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雑誌名 生薬学雑誌 = The Japanese journal of pharmacognosy

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(1)

「蒲公英」の生薬学的研究(第3報): Taraxacum属植 物の地下部の一般的形態と四国産「蒲公英」の原植 物について

著者 難波 恒雄, 高野 昭人, 御影 雅幸

雑誌名 生薬学雑誌 = The Japanese journal of pharmacognosy

巻 41

号 4

ページ 318‑325

発行年 1987‑12‑20

URL http://hdl.handle.net/2297/36605

(2)

生 薬 学 雑 誌 Shoyakugaku Zasshi

41(4), 318”一325 (1987)

  「蒲公英」の生薬学的研究(第3報)1)

Tαrαxacum属植物の地下部の・一一般的形態と   四国産「蒲公英」の原植物について2)

難波恒雄i*,高野昭人,御影雅幸  富山医科薬科大学和漢薬研究所

Pharmacognostical S加dies on the Chinese Crude Dmg‘‘Pu gong ying,,(3)1)

 On the General Stmc伽re of Underground Parts of Taraxαcum Plants    and the Botanical Origin of “Hok70ei” from Shikoku District2’

TsuNEo NAMBA,* AK[HITo TAKANo and MAsAyuKI MIKAGE Research lnstitute for PVakan-Yaku, Toyama Medical and Pharmaceuticat      University, 2630, Sugitani, Toyama 930-Ol, Japan

(Received July 6, 1987)

 In China, the Chinese crude drug“Pu gong ying(蒲公英),”which has b㏄11 used for the women’s acute mastitis, urinary troubles, edernas, etc., is prepared mainly from Taraxacum plants(Compositae). In Japan, the crude drug‘‘H:okδei’,(蒲公英), which has been used for stomach troubles in folk medicine, is the underground parts of Taraxacum plants. However, the botanical origin ot’ “Hok6ei” has not been clear. So, in order to identify the botanicalorigin of “Hok6ei, ” a comparative anatomica1 study of the undergound parts of Taraxaeum plants from Shikoku, Kyifshi, Kinki and Chifgoku districts was carried out. ln this paper the anatomical structure of the underground parts of Taraxaeum plants is investigated, which clearly shows that the botallical origill of most of Shikoku(四国)

“Hoko7ei” is T. 1’aponieum KoiDzuMi.

 Keywords-Pu gong ying; Hok6ei; Shikoku; Taraxaeum faponicum; Compositae; pharma-

cognostical study; Chinese crude drug; plant anatomy; Japanese folk medicine

 前報1)では台湾で民間的に用いられている「蒲公英」の原植物はIxeris属およびLactuca ec植物に由来することを 述べた.これらの植物は中国大陸の南部地域でも「蒲公英」と称して使用されているが3),正品はキク科のTaraxacum タンポポ属植物であるとするのが通説である4鯉6).本門ではTaraxacu〃z属植物の地下部に由来する日本産の「蒲公 英」の原植物について述べる.「蒲公英」はわが国では『本草和名』7)に「蒲公草」の名で初見され,現在では主とし て民間的に胃腸薬として利用されている.商品はその外形および内部形態から明らかにTaraxaeum属植物の地下部 であると思われるが,いまだに原植物の同定がなされていない.Taraxacum属植物は互いに類似したものが多く,

また環境条件などによる形態的な変異が多く8),さらにさまざまな倍数体が存在する9)などの理由から,分類学的に きわめて困難な一群とされている,そこで本研究ではまずTaraxae〃m属植物の地下部の内部形態の変異を詳細に検 討し,次いで四国産「蒲公英」の基源を明らかにする目的で四国地方に生育する在来種5種10・11)について比較組織学 的に検討した・日本産Taraxacum属植物の分類については諸説がある12)が,本研究では便宜上北村11)の分類に従っ た.なお,Taraxacu〃1属植物の内部形態学的研究は,これまでに一般的内部形態13)の他,生育環境による地上部の変 異8)や年数による地下部の変化14)についての報告があるが,それらはすべて1種のみを対象としたもので種間差を論

じたものはない.

( 318 )

(3)

実 験 の 部 1.材  料

 1. 生薬材料15a)

 四国産「蒲公英」:徳島県三好郡,小川生薬からの入手品(1982年4月,No、2579).

