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博 士 ( 医 学 ) 小 林 直 樹

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 学 ) 小 林 直 樹

学 位 論 文 題 名

      Functional coupling of the src‑family protein tyrosine kinases, p 59f y' and p 53/56' y'  with the interleukin‑ 2 receptor ; Implications for         redundancy and pleiotropism in cytokine signal transduction

(src − family protein tyrosine kinases ,  p59fy 及び p 53/56'Y と interleukin ― 2 受 容 体 と の 機 能 的 役 割 ;      そ の サ イ ト カ イ ン シ グ ナ ル 伝 達 機 構 に お け る      関 与 の 重 複 性 及 び多 様 性 の 暗 示 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

目  的

  interleukin−2(IL一2)は,標的細胞表面に発現するIL ‑―2受容体(IL−2R)との相互 作用を介しその生理活性を発揮する。ILー2刺激後,速やかに細胞内蛋白チロシン残基のりン 酸化が亢 進することからIL−2の細胞内シグナル伝達においてチ口シンキナーゼ(PTK)の関 与 が示 唆さ れ てい るが ,3っのIL一2Rサ ブ ュニ ットd, 届,7鎖 にはPTK活性は認められ ない。一方,T細胞,NK細胞においてはsrc,ーfamily PTK(src―PTK)に属するp56′f^(lck) がILー2Rロ 鎖(IL−2Rロ) と物 理的 に会 合 し,IL2刺激 によ り活 性化 さ れることが先に 報告されているが,ILー2はlckの発現の認められないB細胞,単球ナょどの血液系細胞におい てもその生理活性を発揮する。

  そこで ,lckの触媒部位がIL―2R口 との物理的会合に重要であり ,その一次構造が他の srcーPTKsの触媒部位と相同性が極め て高いことから他のsrc―PTKsのIL―2シグナル伝達 における役割にっいて検討した。

材料及び方法 1)細 胞 培 養

サ ル 腎臓由来COS細胞株 は10%ウシ胎児血清(FCS)加IMEMにて,マウスinterleukin

(2)

‑3(11一3) 依 存 性pro−B細 胞株BAFーB03,BAF―B03由 来ヒ トIL一2Rptransfectant 14B (IL―2,IL―3依 存 性)及 びヒトgp130transfectant BAFh130 (11―6,IL一3依存 性) は20%WEHI培 養 上 清 及び10%FCS加RPMIに て 培 養 した 。

    サイ ト カ イ ン刺 激 は , 各細 胞 を10%FCS加RPMI中で洗 浄後, 同medium中 で12時間 factor−starvationを 行っ た 後 , 施行 し た 。

2)抗 体 及び サ イ 卜 カイ ン

    以 下の抗 体を使 用した 。抗ヒ トIL宀2Rロ 抗体;Mik ‑ロ1及びTuー27, 抗lck抗体 ; 195.7, 抗fyn抗 体 ; ば‑FYNN, 抗lyn抗 体 ;Lyn‑.8,抗yes抗 体 ;3H9, 抗fgr抗体 ; FGA12,抗v―src抗 体 ;327, 抗CD45抗 体;Ml/9,抗フ エスフ ォチ口 シン抗 体(抗p― tyr抗 体 )。

    ゛ サ イ ト カイ ン 刺 激 には ,IL−2;5nMrecombinanthumanIL―2,IL−3;20%WE・ HI培 養上 清 ,interleukin―6(IL−6) ;30〃g/mlrecombinanthumanIL−6とlO〃g/ mlSOlubleILー6receptorを用 い た 。

3)COS細 胞 に おけ るcDNA発 現 実験

    5 xioo個 のCOS細 胞 に り ン 酸 カ ル シ ウ ム 法 に よ ル ヒ トILー2Rロ及 びPTKcDNAを transfectionし48時間後,細胞を回収しflowcytometryによりIL―2Rロの発現を確認した。

