虫陽性期を経て,く さぶること呼ばれる発熱発作,或はせんきと 呼ばれる精系淋巴管炎等の急性症状が襲来す るようになる・この急性発作を操返している

うちに,陰垂水腫,乳摩尿症,象皮病等の慢 性器質的病変が発展する・恐らく,本症ほ数 年乃至十数年にわたる長い経過をたどるので あるが,病歴が古くなると,血中の仔虫は陰 性化し,急性発作も消失する・

さきに,片峰,有里,森口等ほ詳しい臨床 的観察を行っているが,このような人糸状虫 症の症状発生過程,特有な経過において,免 疫現象が如何なる役割を呈しているかについ ては,詳しくふれているところが少い・

著者ほ犬糸状虫抗原を用い,多数の糸状虫 症患者血清との間に,沈降反応,補体結合反 応を行い,各満期における抗体発生の経過, 抗体価の消長を観察し,それが症状の発生, 経過,仔虫の消長と如何なる関係にあるかを 追求した・

実験方法及び材料

Ⅰ 抗   原

沈降反応には前報の実験に供した抗原(DFx) (製法はその項参照)に3倍量のアルコールを加え, その沈培(4000 Tpm 30分〕を同量の生理的食塩水 に溶解したものを抗原原液(100倍液)として用い た.

*長崎大学風土病研究所業蔚第295

補体結合反応には前報の実験に用いた1000・OTp皿 のものを使用した・

¶ 抗  血  清

すべて肘静除から採血し,遠心沈澱により分離し た.沈降反応には原血清のままを用い,補体結合反 応には,反応実施前に非動性(56‑C 30分)にした

(2)

170      田

ものを10倍に稀釈して使用した・

Ⅲ 沈 降 反 応    /

重層法により,前記抗原原液を1, 2, 4, 倍に倍数稀釈し100, 200, 400, 800倍稀釈抗原と

し,初め感染者30例,非感染者20例について反応を 実施し,後者に対して全部陰性成薦を得た800倍稀 釈抗原による成績をもって判定した・

Ⅳ 補体結合反応

梅毒血清反応における緒方法に準じた.前記抗原 を叩, 80, 160, 320倍に倍数稀釈し,それぞれ4000, 8000, 16000川 32000倍稀釈抗原とした・なお,用い た抗原稀釈倍数液では,抗補体作用,溶血作用は共

に認められなかった・

†感 染 者(患者〕

沈降反応に供した感染者は,長崎市近郊のフィラ 実  験

Ⅰ被検患者の内訳(表Ⅰ)

被検患者110例〔沈降反応79例,補体結合反応31 例)の内訳を年令別に分けてみると, 10‑20才21

1ノ

倒, 21‑30才31例, 31‑40才15例, 41‑50才14例, 51‑60才18例, 61才以上11例である・これを症状別

に分けて年令的関係をみると,無症仔虫陽性者は50 例で, 30才以下が45例で,その大部を占めている・

急性疫状(くさふるい,せんき'せんしやく)のみ を有する者は22例で,大部分が31才以上で19例を教 える.急性症状と慢性症状とを合併しているものが 7例あるが,そのうち6例が51才以上のものである・

叉慢性症状のみを有している者は29例で,そのうち 25例が31才以上に属している・即ち有症状者は58例

で,その大部分の51例が31才以上である・これを要.

するに, 30才以前のものには無症仔虫陽性者が多 く, 30才を境として有症状者が増加する'・ 50才を越 すと慢性病変を有する仔虫の陰性化したものが増加

リヤ浸窪地である飯盛村田結(北高来郡〕 30例,長 浦村(西彼杵郡〕 14例,長大皮泌科外来及び入院中 の糸状虫症患者13例,及び県下某自衛隊員22例,計 79例である・補体結合反応に供したものは,前記以 外の某自衛隊隊員10例,及び福江市(南松浦郡) 21 例計31例である・

Ⅵ 非感染者(対照患者及び健康老) 沈降反応の対照として用いたものほ,長大皮泌科 職員及び入院患者のうち糸状虫感染とは関係ないと 思われたもの計50例である・補体結合反応の対照 は,県立出島病院の職員及び外来患者と長大皮泌科 入院患者で,前記同様糸状虫症を否定し得た者計20 名である・なお,寄生虫卵検査は塗抹法(3枚宛) によって一回だけ検査した・

成  績 する.

