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日本内科学会雑誌第106巻第12号

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Academic year: 2021

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自家末梢血幹細胞移植後発症の

特発性血小板減少性紫斑病に対する

治療中に併発したテント下限局の

進行性多巣性白質脳症

曽我部 公子1)  中村 信元1)   古川 貴大2)  藤野 ひかる3)  丸橋 朋子4) 藤井 志朗1)  三木 浩和5)  賀川 久美子1)   長樂 雅仁4)  安倍 正博1) 要 旨  71歳,男性.2012年に血管内大細胞型B細胞性リンパ腫に対して自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を実 施した.2014年に特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)を発症し,リツキ シマブとプレドニゾロンの投与にて加療していた.2015年に亜急性に進行する小脳失調が出現し,誤嚥性肺炎で 死亡した.病理解剖で小脳,橋,延髄にJCウイルス(JC virus:JCV)感染細胞を認め,テント下に限局した進 行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy:PML)と診断した.

〔日内会誌 106:2595~2602,2017〕

ポイント ・ 近年,血液疾患では造血幹細胞移植やモノクローナル抗体療法等の長期に及ぶ高度な免疫

抑制を来たす治療法が頻用されている.

・ JCVは成人健常人の約 70%で潜伏感染しており,免疫抑制時には再活性化され,PMLを発 症する.AIDS(acquired immunodeficiency syndrome)指標疾患の 1 つとして重要であ るが,HIV(human immunodeficiency virus)非感染者でも発症し得る.

・PMLは大脳に出現することが多いが,テント下に限局することもある. ・ 免疫抑制状態で亜急性に進行する中枢神経症状が出現すれば,PMLを疑い,JCVの検査を考 慮するべきである. Key words 進行性多巣性白質脳症,悪性リンパ腫,JCウイルス,自家末梢血幹細胞移植,リツキシマブ 〔第115回四国地方会(2016/11/27)推薦〕〔受稿2017/04/20,採用2017/08/04〕 1)徳島大学大学院医歯薬学研究部血液・内分泌代謝内科学分野,2)徳島大学病院神経内科,3)JA徳島厚生連阿南共栄病院内科,4)地方独立行政法人徳 島県鳴門病院内科,5)徳島大学病院輸血・細胞治療部

Case Report;Infratentorial progressive multifocal leukoencephalopathy under treatment for idiopathic thrombocytopenic purpura after autolo-gous peripheral blood stem cell transplantation.

Kimiko Sogabe1), Shingen Nakamura1), Takahiro Furukawa2), Hikaru Fujino3), Tomoko Maruhashi4), Shiro Fujii1), Hirokazu Miki5), Kumiko

Kagawa1), Masahito Choraku4) and Masahiro Abe1)1)Department of Hematology, Endocrinology and Metabolism, Institute of Biomedical

Sci-ences, Tokushima University Graduate School, Japan, 2)Department of Neurology, Tokushima University Hospital, Japan, 3)Department of

Inter-nal Medicine, JA Tokushima Kouseiren Anan Kyoei Hospital, Japan, 4)Department of Internal Medicine, Local Incorporated Administrative

Agency Tokushima Prefecture Naruto Hospital, Japan and 5)Division of Transfusion Medicine and Cell Therapy, Tokushima University Hospital,

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はじめに

 進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy:PML)は,中枢神経にお けるJCウイルス(JC virus:JCV)の再活性化で 起こる脱髄疾患で,免疫不全状態にある患者に 発 症 す る.AIDS(acquired immunodeficiency syndrome)指標疾患の 1 つとして知られている が,近年では,HIV(human immunodeficiency virus)非感染者においても,リツキシマブを含 むモノクローナル抗体投与例などでの発症例が 注目されている1).今回,我々は,血管内大細

胞型B細胞性リンパ腫(intravascular large B-cell lymphoma:IVLBCL)に対する自家末梢血幹細 胞移植併用大量化学療法後に特発性血小板減少 性 紫 斑 病(idiopathic thrombocytopenic pur-pura:ITP)を発症し,その加療中に,テント下 に限局したPMLを発症した症例を経験したので 報告する.

