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東大泌尿器科診療指針

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Academic year: 2021

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国際医療研究センター

泌尿器科

診療マニュアル:

2014 年度版

Ⅰ 総論 Ⅱ 悪性腫瘍 Ⅲ 良性疾患 Ⅳ 診療の実際:外来、病棟、手術室、等 Ⅰ 総論 1 インフォームドコンセントの重視、および患者サービスの向上 (1)主要な疾患について患者用パンフレットを作成する。 (2)丁寧な接応に心がけ、患者の訴えや意見を率直に聞き取る。 (3)説明はできる限り複数の医師およびナースで行い内容を文書でカルテ に記入する。署名同意書をスキャンしてカルテに取り込む (4)特殊な治療を行う際には、その長所、短所を詳しく説明し、署名同意書 をスキャンして取りカルテに保存する。 2 チーム医療の実践:医療安全の推進 医師やナース、コメディカル間の報告・連絡・相談(報・連・相)を密にして、 医療安全と機能的な診療を心がける。 3 クリニカルパスを活用して診療の質の確保と効率化を計る 前立腺針生検、麻酔下前立腺生検、経尿道的前立腺切除術(TUR-P)、体外衝 撃波結石破砕術(ESWL)、前立腺全摘除術 4 自己血輸血の活用 前立腺全摘除術、大きなTUR-P など。 5 紹介医への結果報告 患者紹介率は高いほどよい。紹介医に対してはとりあえずの返事と最終的な 結果報告を必ず行うこと。とくに後者については丁寧に行う。 6 低侵襲的手術治療、腹腔鏡手術 可能な限り低侵襲な腹腔鏡手術で施行する。開腹術でもできる限り腹腔鏡補 助下小切開手術とし、より低侵襲な手術を検討する。。 7 質の高い診療への提言 建設的なアイディア、興味深い論文、有益な情報などは積極的に提言、提示 する。

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Ⅱ 悪性腫瘍

1 腎細胞癌 根治的腎摘除術 遠隔転移巣は可能であれば切除 脳転移にはガンマナイフなども考慮する 遠隔転移有りまたはLN 転移有り;interferon α又は分子標的薬 直径4cm 以下の腫瘍 (T1a) 腎保存手術を第一選択とする (elective indication) 可能ならソフト凝固(2014 年 新規導入)を用いた無阻血手術を行なうが、 基本的には腎動脈阻血する (阻血時間 15 分以上では氷冷却) 原則として部分切除術を行う(核出術は行わない) 直径4-7cm、または腎温存手術が困難な T1a の腫瘍 腹腔鏡下腎摘除術を第一選択とする 直径7cm 以上の腫瘍 (T2 以上) 開放手術による根治的腎摘除術を行なう 原則として経腹的に行なう 病期診断目的のリンパ節切除は行わない 片腎(機能的を含む)および両側性腫瘍 できる限り腎保存を計る (imperative indication) 進行癌: 原発巣が摘出不能の場合は、分子標的薬または動脈塞栓術を用いる(可能 になれば摘出) 肺転移巣のみは、低リスク群なら、まずinterferon αを投与する (IFNα: 300-600 万単位、週 3 回) 分子標的薬: 肺のみで低リスク群: sorafenib(ネクサバール)→sunitinib(スーテント) 肺のみで中・高リスク群、肺以外:sunitinib→sorafenib の順で用いる sunitinib の導入は入院で、骨髄・甲状腺・心機能をモニターする 2nd ラインは、mTOR 阻害薬(アフィニトール)、axitinib(インライタ)を用 いるが、適宜pazopanib (ヴォトリエント)も使用する mTOR 阻害剤(アフィニトール、トーリセル)を使用の際も、導入は原則入 院とし、間質性肺炎や口内炎などもモニタリングをする 高リスク群:temsirolimus (トーリセル)を第一選択とする