丑 全患者についての成績(表Ⅰ) 1)沈降反応(衰m,表Ⅳ)

患者合計79例に沈降反応を行ったが川 先づ川 予備 実験として,感染者30例,非感染健康老20例につい て.色々の稀釈倍数で反応を行ってみた・成綻ば第

1図に示すように感染者では100倍で27 (90#), 200倍で25 〔83・3%〕, 400倍で20 (66.7^〕, 800倍 で14 (46・7%)の陽性成績を得たが,対照健康着で もIそれぞれ100倍19 (95*) , 200倍11(55#), 400倍4 (20#), 800倍0%の陽性が認められ,抗 原稀釈400倍以下では可成りの非特異的陽性反応が みられる・しかし800倍に稀釈することにより,対 照健康者は0%となり,患者でほなお, 46.7^の 特異的陽性が残る・従って川 成績はすべて800倍稀 釈抗原の反応結果で判定することにした・沈降反応 表Ⅰ 被検患者の内′訳

\‑\ 年令

⊥匝…埠∵ \\\‑ \

無症仔虫陽性

10  21   31 20  30    40 20  25

41 50

51  61

60  上

o l

2 1 4 i o

1

3 1 5 0     4 6    9 1    0

50

急 性 症 状 急 性 + 慢 性 慢 性 症 状 既往症のみ現状なし

1   2 0   0 0   4 0   0

9 1 4 0

2 6 1

2

2 2 7 9 2

21  31 15  34 1旦̲ 11 110

(3)

バソクロフト糸状虫症の免疫血清学的研究補遺 第1図 沈 降 反 応

m Jβ〃

ー0

+. . + +

I+

+I+

一   虐殺者(3U例)

‑非感染者(Zロ刷)

□ □

100*  200*  400*  800*抗原

感染者 90   83   67  47^

非感・染着 95   55   20   Q%

表Ⅰ 反 応 成 績

i

ミ≡‡̲三=

沈 降 反 応

換数‥詐i?*

補体結合反応 枚数l磨.a?' o

感 染 者

非感染者

79 50

42 4

53.16 8.0

31 20

23 0

74.2 0

成績を総合すると,感染者は79例中42例(53.16#〕, 対照健康老50例中4例(8.0%)の陽性成蘇を得, 両者の間に有意の差を認める・

2〕補倖結合反応(表†〕

前記犬糸状虫抗原(10000TPin〕を用いて,感染 者31例,対照健康者20例(健康老4'潜伏梅毒8, その他8)について補体結合反応を行った・対照非 感染者は全例陰性で,感染者では23例(74・2%)の 陽性成績を得た・なお,陽性反応を呈した抗原稀釈 倍数は最低4000倍最高32000倍で,前報の感作家兎の 場合と比較して明かに抗体価が低いことが窺われ る・

Ⅲ 腸内寄生虫卵との関係(表Ⅵ)

沈降反応被扱者のうち感染者19例,非感染者29例 計48例について虫卵検査を行った・そのうち前者10 例,後者6例に寄生卵が発見された.これらに対す る反応結果は,感染者では虫卵〔+)の者10例中

171

反応(+)と(‑〕が共に5例宛で相半し,虫卵 (‑)の者9例は反応(+) 5例,反応・(‑) 4例 で,ほゞ半数に陽性成績が現われている・非感染者 では虫卵(+)の者6例中反応〔+〕 1例で川 他の 5例は反応(‑)である.虫卵〔‑)の考23例は反 応(+) 3例,反応(‑)20例である.以上の結果 から,先づ虫卵との関係はないものと解釈される.

補体結合反応の被換者は虫卵換者は行っていない が川 この反応は特異的の結果を得ているので,恐ら く寄生虫卵との関係は否定出来ると思われる・

以上の成揖から感作家兎の場合と同様,人糸状虫 症においても,補体結合反応の方が斂敵性におい て'叉特異性においても勝れているように思われる が'沈降反応も800倍抗原を用いることにより充分 特異的反応を得ることが出来る・

Ⅳ 患者年令より見た成績〔表Ⅶ〕

両反応の成蔚を年令的にみると, 10‑20才では, 沈降反応20例中7例(35.0#),補体結合反応1例

t

のみで陽性i 21‑30才では,それぞれ21例中1ユ例 (52・4%〕, 10例中5例  ), 31‑50才は22例中 14例(63.6#), 7例中6例(85.7^〕, 51才以上は 16例中10例(62.5#), 13例中11例(84・6#),とな っている・これを30才以下と31才以上の両群にわけ て比較すると,前者ほ43・7#, 54.^ ′ 後者ではそ れぞれ, 63.2^, 85^の陽性率で両者の間に両反応 とも有意の差が認められる.

