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海洋風成循環の新しい実験室モデル
竹松, 正樹
九州大学応用力学研究所 : 教授
北, 統夫
九州大学応用力学研究所 : 文部技官
https://doi.org/10.15017/4784737
出版情報:九州大学応用力学研究所所報. 66, pp.1-9, 1988-10. 九州大学応用力学研究所 バージョン:
権利関係:
海洋風成循環の新しい実験室モデル
竹 松 正 樹 * 北 統 夫
t概 要
傾 斜 底 面 を も つ 回 転 円 形 水 槽 の 自 由 表 面 に 良 質 の 気 流 を 作 用 さ せ る こ と に よ り 文 字 通りの風成循環が簡単に作られることを示す.この風成循環は西岸境界強流と緩慢な内 部循環流とから成る.特に内部循環流は Sverdrupの理論により定量的に記述される.
流体が熱的に成層している場合の風成循環の挙動についても調べる.
これは本物の風応力を使って作られた最初の風成循環実験室モデルである.風応力の 代用品に頼る従来の方法とこの気流法との優劣について簡単に論ずる.
Key words: Laboratory model, Wind‑driven circulation, Circular air‑stream, Uniform interior Sverdryp flow, Homogeneous fluid, Stratified fluid.
1. 序 論
大洋規模の海水の流動現象である海洋大循環は海面に作用する風の摩擦応力と海洋境界面(特に表層)
で作られる浮力差とによって駆動されている.風応力による成分を風成循環,浮力差に起因する成分を 熱塩循環と呼ぶ.密度の非線型的移流効果が本質的である熱塩循環に関しては欠陥のある不完全な(閉 じていない)相似解が知られているのみであるが,線型論の範囲でかなりの部分が片が付く風成循環に 関しては Sverdrup•>, StommeI2', Munk3'等によって見事な理論が作られている.しかし,そうした風 成循環論の本質を観測によって検証することはできない.現実の海洋においては風成循環成分のみを分 離して取り出すことができないからである.室内実験ならばそれが可能である.多少の工夫は要するも のの,純粋な風成循環を作ることもできれば,風応力を断って浮力差の効果のみを調べることもできる.
実際,風成循環論の妥当性を調べる目的でいくつかの室内実験が試みられている.それ等の実験的研究 に共通する点は,風成循環モデルであるにもかかわらず,風応力の代用品を使っていることである.当 然のことながら装置は技巧を凝らしたものになる.簡明な理論には簡明な実験こそがふさわしい.ここ
に,本物の風応力を使いながら,考えられ得る最も簡明な風成循環モデルを提案する.
そもそもVonArx4>による最初の室内実験は気流を用いたものであった.用いられた気流がたまたま 定量化に難点があったことに加え,実験そのものが美的でなかったことから,気流法は風成循環の定量
*九州大学教授応用力学研究所
t文部技官九州大学応用力学研究所
2 竹 松 正 樹 ・ 北 統 夫
的研究には無用な方法であると速断されてしまったようである.以来, 36年,気流法は日の目を見るこ とはなかった.仕方なしに風応力の代用品を使うことになった.その一つは,Stommelが考案しVeronis and Yang5lが発展させた湧き出し・吸込み法である.しかしこの方法は本質的に非定常であり(刻々と 水深が変化する),長時間循環流を維持することができない.もう一つの方法はBeardsley6lが試みた水 面を風のかわりに板でこする方法である.この方法は風成循環の研究のためには有用であるが,浮力駆 動源が共存する場合には使えない.熱塩循環は表面が自由であるか,固体面に接しているかでその構造 が全く違ってしまうからである.従って,自由表面を持つ浮力駆動循環流に及ぼす風応力の効果を調べ るためにはどうしても気流法が必要なのである.これが新しい気流法を考案しようと考えた動機であっ た.それは単に風成循環論を検証するためのものではないことを強調しておかねばならない.