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2 腎盂尿管癌 診断はCT,MR-Urography、DIP,RP、尿細胞診などによる 難しい場合には、腎盂鏡、尿管鏡も考慮する 転移を有する場合でもできる限り腎尿管全摘除術を行う T2 以上と考えられる場合はリンパ節郭清を考慮する 原則、後腹膜アプローチ体腔鏡下手術とする (下部尿管の剥離・腎摘出は開放創から行う) 下記に合う症例は腎温存手術も考慮する 径10mm 以下、G2 以下、単発、乳頭状 術後補助療法:pN+、T3 以上、ly(+)、v(+)のいずれかは、GC 3 コースを行なう 進行癌、転移あり: GC 療法を 3 コース行い、縮小した場合は腎尿管全摘+リンパ節郭清とする 病理でCR でなければ、術後補助療法として GC 3 コースを実施する 化学療法が奏功し、可能な症例には切除や放射線照射の追加を検討する リンパ節転移に対しては化学療法でCR が得られ、かつ FDG-PET が 陰性であれば、追加放射線治療を行う 腎機能低下例 (CCr 30-60)では、G・CBDCA を行う 2nd ラインは DIP 療法、3rdラインはMVAC 療法とする 3 膀胱癌 TUR の際は系統的生検も合わせて行なう TUR 後、24 時間以内にテラルビシン 30mg の膀胱注入を行う

1)初発、単発、径 3cm未満、low grade(G2 以下)、随伴 CIS なし → 術後補助療法なし 2)再発、多発、径 3cm以上、随伴 CIS ありのいずれか → BCG 膀胱注入 (TUR 後 21 日以降より 80mg 注入を週 1 回で 8 回) 高齢・高リスク例では、40mg の減量を検討する 3) T1 high grade(G3) → second TURBT を行ない、術後補助療法として BCG 療法を行なう T1 以上の残存癌があれば、膀胱全摘術を勧める

T1, high grade, ly(+)または v(+)は、膀胱全摘術を勧める 4) 筋層浸潤癌 cT2-4a N0M0

限局性の場合;できる限り膀胱温存を考える

動注化療、放射線療法、膀胱部分切除術:浸潤性だが限局性病変 (動注化療:CDDP 75mg/m2 +テラルビシン 30mg/m2 2~3 コース)

(4)

それ以外は、膀胱全摘除術を行なう

基本的には尿路再建は、Studer 変法による回腸新膀胱 ileal neobladder ただし、前立腺部尿道(男性)に腫瘍、膀胱頸部(女性)に腫瘍、広範な CIS、高齢 (75 歳以上)、腎機能低下例、尿道狭窄症例などは、回腸導管 ileal conduit 5) 進行癌 GC を 3 コース行う 原発巣が縮小した場合は膀胱全摘+リンパ節郭清を考慮する 4 前立腺癌 PSA 測定 50 歳以上、または症状や直腸診異常のある全男性を対象とする 前立腺針生検 生検の適応:59 歳以下は PSA 2.5ng/ml、60 歳以上は 3ng/ml、70 歳 以上は4ng/ml、80 歳以上で 10ng/ml 以上を基準とする 1 回目は、原則外来パス生検(経直腸的、8-10 ヶ所) 2 回目生検や 1 回目でも必要な症例では麻酔下(静麻)に 16-24 ヶ所生 3 回目以降は、経会陰的生検を併用する 前立腺肥大症術後の pT1a は、基本的には無治療経過観察 監視療法(active surveillance)

PSA<10、GS 6、T2 以下、陽性コア数 2 以下、PSA density 0.2 未満 24 ヶ月まで 3 ヶ月毎に、それ以降は 6 ヶ月毎に PSA を測定する できれば、12 ヶ月目、48 ヶ月目に生検を行い、再検討する PSA 倍化時間が 3 年以下の場合は根治的療法へ移行する 再生検で、陽性コア3 以上もしくは GS7 以上は根治的療法へ移行する 前立腺全摘除術 原則的に78 歳以下(男性期待余命が 10 年以上)、 T1b, T1c, T2, T3, 補助療法は行わない 原則は、腹腔鏡補助下小切開もしくは腹腔鏡下手術を採用する 自己血輸血の推進

Nerve sparing は、T2a で健側に可、他は行わず 術後は、PSA nadir が 0.2ng/ml 以上で追加治療をする D1 (N1)症例

LN(+)が明白なら内分泌療法、疑いの場合は全摘も可

(5)