症例

 患者:71歳,男性.主訴:歩きにくい,しゃ べりにくい.既往歴:特記すべき事項なし.現 病 歴:2012 年 7 月 に 微 熱, 浮 腫 で 発 症 し た IVLBCLに対してリツキシマブ併用CHOP(cyclo- phosphamide,doxorubicin,vincristine,pred-nisolone)療法3コースで寛解に到達し,CHASER (cyclophosphamide,etoposide,cytarabine, dexamethasone,rituximab)療法後に幹細胞採 取を行い,自家末梢血幹細胞移植併用リツキシ マ ブ +MEAM療 法(ranimustine,etoposide, cytarabine,melphalan)を行った.経過良好だっ たが,2014 年にWBC 7,700/μl,Hb 10.3 g/dl, Plt 1.3万/μlと急激な血小板減少が出現した.末 梢血には巨大血小板の出現やリンパ腫細胞はみ られなかったが,IVLBCLの再燃を考慮して各種 検査の後にリツキシマブ 375 mg/m2を 1 回投与 するも,骨髄検査では巨核球数は正常で形態異 常なく,画像検査も正常でIVLBCLの再発は否定 的で,その他の明らかな原因を特定できず,急 性ITPと 診 断 さ れ た. 以 後, プ レ ド ニ ゾ ロ ン (prednisolone:PSL)を 60 mg/日で開始して血 小板数は回復し,漸減された.2015 年 11 月に はPSL 1 mg/日を内服中であったが,この頃より 歩行障害が出現し,MRI(magnetic resonance imaging)で左小脳半球に異常信号を認めた. 12月下旬から構音障害,嚥下障害も出現したた め 入 院 し た. 入 院 時 現 症: 意 識 清 明. 身 長 170 cm,体重 51 kg.体温 36.8℃.脈拍 78 回/ 分,整.血圧 132/60 mmHg.SpO2 98%(室内 気).胸腹部異常所見なし.指鼻指試験,踵膝試 験が左で陽性.左上下肢で粗大な企図振戦あ り,断綴性言語,左上下肢の測定障害を認め, 失調性歩行あり. 免疫抑制療法中の患者で,亜急性に進行 する小脳失調を認めた.  入院時検査所見:Hb 11.6 g/dl,MCV 92.6 fl, 白血球 8,100/μlで軽度の正球性貧血を認めた. 血小板15.9万/μlと保たれていた.sIL-2R(soluble interleukin-2 receptor)860 U/mlでやや高値で

あったが,LDH 193 U/lと正常であった.血清

IgG 322 mg/dl,CD4 陽性リンパ球 301/μlであ り,液性免疫,細胞性免疫が共に抑制されてい た.HBV-DNA 8.2 log copies/mlと再活性化を認 めたが,AST 17 U/l,ALT 25 U/lと正常範囲内で あった.HIV Ag/Ab陰性,EBV(Epstein-Barr virus) は既感染パターンであった.脳MRIでは左中小 脳脚から左小脳半球にかけてFLAIR(fluid-atten-uated inversion recovery)・T2WIで高信号,T1WI で低信号であり,浮腫を伴わない白質病変と考

えられた(図 1A,B,C).同部位はメチオニン

PET(positron emission tomography),タリウム シンチでは集積を認めなかった.脳脊髄液検査 では,細胞数 2/μl,蛋白 57 mg/dl,JCV-DNA 1 ×105 copies/mlであった.

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左中小脳脚から左小脳半球にかけて浮 腫を伴わない白質病変をMRIで認め,脳 脊髄液検査ではJCV-DNAが陽性であった.