更に補体結合反応について川 抗原の稀釈倍数から.

その抗体価をみると, 30才以下はすべて無症状仔虫 陽性着であるが, 16000倍に達するものは僅かに2 例で,他の4例は4000‑8000倍に過ぎない.これに 返して川30才以上の患者は32000倍6例; 16000借 倒,唯乳廉尿症の3例を除いて,大部分が16000‑

432000倍で川 前者に比して抗体価も文高い(衰Ⅴ〕・

要するに30才以下には所謂無症状仔虫陽性者が大 部分で'一般に年令が進み'病歴が古くな.るにつれ て陽性率,航体価,共に上昇する傾向がある.

† 症状より見た成績(表Ⅷ)

被換者の反応成蹟を症状の有無によって比較して みると,無症状感染者即ち無症状仔虫陽性着では, 沈降反応40例中19例〔47・5%〕,補体結合反応10例 中6例(60#),有症状者は,それぞれ, 39例中23 例(59#), 21例中18例(81*〕に陽性で,両反応 共に既に症状の発現している患者が症状のない初期 患者より陽性率が高い・

更に有症状老を病期,症状により分けてみると,

(4)

172

表 皿  沈降反応成揖(感染者〕

"ff孝;孝孝=孝孝孝孝8Ji買E蔓

31 ク  17 32  a  19 33  ク   23 34  ク   42 35  9   44 36  a si 37  2   40 38      58 39  ク  17 40      28

子子享‑i‑‑‑i

32 ク40クク ク58クク 824なしなし 22

20 20 ク19クク 22 21 21 22 24・

'/'/

19 22・/ 22 '/21 24 20 ク19クク 18 23 20ク 20 18

星1u・星

」+

+

+  ≠

+ +  抑

+ +  + +  + +  ≠ + +  ≠ト

+  榊 +  H

+   + + +  柵ト

+   +

」+

+   + 空目⊥

なし

'/

K

なし

4‑

S '/

K

なし

IH

なし

現  反  仔  虫

No.

+ + + + +

」+

+

+

+ +汁

」廿

+

+

‑m‑

+ + +

なし

//

^ z K

^ H if莞 H

H,S

H

H,E,K

C

なし

ク    ケ

^    ^ ク   ク

K S,H

ク   K

K,H

K ク    ク

+ + +

+ +

+ +

+ +

+ + + + +

+ + +

+ + +

+

+

+

+

+ +

+

+ 41 42 43 m 45 46 4了 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 了2 73 74 75 76 77 78 79

K‑くさふるい  S‑せんき,せんしやく  H‑陰垂水旺 C‑乳廉尿 E‑象皮病

(5)

パソタロフト糸状虫症の免疫血清学的研究補遺 173 表 Ⅳ  沈降反応成績(非感染者)

22 28 41 27 23 26 30

尿‑

尿 No

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ll 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

s

'/

?

'/

/y

^

^ '/

・. .I

^

^

^

'/

a

^

^

? '/

I

聖l芸警孝

44  ク  17 45  *  18 46  ク   20 47  ク  17 48  *  19 49      18 50  ク  18

+

+

+ + 病 名

健 康

2了 36 43 23 20 21 20 21 20 20 20 20 20 32 24 43 46 24

^ '/

華 丸 結 管 結

川レ

m 潜 伏 梅 毒

‥リテマトーデス 円 形 脱 毛 症 健      康

尿 管 尿 道

ノク

'/

結 石 狭 窄

くさふるい,せんき等の急性症状のみのものでは, 沈降反応17例中12例(了0・6#),補体結合反応5例

中5例(100#〕,急性症状と慢性器質的病変を合併 しているものでは,それぞれ, 5例中4例(80#〕, 2例中2例(100#〕,慢性症状のみで,くさふるい 等の急性症状の現症のないものでは, 17例中7例 (41・2#), 12例中10例(83.3#)である.即ち両反 応共に急性症状の現症のあるもの合計29例中沈降反 応72.7卑,補体結合反応100^で,きわめて高い陽 性率を示している.急性期をすぎて,発作の消失し

・た慢性患者では低下している.ことに過去において 一過性に数回のくさふるいの発作を経験L/たのみで

後遺症をしていない経症者は全例陰性である.