Radiation 50-60Gy を追加する 高リスク(PSA 20 以上か GS 8 以上か T2c 以上)では、追加外照射を考慮 ロボット支援手術 →東大へ紹介 外照射(IMRT) 手術加療できない T1c-3 症例に適応 高リスク群(PSA20 以上か GS8 以上か T2c 以上)はホルモン治療併用 永久密封小線源埋め込み内照射(Brachy therapy、LDR)は、当面中止 D2 症例 内分泌療法が第一選択 LH-RH アナログ(リュープリンもしくはゾラデックス)かアゴニスト(ゴ ナックス)に加えて、Anti-androgen(カソデックス、オダイン、プロスタール) を併用し、基本的にはMAB(maximum androgen blockade)とする

原発巣もしくは転移部位に外照射も考慮する

骨転移があればゾメタもしくはランマーク投与を行う 再燃症例

4 週間以上あけた PSA の最低値から 25%以上かつ 2ng/ml 以上の上昇 全例でWithdrawal syndrome を考慮し、Anti-androgen の中止する 交代療法から女性ホルモン製剤(エストラサイトかプロセキソール) 高リスク症例は、早めのドセタキセル導入(3 週毎 75mg/m2) ステロイド併用、初回は入院導入、以降は外来投与 ドセタキセル化学療法 (3 週毎 75mg/m2) PSA 値が 50%以上かつ 4.0ng/ml 以下の場合は休薬 nadir の 150%以上かつ 2.0ng/ml 以上の場合は再開 ドセタキセル不応症例は、エンザルタミド(イクスタンジ) ドセタキセル適応外症例は、アビラテロン(ザイティガ) ドセタキセル→アビラテロンで不応症例は、入院カバジタキセル(ジェブタナ)検討 他に、UFT やラステットも検討 5 精巣腫瘍 全例で高位精巣摘除術で病理確認 セミノーマ StageⅠ → 無治療経過観察を基本とする

Dog leg 型の放射線照射(24Gy)、または Carboplatin(AUCx7) 1 コース検討 無治療経過観察(1-3 年目)は、3-6 カ月毎 CT、1-6 カ月のマーカー採血 StageⅡもしくはⅢ

Good risk:BEP3 コースまたは EP4 コースを行なう

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非セミノーマ(NSGCT) StageⅠ a) 脈管侵襲なし 無治療経過観察 b) 脈管侵襲あり BEP を 2 コース行なう StageⅡ、Ⅲ

a) good risk (AFP<1000, hCG<5000)

BEP 3 コースまたは EP4 コース行なう

その後、腫瘍マーカーが正常化後にRPLND を行なう

摘出標本にviable cell があれば、BEP または EP を 2 コース追加 b) intermediate risk (AFP<10000, hCG<50000)

BEP を 4 コース(または VIP を 4 コース)行ない、 その後、マーカー正常化後にRPLND を行なう

摘出標本にviable cell があれば、BEP または EP を 2 コース追加 c) poor risk (AFP>10000 or hCG>50000 or 肺以外臓器転移)

同上 末消血幹細胞輸血併用化学療法を考慮する 不応症例、セカンドライン TIP 療法を第一選択とする VIP、DIP 、CDDP+CPT11、GEMOX など 6 陰茎癌 原発巣 1) Tis,Ta,T1G1-2 の場合 腫瘍切除を行う 2) T1G3 または T2 以上の場合 辺縁から2cm 離して陰茎切断術を行う 鼡径リンパ節(LN) 1) 鼡径リンパ節腫大なし a) 原発巣が Ta・Tis・T1a、かつ G2 以下の場合 →経過観察 b) 原発巣が G3 以上、または T1b 以上 浅鼡径リンパ節郭清を行なう 迅速診断で陽性であれば深鼡径リンパ節郭清も行う

