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低品位ニッケル鉱の処理法 (昭和45年9月ユ8日 原稿受理)

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低品位ニッケル鉱の処理法

(昭和45年9月ユ8日 原稿受理)

金属工学教室岡元敬蔵

   〃    植   田  安   昭    〃    野  ロ  文  男

Extraction of Nickel from Low Grade Oxide Ores

by Keizo OKAMOTO   Yasuaki UEDA and Fumio NOGUCHI

  For extraction of nickel from oxide ores, a combination of the so・called Segre・

gation Roasting is a very adequate process.

  Segregation・A皿monia Leaching Process is preferable for lateritic iron ores and Segregation−Magnetic Concentration丘ts for garnierite ores.

  In near future, manganese nodules may be a main resource of nickel as well as

cobalt and be extracted by the same reduction−ammonia leachmg method. The re.

siduce, mangano・iron oxide provided very fine particles, will be used for cleaning of atmospherical pollution.

      アから),メタルや酸化ニッケルに精製する例も

       1・緒  言        ある。近く,ソ連からもマット輸入の計画があ  GNPも粗鋼生産も自由世界第2位,ステンレ  る。  ヴ

スに至っては粗鋼量が米国を凌いで第1位といわ   製錬法としては,わが国では乾式一酸化鉱,硫 れる日本には,ひとかけらのニッケル鉱も産出し  化鉱いずれについても一だけであらゆる方法が行 ない。従って,鉄鉱の場合と同様,世界各地から  われている。しかしながら,近年の急激な需要の 原料を輸入せねばならない。幸にして南方産のガ  膨張にたいして,年々品位が下がり前述のような 一ニェライトは輸送には便利であるが,30年代前  低品位鉱を輸入して,従来と同じ処理法では,到

半の3%Ni,40年になると2.5%,やがて2%  底充分な供給が出来ないし,採算的にも問題があ

を切る日も遠くない,といわれるほど低品位であ  ろう。そのような事から資源の開発調査と新技術

る。       の開発が要望されるわけである。

 一方,無尽蔵といわれるラテライト鉄鉱には,   そこで科学技術庁資源調査所では,工業部会に

0,6〜0.7%のNiを含むが,1%台のものは余  ニッケル小委員会(委員長,小野健二博士)を設

り埋蔵量が多くない。その上,両鉱種とも附着水  け,昭和43年10月から45年3月にかけて,こ

分や結晶水が多くて,時として20〜50%に達す  の問題について広範な調査を行なった。

る。立地的に海上輸送の便があるといっても,余  その結果は本文464ページ,書簡と要旨50ぺ

りに低品位にすぎて泥と水を運ぶような形で,ま  一ジにおよぶぼう大な報告にまとめられて技術庁 ことに効率が悪い。       長官に提出された。「ニッケル資源の確保と低品  そこで製錬所によっては硫化精鉱を輸入したり  位処理技術の開発に関する調査」科学技術庁資源

(カナダから),マットを運んで(ニューカレドニ  調査会報告第54号,昭和45年6月26日がそれ

(2)

である。      ト鉄鉱もある。その何れにかたよるかによって,

 ニッケルの重要性から説きおこし,需給の見通  浸出法がよいか,磁選法がよいか,という事にな し,資源の状況,製錬の実状から,今後の進むべ  るが,何れの場合にもセグリゲーションという塩 き方向に至る,全8章にわたり,あらゆる角度か  化製錬の手法を前段の工程に組合わせる点に特徴 ら,資料,内外の文献特許,処理方法の提案な  がある。      

どが網羅されている。       第3章で,ラテライト鉄鉱の浸出法を修正カロ

 筆者は非鉄金属製錬を講ずる際ニッケル,コ  ン法と呼ぶが,金属ニッケルとする還元機構の考

バルト,鉄の3金属は,いわゆる周期律第8属鉄  え方において,カロンのそれとは全く発想を異に 類であって,類似の性質が多く原鉱としては何れ  する点を強調しておきたい。