臨床経過

 画像所見,脳脊髄液検査の結果からPMLと判 断した.PSLを中止し,メフロキン 275 mg/日 (day1,2,3,8,15,22,29,36), ミ ル タ ザピン15 mg/日の内服を開始した(保険適用外 であるが,当院倫理委員会で承認済み).B型肝 炎の再活性化に対しては,エンテカビル0.5 mg/ 日を開始した.しかし,小脳失調の増悪,頭部 MRIで橋,右小脳にも病変の出現を認め,入院 17 日 目 の 脳 脊 髄 液 検 査 でJCV-DNAは 2× 105 copies/mlに増加した.抗ウイルス薬として シタラビンの髄腔内投与を実施するも神経症状 は増悪し,入院51日目に誤嚥性肺炎で永眠され た(図 2). 免疫抑制を来たすと思われるPSLを中止 し,メフロキン,ミルタザピンの投与を 行ったが,神経症状が増悪し,誤嚥性肺 炎で死亡した.  剖検所見:左肺,右下葉を主体として気管支 肺炎,水腫を認めた.左右小脳・橋縦束・延髄 錐体の髄質に泡沫状組織球の集簇やオリゴデン ドロサイトに核内封入体を認めた(図 3A,B, C).核が腫大したオリゴデンドロサイトは免疫 染色でJCVのカプシド蛋白であるVP1,VP2/3, 制御蛋白であるagnoproteinが陽性であった(図 3D,E,F).小脳パラフィン切片からは 1.53× 103 copies/cellと 高 コ ピ ー 数 のJCV-DNAが 検 出 され,PMLと確定診断した.大脳・中脳には明 らかな病変を認めなかった.また,IVLBCLの再 発を疑わせる所見も認めなかった. 小脳・橋・延髄にJCV感染細胞を認め, PMLと確定診断した.病変はテント下に 限 局 し て い た.IVLBCLの 再 燃 は 認 め な かった.

考察

 本例は,IVLBCLに対するup-frontの自家移植 後にITPを発症し,それに対する免疫抑制療法中 にテント下に限局したPMLを発症して急速に死 に至った稀な症例である.  亜急性に進行する小脳失調の鑑別疾患として は,多発性硬化症,急性散在性脳脊髄炎,悪性 腫瘍,自己免疫疾患,サルコイドーシス等が挙 げられる.本症例では,IVLBCLの既往があるた め,その再発も疑われたが,HBVの再活性化も 認め,強い免疫抑制状態であると考えてPMLを 一口メモ 一口メモ 一口メモ 図 1 頭部単純 MRI 左中小脳脚から左小脳半球にかけて T1WI 低信号,FLAIR・T2WI 高信号で浮腫を伴わない白質病変を 認める(A:T1WI,B:T2WI,C:FLAIR). A B C

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図 3 剖検病理所見 小脳白質に広範な脱髄を認め,多数の泡沫マクロファージの浸潤を伴う.腫大した核を有するオリゴデンドロサ イト(矢頭),反応性アストロサイト,奇怪な形態を呈するアストロサイト(矢印)も見られる.Klüver-Barrera 染色では全体的に染色性の低下が認められ,脱髄が示唆される(A,B:HE 染色×400,C:Klüver-Barrera 染色 ×40).抗 JCV 抗体による免疫染色で,核が腫大したオリゴデンドロサイトに陽性を呈する(D:VP1,E:VP2/3, F:agnoprotein×400). A B C D E F 図 2 臨床経過 CFPM:cefepime 0 2 4 6 8 10 12 14 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 2015年11月 12月 2016年1月 2月 WBC (/μl) 小脳失調・歩行障害 構音障害・嚥下障害 メフロキン ミルタザピン PSL 1 mg JCV-DNA(copies/ml) 1×105 2×105 8×104 呼吸困難 CRP (mg/dl) Ara-C髄注 CFPM CD4(/μl) 301 286 360

