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第1章緒

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Academic year: 2022

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289

コリスチンとストレプトマイシン及び テラマイシンの伍用作用について

金沢大学医学部第一内科敏室(主任谷野富有夫教授)

      広  瀬  友  二       林    和  雄

       (昭和31年3月8目受附)

On the Effect of Colnbinative Use of Coristin     and Streptgmycin or Trramycin・

   Tomoji Hirose and Kazuo Hayasi

∫sごD8μ伽θη哲(ゾ∫惚ηα ∬θ鷹ηθ,8cゐ・・ど(ゾ皿θ碗6動θ,

        Kαηα2α勉しαz7卿εrs吻      (.Dir8cごor:PπジD,・F.エマα痂。)

第1章緒

 スルファミン剤や種々の抗生物質の治療界へ の出現は化学療法の分野に著しい発達を促して 来た.而してこれら薬剤が実際に使用されるに あたって軍独使用と共に二者3ぐは三者併用され る場合が屡々見られるのである.その場合これ ら物質の相乗作用或いは共同作用,時セこは拮抗 作用等が問題になるのであり,この1)一4)併用に ついては多くの学者は種:々なる組合せにてその 効果の如何を論じている.その内でもPenicillh1 については主としてSulfamin剤併用に5)一7)関 して非常に多くの研究がある.叉抗菌性物質以 外の薬剤に関する効果増強物質8)『13)に関して は日置内科教室にて非常に多くの研究がなされ

ている.その他草間氏14)はStaphylo C.を対照 菌としてPenicillin, Streptomycin(S.M.と略記)

Chloromycetin, Terramycin(T.M.と略記),

Aureomycin等;を使用し相互の組合せについて 協同作用,拮抗作用について論じている.その 他実験的疾患に対しての併用についても清水,

白羽15),草間工6)氏等の研究が見られる.

 余等は比較的新しい一抗菌性物質であるCo−

Iistill 18),19)とそれと比較的抗菌スペクトルの似 たS.M.,T.M.を併用した場合の赤痢菌,大 腸菌に対する効果について実験したのでその結 果をここに報告する.

第2章実 験方法

1)菌株:赤痢菌は駒込:B皿,大腸菌は学生株を 使用した.

 2)培養基

7.4とした.

: 曹通ヴイヨソを使用しその:P.H.を

 3)菌液:各菌のヴイヨン24時聞培養液を用い

た,

 4)使用Colistinは市販の筋注用50万軍位, T 7M は筋注用100mg, S・M・はDihydrostreptomycin 19

(2)

のものを用いた.

 5)試験方法:上記薬剤を生理的食塩水に溶解,

逓減的に稀釈し1cc申別表の如き薬剤濃度を含有せる 2cc普通ヴイヨソに上記菌液1工一高を混和し,対照 としての普通ヴイヨソ2ccと共に37。C艀卵日中に24 時間放置した.

 6)判定:抑制作用の判定は24時丁丁における混

濁度により十,一,に分ちなお不明確なる所は普通寒 天雫板に塗抹して確認した.而して菌の発育を見なか った最後の透明なる試験管の薬剤稀釈濃度をもつて抗 菌価とした.

 而して赤痢菌及び大腸菌についてS・M・及びT・M・

の最低有効量及び施最低有効量とColistinとの併用 効果について実験した.

第3章実 験成績

1.基礎実験

 1)Colistln軍独における抗菌価は:第1表第 2表に示す如く,赤痢菌に対して2u/cc,大腸 菌に対しては9U/CCなる価を得た.

 2)S.M.輩独における抗菌価は第3表,第

4表に示す如く,赤痢菌に対して1γ/cc,大腸 菌に対しては2γ/ccなる価を得た.

 3)T.M.軍独においてその抗菌価は第5

表,第;6表の如く赤痢菌に対しては8γ/cc,大 腸菌に対して7γ/ccの価を示した.

∬.本実験

 〔A〕 赤痢菌について

 1)S.M.の最低有効量(M.H.D,)に対し 種々のColisth1を加うるに第7表に見られる如

くColistinの低濃度において拮抗的な結果を得

た.