も酸化鉱と硫化鉱として産出し易く,製錬方式も

いわゆる鉄冶金とか,銅冶金とかいわれる両方に    2・ ラテライト鉄鉱をニッケル源と見 共通する操作がある,という考え方から,特に二     てその抽出を第1に取上げた理由

ッケル製錬には深い興味をもつて来た。        (これは1963年2月,八幡,富士,日鉱,住友金  八幡製鉄をはじめとして多くの鉄鋼研究所や大   属鉱山・日本冶金などに出向いてセグリゲゲーショ 学では,戦時中からラテライト鉱を鉄源と見て研   ン アンモニア抽出法を捉唱し研究開発担当の方々

究されて細㍉筆者は次章に述べるような蜘 籔≡麗㌫欝;㌶濫響筆㌶

で・むしろ・ニッケル源として見てきた。      がちがう点がある。)

 さらに,1962〜1970の問は,とくに塩化製錬の

立場から,セグリゲーション法によるニッケルの   ラテライト鉄鉱は鉄品位が低く,水分が多いこ 採取という捉え方のもとに研究した。度々の学会  とのほか・ニッケルを含み,製鉄原料としては有 にも報告し,現に投稿中のものもあり,いくつか  害なクローム,アルミナ,その他のガングが少な の特許を出願した。      くないこと,が欠点とされている。

 それらの総括的結論として,低品位ニッヶルの   これらの成分を金属含有分の値段として見る ラテライト鉄鉱に対しては,セグリゲーションー  と,鉄,ニッケル,クローム,アルミナが似たよ アンモニア浸出法が,ガーニエライト鉱に対して  うな金額になるので,各成分とも綜合的に回収利 は,セグリゲーションー磁力選鉱法という組合せ  用すべきものとして,鉄とそれ以外のものの分 が最も適していると考えている。もっとも,何れ  離採取に関する研究が古今,内外にきわめて多 も現地処理が前提であるが,ロータリーキルン・  い。

電気炉組合せでフエロニッケルとし,転炉精製す   組成品位から直ちに金属として評価せずに鉱石 るのが最も手っ取り早いが,低品位になると,こ  として,現に稼行されているそれぞれの製錬品位 の二つが考えられよう。      に近いものと比較して取りあげてみると,

 もともと,超塩基性母岩にはじまるカンラン   鉄;20〜30%におよぶ附着水分,結晶水などを 石,蛇紋岩の類に僅かのニッケルを含むものが,  除くと,多くのラテライトは50%以上で,一応立 風化をうけて変化する過程で,ニッケルを含む蛇  派に鉄鉱といえる。

紋岩一通常ガーニエライト鉱と呼ばれるもの,   ニッケル;ラテライト中のニッケルは,通常

と,アルミナ分の多いボーキサイト鉱,および鉄  0.5〜0.7%で,若荻鉄鉱のように0.4%内外と 分の多いラテライト鉄鉱一,一一般にニッケルを含  か,宮川鉱山のように1%台のものなどまちまち むが,ボーキサイトの方にはほとんど含まれぬ,  である。

の三つが二次的に出来たもの,とされている。従   現在ニッケル製錬の対象になっているものには

って,賦存状況を見ると,同じ鉱床でも,ラテラ  硫化鉱と酸化鉱があって,ラテライトとガーニエ

イトをかなり含むガーニエライト鉱や,風化の運  ライトは後者に属する。ニューカレードニアのガ

行過程にあるガーニエライトが混在するラテライ  ーニエライトが3%台,キューバで製錬されてい

(3)

るラテライトは,1.35%と1.40%で,鉱床全体  き捨て,ニッケルだけを抽出採取し,後は高品位 の平均は0.6%といわれる。ニューカレドニア産  鉄精鉱をつくるのが製錬の本筋ではあるまいか。