 2. 比較植物15b)

 ①Taraxaeum atbidum DAHLsT.シロパナタソポポ:京都府(No.267),高知県(34,135),徳島県(128),

愛媛県(125,139,137),福岡県(176),佐賀県(192),熊本県(123,187,189,191),宮崎県(180),富山県(AI-

123,同125,同127,同137,同141).

 ②T. iaponic”m KOIDZuMIカンサイタンポポ:兵庫県(112),京都府(111),三重県(24),和歌山県(A1-130~

134),香川県(37,40,41),徳島県(35,38,39,127).

 ③T.kiushianum H:. KOIDZUMIツクシタンポポ:長崎県(51,199)・

 ④T. pectinatu〃z KITAMURAクシバタソポポ:高知県(130,133),岡山県(265).

⑤T.arakii KITAMURAヤマザトタンポポ:愛媛県(126),兵庫県(262,263),岡山県(266).

 II.実験方法

 a.光学顕微鏡による観察:常法に従った.

 b.ペクチナーゼによる解離:材料を2~3mmの厚さに切断し水浸して柔らかくし,さらに半分に縦断して作成 した試料を10~20m1の酵素液(0.2M酢酸ナトリウムー塩酸緩衝液(pH 4.5)100 m1にペクチナーゼ0・59を 溶解した液)中に入れ,50。Cで一日放置後水中で解離した.

 IIL Taraxacum属植物の地下部の一般的形態

 Taraxaeum属植物の地下部は円柱形または円錐形で外面の色は褐色から黒褐色.基部(目ゼット葉の生ずる部位,

以下同様)から地下へ約2cmまでの部分は通常根茎で,経年するに従い縦裂あるいは分岐する.根茎の横切面

(Fig・1一:B)は類円形を呈し,最外部は表皮が剥離してコルク層からなるが,部分的に表皮が残存していることもある.

一次皮層中に数個の皮層条(Fig, 1-B)を認めることがある.内皮は不明瞭二次皮層は幅広く,師部と連合乳管から なる細胞群が同心円状に点在する.形成層は明瞭.数個の独立した木部が環状に配列する.木部は道管,柔細胞,放 射組織からなる.道管は適せん孔の網紋道管,階紋道管などからなり,放射方向に並ぶ.根茎から根への移行部では

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Fig. 1. Diagram lllustrating L ongitudinal Sections (A“) and Transverse Sections (Bi, C, D) of     Underground Part of Taraxacum Plant and Detailed Drawing of Cortical Vascular     Bundle (B2) of the Rhizome of Taraxacum Plant

In A numbers show the aging in order from 1 to 3. Bi shows the figUre cut at a part in A・

C shows the figure cut at b part in A. D shows the figure cut at c part in A.

*EFritsche,ノlrch. Inst.βoム 砺か.」【’iege,5,18(1914).

(4)

一次皮層が剥離し,髄は小型になる.通常基部から3cm以上先は根である.根の横切面(Fig・1-C, D)は類円形を 呈し,最外部は一次皮層と内皮が剥離し内しょうあるいは二次皮層に形成されたコルク層で,細胞頭数は種により異 なる.二次皮層は根の径の50~85%を占める.根が太くなると二次皮層中の周辺部の細胞は朽廃し,その結果多数の 裂隙が形成される(Fig.2-CI,3-B1).その内側には1~数層のコルク層が新たに形成され(Fig・2-C2,3-B2),そのコ ルク層を境にして外側から順次枯死脱落する.最も内側のコルク層(以下最:内コルク層と称する)で囲まれた部分の 径16a)(以下最内コルク層輪の径と称する),二次皮層の柔細胞の径16b)および二次皮層の中央部付近の柔細胞と外方部 の柔細胞のそれぞれの接線方向径の比16b)(以下柔細胞の比Parenchyma Indexと称する)は種によりやや異なる・

二次皮層に師部と乳管からなる細胞群(Fig.2-C3,3-B3)が5~20輪の同心円状に点在する.乳管(Fig・ 2・D,3-C)の 色や径16c)は種によりやや異なる,木部は道管と柔細胞からなり,道管は不規則に散在するかあるいは径の大きな道 管が年輪状を呈する.道管(Fig,2-E,3-D)は単せん孔の網紋道管,階紋道管などからなり,径16d)は種によりやや異 なる.縦裂した根では木部が偏在し半円形または扇形になり,その全周に形成層が認められる(Fig・1-D)・地下部の 分岐についてはE. Fritsch614)が詳細に報告している.細胞内含=有物として柔細胞中にイヌリンが,また乳管中に偏 光物質が認められる.

