家族性下垂体腫瘍 : 内分泌腺腫瘍 (特集 : 遺伝性腫瘍学)
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(2) 27 )2962(. 日 本 臨 林 35 巻 11 号 ,1(. )591. 11 染色体にヘテロ接作性の消失( LOH) 1翠. 下垂体 第 11 染色体. HRASl PTH CALCA D1Sl. 一 - 一 。 一 一 一 0. 15. PYGM Dl 1lS 46 D 11 S534 D 11 S527. 0 0. 0 O 0. 0. 0. 0. 0. GHRH. ulG. P. 。. 。. CD3D. . . . .. 。。 。 。 。。 。。 。 。 一 。 一 一 。 。. GH llun. O. 副甲状膿. が作在. す る こ と を 初 め て 明 ら か に し た ペ ま た i:記の 症例の 2 個のド雫体腺腫( GH 比佐腺腫と非機 能性腺腫)においても,共通した LOH 報告した(図 )1 2 ).このように,. の存在を. 卜-在体,白 j l巾. 状腺,牌の 3 内分泌腺の腫場化は, MEN. 1原. 閃遺伝子の機能消失を共通のぷ盤に発生するこ とが確認された.また,各組織の腫場化には. MENl. 原閃遺伝子の変化のみならず,第,2. 第 3 の遺伝子変化が必要と考えられるが, p 53 遺伝子や sar. 遺伝子の変異は認められなかった.. しかし 1 例のみではあるが, GH ・プロラクチ 図1. MEN 1 症例の下垂体,騨および副甲状腺 腫蕩に認められた第 11 染色体の LOH. 21 年間に外科子術で摘出された下垂体腺腫( GH, GH 産生腺腫, lun ,非機能性腺腫),拝腫傷( GH 放出ホルモン産生肝属, ,ulG PP ,グル RH,GH polyetid 産生腫場), カゴン, citaernp ]日I 甲状腺過形成の各組織に, MEN 1 原因遺伝子 座位に共通した LOH を と連鎖している PYGM 認めた 2).下垂体の 2 個の腺腫は術後の組織学的 検査により明らかとなった.。: LOH ,・:ヘテ ロ接合性の保持, :未検討. sG ン産生ド垂体腺腫において, α. 追{云f の変異. を認めた 5,4 ).しかし同症例の副巾状腺腫場,醇 腫爆には変異を認めず,. ド垂体腺腰の腫房化に. 特異的に関与していることが示唆された.. MEN. 1 原因遺伝子の同定が進められ,フォ. スホリパーゼ33/C. がその有力な候補にされて. いる.現在,スウェーデンのグループにより. MEN. 1 症例の匹細胞レベルで、の本遺伝子の変. 異の有無についての検討が進行1t1 である.また カナダのニューファウンドランド地方において,. の男女比は 1 :8.1. で女性に多い.このうち非. 機能性腫療が最も多く 54%. を占め,残りを成. 長ホルモン( GH )産生腫虜( 28% ン産生腫虜 (15%),. ACTH. ),プロラクチ. 産生腫虜( 8% )が占. ドを伴い,常染色体優性遺伝形式をとる疾患が 認められているが,連鎖解析の結果より MEN の原因遺伝子座が存紅する 3 lql. ifif. 1. 域のマー. カーと強く連鎖することより,本-~忠は MEN 1. める. 病 理 所 見 で は , 腺 腫 が 84% が 14%. を占め,過形成. の亜型と考えられているい.. に認められる.過形成例はいずれも剖. 検例で,その 20%. .II. は先端巨大症の症候を示し. た.また腺腫と過形成が混在した例も認められ る .. プロラクチノーマと副甲状腺腫蕩,カルチノイ. しかし,わが国では悪性例は報告されてい. 家族性下垂体腫蕩. .1 家族性下垂体腫蕩の特徴 MEN. 1 と関連が認められない家族性ド垂体. ない.また同一組織内での腫療の多発例は副甲. 腫療. 状腺や梓には高い頻度で認められるが,下垂体. 分泌腫療が認められず,家族性に下雫体腫療の. 腺腫の多発の報告例は非常に少ない.わが国で. み生じる疾患. は剖検時に直径 5mm. が報告され(表 1),組織引はいずれも腺腫であ. 程度の数個の腺腫の存在. が剖検時に発見された例と,われわれが報告し た 2 個 の 腺 腫1( 個は GH 産生腺腫,他の 1 個 は非機能性腺腫) 2 ) の 2 症例である.. .2. MEN. 1 に伴う下垂体腫蕩の腫蕩化機構. われわれは,副甲状腺や梓腫虜と同様に,下 垂体腫虜にも MEN. 1 原因遺伝子が位置する第. すなわち,家系内に副甲状腺腫蕩や騨内 は,これまでに 02 家系 54 症例. る . 下垂体腫虜の種類に関しては, MEN. 1 に伴. う下垂体腫蕩では非機能性のものが 54% も頻度が高く,次いで GH 産生腫爆が 28%. と最 を. 占めるのに対し,家族性下雫体腫療においては. GH 産生が 67%. ,プロラクチン産生が 27%. ,非.