のガ_ニエライトが,目下はフランスと日本で稼  しかし,クローム,アルミナも上述のように有価

行されている。      物であることは事実であるからニッケル抽出,鉄

 硫化鉱としてはカナダのサドベリー地区が有名  精鉱採取の工程中で,格別の副原料・操作を必要 で,銅鉱中のニッケルであるが,この頃磁硫鉄鉱  とせずに分離回収できる方法がある場合に限り・

に含まれる少量のペントランダイトのニッケルに  考慮するのが妥当である。

着目し,前者を焼いて硫酸を造り,焼鉱からニッ   金銀その他ウランなどの特殊低品位元素の採取 ケルを抽出して,残さを高品位磁鉄鉱ペレットに  には湿式製錬の例が多い。カロン法もニッケル品

仕立てる方法も実施されている。        位は低いが,値段が比較的高いところから,か  従って,キューバで現に1.4%Niが稼行され  つ,また,従来の選鉱法も適用できないし・酸浸 ていることから考えて,ブイリッピンにある  出法も応用できないので,酸化銅鉱に用いられた

0.7〜0.75%のもの,セレベス,ニューカレドニ  アンモニア性炭酸アンモニア液抽出法にかけたも アの1%前後のラテライトは,このままでニッケ  のである。

ル鉱製錬の対象になりうる。なお,セレベスやニ   ー般に乾式法が製錬の常道であり,これに適し ユーカレドニアから現在輸入されているガーニエ  ない低品位鉱は,あらかじめ選鉱して品位をあげ

ライトはニッケル分(Ni+Co)1トンが32〜33  る。選鉱が適用できなければ湿式法にするか,そ 万円として取引されている。      れも不可能な場合には何等かの前処理を考えるの  クローム;ラテライト中のCrは2〜3%ある  が,鉱石処理法の本筋である。

がC「・°・として3〜6%で,ク『トとして

@ 3ラテライト鉄鉱のセグリゲー

みると4〜7%,多場合には1°%の低品位ク

@ シ。ン_アンモニア抽出法

ロマイトと仮定することができる。

 Cr、0、>40%が合金鉄や化学用に,30%前後あ   低品位ニッケルのラテライト鉱を・選択還元し るいは以下が,もっぱら耐火煉瓦用である。南   て一ニッケルだけは金属状に・鉄分は磁性酸化鉄 阿やフ.イリッピンから輸入される高品位ものは  かヴスタイトにとどめる一・焼鉱は古くから自然 1.1〜1.2万円/トン,であるが,仮りに1万円と  銅・酸化銅の湿式製錬に応用されているアンモニ すると,ラテライト中のそれは1,000円近いもの  ア性炭酸アンモニア液抽出にかける方法がある。

と見ることが出来よう。      銅やニッケル,コバルト,亜鉛など通常二価の金

 アルミナ;5〜10%を含む。もともと,ラテラ  属・fオンは・この抽出液ではNH3をはじめ共有

,イトとボ_キサイトは同じ二次性鉱物で鉄の多い  するアニオンの濃度によって溶解度を異にする点 のがラテライト,アルミナの多いのがボーキサイ  を巧みに応用したもので・ラテライト・ガFニェ

トである。現在輸入されている,ボーキサイトは,  ライトに対しては1920年代に・当時の蘭領イン 50%ものが約4,000円であるから,その比較から  ドシナ・今のインドネシアに駐在していたカロン は400〜800円にすぎない。       か発明した方法である・わが国でも相前後して当

 以上をまとめると,      時の日本鉱業で・建部敏雄氏がほとんど同様の研    ニッケル  クロームアルミナ   究を完成し,1929年東京で開催された国際鉱業

  2,310円(0.7%で) 1,000円  800円    会議に詳細な報告をしている。

  3,300円(1%で)      カロン法は第二次大戦中,アメリカが取りあげ すなわち,ニッケルは2〜3,000円以上でありク  てキューバで大規模に企業化した。今でもソ連の

ローム,アルミナはその半ばにも達しない。    協力を得て,カストロ政府が稼行していると思わ  従ってラテライト鉄鉱の処理法としては,有害  れる。なお先に記したカナダのペントランダイト