 2)S.M.の施M.H.D.にCoHstinの種々

なる濃度を加えるに:第8表に示す如くColistin の抗菌価は2u!ccであった.

 3)T.M.のM.H.D.に対して種々濃度の

Colistinを附加する時も第9表の如く拮抗的な 結果を得た.

 4)T.M.の施M.H.D・に前項と同様Colis−

tlnを加えた場合には第10表に示す如くCclisti11 の抗菌価は加/ccを示した・

 〔B〕大腸菌について

 1)S.M.のM.H.D.に対してColistinの

種々なる濃度を加えて見るに両者は第11表の如

く拮抗的な結果を示した.

 2)S.M.の施M.H・D・に種々なる濃度の

Colistinを加うるに第12表の如く9u/ccの抗菌 価を示した.

 3)T.M.のM.H.Dに対して種,々なる濃

度のColistinを加うるに:第13表の如くS.M・一 M.H.D.併用時と同様な結果を示した.

 4)T.M.の施M.H.DにCo1島tinを加え た場合は第14表の如く7u/ccなる抗菌価を示

した.

   Colistin Dysenteriae(第1表)

齢\ll…51・・…2・・3・・…5i・・71・・g国213141516i7

1 2 3 4 5

(3)

コリスチンとストレプトマイシン及びテラマイシンの伍用作用について 291

Coli Commullis(第2表)

愈\1・・41・・61・・8国213

1 2 3 4 5

1+

1十

41516

1+

7

18

.十

g圃11112.

 Streptomyeill

Dysenteriae(:第 3 表)

膏\1

1

2 3 4 5

10・110・2

1+l i十

{十 1十l

l十

・・31…

0.5

・・61・・71・・81・・g■・131・【5

Coli Communis(第4表〉

例\

1

2 3 4 5

{・・21・・31・・4

0.5

1・・6

0.7

1・・8

1・・9

1

i2[3

1415 617

 Terramycin

Dysenteriae(第5i表)

弥\「1・i・131・

1

2 3 4

5

61718

9 10 ・5 P2・

Coli Communis(第6表)

r

1 2 3 4 5

11[2

3

4i516

十十 十十 十十 十十 十十

7

81g

一1一

1・ Pユ5 20

(4)

   Dysenteriae

Colistin十Streptomycin(1わ (第 7表)

訂\li…1・・21・・3}・・4i・・51・・61・・71・・8i・・91・121314「5

1 2 3 4 5

Colistin一丁Streptomycin(0.5γ)(第 8表)

弥\\ilO・110・210・3

1 2 3 4 5

1+

・・41・・51・・6

+1+

十十 十十 十十 十十

・・7i・・8[・・gl・囹3i4i5

十十 十十 十十 十十 十十

   1)ysenteriae

Cohstin十Terramycin(8γ)(第 9 表)

1 ・

21 3i

4 1 5

1・・1i・・21・・31・・4

・・51・・61・・7

1・・8i・・gl・

12 3i4国・・

Colisth1十施Terramycin(4γ)(第10表)

屍\\110・110・2

1

2 3 4 5

1‡

・・31・・41・・5【・・61・・7

・・81・・9

・[2[31415

   Coli Comm皿nis

Colistin十Streptomyci11(2γ)(:第11表)

1 2 3 4 5

}…1・・21・・3i・・41・・51・・6[・・71・・81・・gl・1213国5

十1「十

十十 十十 十十 十十

(5)

コリスチンとストレプトマイシン及びテラマイシンの伍用作用について 293

Colistin十施Streptomych1(1γ)(第;12表)

丙\、

1 2 3 4 5

i・・51・

1十

213141516レ

・十

81gl・・1・・

+1一

‡i‡

‡ヒ

1

・21131・5

  Coli cOmmunis

Co]istin十Terramγcln(7γ)(第13表)