補体結合反応の成績から各症状別にその抗体価を みると,無症状仔虫陽性者は総て30才以下の若年者 であるが,大部分は4000一自000倍で16000倍を越え るものはない・これに反して有症状者は大部分が 16000乃至32000倍の稀釈倍数を示している,ことに

^

/7

<?‑

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4‑

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+

+

現準急性症状のある7例は総て陽性で抗体価が高 い・そのうちで特に興味があるのは乳廉尿症の3例 で,これらは沈降反応では陰性に終ったが,補件括 合反応では, 4000倍でやつとつかまえることが出来 た.即ち有症状老のうちでは,乳廉廉症は特別で' 抗体価が低下していることが窺える・

各病期を年令別に沈降反FF・の成蔚を観察してみる と,無症状仔虫陽性期では, 10‑20才で19例中7例 (36.8#), 21‑30才16例中10例(62・5%〕, 31‑50才 5例中2例(40^〕で,同じ無声状仔虫陽性期で ち,年令が, ・くさふるい・の最も多いと思われる20‑

30才台に近づくに従って陽性牽が高くなる債向があ り, 31才以上50才になっても症状発生がなく無症状 に経過する症例では抗体価が低いことが想像萬来 る.急性発作常習者では10‑20才台1例ほ陽性, 21

‑30才2例中1例050#); 31‑50才10例中9例

〔90%〕, 51才以上10例中6例(60#)で,発作襲来 の最盛期と目される31‑50才台が最も高い陽性率を 示している・

(6)

174 田         辺

表 Ⅴ  補体結合反応成績

染     者      非   感   染   者

No 性年琵萬 監

別 令 症 症 40n

原 稀 釈

清‑1:10)

n‑100 80n 160n 320n

仔N..早

虫   別

年   病

Egg

「丁

抗 原 稀 釈

(血清‑1:10)

n‑100 40n 80n 160n 32(Jn

1 2 3 4 5 6 8 9 10 ll 12 13 m 15 16 in 18 19 20 21 22 23 24 25 26 2了 28 29 30 31

s

'/

4‑

^

^

^

?

^

4‑

? 3 //

^

? a

?

^

?

18 21 22 22 23 23 23 24 25 28 30 34 36 38 si 46 54 54 55 58 61 61 65 68 68 68 71 74 60 41 48

なし

^ '/

'/

K H S S.H K K K K

K なし

S 班 S H K K S 珀 S H K ttし K K S S H K K H S H S H S f王

なし C

ク   C ク   C

≠ +

+ 一

肘 ≠

≠ ‑ +

」H‑ + ‑ ‑

‑H‑ + + ‑

4ft ‑tt‑ + 一

榊 榊 ‑H‑ + 仙 廿 + ‑

+ ‑ ‑ 一

肘 榊 榊 + 川 ≠ ‑トト + 仙 川1ト + 榊 榊 榊 +

十け 川 + ‑ + ‑ ‑ ‑ 榊 榊 + ‑ 州 十[‑ + 肘 榊 ≠ +

・       二  ・

料.廿 ‑ ‑

+ ‑ ‑ ‑ + ‑ ‑ ‑ + ‑ ‑ ‑

表Ⅵ 寄生虫卵との関係(沈降反応〕

+ + + + + + + + + +

輿

感  染  者  非 感 染 者

換数l反 叫枚数l反 応

+ 10 + 5

‑ 5 9

+ 1

‑ 3

9 + 5

‑ 4 23 + 3

‑20

19 +10‑ 9 29 + 4‑25

1 2 3 4 5 6 n 8 9 10 ll 12 13 1C!

15 16 17 18 19 20

K

&

^ a /y

? d

^

//

? 3

19 18 20 43 ll 29 31 33 49 58 60 79 27 m 32 m 26 57 70 63

健   康・

s/

先天梅毒 潜伏梅毒

'/

^

4‑

副畢丸結核

&

皮 膚 炎

皮膚筋炎 勝跳腫痘

遁 走 腎 高 血 圧

S‑せんき,せんしやく 1{‑ くさふるい 班‑陰垂水腫 C‑乳廉尿

二..二       . ⊥二       二

T       :二=      : ‑

Ⅵ 血中仔虫の有無との関係(衰Ⅸ〕

沈降反応を行った79例について,仔虫の有無によ り,その反応成績を比較すると,仔虫陽性老48例ほ 26例(54.2^〕に,仔虫陰性老31では16例(51.6 形)にそれぞれ陽性で,両者の間に大差がない・仔 虫陽性者48例中40例は所謂無症状仔虫陽性着で,・そ の陽性率は前述のように47・5%で最も低い・仔虫陽 性の有症状者が8例′ぁるが,その陽性率は87.5%