なクローム,アルミナはその他のガングと共に除  を含む磁硫鉄鉱も,焼鉱からニッケルを採る段階

(4)

は,同じくアンモニア法である。         研究,炉の工夫など歴史的な変遷や種々の方法の  ラテライトのカロソ法は選択ばい焼条件がむつ  得失についても同教授の詳しい解説がある2)。

かしく,鉱石銘柄によって収率に差異があり,し   わが国でも,選鉱と製錬の協力という立場か かも余り高くない。筆者はここに,塩化物添加の   ら,セグリゲーション法を,日鉱誌上に米沢利明 セグリゲーション法を組込んだ上に,次の抽出に  氏が紹介しており3)筆者も塩化製錬に関するシン おいては空気吹込みの代りに,加圧酸素導入とい  ポジウムに際して,セグリゲーションは塩化製錬

う改良を行った。いわば,修正カロン法であっ  の特殊ケースである,という見方にたって,あら

て・詳細は特許第444859号(昭和39年10月28 かじめ総説したことがある・)。

日公告)含ニッケルコバルト酸化鉱の処理法を見   先に,酸化鉱から金属が還元偏析する機構が解 られたい。また・ラテライト処理に関する一連の  明されていない,と書いた。多くの研究者は,単 発表(日本鉱業会誌)やシンポジウムでも報告し  に塩化物の添加配合,その分解,塩化剤の効果,

てある1)。      生成塩化物の還元などを,化学反応の平衡論的考

4㌶鍵のセグリゲー

 セグリゲー一ションというのは,1920年代に酸  した。

化銅鉱の還元実験中に・偶然発明されたといわれ   塩化物の分解と揮発,とくに生成した塩化物の る・ある種の銅鉱に限って・還元炭の上に金属銅  揮発,そのフコ.一ムがコークス,ガング,メタル が偏析し・包みこんで粒状になったり・それらが  に対して吸着の仕方に選択性があること,生成し からみついて房状になる現象が認められた。その  た塩化ニッケルや塩化銅の蒸気が還元炭と水分か 原因が・原鉱中にあったハロゲンに因ることがわ  ら出来た水素で還元されるのはウイスカ_のよう かり・塩化物を別に添加配合しても・同じように  にして出来ること,高温では気化も還元も速度を 金属銅が粒状に偏析する事実がたしかめられた。  まして粒子が成長しやすいこと,種々のガス反応  そこで,硫化鉱のような浮選法も,酸による湿  が複雑に関連しておこるが,塩化物と酸化物の混 式抽出も出来ないような塩基性酸化銅鉱に対し  合溶融相の存在が鉱化作用に効くこと,などの現 て,ごく少量の食塩と還元炭を配合してばい焼  象を実験的に観察した。このように,化学反応と し,このようにして偏析した金属銅を浮選法で捕  物理現象の両面から捉えて,説明すればセグリゲ 集する処理法が生まれた。      一ション機構はほぼ明らかにすることが出来る。

 ところが・ばい焼法がむつかしい,適当なばい   その詳細は,やや長文の報告書2篇として日鉱 焼炉が設計されない,金属銅が偏析する機構が普  誌に投稿中であり5)その訳文は本学の欧文紀要,

通の還元とどのようにちがうのか,そのセグリゲ  工学篇第1号に掲載の予定である。

一ション機構が解明されない,あるいはコストそ   物理的現象とくにセグリゲート産物の観察には の他の理由から・発展しないまま40余年間,各  走査電子顕微鏡が威力を発揮した。また析出粒子 国で多くの人々によって検討がつづけられた。遂  が合金であって,原鉱中の共存成分により,ある

に3年ほど前に至って,TORCO法といわれる装  いはばい焼温度によって,その組成が変る点はX 入物の予熱炉と密閉式むし焼反応炉を組合せたセ  線回析やXMAによって確認された。多数の写

グリゲーション炉が開発された。トルコ法によっ  真,データのうち,ごく一部を日鉱誌への報告に て,はじめて工業規模のセグリゲーション法が確  いれてあるが,これらの機器の活用によって,物