齢\II…1・・21・・31・・41・・5

1 2 3 4 5

+1

・・6P・・71・・8「・・gl・12131・15

Colisti11十:レ倉Terrarnycin(3.5γ) (第14 i表i)

誌\[1・・5i・・61・・71・・81・・9い【2[3[・[5[6レ{81g11・

1 2 3 4 5

+1+

第4章総

余等の基礎実験においてはColist{n, S.M.,

T.M.の赤痢菌及び大腸菌に対する抗菌価は前 述の如くであった.而して本実験の成績を見る に赤痢菌に対する場合ColistinはS.M・のM・

H.D.において一定量即ち0.3u/cc迄は拮抗 的に作用するものと考えられる.しかし施M.

H.D.のS.M.と併用する場合Co】istlnゐ抗

菌価は殆んど変化を認めない.叉T・M・併用

の場合においてもT.M.のM.H:.D.におい て0.8u!cc迄の低濃度にてはT.M.の能力を

殺ぐものと考えられるが,絶M.H.D.のT.

M.に併用する場合CQIistinの抗菌価に殆んど 影響を与えなかった.大腸菌に対するS.M.,

T・M・のColisth1との併用において,先ずS.

M・のM・H・D・に対しては0.9u/ccに至る低

濃度においてS.M・の作用を抑制するが,施

M・H・D.のS.M.との併用では9u/ccとColistin 明明使用時と変らぬ抗菌価を示し,何ら併用効

果を認めなかった.叉T.M.のM.H.D.と

併用せる実験において1u/ccと前者同様な拮抗

的な作用を示したが,施M.H.DのT.M.と

併用せる場合7u/ccと協同的な作用を示した.

以上の事実は赤痢菌及び大腸菌に対しCoト

lstinとS.M.の併用はS.M.のM.H.D.に

おいてむしろ阻害的となり叉M.H.D.以下に おいても殆んどその併用の意義は認められな

(6)

い.叉ColistinとT.M.との併用においても T.M.のM.H.D.にては前者と同じ結果を示

すもM.H.D以下にては多少Colistinの大腸

菌抗菌性を増すものであるということを示して

いる.

       第5章結

 ヨ)赤痢菌及び大腸菌に対してCollstinをS・

M.及びT.M.のM.H.D.と併用した場合,

少量のColistinはS.M.及びT.M。に対し拮

抗作用を示した.

 2)CollstinにS.M.の施M.H.D.を併用

せる場合,赤痢菌及び大腸菌に対してはColist−

inの抗菌価に変化を示さなかった. T.M.の

   論       し

施M.H.D.を併用せる場合は大腸菌に対する Co]istinの抗菌価を下し協同作用を示したが,

赤痢菌については協同作用が認められなかっ

た.

 稿を終るに臨み,終始御懇篤な御指導;と御校閲を賜 はつた恩師谷野教授に深く感謝致します.   〆

       文

1)川上・定立・多田:The Tournal of Anti−

biotics(∫・A・)IV・:B・49・   2)川上・多 田3ペニシリン,皿,9,596・  3)宮原:

J・A・V,5,298・    4)花房:」・A・V,

12,664・   5)中沢・坪井等:J・A・W・

B.41.      6) 1M[assell】B.]F. M.]ML and

T.D. Tones: ペニシリン,1,4,230・

7)畔柳3 日新医学,34,214・   8)日置 陸奥夫= 日本臨床,6,117・   9)紺田=

結核研究所年報,7,85・    10)佐伯=結

核研究所年報,7,103.

核研究所年報,8,1.

究所年報,6,107・

究三年幸侵, 6, 129.

IV,9,576.

B.58.

17)Sayer R.」.:

(1951)・

19)大谷及び尿井3

   15)清水・白羽;

 16)草間:

    A.T. M. Sci.,22エ,256.

18)小山。黒崎:」..A.皿,7,457.

    J・A・][V,9,563,565.

   11)岡部=結

 12)岡部3結核研

13)佐た木3結核研  14)草間:」・A・

     ∫・A・IV,

 ∫.A. V,12,643.

参照

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