2. 風成循環の生成法
2. 1 装置及ぴ方法
地球自転の効果が本質的であることから実験は回転テーブル(直径200cm)の上で行われる.回転テー ブル上の装置の概略を図1に示す.実験水槽 (testbasin)には底面傾斜を持つ直径40cmの円筒を用い た.均一流体の場合,そうした底面傾斜は B—効果(コリオリ係数の緯度変化の効果)と同等であること が知られている.回転テーブルの回転を反時計まわり(北半球)とすると,水槽の最も浅い(深い)部 分が北(南)に対応する.底面の傾斜度と平均水深は図の点線の様に別の底板を用いて調節した.なお,
実験水槽の上面には透明な上蓋が置かれている.この上蓋と流体自由表面との間隙は1cm以下に保っ た.流れの可視化のたてに,作業流体としてはチモールブルー(pH指示薬)の水溶液を用い, 0.005cm 白金線の電極を水槽の適当な位置・深度に水平に張った.電極に約15Vの電圧を印加すると,各電極か らブルーの色素が放出され,流れの場を可視化できる.熱的条件を制御するために実験水槽全体は更に 大きな水槽(径80cm)の中に納められている.回転系においては,作業流体と器壁の間に僅少な(例え ば0.1゜C)温度差があっても実験に有害な循環流が生ずるからである.特に,美しい内部 Sverdrup流 を実現するためには,この温度差の除去に細心の注意を払う必要がある (Beardsley6>がSverdrup流 の写真を公表できなかったのは温度差による乱れがひどかったためと思われる).ところで,図1には気
I:: t est basi. n (T) 一
一一一一 '一. 一. 一 ‑‑一一‑=一 ..一一‑‑‑‑ ‑
(T+△ T) (T+△ T)
{ T)
I I
凸
Q図1 実験装置略図
流発生装置がどにも見当らないことに注意されたい.Beardsley6>の大仰な装置とは比較にならぬ程簡単 である.
実験水槽と外水槽の水温をほぽ同じ(.dT与0)にしてから,水槽に上蓋をした状態で,回転テーブル を一定の角速度で反時計たわりに回転させる.30分程待ってから作業流体が完全に相対静止の状態に達 しているか否かを色素線の放出によって調べる.温度計の精度が0.1℃であるため,多くの場合,内外 水槽の水温差の微少なミスマッチは避けられず,実験水槽内には有害な循環流が生じている.その循環 流の向きから温度差.dTの正負が判断できるので(竹松・北7>, Takematsu and Kita8>9>), 外水槽に冷 水又は温湯を注いで微調整を施す.こうして作業流体が完全相対静止の状態に達していることを確認し てから(ゼロ点の確認),実験水槽の上蓋を静かに取り去って作業流体の自由表面を外気に晒す.回転す る自由表面の上には 回転平板上の境界層 が自然に発達し,作業流体に風応力を及ぽす.気流を作用 させると先ず非定常な渦紋様(ロスビー波)の伝播が見られるが,数分の後 (Spin‑uptime)には美し い定常風成循環が出現する.上蓋を取り去った場合,かの悪名高き 上からの冷却 の影響を防ぐ工夫 が必要である.外気温が作業流体の水温より高い場合には,作業流体は上からの加熱を受けるわけであ
るが,そうした上からの一様加熱は実験水槽内に流れを生じ得ないことが確認された.
この軸対称風応力は均一流体 (.dT= 0)の場合ばかりではなく,温度成層している (.dTキ0)場合 にも作用させた.上蓋によって風応力を遮断し,実験水槽と外水槽との温度差.dTを一定に保ったまま 系を回転させておく.散逸時間, H
り
l) (l)は水の動粘性係数, Hは平均水深)程度が経過すると実験水 槽内には比較的単純な成層構造を持つ熱塩循環が形成される.この時点で水槽の上蓋を取り除いて気流 を作用させると,密度成層が存在する場合の風成循環の性質を調べることができる.なお, /3‑効果と成 層がある場合に風応力を作用させた実験はこれが最初である.この気流法の一つの重要な成果と云うべ きであろう.2.2 気流の性質
静止流体中に置かれた無限平板が垂直軸のまわりに一定角速度で回転すると平板上には境界層流が発 達する.回転平板上のこの定常軸対称境界層流はNavier‑Stokes方程式の数少ない厳密解の一つとして 古くから研究されており,流体力学の標準的なテキスト(例えばBatchelor10>)に詳しく記述されている.