 IV. 内部形態の変異

 近畿地方以西に広く分布するT.albidumを用いて内部形態の変異を調べた.

 (i) 同一株内の変化17)(基部から10cmまで1cmごとに観察した):基部から1~2 cmまでは根茎であった・

根の径,最内コルク層輪の径,道管の径,二次皮層の柔細胞の径,柔細胞の比および乳管の径は観察部位により変化 し,乳管の色と最外部のコルク層の細胞層数は変化しなかった.同一株内でも観察部位により測定値が変化すること と生(しょう)の商品の長さが6~10cm前後であることを考慮して,本研究では観察部位を基部から5 cmの部位

とした.

 (ii)経年変化(新鮮な同一株から得られた根を1cm間隔で切断して鉢植えし,1,2,3年目に再び根を採取し 観察した18)):最内コルク層輪の径は経年するに伴い大きくなったが,柔細胞の比,乳管の径および色,最外部のコ

A B

 3

xy

D1転  レ

ロ ミ

惹1

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三民峯

C1 酋 2mm

kl

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2

甘撚

藝嚢隔

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判、

J

E

100pm

      100pm 100VM

         Fig.2. Underground Part of Taraxacum albidum DAHLsT.

A: sketch, B: diagram illustrating transverse section of the root, C: detailed drawing of the transverse sections of the root, D: articulate latex tube, E: vessels,

( 320 )

(5)

ルク層の細胞虚数は大きな変化を示さなかった.

 (iii) 同一採集地内の変化

 a。採集時期による変化(4月と12月に採集し比較した19)):二次皮層の柔細胞の径,乳管の径および色は採集時 期による変化を示した.また,12月に採集したものではコルク層は最外部に1層のみ認められた.Taraxacum属植 物の総苞は分類学上必要不可欠であるため,本研究では採集時期を開花期(3~5月)に統一した.

 b.地下部の縦裂による変化:根は縦裂せず木部が円形を呈するものと,縦裂して木部が半円形を呈するものに分 けられる.以下それぞれを通常根,縦裂根と称する.通常根,縦裂根,根茎の割合はそれぞれ47.2,35.6,22.2%で,

通常根と縦裂根の割合は生育環境に関係なく,また根茎は生育環境の違いで現れるものと考えられた.縦裂根は木部 の偏在を除き通常根と内部形態的な差がなかった.根茎では径,道管の径,二次皮層の柔細胞の径が通常根や縦裂根 のものに比べて小さかった,

 (iv)地方変異:同一採集地内の変化が採集地の違いによる変化より大きく,有意な地方変異は認められなかっ

た.

 V. 比較植物の地下部の内部形態

 内部形態の各測定値中,アンダーラインを付したものは平均値,()内は根茎の内部構造を示した材料について の測定値を示す.

 ①Taraxacum atbidumシロバナタンポポ(Fig.2)

 地下部の横切面は径5. 4~13.5(3.2~9.5)mm.最内コルク層輪は径4400~6523~9700μm.道管は径96~135

(80~108)μmで,二次皮層の柔細胞は径65~105(51~84)μmでともに比較植物中最も大きい.柔細胞の比は1.21

~1.73(1.37~1.74).乳管は黒黄色または黒褐色で,最大径は24~42μm.最外部のコルク層は2~4細胞層.内部 形態の変異については前述(1V)した.

 ②T. japonicumカンサイタンポポ(Fig・3,4)

 地下部の横一切面は径3.9~17.9mmで比較植物中等も太い.最内コルク二輪は径3800~5820~11400ptm・道管は 径61~103Ptm.二次皮層の柔細胞は径50~89μm.柔細胞の比はL39~1.84,乳管は黒黄色~黄褐色で,最大径は

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 100 pm         Fig. 3. Underground Part of Taraxacum juponieum KoiDzuMi

A: sketch, B: detailed drawings of the transverse sections of the roots, C: articulate latex tube D: vessels,

(6)

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Fig. 4. Variations in the figures of Transverse Sections of Underground Part of Taraxacum     1’aponicum KolDzuMI

18~30μm.最外部のコルク層は3~6細胞層.

 《通常根と縦裂根の割合および内部形態の変化》それぞれ41. 7,58.3%.縦裂根は通常根に比してやや太い.また 道管の径と二次皮層の柔細胞の径は通常根の方が平均でそれぞれ約5μmおよび約13μm大きい.