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2 個以上の鼡径リンパ節が迅速陽性なら、同側骨盤リンパ節郭清追加 2) 鼡径リンパ節腫大(単発・4 ㎝以下)あり まず針生検(または切除生検)を行なう 陰性の場合、LN 切除生検、または浅鼡径郭清、または抗生剤投与 陽性の場合、同側の鼡径リンパ節郭清(浅・深)を行なう 2 個以上の鼡径リンパ節が迅速陽性なら、同側骨盤リンパ節郭清追加 3) 鼡径リンパ節腫大(複数または 4 ㎝以上)あり 針生検(または切除生検)ののち、術前化学療法を実施する 化学療法 TIP または 5FU+CDDP を考慮する

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Ⅲ 良性疾患

1 副腎疾患 内分泌活性腺腫 原則として腹腔鏡下手術で摘出する ステロイドの補充は所定のマニュアルに従う 内分泌非活性腫瘍 1)最大径 3cm以下かつ整形かつ内部均一 慎重観察(6 月~1 年ごと画像・内分泌検査)し、異常あれば摘出する 2)最大径 3cm以上または不整形または内部不均一 腹腔鏡下手術(または開放性手術)で摘出する 2 腎疾患 腎のう胞 直径7cm以上の場合、穿刺、エタノール固定を考慮する Polycystic Kidney(PCK) Angiomyolipoma(AML) 1)最大径 5 cm 以下 → 経過観察 2)最大径 5 cm 以上 → 動脈塞栓か腎部分切除術を考慮する 結節性硬化症によるAML には、アフィニトール投与も検討する 腎動脈瘤 1)最大径 2cm 以下かつ石灰化十分 → 経過観察 2)最大径 2cm 以上または石灰化不十分 放射線科もしくは血管外科に相談 放射線科で困難な場合は切除再建・自家移植など 3 腎不全、腎移植 → 腎移植は当院では行なっていない 4 尿路結石 再発患者で生化学、PTH, PTH-intact の測定を一度は行なう 代謝性結石、複雑性尿路結石では定期的な分腎機能評価(腎シンチ)、 カルシウム代謝系評価(採血、尿生化)を行なう

尿生化学は外来でも可(Ca. P. UA. Na. K. Cl. Cr. NAG. 尿量/24hr)

手術加療は、ESWL もしくは TUL(硬性鏡か軟性鏡、Ho レーザー使用) (Ho レーザー手術:2014 年より新規導入)

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珊瑚状結石Stag horn calculi:ESWL,TUL もしくは PNL、経過観察 硬く割れ難い結石;open surgery(extended pyelolithtomy 等 )も考慮 結石リハビリ;Hydration, Vibration (主に下腎杯結石に) 5 前立腺肥大症 内服薬治療 αブロッカー、アボルブ、プロスタール L など 外科的治療:TUR-P もしくは HoLEP(レーザー核出術) (HoLEP 手術:2014 年より新規導入) 術前、術後で IPSS,残尿測定は必ず行なう 大きいものでは自己血準備が望ましい 6 神経因性膀胱 内服薬治療、 自己導尿指導 7 過活動膀胱 抗コリン剤、β3 刺激薬を使用 8 尿失禁 内服治療、骨盤底筋群体操 手術は東大病院へ紹介 9 間質性膀胱炎 対症薬物治療、東大病院へ紹介 10 その他 先天性疾患の手術

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Ⅳ 診療の実際

1. 外来診療 待ち時間をなるべく短くするよう心掛ける 外来予約単位時間は10 分以内に設定 毎週木曜日16:30 から、外来カンファランスを行なう 2. 病棟の診療 チーム医療に努める 毎週水曜日14:30 に病棟カンファランンスを行なう 侵襲のある処置はできるだけ複数の医師で行なう 患者への説明と同意について、できるだけ複数の医師・看護師と行なう 3. 手術室のルール 手術室ルールに泌尿器科も協力する 4. 当直に関する事項 泌尿器科 back up 毎日 前月末までに一覧表作成 5. 学会、カンファランス、抄読会等 各種学会には積極的に参加、発表を行なう 第一木曜日16 時抄読会も行う 病理カンファランス 病理医と3-4 か月毎に行なう 定期的に開かれるの院内Cancer Board に積極的に参加する

参照

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