(8例中7例陽性)で格段に高い・有症状老でも仔 虫が陰性化すると陽性華が低下するが,無症状仔虫

(7)

Jlソクロフト糸状虫症の免疫血清学的研究補遺       175 表 Ⅶ  年令別反応成績

三≒三二〒・

沈.降  反  応 検 数l反応(+)

補 体 結 合 反 応

検 数t反応(+)

10 ‑ 20

21‑ 30 20ui21J41 ll 18 35.052.4i43.7 i '・1 去i6

31 .‑ 50

50 以上

王昌‡24

38

79 42

63.6 62.5i63.2

l

l芸‡20

53.2 31

1冒‡17

100 50 85.7 84.6 i

i 54・5

85.0

23 74・2

表 Ⅶ  症 状 別 成 績

反応別  沈   降   反 症状別      検  数 反応(+)

補 体 結 合 反 応 枚 数 反応(+) i  #

・9⊆

231

47.5 59.0

きl 10

無症状仔虫陽性E 40 60.0

il

有 症 状 老 39 21   17      81・0

急     性

急性

魂 症

+慢

m

17

5 EM 0

I 12 4 7 0

フ0・6 80・0 41.2

0

5 2 19 2

79 42

表 Ⅸ 血中仔虫の有無との関係(沈降反応)

53.2 ∃ 31 5 2 10 0

100 100 83・3

0

23 74.2

症状及仔虫有無 l枚数反応(+) %

……・.≡ )54.2

8了・5川 51.6

無症 仔虫 (+)

+

」+

1≠

;≡148 1… 26

有症

仔 虫(+〕

仔 虫〔‑〕

8」

31

7」

16

陽性老のそれよりも高い・補体結合反応の成績でも 同様の傾向がみられる・

無症状仔虫陽性老のみを取上げて. 60cmm中の 仔虫数100隻以下のもの(+〕, 100‑200隻を(≠), 201‑500隻(H), 501隻以上(榊〕として,斤虫数 と反応陽性率の関係をみると, 200隻以下のもので は28例中12例(42.9#), 201隻以上では12例中7 例(53.4#)に陽性で,仔虫数の多いものに陽性率 が高い傾向がある・しかし個々についてみると,午 令の非常に若い2例では,仔虫数が非常に多いにか かわらず反応陰性で奉った†こんな症例などでは'

仔虫数よりも,前に述べたように年令即ち感染後 経過年数が重要な関係をもっていることが窺え

る・

Diethylcarbama王ine投与(=よる副作用と の関係(表‡,表刀)

某自衛隊員調査によって得た仔虫陽性老で,未 だくさふるいの経験のない所謂無症仔虫陽性者22 例(被換No・58‑79〕について,スパTiニソ1日 量0.3亙を1日3回分服' 2週間投与で治療を行つ たが,そのうち11例に服薬開始当日から7日位の間 に'発熱〔370‑38‑C〕,頭痛,全身倦怠等の全身 症状がみられた・更に12例に服薬開始後,日数は多 少異るが,概ね3‑10日頃から下腹部より陰褒にか けて,牽引痛,陰褒腫脹などを訴え,触診すると陰 褒は僅かに浮腫状に腫大し川 精系は両側にわたり除 菌内の所々に大豆太から把持頭大までの比較的固い 腰痛を触れ,その数は1乃至数個で庄痛がある・

この腫癒の組織所見ほ'新旧の相違はあるが)フ ィラリヤ症の発生経過中に現われる精弄淋巴管炎の 組時像と全く一致している・これらの副作用と沈降

(8)

176       田         辺

表 X Dicthyl・carbamizi口e投与による副作用

・・ ・ 二三章二≒÷:‑^‡

58 59 60 61 62 63 64 65 66 6了 68 69 70 71 72 了3 74 75 76 77 78 79

24 22 20 20 19 22 21 21 22 24 19 22 22 HI 24 20 19 18 23 20 20 18

141 17 128 190 19 791 11 99 16 110 24 431 448 30了 17 86 1157 101 236 59 119 96

02 01

(⊃2

(⊃

(⊃

⊂)