 ③T・ kiushianumツクシタンポポ

 観察したすべての個体で基部から6cmまでは根茎の形態を呈し,径(180×250~760 × 820Ptm)の髄が認められ た横切面は円形を乳径(4.4~4.・9)㎜でT・ pectinatumととも馳の比較植桝砒して細・.地内コルク層 輪は径(3700~4094~4380)μm.道管は径(8i~91)μm.二次皮層の柔細胞は径(60~74)μm.柔細胞の比は(1.40

~1・89)・乳管は褐色~黒黄色で,最大径は(30~34)μmで他の比較植物に比してつねに太いものが認められる.最 外部のコルク層は明瞭で4~6細胞層.T. albidumの形態に酷似するが,乳管がつねに30μ血前後で太く,最外部

のコルク層の細胞層数がT.aibidumに比して多い点が特徴である.

 ④Zpectinatumクシバタンポポ

 地下部の横切面は径4.・0~6.5mmで7「。勧5乃伽〃〃2と同様他の比較植物に比して細い.最内コルク層輪の径は 2650~塑~3675μmで,二次皮層の柔細胞は径45~64μmでともに比較植物二二も小さい.道管は径75~100μm・

柔細胞の比は1.12~1.63.乳管は黒褐色~褐色で,最大径は17~28μm.最外部のコルク層は1~3細胞層。

 《通常根と縦裂根の割合および内部形態の変化》ともに50%.内部形態の変化は認められなかった.

 ⑤T. arαkiiヤマザトタンポポ

 地下部の横切面は円形を呈し,径4.4~8.2mm.最内コルク層輪は径2975~4216~6250μm.道管は径86~113 μm・二次皮層の柔細胞は径52~83μm.柔細胞の比は1.46~1.79.乳管は黒黄色~褐色で,最:大径は22~29μm.最 外部のコルク層は2~4細胞層.

 《通常根と縦裂根の割合》1個体(縦裂根)を除き他はすべて通常根であった.

 VI. 市場品の形態

外部形態:すべて地下部からなり,径3~30㎜,長さ3~15cm.円柱形あるいは聯形で,緬の色は灘褐 色から黒褐色.表面に大小の織があり,ねじれているものもある。地上に近い部分が分岐した多数の根茎からなるも のや根が不規則な方向に分岐しているものもある.特異な臭気を有する.

( 322 )

(7)

  内部形態:横切面の径は6.3~10.9~19.7mm.通常根,縦裂根,根茎の割合はそれぞれ約32,48,8%で,観察 したものの半数以上に最外部にのみコルク層を認めた,商品の約80%のものの内部形態.はT・」’aponicumの地下部の 内部形態に合致し,その他のものはT.iaponicumと他種との中間的な内部形態を呈した.また今回検討した植物に 比して柔細胞が小型のものをわずかに認めたが,このものは次報で述べるT.(02eicinale WEBERセイヨウタンポポの 地下部であると推定された.

TABLE 1. Anatomical Characteristics of the Transverse Sections of Underground Parts of Taraxacum spp. from Kansai, Chtigoku, Shikoku and Ky-ushU Districts

T. albidum T. iaponicum T.kiushianum T, pectinatum T. arakii

Number

  total

  (A) type (normal root)i)

  (B) type (split root)2)

  (C) type (rhizome)

501!00

」弓11引1 24T「ノーつ」¶11」 角」0ハU内」

8440

Q/001晶0

Diameter (mm) (A)

(B)

(C)

5. 4-11. 7(13. 5) 3. 9-12. 8(17. 9)

(7. 79)

6. 3-11. 3

(7. 82)

3. 2-9. 5

(6. 08)

(7. 82)

4. 8-15. 7

(9. 53)

  5. 1

  一

4. 4-4. 9・

(4. 76)

4. 0-4. 4

(4. 11)

4, 5-6. 5

(5, 39)

∩∠)・〆08弓3含」一 ・ ・4107σ.(

4

Diameter of inner cork (A)

 layer ring (ptm)

4400-9700

  (6523)

3800-11400

  (5820)

(3700-4380)

  (4094)

2650-3675

  (3159)

2975-6250

  (4216)

Diameter of vessel

  (ptm)

(A)

(B)

(C)

(90) 96-135 (150)

  (110. 1)

(92) 99-125(140)

   (115, 3)

   80-108    (92. 6)

76-101(118)