4) cDNA

    マウ ス ぬ た の調 節 領 域 (ア ミ ノ 酸1―233また は144) と各PTKの 触 媒部 位 マ ウス p 59^f^(hck) (228ー503),マウスp59J″くfyn) (257―534),ヒトインスリン受容体ロ鎖 (insR) (947―1343) cDNAを そ れ ぞれligationし , 各 キ メラPTKcDNA;lck/hck,lck/

fyn及 びlck7insRを 構 築 し む た ,IL―2RロcDNAと 同 じく 発 現 ベ ク夕 一pdKCRにsub‑

cloningした。

5)免疫沈降法及びイムノブ口ッティング

    細 胞可 溶 化 物 遠心 上 清 よ りIL―2RBをMik ‑ロ1ある いはTu―27を用 いて免疫 沈降 し, 沈降 物をSDS−PAGEにて 泳動後 ,工レク ト口ブ 口ッテ ィング にてゲ ルよりPVDFフィ ルターへtransf erした。フィルターを各抗src―PTK抗体で処理した後,[125I]―protein Aあるいはalkaline―phosphatase conjugated anti―Ig antibodyにて処理しautoradiog− raphyある いは発色 法で検 討した 。一方 ,14B細胞 をIL−2またはIL―3にて1),2)の通 り37度10分間刺激後,細胞可溶化物の遠心上清を上記の通ルブ口ッテイングし,抗pーtyr抗体 によって処理し検討した。

(3)

6) in vitro kinase assay

    14B細 胞 をIL一2ま た はILー3,BAFh130細 胞 をIL―6ま た はIL―3に て1) ,2) の 通 り 刺激 し た 後 , 細胞 可 溶 化 物 遠心 上 清 を抗り 凡ま たは抗fyn抗 体にて 免疫沈 降し ,沈降 物 に 基 質 と し て エ ノ ラ ー ゼ5肛gを 加 え , 室 温 下 で5分 間 反 応 さ せ た 。 反応 後 ,SDS一PAGEに て 泳 動 し ゲ ル をKOH処 理(55度 ,1時 間 ) し た 後 ,autoradiographyに て 検 討 し た 。

結   果

1) キメラPTK とIL ―2R ロの物理的会合

    COS細 胞 に お い て キ メ ラPTKとILー2RロcDNAを 共 発 現 さ せ た 場 合 に の みMik一 ロ1免疫 沈 降 物 中 にl,ckと同 様 にZch/hck,lck/fynの 特 異 的な 共 沈 が 認 めら れ た。 これ に対 しlck/insRの 共 沈 は 認め ら れ な か った 。

2) 11―2及 びIL―3刺 激 に よ る チ 口 シ ン 残 基 リ ン 酸 化 の 亢 進

    両 サ イ ト カ イ ン 刺 激 に よ り14B細 胞に お い て , 刺激 後 早 期 に 主 とし て 分 子 量85kDa,52 kDaの 細 胞 内 蛋 白 に チ 口 シ ン 残 基 の り ン 酸 化 亢 進 が 認 め ら れ た 。 3) srcーPTKsの14B細 胞 に お け る 発 現

14B細 胞 に お ける 各src一PTKの 発現 をin vitro kinationに よる自 己リ ン酸化 の有無 に よ り検 討 し た と ころp 59J″(fyn),p53/56´ッ (lyn)の 発現 が認め られた が,lckの発 現は 認めら れな かった 。

4)IL一2及びILー3刺 激に よるfyn及びlyn堕i舌‑化

    14B細 胞 に お い て両 サ イ ト カ イン に よ る 刺 激後 ,fyn,lynの 活性 化 に よ る エノ ラ ー ゼの り ン酸 化 亢 進 が 認め ら れ た 。 一方 ,BAFh130細 胞に お い て もIL一3刺激に より同 様の 活性化 が 認めら れた が,IL−6刺 激では 認めら れな かった 。

5)fynとIL−2RBとの 物理的 会合

    14B細 胞 に お い てMik ‑ロ1及 びTu−27免 疫 沈 降 物 中 にfynの 特 異的 な 共 沈 が 認め ら れ た。こ れに 対し,lynの 共沈は 認められなかっ、た。共沈するfynの割合は全発現量の0.6−1.2% であっ た。

考  察

    IL―3依 然 性BAF一B03細 胞 は ,IL―2レ セ プ タ ー 遺 伝 子 の 発 現 に よ りIL2,IL 3刺 激依 存 性 に 細 胞内 蛋 白 チ 口 シ ン残 基 リ ン酸 化及び 核酸合 成の亢 進が 認めら れる。 さらに

(4)

IL−6レセ プター遺伝子の発現にてもIL―6,ILー3刺激依存性の細胞内蛋白チ口シン残基リ ン酸化及び核酸合成の亢進が認められることが報告されている。さらに,この細胞株において src―PTK fyn,lynのIL―2刺激に共役する活性化が認められた。