0 0

〔⊃

2 2 2 3 3 1

1

03 05 05

(⊃5

03

⊂)10

03 010 03 05 010 05 03 010 03

(⊃3

03 03

(⊃3

アラビア数字は発生までの日数

+

+

+ + +

+ + + +

+

+

表XI Diethylcarba甲izine 投与による副作用 と沈降反応成績

副作用有無.枚 数反応(+〕  % (+)

〔‑〕

15 7

10    66.7 28.6

全 身 反 応 陰嚢局処反応 腫 療形 成

ll 7 12

9 5 7

81.8 71.4 53.3

反応結果との関係をみると‑〔表H)何れか1つの副 作用のあった者は15例中10例(66.7#)に陽性反応 を呈し,全く副作用を認めなかった老の陽性率7例 中2例(28.6#)に比較して,前者がはるかに高い 率を示している・

各々の副作用についてみると,全身反応のあった 者は11例中9例(81.8#)川 陰嚢局所反成のあった 老は7例中5例(71.4#),腰痛形成のあった者12 例中7例(58.3^〕で,.全身反応のあった者が甚だ 高率である・

考察並に総括 第一報で述べた犬糸状虫抗原を用いて,メ

ンクロフト糸状虫症患者合計110例の血清に ついて,沈降反応又は補体結合反応を行つ た・

(1)沈降反応ほ患者79例に,銃床800倍に て53・16%,補体結合反応は31例に74・2%の 陽性反応を認めた・対照健康老ほそれぞれ, 8・0%, 0%で一応両反応共に糸状虫感染者に

比較的特異的な反応成績を得ることが出来 た・糸状虫症の沈降反応について,我国でも 仲地,村上等の業績があるが,いづれも動物 感作実験を主と̲したもので,患者血清につい ての症例は極めて少く,著者の成績との比較 は困難である・之に反して,犬糸状虫を抗 原とした補体結合反応については, Fairley (1931‑32), Lloyd‑Chandra (1933)‑ 小林

(1935〕,池田(1936〕 Goodman (1945), Warren (1946〕, Ridley 〔1956〕, Minning (1956〕,其の他多数の報告がある.これらの 反応成績を通観すると,その陽性率ほ‑最低18

%,最高100%で,可成りの開きがある.こ れほ恐らく,抗原製法及び反応術式,被検患 者の内訳の相違など種々の原因が考えられる・

堰,池田の場合,著者の実験と同様長崎県下 の患者を対称としたもので,総計61例中39例 64%に陽性で,著者と近似の成績を得ている

ことが注目される・著者の場合ほ対照健康者 は全例陰性で,特異性の点で池田の成績に勝 っている・

寄生虫卵検査ほ一回のみで,見かけ上の成 績に過ぎないうらみほあるが,補体結合反応 でに勿艶味降反応でも 800借稀釈抗原を

(9)

I;ソタロフト糸状虫症の免疫血清学的研究補遺       177 用いることにより,腸管内寄生虫との間の額

属及反応も‑応は否定出凍る特異的な反応を 呈する・これは恐らく,反応術式と■して著者 が行った緒方法が,従来のブローニソグ法よ り鏡敏に,特異的に抗原抗体反応をつかみ得 た結果であろうと考えている.

小林,池田などは梅毒,或ほ鼠瞭症など忙 陽性反応を呈することがあると述べている が, 8例の梅毒血清について行った著者の成 績でほ梅毒抗体とほ無関係と考えられる・

陽性反応を呈する両反応の抗原稀釈倍数か らみると,患者における抗体価は,実験成作 家兎に比べて,かなり低いこ.とが想像出来 る・例えば,補体結合反応の場合,家兎の 32000倍乃至256000倍に比べて,患者でほ最 低4000倍,最高32000倍に過ぎない・しかし ながら糸状虫の寄生によって,人体において ち,特異的な抗体産生が起っていることほ確 実である.

(2)被検患者の構成をみると,無症状仔虫 陽性老ほ30才以下のものが大部分で, 30才を 境として有症状者が多くなり,しかも仔虫陽 性率は年令と共に漸減し,慢性.症状を有する ものでほ,仔虫を認めないものが多い・急性 症状のくさふるいの最盛期ほ2C‑40才の問に あるのもと思われる.このことほ既に,片峰 等が詳しく述べている通りで,感染者の年 令,病歴,症状の発生経過及び仔虫の消長の 相互関係は,バンクロフト糸状虫症における 一大特長といえるが,本症の発生機序を考え

る上に重要な示唆を与える事実である・

(3)こういつたバソクロフト糸状虫症の一 般経過との関連において,上記79例について 行った沈降反応の成績を検討してみたい.