  (86. 9)

61-103(118)

  (81. 3)

   55 81-91

(85. 9)

75-89

(82. 4)

80-100

(90. 1)

86-109

(96. 6)

113

Tangential diameter of  parenchyma cell in  secondary cortex3)

  (ptm)

(A)

〈B)

(C)

70-100 (118)

  (82. 8)

  65-105

  (81. 3)

 51-84 (98)

  (69. 1)

57-89 (98>

(73. 6)

50-70

(60. 8)

  53 60-74

(68. 8)

51-60

(56. 7)

45-64

(57. 5)

52-83

(66. 9)

 58

Parenchyma lndex4) (A)

(B)

(C)

1. 21-1. 73 (2. 05)

   (1. 42)

  1. 21-1. 65    (1. 44)

1. 37-1. 74 (2, 04)

   (1. 56)

1. 37-1. 84   (1. 58)

1. 48-1. 83   (1. 62)

  1. 70 1. 40-1. 89   (1. 59)

1. 24-1. 63   (1. 49)

1. 12-1. 54   (1. 39)

1. 46-1. 79   (1. 58)

  1. 79

Articulate diameter

  latex tube (ptm)

(av.) 14-28 10-23 20-24 8-18 10-21

(max.) (21) 24-42 (1 8) 20-30 30-34 17-28(33) 22-29

Number of cell  layers of cork

inner O-4 O-3 2-4 1-3 1-3

outer 2-4 (6) 3-6 (7) 4-6 1-3 (4) 2-4 (6)

The numerals parenthesized in the second lines show’ the mean values. i) longitudinally unsplit root.

2) longitudinally split root. 3’ tangential diameters of parenchyma cells in the middle of secondary cortex surrounded by the inner cork layers. 4) numeral shows the ratio of the diameter of the parenchyma cell nearby the inner cork layers to the diameter of the parenchyma cell in the middle of secondary cortex surrounded by the inner cork layers.

(8)

      結論および考察

 1.四国産「蒲公英」の基源を明らかにする目的で,四国地方に生育するTaraxacum属植物5種の地下部を比較 組織学的に検討した結果,通常根と縦裂根の観察される割合,根の径,寮内コルク宝輪の径,道管の径,二次皮層の 柔細胞の径および比,乳管の径,最外部のコルク層の細胞層面などに種間差が認められ(TABLE I),これらの特徴 により商品の80~95%はT.1’aponicumの地下部であることが確証された.

 2.「蒲公英」の産地とされる香川県と徳島県に分布しているTeraxaeum属植物各種の生育量を比較するとT.

掴ρoπ∫c耀が圧倒的に多く,確率的にも「蒲公英」として同植物が採集される可能性が高いといえる.しかし,近年 帰化植物である工q拶。’ηoJεやT. laevigatum DC.アカミタソポポの分布域が急速に拡大しつつあり,四国地方も その例外ではなく,早晩これらの帰化植物が市場品の大半を占めるようになるものと考えられる.帰化種については 次報で述べる.

 3. T.atbidumは九州,四国,中国地方の低地に広く分布する種で,雑草性が強く,現在東へと分布域を拡大し つつあると考えられており12),分布域が縮小しつつある他の在来種とはやや異なった立場にある.本研究により,内 部形態的にもT.albidumの地下部は道管や二次皮層の柔細胞が特に大型で他の在来種とは異なる傾向にあることが 明らかになった.

 4.本研究では連合乳管の観察にあたり,酵素による解離を行った.酵素による解離は酸あるいはアルカリによる 方法に比して細胞の変形,脱色が少なく,比較的自然な状態で観察できる.本法は柔細胞をはじめとする変形しやす い細胞の解離に適しているといえるが,材料により解離できないものもある.

 謝 辞:比較植物の蒐集にご協力くだされた熊本工業大学浜田善利博士,長崎大学教育学部陣野信孝氏,四国地 方におけるTaraxacum属植物の分布についてご教示賜った香川植物の会和気俊郎氏に深謝する。

 Abbreviations: c: cambium, cpr: primary cortex, ese: secondary cortex, en: endodermis, i: intercellular space, in:inu血1, kl:cork layer, Iv:articuIate latex tube, m=pith, F:parenchyma㏄11, ph:phloem, s:

sieve tube, y: vessel, vbex: cortical vascular bundle, vc: scalariform vessel, wp: wood parenchyma, xp:

protoxylem, xy: xylem.