(3) 37. 特集:遺伝性腫痕学. (2 96 )3. 表 1 家族性下垂体腺腫の報告例 著者 (発表年) uqniL. ette. te .la 7691(. niveL te .la )4791( 氷室ら()6791 IZ). ))oJ. te .la )1891(. senoJ Abrasioun !letsaP. te .la )4891( 14> te .la )6891( te .la )9891( 16) et.la )091(. McCarthy. 13>. niz. te .la )591(. 機能性が 7% を占め, ACTH. 21>. 19>. 一卵性双生児 ( 男 性 ) 叔父,甥 3 人の兄弟 3 世代にわたる 5 名. 非機能性腺腫 先端巨大症 プロラクチノーマ. 3 家系 兄,妹 母,息子 母,息子 兄,弟,妹 姉,妹 父,娘 兄,弟 4 家系 父,娘 父,息子 父,娘 姉,妹. 産 生 あるし川ま TSH. 断. プロラクチ ノーマ 先端巨大症 姉:先端巨大症 妹 :非機能性腺腫 兄 :先端巨大症 弟 :下垂体性巨人症 先端巨大症 先端巨大症 4 名:先端巨大症 1 名:プロラクチノーマ. 2 家系 姉,弟 父,娘 18>. Tamburano et.la )291( Matsuo te .la )491( 7> 垣屋 ら )491( ZO ) 山田ら)491( S) Ber. 15). 17 ). te .la )091(. ’. 芸 ロ5今. 母,娘 兄,弟 姉,妹. ni. Kurisak. Yuasa. 例. 症. 先端巨大症 先端巨大症 先端巨大症 先端巨大症 下垂体性巨人症 先端巨大症 下垂体性巨人症 プロラ クチノーマ プロラクチ ノーマ プロラクチ ノーマ プロラクチ ノーマ. 既往歴 :5 歳 虫 垂 炎 の 手 術 , 現 病 歴 :昭和 15. 産牛.揖療 の報告は認め られない.すなわち,家. 年(75 歳)頭痛,視力障害 が出 現 , 現 症 :身長. 族 性 卜 垂 体 腫場では, GH 産 生が最も多いのが. 351. 特徴である .. 右 6.0 ,左 40.0. 家系内でのト 垂体腺腫の種類については, GH a. 産 生 の み の 家 系 が 55% みの家系が 25%. cm ,体重 95 kg ,血圧 07/81. ン検査. m m Hg ,視力. ,両耳側半盲,検査成績:ホルモ. 下垂体機能低下,気脳造影にてトルコ. , プ ロ ラクチン産生の. 鞍内に腫療を認める.手術所見:右前頭開頭術. ,非機能性のみの家系が 5% に. により,腫蕩の亜全摘を行った.組織学的診断. 認められ,そのほか, GH 産 生 とプロラクチン. は嫌色素性腺腫.術後経過:術後,放射線療法. GH 産生 と 非 機能 性 の混在 が 5% に認め られる. また GH 産 生 による 症 状. を施行.視力は右 6.0 ,左 8.0. 産生の混在が 10%, として, MEN. 1 では 下 垂 体 性 巨人症が 6% に. [症例 ]2. A.K. まで回復した.. 92 歳,男性,主訴:視力障害,. 既 往 歴 :特記すべきことなし,家族歴:父. 腎. しか認められないのに対し,家族性下垂体腫蕩. 癌,母下垂体腺腫,現病歴:昭和 16 年 ( 92 歳). では 17%. 71 急激な右視力の低下をきたした.現症:身長 5. に認められる.. .2 自 験 例. 0 mmHg cm ,体重 27 kg ,血圧 21 /6. 母親および息子に非機能性腺腫が認められた. .K [症例 l] A. 4.0 ,左 2.1 ,視野異常なし,検査成績:ホルモン 検査. 症例を 示す .. 75 歳,女性, 主訴 :視力障害,. ,視力右. 応 , TRH. インスリ ン負荷に対す る ACTH 負荷に対する TSH. の低反. の低反応を認めた..
