九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
貝製の鞘(とも)
永井, 昌文
https://doi.org/10.15017/2231622
出版情報:九州人類学会報. 8, pp.18-18, 1981-03-31. 九州人類学研究会 バージョン:
権利関係:
貝 製 の
鞘 (とも)永 井 昌 文
要 旨
設が固有数の弥生時代の埋葬遺跡、今は国の史跡に指定されている「土井ケ浜
J
遺跡で、 19 5 2年発 見され、翌年から始まった本格調査の端絡をなした遺物の一つがζ ζで問題とする貝製品である。大型の 巻貝を加工したもので、当時は、他遺跡からの類似例κ
ならい腕輪とみなされ、原材は我国本土でもとれる「テングニシjであろうぐらいに簡単に片ずけられていた。
しかし、演者は19 6 9年、徳岡県立岩遺跡出土の着装貝輸の原材が南島gF.の「ゴホウラ
J
貝である乙 とをようやく突き止めた。その後、つづいて再検討修正した既報告例に新発見例を合せると、 ζの員で作 った貝輸を伴なう遺跡の数は、西南日本の沿海で50以上になろうとしている。と乙ろで、冒頭の貝製品も同じく「ゴホウラ
J
製である乙とは明らかであるが、貝輪研究の進展に照ら して見直すと、そもそも腕輪としては役立たない、すなわち腕に通せないという決定的欠陥があり、しか も他例の腕輪にくらべ原材の利用部が違い、おそろしく巽型である。そζで改めて形態を精査し、使用目的を種々考察した結果、ついに皮製以前の納ではないかとの着惣を 得、同じ原材を使って模造品を作り弓の試射実験も重ねていよいよ確信を深めるに至った。
一方、記紀・万葉・風土記などの古文献、 「柄考」その他の近世文容も参照し、国字としての「納
J
の 字の起源、古語i i
iを探り、皮製鞠や司直輸に執t
幼』乙残る巴文ないしは渦文、民俗学的所説、風土記の地名など から、皮製以前に貝製「ともJ
が存在した可能性を深める傍証をえんと努めた。白下のところ、 ζの所説の補強のためには、他の類似品の出土が望ましいが、限られた条件でしか長年 月は残存しえない貝製品であれば、探索の着服と幸運に恵、まれない限り報いられる乙とは困難であろう。
乙の所説の本論文は下記ζ発表した。i 論題 「土井ケ浜出土の異型貝製品」
国分直一得士古稀記念論文集『日本民族文化とその周辺』考古篇所収、新日本教育図書、 19 8 0。 以 上
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