引用文献および注 1)第2報=難波恒雄,高野昭人,御影雅幸,生薬,41,301(1987).

2)日本薬学会第103年会(東京,1983年4月)で発表した一部および同意104年会(仙台,1984年4月)で発表し

  たもの.

3)謝 宗万,‘‘中薬材品種論述”,中事,上海科学技術出版社,上海,1984,P.358。

4)中国医学科学院薬物研究所等編,“中薬志”,第三冊,人民衛生出版社,北京,1960,P.225・

5)那  埼,謝 蛸脚,邸 年永,台湾産蒲公草之生薬学研究第一報蒲公卿之本草考察,中国医薬学院研究年報,

  3, 108 (1972).

6)趙 橘:黄,‘‘旧事薬誌第一集:国立北平研究院生理学研究所藁縄報告一刊”,国立北平研究院出版課,北京,1936,

  p・ “・

7)深根輔仁撰,与謝野寛細編,“本草和名”,上巻,日本古典全集第一回本,日本古典全集刊行会,東京,1925,49   丁.

8) W.M. Curtis, Kew Ball., 1940(1), 1 (1940).

9)J.Osawa, Ark. Zellforsh.,10,450(1913);西岡泰三,植物学雑誌,69,586(1932);岡部作一,遺伝の総合   研究,2,3(1951);T.Takemoto, Bull. School Educ. Okayama Univ.,11,77(1961);D. H:. Valentine,

  AJ. Richards,ハlature,214,114(1967);S. Yamaguchi,」..Bot.,51,52(1976).

10)四国地方には帰化植物としてTaraxacu〃i{ofi7cinale WEBERセイヨウタンポポとT. laevigatu〃1 DCアカミタ   ソポポの2種が生育している20)がこの2種については次報で述べる.

11) S.Kitamura, Compositae Japonicae, Memoirs of the College of Science, University of Kyoto, Series   B, 24 (1), Article 1 (Biology), 1 (1957).

       ( 324 )

(9)

12)森田竜義,“日本産のタンポポ”,植物と自然,14(4),9(1980).

13) L.J. Guir, R. M. Burress, Trans. Kans. Acad. Sci., 45, 94 (1942).

14) E.Fritsche, Areh. lnsi. Bot. Univ. Liege, 5, 25 (1914).

15)富山医科薬科大学和漢薬研究所民族薬物資料館所蔵品.a)()内は蒐:集年月および標本番号を示す;b)()

  内はA.Takanoの標本番号を示す.なお,すべて1981年から1987年の間に採集されたものである.

16)a)最内コルク層の径と根の径は各横切面で最大径とそれに直交する径の平均値を示す.また最内コルク層輪の   径は通常根と根茎について測定した;b)柔細胞の径は最内コルク層内(二次皮層内に裂隙が認められるがまだ   コルク層が明瞭でない場合は最内部にある裂隙より内側)の二次皮層の中央付近の柔細胞のなかで最大のものの   接線方向の径を測定した.また柔細胞の比(parenchyma index)は最内コルク層内(二次皮層内に裂隙が認めら   れるがまだコルク層が明瞭でない場合は最内部にある裂隙より内側)の二次皮層で中央付近の柔細胞と外方部の   柔細胞(前者の放射延長上にあるもの)のそれぞれの接線方向の径の比で,任意な3ヵ所の平均値を示ナただ   し,柔細胞の径と柔細胞の比は縦裂根では縦裂面と反対側の二次皮層内で,根茎では内皮内の二次皮層中で測定   した;c)酵素で解離した連合乳管において分岐部あるいは結合部を除き,最も太い部分の径(最大径)と大部分   を占める平均的な径の範囲(平均的な径:average diameter)を測定した;d)各切片中最大のものの径を測定   した.

17)材料は福井県三方郡で採取した新鮮な根を1cm程度に輪切りにし,富山医科薬科大学構内で栽培したもの

  (AI-125,同127)15b).

18)材料は佐賀県唐津市西唐津で採i集した(A1-26)15b)新鮮な根を1cm程度に輪切りにし,富山医科薬科大学構内   で栽培したもので1年(A1-123)15b),2年(Al-137)15b),3年目(A1-141)15b)に採取した・

19)材料は熊本県熊本市大江本町熊本大学薬学部構内(123,187)15b)で採集した.

20)長田武正,“日本帰化植物図鑑”,北隆館,東京,1972,p。44.

参照

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