立した観がある。       理現象,とくにウイスカー状のメタルの生成,粒

 銅鉱のセグリゲーション法は1936年パリの国  子の生成と成長,コークス上への吸着とその発達

際鉱業会議でM・Rey教授が,はじめて詳しく  を確認できたものである。

報告した・TORCO法に達するまでの40年余の   セグリゲーションー磁選法組合せの処理につい

(5)

て簡単にのべよう。あらかじめ900℃台でか焼  せしめ磁選しやすい粗粒化を計るためである。ま した(付着水や結晶水を除く)ガーニエライト鉱  た,密閉むし焼が望ましいとしたのは()内に

に,ごく少量のコークスや無煙炭と塩化カルシウ  付記したように,塩化水素や水分が再成,循環す

ムを微粉状で混和,造粒して300℃以上に(造  るガス反応の組合せであるからである。現にトル

粒水分や塩カルの結晶水を除く)予熱する。ばい   コ法は密閉反応塔であり,そのため塩化剤や還元 焼温度は950〜1,000℃が必要である。ロータリ  炭はごく微量を使うにすぎない。

一キルンでは多量の塩化剤が必要であり,燃焼ガ   原鉱にはニッケルの外,コバルトや時として銅

ス中の水分が多いのが難点であるから,出来れ  および多量の鉄を含む。これらの酸化物も同じ機

ば,トルコ法のようなむし焼密閉加熱が望ましい  構で還元偏析するから,製品の磁選精鉱は合金で

が1,000℃前後の外熱式は,炉の設計や熱効率  あり,50:50のフエロニッケルを得ることは容易 の点で若干問題がある。      である。銅の最適セグリゲーション温度は850℃

 焼鉱は酸化をさけて5〜600℃から水中急冷  であり,ガーニエライトは950〜1,000℃である

(室温近くまで徐冷するのは磁選に不適)し,塔  が,それぞれの元素によって塩化,その気化に差 式磨鉱機で5〜10μに微粉砕磨鉱してから磁力選  があるためと,前述のように回り道還元を優先す 鉱で,析出金属粒を捕集する。      る必要からである。

 か焼鉱にしたり,造粒後予熱して,出来れば密   セグリゲーション・アンモニア抽出法に適する 閉むし焼にしたいのは,水分と還元炭に基づく水  ラテライト鉱の場合は,磁選ではないから鉄がヴ 素ガスを少なくするためで,これが多いと直接還  スタイトでも金属状でもよい,抽出には純ニッケ 元がすすみやすい。セグリゲーションは,塩化剤  ルに近いこと,しかも微粉が望ましく,粗粒化の から出来る塩化水素がニッケルや銅の酸化物を塩  必要はないから,高温を必要としない,900℃を 化して塩化ニッケル,塩化銅になり(一方で水分  こえるとフオルステライト中に固溶されたものが を出す),これらの塩化物は気化して,そのフユ  還元しにくいから,か焼せず生鉱のまま高くとも 一ムは選択的にカーボンやメタルに吸着し,僅か  900℃前後以下でばい焼する必要がある。

に水素ガスがあれば(水ガス反応で生成する)き   このように,原料により,操作の組合せによ わめて容易に還元される。この塩化物の水素還元   り,ばい焼温度によって,セグリゲーション反応 はウィスカーの出来る場合と同じである(一方,  は複雑で,出来る金属粒子の組成も様々である。

この反応で塩化水素が再生される)。直接還乖に   以上の工程はフローシートにすればよいが,嘉 たいして,一旦塩化物となり,気化して還される  村賞記念講演の記事として,明専会報463号(昭 から筆者はこれを回り道還元と称し,処理条件に  和45年6月)を参照されたい。すでに日本鉱業,