    一方 ,fynとIL―2Rロが共沈することより細胞内での両者の物理的会合が示唆された。

IL一3刺激 によっても同様のPTK活性化 が認められるのに対しIL―6刺激によっては認めら れず,こ の細胞株においてはILー2,IL―3の細胞内シグナルは共通あるいは類似したメカニ ズ ム に よ り 伝 達 さ れ , そ れ に はsrc−PTKsが 密 接 に 関 与 す る こ と が 示 唆 さ れ た 。

結  語

    先 に報 告 したlckのIL―2によ る活 性化 とあわせて ,今回の結果よりsrc―PTKsはIL

―2シグナル伝達において重複して関与しうること,並びにその関与は各血液系細胞に特異的に 発現されるPTK(p59f″,p 53/56′ゴ″)に応じて多様性をもっものであることか示唆された。

学位論文審査の要旨

1研究目的

    血 液系 細 胞はinterleukin←2受容 体(IL2R) を介 するinterleukin亠2(IL―2) による刺激後,速やかに細胞内蛋白チ口シン残基のりン酸化が亢進することからIL―2の細胞 内シグナル伝達においてチ 口シンキナーゼ(PTK)の関 与が示唆されている。T細胞,NK細 胞においてはsrc〜family PTK (src―PTK)に属するp56´f^(セた)がIL―2Rロ鎖 (IL

―2RB)と物理的に会合し,IL―2刺激に共役して活性化 されることが報告されているが,

IL―2はlckの発現の認めら れないB細胞,単球などの血液系細胞においてもその生理活性を 発揮する。

    そこで,ぬたの触媒部 位がIL―2RBとの物理的会合 に重要であり,その一次構造 が他 のsrc−PTKsの 触媒 部 位と 相同 性が 極め て 高い こと から 他 のsrc−PTKsのIL―2シグ ナ

保 光

   

   

利 光

崎 出

宮 上

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

ル伝達における 役割にっいて検討した。

2 材料及び方法 1) 細 胞 培 養

サ ル 腎 臓 由 来COS細 胞 株tま10% ウ シ 胎 児 血 清(FCS)加IMEMに て , マ ウ スinterleukin

―3(IL―3) 依 存 性pro−B細 胞 株BAFーB03,BAF一B03由 来 ヒ トILー2Rロtransf ectant 14B及 び ヒ 卜gp130transfectant BAFh130は20丶WEHI培 養 上 清 及 び10%FCS加RPMIに て 培 養 し た 。

    サ イ ト カ イ ン 刺 激 は , 各 細 胞 を10%FCS加RPMI中 に て 洗 浄 後 , 同medium中 で12時 間f actor―starvationを 行 っ た 後 , 施 行 し た 。

2)抗 体 及 び サ イ ト カ イ ン

    以 下 の 抗 体 を 使 用 し た 。 抗 ヒ トIL―2Rロ 抗 体 ;Mikー 声1及 びTu―27, 抗 比 た 抗 体 ; 195.7, 抗fyn抗 体 ;d―FYNN, 抗lyn抗 体 ;Lyn宀8, 抗.yes抗 体 ;3H9, 抗fgr抗 体 ; FGA12, 抗v←src抗 体 ;327, 抗CD45抗 体 ;Ml/9, 抗 フ オ ス フ ,fチ 口 シ ン 抗 体 ( 抗 p一tyr抗 体 ) 。

    サ イ 卜 カ イ ン 刺 激 に は ,IL―2;5nM recombinant human IL―2,IL−3;20% WEHI培 養 上 清 ,interleukin一6(11―6) ;30ug/ml recombinant human IL―6と10

〃 g/ml soluble IL―6receptorを 用 い た 。 3) COS細 胞 に お け るcDNA発 現 実 験

5X 10'i個 のCOS細 胞 に り ン 酸 カ ル シ ウ ム 法 に よ ル ヒ トIL2Rロ 及 びPTKcDNAを transfectionし48時間 後 ,細 胞を 回 収しflowcytometryに よりILー2Rロの 発現を確認しずこ。