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鑑別に挙げ,髄液中JCV-DNAを検出することが 診断の一助となった.髄液中JCV-DNA遺伝子を 標的としたPCR検査は感度約 80%,特異度は約 99%と報告され,PMLの診断基準2)にも採用さ れている.PMLは近年,非HIV感染症患者での 発症報告が相次いでおり,本邦におけるPML発 症頻度は人口 1,000 万人に対して約 0.9 人で, HIV感 染 合 併 例 が 34.5%, 血 液 疾 患 合 併 例 が 37.9%を占め,その予後は極めて不良で,非HIV 患者では3カ月と報告されている2).JCVは健常 人の70%以上で骨髄やリンパ球,脳や腎臓に潜 伏感染しているとされており2),免疫抑制療法 あるいは造血幹細胞移植等による免疫不全時に は,中枢神経内のオリゴデンドロサイトでJCV が増殖し,その結果,PMLが発症し得ることを 常に念頭に置かなければならない.  PMLの典型例では,脳室周囲白質・半卵円中 心・皮質下白質等,大脳白質の病変が主体であ る.一方,本例のようにテント下病変のみを呈 するPMLの報告例はほとんどみられず,中小脳 脚や橋,小脳白質に病変を呈した症例がわずか に報告されているのみである3~6).そのため, テント下病変のみを呈した症例では,鑑別に挙 がりにくく,診断が困難となりやすいと思われ る.脳生検は確定診断となるが,全身状態や病 変の部位から簡単に施行できる例は少ないと考 えられ,画像や病変の分布が非典型的でも,免 疫不全状態の患者ではPMLを鑑別に挙げて髄液 中JCV検査を行うべきである.  PMLに対する加療として,本例ではPSLを中 止し,メフロキン,ミルタザピンの投与,シタ ラビンの髄腔内投与を行った.メフロキンは JCVが細胞内での増殖を阻害する作用7),ミルタ ザピンはJCVが 5HT2Aセロトニン受容体を介し てオリゴデンドロサイトに感染するのを抑制す る作用8)が期待されている.シタラビンは,非 HIV患者のPMLの少数例において症状が改善し た報告例がみられるものの9),HIV感染者におけ るPMLでは多数例の検討で有効性が否定されて いる10).本例では,メフロキン,ミルタザピン の併用で有効性がみられず,サルベージ療法と してシタラビン投与を試みることとしたが全身 状態不良のため全身投与は不適切と考え,少量 で髄腔内投与を試みたが結果的には無効であっ た.現在,JCVに対して特異的な抗ウイルス薬は なく,今後,さらなる治療法の開発が望まれる.

最終診断

進行性多巣性白質脳症

おわりに

 本症例はテント下病変のみを呈した点は非典 型的であったが,免疫抑制状態であったことか ら,PMLを想起して髄液中JCV-DNAを測定し, 診断に至った.高齢化,モノクローナル抗体や 造血幹細胞移植の普及等,今後,免疫不全,免 疫抑制状態の患者は増加すると想定される.免 疫抑制状態にある患者の経過中に中枢神経症状 が出現すれば,PMLを疑い,髄液中JCV-DNAの 測定を検討する必要があると考えられた. 謝辞 剖検検体のJCV関連検査にご協力いただきまし た国立感染症研究所感染病理部 高橋健太先生,片野晴 隆先生,長谷川秀樹先生に深謝致します. 著者のCOI(conflicts of interest)開示:本論文発表内容 に関連して特に申告なし

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文 献

1) Carson KR, et al : Monoclonal antibody-associated progressive multifocal leucoencephalopathy in patients treated with rituximab, natalizumab, and efalizumab : a Review from the Research on Adverse Drug Events and Reports(RADAR)Project. Lancet Oncol 10 : 816―824, 2009.

2) 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業(難治性疾患克服研究事業)プリオン病及び遅発性ウイルス 感染症に関する調査研究班編:進行性多巣性白質脳症(Progressive Multifocal Leukoencephalopathy : PML)診療 ガイドライン 2013.

3) Irie T, et al : Cerebellar form of progressive multifocal leukoencephalopathy in a patient with chronic renal fail-ure. Internal Med 31 : 218―223, 1992.

4) 伊藤大輔,他:両側中小脳脚に主病変をもち,JC virus granule cell neuronopathyの合併が示唆された進行性多巣 性白質脳症の 1 例,診断確定上再三の髄液検査の重要性.臨床神経 56 : 481―485, 2016.

5) Aotsuka Y, et al : Progressive multifocal leukoencephalopathy localized in the cerebellum and Brainstem

associ-ated with Idiopathic CD4+ T lymphocytopenia. Internal Med 55 : 1645―1647, 2016.

6) Fukami S, et al : Primary cerebellar progressive multifocal leukoenceohalopathy(PML)shows increased

accu-mulation in 123I-IMP SPECT. J Neurol Sci 361 : 92―94, 2016.

7) Brickelmaier M, et al : Identification and characterization of mefloquine efficacy against JC virus in vitro. Anti-microb Agents Chemother 53 : 1840―1849, 2009.