よって,直接還元と回り道還元の割合がどのよう  日立製錬所で10トン/日規模の実験で,このプロ

に変るかを実験的にたしかめた。       一シート通りの工業試験が行われているが,1〜

 塩化反応を平衡論的に見れば,高温になるほど  2%Niの低品位鉱を処理し,製品は10〜20倍 進みにくい筈であるが,塩化物は揮発し易いの  にあげ,収率80〜90%という目標を達成してい

で,次々に新しい反応表面が現われ,高温になっ  る。

ても塩化率は落ちない。      濃縮率10×20倍はきわめて容易で,若干の工  一方,ガーニエライトは800℃台から頑固な  夫によってN』50〜70%とすることもたやす

フオルステライトになり,固溶したニッケルは   い。

900℃台になると,水素ガス,一酸化炭素ガスで   次の表は,この事実を示す分析である。⑧は最

は還元されにくいが,塩化反応の方は前述の理由  近の2〜3年間,種々の原料を,種々の条件で実

で反応速度がおちない。セグリゲーションー磁選  験したセグリゲーション焼鉱の残りを集めておい

法で,か焼鉱とし,950〜1,000℃でばい焼する  たもの,約2kgから磨鉱,磁選,再砿選を行っ のは,このような理由から回り道還元だけを優先  た精選の1例,⑧はパーマロイ合金をねらって

(6)

表1 セグリゲーション・磁選製品の分析例(%)

lF・}N−C・ C・IC・ M・・lSi・・

CaO

④⑬

36.83

Q3.77

61.24 V4.41

0.72 O.40

0,141 O,098

0,044 O,933

<0.02 モO.02

0,062 O,066

<0.03 モO.03

若干の工夫を加えたものの例である。       0.008〜2.09% CuO.013〜2.92%で,ニッヶ  種々の原料とは,セレベス産,ニューカレドニ  ルの平均は1.14%とあるから,驚くべき量と質

ア産,宮川鉱山などのもので原鉱品位も,まちま  の貴重資源である。

ちであるが,平均すれば3%前後であろう。種々   しかしながら4〜5,000mの深海底からどうし

の条件とは,塩化剤や還元剤の種類,量をかえ,  てあげるか,製錬はどうするか,全くこれからの 粉末あり,ペレットあり,アルゴン中ありあるい  問題で,次の時代のニヅケル資源としたのはこの

は調整気圏あり,処理量も数9から4009におよ  ためである。

ぶなどである。       筆者は,資源研,今川耕治氏および住友金属鉱  なお真空ボクン熔解の後,板状にロールして磁  山,中央研究所からこの貴重な試料の分与をうけ 性特性も実験中であるが,これらは日鉱,中央研  たので,10余年来のニッケル製錬の研究に基く知 究所に依託した。       見を利用して,実験をいそぎ,「マンガン瘤の性  低品位ガーニエライト鉱から,濃縮率10〜20  質とその利用法について」その結果を日鉱誌に投 倍・収率80〜go%で磁選精鉱が出来ることはす  稿した。別に「マンガン瘤の利用法」について特 でに説明した。表に示したように特に磁選をくり  許も申請中である。(特願 昭45−033267号,昭

かえし・さらに工夫をこらせば,低品位鉱の選鉱  和45年4月16日)

でなくパーマロ・イ級の粉末ニッケル合金が,鉱石   マンガン瘤は,鉄・マンガンの水酸化物の団塊 から直接製錬できることも実証した。       でガングのほか,ニッケル,銅,コバルト,鉛を

 第1章にあげた・科学技術庁資源調査報告に  はじめ微量ではあるが,あらゆる元素を含む。1

も,セグリゲーション法は注目すべき処理技術  gが2〜・300m2という超微粒子の集合体で,化

で・工業技術の確立が望ましい,経済性の立証に  学分析,熱分析,X線回折などで調べたが,およ はパイロットプラントに進む必要がある・として  そメロの著書その他の報告と似た結果を得た。顕 あるが・その推進実現を望みたい。        微鏡でもしらべ,×1,000で金属光沢の微粒子を