4)cDNA

    マ ウ ス 七 た の 調 節 領 域cDNAと 各PTK( マ ウ スp59^ ^(hck), マ ウ スp59j″ くfyn) ヒ ト イ ン ス リ ン 受 容 体 ロ 鎖(insR) ) の 触 媒 部 位cDNAを そ れ ぞ れligationし , 各 キ メ ラ PTKcDNA;lck/hck,lck/fyn, 及 びlck/insRを 構 築 し た 。

5)免 疫 沈 降 法 お よ び イ ム ノ ブ 口 ッ テ ィ ン グ

    細 胞 可 溶 化 物 遠 心 上 清 よ りIL―2Rロ を 免 疫 沈 降 し , 沈 降 物 をSDS―PAGEに て 泳 動 後 , 工 レ ク ト ロ ブ 口 ッ テ ィ ン グ に て ゲ ル よ りPVDFフ ア ル タ ー へtransferし , 各 抗src― PTK抗 体 で 処 理 し て 検 討 し た 。 一 方 ,14B細 胞 をIL−2ま たt注IL―3に て1),2)の 通 り37

℃10分間 刺激 後 ,細 胞可 溶化物の遠心 上清を上記の通ルブ ロッティングし, 抗p―tyr抗体によ っ

(6)

て処理して検討した。

6冫in vivo kinase assay

    14B細 胞 をIL―2ま た はIL一3,BAFh130細 胞 をIL一6ま た はIL―3に て1) ,2) の 通り 刺 激 し た 後, 細 胞 可 溶 化物 の 遠 心 上 清 よりlynまた はfynを 免疫沈 降し, 基質 として エ ノ ラ ー ゼ 5肛 gを 加 え , 室 温 下 で 5分 間 in vitro kinnationを 行 っ た 。

3 1)

結   果

COS細 胞 に お け る キ メ ラPTKとIL―2Rロ の 物 理 的 会 合

  lckと 同 様 にIL−2Rロ と たk7hck,lck/fynと の 特 異 的 な 共 沈が 認 め ら れ た。 こ れ に 対 しlck/insRの 共 沈 は認め られな かった 。

2) ユL―2及 びIL一3刺 激 に よ る チ 口 シ ン 残 基 リ ン 酸 化 の 亢 進

    両 サ イ ト カ イ ン 刺 激 に よ り14B細 胞 に お い て ,主 と し て 分 子量85kDa,52kDaの 細 胞 内 蛋 白 に チ ロ シ ン 残 基 の り ン 酸 化 亢 進 が 認 め ら れ た 。

3)src−PTKs竺14B細 胞にお ける発 現

    14B細胞 におい てp59J (′ ッ凡) ,p53/56′ (lyn)の 発現か 認めら れたが ,fcた の 発現 は認め られな かっ た。

4)IL一2及びIL一3刺激壁 圭壘fyn壁埜lyn堕塰壁 化

    14B細胞 に お い て 両サ イ ト カ イ ンに よ る 刺激後 ,fyn,lynの活 性化が 認めら れた。 一方 , BAFh130細 胞 に お い て もIL一3刺 激 に よ り 同 様 の活 性 化 が 認 め られ た が ,IL―6刺 激 では 認 めら れなか った。

5)14B細胞に おけ墨fyn圭IL―2Rロ との物 理的会 合

    IL−2RBとfynと の 特 異 的 な 共 沈 が 認 め られ た の に 対 し,lynの 共沈 は 認 め ら れな か っ た。 共沈す るfynの割合 は全 発現量 のO.6一1.2% であっ た。

4考 案 及 び 結語

1. src―PTK,hck,fynの 触 媒 部 位 も ぬ た と同 様 に 細 胞 内に お い てIL―2RBと物 理 的 に 会 合 し う る こ とが 示 唆 さ れ た。

2. 14B細 胞 に お いて ,ILー2及 びIL一3刺 激 に 共 役し て ,Zyn,fynの活 性 化 が お きる こ と,

そ の う ちfynはIL―2RBと 物理 的 に 会 合 し うる こ と が 示 唆さ れ た 。

    以 上 の 結 果 よ りsrc―PTKsはIL―2シ グ ナ ル 伝 達 に お い て 重 複 し て関 与 し う る こと ,

(7)

並びにその関与は各血液系細胞に特異的に発言されるPTKに応じて,多様性をもっものである ことが示唆された。

    以 上よ り , 本 研究 は 博 士 (医 学 ) の 学位 論 文 と して 妥 当 な もの と 判断さ れる。

参照

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