(4) 47. (2 )496. 日 本 臨 林 35 巻 11 号 ,11(. 110 鈍 72. 角 00. 、 角0. 10 0. 7 『0. 800. 8 ちO. 00 0. 切円. 0. 591 1000. ) 10' 0,. 11 0 0. 11 ',0. 。 、. 1'00. 』2. ・ ,00. w. 1>0. 0. T. S110 日4. 2. 2400. 1. w. T. 図2. 家族性下垂体性巨人症症例における下垂体腺腫の 3lq. 領域の LOH. 兄( 62 歳)の GH 産生下垂体腺腫において, 3lq に位置する D1S527, D1S534 のマーカーの LOH を認めた . w :白血球, T :腰蕩.縦軸は蛍光強度を,横軸は泳動 開始時からのスキャン数を示す.両マーカーともにアレル 2 が欠失していることをぶ す.弟(2 歳)の腺腫にも,同じアレル 2 の欠失を認めた.. CT にてトルコ鞍から鞍上部に腫療を認める.. 明である.. 手術所見:右前頭側頭開頭術により,腫療の亜. 家族性に甲状腺髄様癌のみを生じる家族性甲. 全摘を行った.組織学的診断は嫌色素性腺腫.. 状腺髄様癌と MEN. 術後経過:術後,ハイドロコーチゾン,甲状腺. に RET. 2A の原因遺伝子 は,とも. 遺伝子であり,. しかもその変異部位も. ホルモンの補充を行っていたが,その後,腫蕩. 同一である.また家族性に副甲状腺機能克進症. の 増 大 の た め 昭 和 63 年,平成元年, 平成 4 年. のみを示す家族性副甲状腺機能冗進症は, MEN. の 3 回にわたって腫療の摘出を行った. 平成 4. 1 と同じ部位に連鎖を示 す家系と連鎖を示さな. 年放射線療法後は腫虜の増大は認めていない.. い家系が存在する.それゆえ,家族性下垂体腫. .3 家族性下垂体腫蕩の遺伝子解析 家族性下垂体腫療の遺伝形式や染色体におけ. 蕩についても, MEN. 1 と同じ部位に連鎖を示. すのか否かについての検討が,今後必要である.. る原因遺伝子の存在部位については,まだ明ら. 家族性下垂体腫療における遺伝子解析の報告. かにされていない.また本疾患が単一疾患なの. 例 は 1 家系にすぎない.松野ら 7 )は,家族性巨. か,それとも家族性先端巨大症 と家族性プロラ クチノーマとは異なる疾患なのかについても不. 人症の姉妹例の GH 産 生下手体腺腫における. α sG. 遺 伝子 のコドン 102. および 72. における.
(5) 57 )5962(. 特集:遺伝性肺痕学. 変異の {f無について検,d したが,いずれも認め. 遠くないものと思われる.. られなかったと報告している.また,末梢印白 血球の染色休校WJ 解析を行い, MEN 伝子が. ι:イi す る 第 1. 1 原因遺. 染色体の異常を認めない. こと,および日l j 叩状腺と/]革ホルモンの異常を認 めないことより, MEN 1 椛 例 の 末 l梢 lfJ. しかし,. ド i血球の染色体核型解析. において,一般的に欠失などの明らかな第 1 染色体のうで.常は I認められないことより,染色体 解析の結!共のみでは, MEN. 1 症例であること. を百定する根拠とはならない. われわれは,兄弟( 26 歳 , 2 歳)ともに下雫 体性 l〔人位をぶしたド平体腺腫8 )より抽出した DNA. を片j い , MEN. lq3. 領域内のマイクロサテライトマーカーに. ついて, LOH. 1 原!刈追イムー子が存在する. のむ無について検討した.具体. 的には,蛍光標識したプライマーを用いて, PCR でI削日後, DNA l'! 動シークエンサーおよび GE NESCANN. ソフトウェアによって,電気泳. 672. 動および増幅 DNA. 断片ーの解析を行い,什血球. および腺腫のパターンを比較して, LOH. の有. 無を検討した.その結果,兄弟の G H 産生腺腫 ともに D1S527, LOH. の. のマーカーにおいて,. DlS534. ι ι を 出めた(図 .)2. しかし,この結. I. 果より本症例が MEN. 1 症例と診断することは. できない.なぜなら,家族性が認められない孤 発性ド車体腺牌でも, 18%. に第 1 染色体の LOH. が認められるからである 9 ).いずれにせよ,本 腫協の牌場化に MEN. 関貰聖て博士に感謝します.. 文. 献. 1 とは関連が認められ. ない家族件ー卜-平体腺腫と I診断している. MEN. 最後に症例の資料を提供して頂いた徳島大学脳神. 経外科. l 原因遺伝子の不活化が. 関与しているものと考えられる. おわりに 保 凶 お の 遺 伝f 診断 lこ関しては, MEN. 1で. は原因遺伝子と近接したマーカーを用いて,変 異遺伝子を受け継いでいるかどうかを間接的に 診断することが J1r 能である.. しかし条件によっ. ては診断が不司能な場合や座位聞の組換えによ る誤診の口J能性が残されている.将来, MEN. 1. 原肉遺伝子や家族性ド雫体腫療の原因遺伝子が 単離され,その造伝子変異を同定することによ り,保肉者診断が .fI 確に行われるのも,あまり. 1)吉本勝彦,斎藤史郎:本邦における多発性内分 泌肺蕩症 1 型の’夫態調査. 