先づ,患者年令との関係をみると, 30才以 17でほ43.7% (41例中18例〕, 31才以上では 63・2% (38例中24例〕で30才以上の患者に陽 性率が高い.仔虫との関係をみると,仔虫陽 性者54・2%陰性者51.6%で大左はないが,細 かくみると,仔虫陽性無症状者47.5%,仔虫 陽性有症状者87・5%,仔虫の陰性化した有症 状老51・6%となっている・更に仔虫陽性無症

状者のみを攻上げて,仔虫数との関係をみる と,仔虫数の多いものが少いものに比べて陽 性率が高い・症状の程瑛との関係をみると,

くさふるい,せんき等の急性症状のあるもの でほ72・7%,慢性器質病変をわこすのみで急 性発作の消失したもの41・1%である.即ち急 性症状期のものが最,も陽性率が高いことがわ かる・ことに,くさふるいのあるもののうち でも,発作の最盛期虹あると目される31‑50 才台の患者は最も高率で90%に達する陽性率 がみられる・なお,補体結合反応を行った例 についてみると,無症状仔虫陽性期及び急性 症状を訴えない有症者は最高16000倍である が,急性症状現症者でほ32000倍に達するも のが少くなく,疾患の初期にほ末梢血内の出 現仔虫数の増加と併行して陽性が増加し,忠 性熟発作発生時期に抗体価の産生ほ最高に達 する・次いで急性症状の消失と共に慢性症に 移行し,仔虫も陰性化すると次第に陽性率, 抗体価が低下している・これほ恐らく,これ

らの病歴の古い患者の中には仔虫のみならず も成虫も死滅した症例も存在するものと思わ れる・乳廉尿症では,仔虫の有無にかかわら ず抗体価は低く,沈降反応てほ20%に,補体 結合反応でほ4000倍稀釈抗原でやつと把蛭さ

れる程度である.

(4 更に=著者は無症状仔虫陽性者22例を Diethylcarbamazineにより集団治療を待つ た際に, 15例にくさふる‑U、様熱発作,頭重 感,全身倦怠,陰嚢の腫脹,腫癌形成等の続 発症状をみているが,これら副作用の発生と

・沈降反応成績の関係をみると,副作用をみた もの15例ほ66・7%に陽性で,副作用を認めな かったものの28.6%に比して明かに:高い陽性 率が得られた・特に著明な発熱,その他全身 反応のあった者でほ81・8%で最も高い・即ち これらの続発症状ほ糸状虫虫体により感作さ れたことによる一種のアL,ルギ一反応と解釈 することが出来る・ Diethy】carbamazineに よる治療に際しでおこる全身反応,精系,陰 嚢の炎衝反応ほ,臨床的にみても, ・叉組織学 的にみても全くフィラリヤ症の一般経過中に

(10)

178 田         辺

あらわれるくさふるい,精系淋巴管炎のそれ と一致するもので,その発生機序を説明する ものと考える.

さきに,有里は糸状虫症の血液学的研究に おいて,血清r‑globulinの消長を追求し, r‑glほ病歴の新しい無症仔虫陽性者より 有症状者に高く,仔虫の消失過程とほかえ って道の関係にあることを認めている・叉 Diethylcarbamazypeの服用により強い反応 を生ずるものにr‑gl値が高く,乳廉尿症では T瑠1の尿中排出に:より低下することを報告 しているが,これらの成績は著者の血清反応 の成績と全く一致するもので,表裏一帯の関 係にあるものと考えられる.    d

(5)以上の抗原抗体反応の成績を主な示標 として,免疫学的観的から,糸状虫症の発生 経過を考察してみると,仔虫の産生,増加に 従って抗体の産生がおこり,次第に上昇して

バソタロフト糸状虫症患者血清につき,犬 糸状虫抗原を用いて,沈降反応及び補体結合 反応を行い,患者における抗体産生の経過, 抗体価の消長と症状の発生,経過との関係を 追求した・        ・

1〕患者粒おける反応陽性率ほ沈降反応

〔800x抗原稀釈〕 53.2%補体結合反応74・2%‑

で,両反応共棲めて特異的反応が得られた.