      認めたので,XMAでくわしく組成を検討した結     5・次の時代のニッケル資源   果イン石であることが推定された。.漣のイ

     ー深海底のマンガン瘤

      ストシン・コバレフの著書,海底鉱山(日本鉱業  海洋科学研究の歴史は古いが,鉱物資源とくに  会訳)に,マンガン瘤には宇宙塵を含むであろう,

深海底の重金属資源については調査が少ない。こ  と書かれているが,この推定が当るならばこの記 の10年来,米国とソ連が精力的に調査しており,  事が実証されたわけである。

わが国はやっと気付いて,両国の資料を調べ,本   利用法の大筋は,300〜500℃の低温で水素還

年夏はじめて調査,採取船を出すといった状況で  元して,主成分はMnOとFeOにかえ,吸着し

ある。       ているニッケル,コバルト,銅などはすべて金属  メロの著書によると,太平洋だけで8,000億ト  状にして,第3章のアンモニア法にかける。鉄・

ンのマンガン,88億トソの銅,89億トンのコバ  マンガン酸化物とガングが残さに,ニッケルその

ルトおよび164億トンのニッケルを含むマンガン  他は液中に移るから,後者は化学的に各元素にわ

瘤があるという。その品位は場所によってちがう  けられる。前者は原鉱以上に微粒子状となり,適

が,Mn 7・6〜57・1% Ni O・06〜2.37% Co  当な後処理を加えると活性度の優れたガス吸着

(7)

剤一湿気をはじめSO、, CO, CO,, NO, NO,な   選法組合せのガーニエライト処理では・950〜

どの一になるので,昨今問題になっている大気汚   1,000℃で回り道還元の割合を優先させねばな 染の公害処理剤として適当であろう。次の時代の   らない。

ニッケル資源,マンガン瘤は,単にニッケルだけ   7.何れの場合にも,前処理のばい焼で塩化反応 でなくコバルトや銅の製錬はもとより主成分であ   が大きな役割をもつ。

る,超微粒状,活性度の高い鉄・マンガン酸化物   8.低品位鉱の選鉱のみにとどまらず,セグリゲ を,このように利用するならば,70年代で最も興   一ション・磁選法では,鉱石から直接にパーマ 味深い資源と考えられる。       ロイ級の合金粉末が出来る可能性がある。

       9.次の時代のニッケル資源として,マンガン瘤

       6 結   語      がある。水素還元とアンモニア抽出でニッケ

 以上を箇条書に要約すれば次の通りである。    ル,コバルト,銅を取り分け,超微粉状の鉄マ 1.わが国では,低品位ニッケル鉱の資源と処理    ンガン酸化物の残さは公害除去,空気浄化剤に  法の新技術開発が目下の緊急課題である。     利用するのがよい。

2.ラテライト鉄鉱は,かって鉄源と考えられた

時代があったが,本来一。ケル源と考えたし・。    参考文献

3.ラテライト鉱のニッケルは,セグリゲーショ   1)筆者:日鉱誌,84巻965号( 68−9月)ユ364−68・

ン・アンモーア抽出法でわげるのカ・よい・ 2)3。ごRey:Re▽M6ta1L・Pa「 s 33 C36)29与

4.ガーニエライト鉱のニッケルは・セグレゲー    M.Rey:Inst. Min. Met. London.10 June C.

 ションー磁力選鉱法組合せが適当である。      101−107.

5セグげ一シ・ンの繍こも若干ふれて喧 1;蕊㌶:;;墓1:駆;;:;ll:

 接還元と塩化・揮発・水素還元という回り道運   5)投稿中:(1)ガーニエライト鉱より析出するニッ  元にわけて考えた。       ケルのセグリゲーション機構について.

6コ由出法は=度9・ぴC以下が望ましく何 の‡L‡錫;㌫ンと磁働1にょるニッヶノレ

 れの還元(直接でも回り道でも)でもよいが磁

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何人も、その日常生活に伴う揮発性有機 化合物の大気中への排出又は飛散を抑制

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措置が検討され、 平成 17 年 10