日内分泌誌 :76 467 ,477 .191 )2 Shinta Y, te la : Two tnerefid yratiup adenomas ni a tneitap with multipe endocrie neoplasi type 1 detaicos with growth hormone gnisaelr hormone producing citaernp tumor :lacinlC and citeng .serutaef Endocrine J 24 :13 ,043 .591 )3 Yoshimoto K, te la :ellA sol on -orhc 1 ni a y ratiup tumor from a mosome tneitap with multipe endocrie neoplasi epyt .1 Jpn J Cancer Res :28 ,98-68 .191 白c t niop )4 Hosoi ,E te la : A yratiup iceps mutation fo codon 102 fo eht Gsa gen ni a yratiup adenoma fo a tneitap with multipe endocrie neoplasi (MEN) epyt .1 Endocrinol Jpn :93 913 ,423 .291 )5 Yoshimoto K, te la :Rare mutaions fo eht Gs alpha subnit gen ni human endocrie tumors :Mutation noitced by polymerase chain reaction-prime -ortni duced noitcirtser .siylan Cancer 27 6831 ,3931 .391 )6 yteP EM, te :la Mapping eht gen rof yratideh hyperparthyroidsm and -orp ot chromosome lactinoma (MEN ,iruh ql : Evidenc rof a founder tceffe ni pastneit from Newfoundland. A m J Hum Genet 45 :061 ,601 .491 )7 Matsuo A, te la : Gigantism ni sgnilbis detalrnu ot multipe endocrie neopla ais :case .troper Neurosurgery 53 :259 ,659 .491 を呈した兄弟 8)山田正三ほか: Acrogigantism (抄録) 例 . 日内分泌誌 07 :,827 .491 )9 Boglid MD, te :la Molecular citeng seiduts fo sporadic yratiup tumors. J nilC Endocrinol Metab 87 :,293-783 .491 a enitcalorp )01 etuqniL M, te :la Adenome zehc une enuj 日 ell dont al mere tiate un adenome hypophysaire acev porteus d’ amenorhe .ehrotcalg Anales d’ Endocrinlge 82 :37 ,087 .7691.
(6) 67 )6962( )11. 21 )31. )41 )51. )61. Levin and Arch )氷室 外科 Kurisaka gniterc twin :8 62 Jones nilC Abasioun galy erht ,215-015 letseP. 日 本 臨 林 35 巻 11 号 ,11(. SR, te la : Hypersomatotrop1sm acnthosi nigrcas ni two .srehtob nretnI Med :431 563 ,763 .4791 博ほか:下垂休腺腫の家族発生.脳神経 :4 173 ,73 .6791 M, te :la Growth hormone-seyratiup adenoma ni uniovular brothes : Case .troper Neurosurgery ,032 .1891 M K, te la : Familal acromegaly. Endocrinol 02 :53 ,853 .4891 K, te la : Familal acromewith yratiup adenoma. Report fo detcefa .sgnilbis J N eurosurg 46 ・ .6891 R G, te la : Familal acromegaly.. )71. )81. )91. 02 )12. )591. Acta Endocrinol 121 :682 ,982 .9891 Yuasa H, te la : Familal yratiup -eda noma : Report fo four seac from two unrelatd .seilmaf Neurol Med Chir (Tokyo) 03 :6101 ,9101 .091 McCarthy MI, te :la Famila acromegaly: seidutS ni erht .seilmaf nilC Endocrinl 23 :917 ,827 .0991 acromegalie -af Tamburrano G, te :la L ’ .eilm Apropos d’ une .noitavresbo Revue de .erutaretil Anales d’ Endocrinolgie )siraP( :35 ,702-102 .291 )垣犀 聡ほか:家族性先端日大症の一家系.日 内分泌誌 : 07 ,966 .491 (抄録) Berzin M, Karasik A :Famila -calorp tinoma. Clin Endocrinol :24 ,684-384 .5991.
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図
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