8) Elphick GF, et al : The human polyomavirus, JCV, uses serotonin receptors to infect cells. Science 306 : 1380― 1383, 2004.

9) Aksamit AJ : Treatment of non-AIDS progressive multifocal leukoencephalopathy with cytosine arabinoside. J Neurovirol 4 : 386―390, 2001.

10) Hall CD, et al : Failure of cytarabine in progressive multifocal leukoencephalopathy associated with human immunodeficiency virus infection. AIDS Clinical Trials Group 243 Team. N Engl J Med 338 : 1345―1351, 1998.  

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 貧血から造血幹細胞移植までの幅広い血液疾 患に対し,患者を中心とした全人的な診療を 行っています. 【病棟】 病床数 28 床 ( うちISOクラス 6:2 床,ISOクラス 7:20 床, 一般:6 床) 血液内科スタッフ 9 名 (助教以上 6 名,医員 3 名) 【対象疾患】  各種造血不全,造血器悪性腫瘍,凝固異常, 炎症・自己免疫疾患,AIDS,不明熱等を幅広く 診療しております.また,臨床試験や治験等に も積極的に参加しています. 【外来診療】  病棟総回診の火曜日を除く,毎日血液内科外 来(新患・再来)を行っています.月・金曜日 には,造血幹細胞移植後の患者を対象に,看護 師,薬剤師と共に,移植後長期フォローアップ 外来を行っています. 【造血幹細胞移植】  当科は 2000 年に骨髄バンク移植認定施設と なり,年間20例前後の造血幹細胞移植を行うほ か,骨髄バンクドナーの骨髄及び末梢血幹細胞 採取も積極的に行っています. 【研修内容と到達目標】  近隣の日本内科学会認定教育施設と連携し, 内科全般の幅広い疾患の診療を基盤とした研修 を行い,内科専門医,各種認定医,専門医取得 を目標とした後期研修を行っています.当科で は,入院患者 1 人を複数の医師で担当するグ ループ制を取り入れて,グループ内で担当患者 について話し合い,適格な治療方針を決定し, 若手医師に対する手厚い指導とワークライフバ ランスに配慮した診療を実践しています.移植 カンファレンスでは,医師,看護師,薬剤師, 理学療法士,栄養士,臨床検査技師,輸血検査 技師,臨床心理士,歯科医師,歯科衛生士等, 多職種のスタッフが一堂に会し,造血幹細胞移 植患者に関わる問題を多面的に議論し,情報を 共有しています.多職種スタッフ合同の病棟勉 強会や学会発表も,積極的に行っています.ま た,当科は,内分泌代謝内科と共に大学院血液・ 内分泌代謝内科分野に所属しており,内分泌代 謝内科でも研修を行い,内分泌疾患の診断治 療,糖尿病患者の血糖管理等を学び,血液疾患 の診療に,内分泌学的な病態解析やケアを取り 入れています.診断治療に苦慮する症例につい 症例掲載施設紹介

徳島大学病院 血液内科

(徳島大学大学院 医歯薬学研究部血液・内分泌代謝内科学分野)

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ては,内分泌代謝内科と合同で臨床検討会を行 い,異なる切り口から多面的に一人の患者を診 療することを学びます.このようななかで,後 期研修医がチームの一員として診療に加わり, 血液疾患の診断ができ,治療方針を立てて治療 が行える診療能力を身につけるとともに,患者 に寄り添い,全人的な診療ができる血液内科医 の育成を目標としています. ホームページ  http://www.tokudai-ichinai.jp/ 文責: 徳島大学病院血液内科 副科長 血液内科 講師 賀川久美子

図 3  剖検病理所見 小脳白質に広範な脱髄を認め,多数の泡沫マクロファージの浸潤を伴う.腫大した核を有するオリゴデンドロサ イト(矢頭),反応性アストロサイト,奇怪な形態を呈するアストロサイト(矢印)も見られる.Klüver-Barrera  染色では全体的に染色性の低下が認められ,脱髄が示唆される(A,B:HE 染色×400,C:Klüver-Barrera 染色 ×40).抗 JCV 抗体による免疫染色で,核が腫大したオリゴデンドロサイトに陽性を呈する(D:VP1,E:VP2/3, F:agnopro

参照

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