腸管寄生虫との間の類属反応ほ否萬出来る・

2)患者における抗体産生は感作家兎に比 べて低く,補体結合反応の抗原稀釈倍数は

⊥定度に達すると,遂に体内の糸状虫抗原と の問に抗原抗体反応がおこる・その結果一種 の免疫反応とLて仔虫り故壊,吸収を来し, その時期に.一致して一種のアレルギー生体反 応として所謂くさふるい発熱発作の襲来をみ るようになる・患者の体内でほ長年月に亘つ て成虫の新陳代謝物質の排出,仔虫の産生, 死亡が常に操返され,その都度これが抗原と なって感作と抗原抗体反応がおこり,これ 那,発熱発作として反覆されているうちに仔 虫の消失,遂には成虫も死滅して,体内抗原 ほ消失し,抗体価も漸次低下して,仔虫の発 見されない急性発作のない慢性糸状虫症に移 行するものと思われる.要するにパソクロフ

ト糸状虫症の発生,経過にほ虫体の機械的, 化学的障碍の外に虫体を抗原とした抗原抗体 反応,ひいてほアレルギー生体反応が重要な 役割を演じていることがわかる・

32000倍以下である.

3)両反応の陽性率及び抗体価は30才以下 より30才以上のものに高く,無症仔虫陽性老 より有症状者に高い・有症者のうちでも仔虫 陽性の・有症状者,急性症状常習者に最も高 く,仔虫の陰性化した急性発作のない慢性患 者でほ低下する傾向があるが,無症状仔虫陽 性者より高い・

4)スパトニソ治療によ‑る副作用ほ反応陽 性のものに高率に発現する・

潤筆に当り熱心な御指導,御校閲を賜った北村教授,片峰助教授に厚く御礼を申上げる・

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(11)

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Wuchereria bancrofti and Dirofilaria immitis, Amer.

J. Hyg., 43 : 164, 1946.

(昭33・ 10・ 20受付〕

(12)

長 崎 医 学 会

会 長  北  村  精  一 庶務会計  和 泉 成 之     編集幹事  林 幹 事 品 川 菩■‥八    集会幹義 広 瀬

採 掘 保 郎・         友 永

投稿規定i

一 郎

金之助 得 郎 海江田   純 朝 長 雄 三

本誌ほ長崎医学会会員の研究を発表し,同会事業記事,会員動静などを報告する・

すでに,ほかの雑誌忙掲載せられた原著ほ採用されない.

原著には欧文抄録〔タイプライター用紙に:一行おきに=タイプしたものを2頁以内をつけねばならない・

原則として‑論文は6印刷頁とする・ 〔長崎医学会原稿用紙4頁はほほ1印刷真に相当する)・  一 文章は横喜平仮名(現代仮名づかい〕によって,やむをえない術語のほかほ,原則として常用漢字の範囲内

でかいていたゞく・外来語J外人名はなるぺく原名つづ「りのままとし,数字は算用数字でかいて,度量衡I 温度などの符号む土数字であらわす・ i)‑マ辛は日本式にLたがい,欧文はすぺてタイプする・

原著の課題,著者名J所属(必要の場合にほ指導者を記入する〕には欧文も添記されたい・

引用文献は本文の最後に一括して,本文中の引用部位を数字番号1 ) ・2〕で明示する.      ・ 文献はつぎの形式で記入すること・

雑誌は

著者名;標題*.雑誌名(雑誌名暗記の七きは・をつける〕巻(早) ;貢⊥真相,発行年.

* 標題名はかならず記入さ九ねばならぬ・

**終りの頁は任意ですがなるべく記入さ九たい.

・       (

単行本は

著者名:標題.発行所J発行地・発行年(必要ならば引用頁を最後にかく〕・

図版はただちに製版し得るように別紙に〔墨汁で浄書・囲の文字は鍛筆で明瞭に)かいていただきたい・

原著の校正は原則として著者にしていただく.

原稿は編集幹事(病理学教室内)におくらわたい.

昭和33年11月28日・印刷 昭和33年11月30日発行 発行所霊題君B野孝孝珀1699 35ft

編集人長崎大学医学部内 発行人長崎大学医学部内 印刷者長崎市榎津町7番地 印刷所長崎市榎津町7番地

(定価100円)

長崎医学会

ft   ‑ IP一

杯   一 郎 藤 木 喜 平 藤木■博某社

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