境界層厚さは場所によらず一定で, o=5五乙豆で与えられる.ここに))aは流体(本実験では空気)の 動粘性係数である.風成循環の駆動に関係するのは気流の表面摩擦応力 rそのものではなく,その空間 的非一様性,即ちCurlrの垂直成分である.この量は次の形に求められる:
(Curl T)n = 2Cpav~12Q312 , (1) ここに, Paは空気の密度で, Cは定数である.無限の固体平板の場合には C= ‑0.616となることが知 られている.平板が有限であっても,それが境界層厚さ8に比べて充分に広ければ実質的には無限平板 と同等に扱うことができる.本実験の場合は,回転面は水槽側壁で境された有限な液面である.この場 合でも,定数Cの値はかわるもとのの(1)式はそのまま使えるものと期待される.回転面の半径をaと すると,境界層がいたるところ層流である条件は a2Q/1.1く105であることが知られている.云いかえる
4 竹 松 正 樹 ・ 北 統 夫
と, (1)式が使えるためにはこの条件が満たされていなければならない.
2. 3 実 験 条 件
制御可能な外部パラメーターは系の回転角速度 .Q, 平均水深 H, 底面傾斜度
r
及び温度差 .dTであ る.関連する無次元パラメーターはE = v但H2(Ekman数), S
=
agl.dTI/H.Q2 (成層パラメーター)である.ここにaは作業流体の熱膨張係数, gは重力加速度である.これ等の外部パラメーター及び無 次元パラメーターの値は下記の通りである:
H = 8cm,
.Q = 2吋10 2吋45rad/s ,
r
= 1/16, 1/8, 1/6 , l.dTI = 00.3゜C,E = 1.3X 10―33.0X10―4 '
S = 0 0.1
3. 実 験 結 果
実験結果を示す前に風成循環論を簡単に要約しておく.風応力が作用すると水表面に
HIE
の程度の厚さのEkman層が発達し,風下に向って右方向(北半球では)に局所的風応力に比例する正味の流量 が吹送される.風応力が非一様であればこの正味の水平吹送量は収束•発散を持つことになり, Ekman 層の底部に鉛直流速 w を生ずる (Ekmanpumping). Ekman層の下部によこたわる内部領域にはこの
Wによって流れが生ずる.即ち,各 水柱 はW による伸縮率を打ち消すように傾斜底面に沿って南北 に移動する.この渦度の保存則は次の形に表現される:
(Curlて)n
2pQ ‑yV+O(E1'2) = 0' (2) ここに, Vは内部領域のバロトロピックな南北流速,pは水の密度を表わす.第一項はEkmanpumping
による伸縮率であり,第二項は底面傾斜による伸縮率である• £1/2のオーダーの項は底面Ekman層の 影響を表わすが,本実験のように r~E•12 である場合には無視できる (2) 式に (1) 式の表現を使うと
Sverdrup流の南北成分 Vは次の形になる
V = C・傘.
r v
辺―P
r
(3)C<Oであるから Vは負で,そと値は空間座標に依存しないことに注意されたい.気流が軸対称である にもかかわらず,それによって生ずる循環流は水盤の大部分を占める内部領域において空間的に一様な 南下流となることを示す.連続の式
( a u / a x + a v / a y
=o )
から東西成分Uは南北座標( y )
にのみ依存 することがわかる.この内部領域の南下流は全て西岸に沿う狭く強い境界流となって北に帰ることが Stommel2>, Munk3>等によって示されている.さて,上蓋を取り除くだけで作られる風成循環の可視化例を図2に示す.風成循環論が予測する一様 な弱い南下流と西岸に沿って北上する強い境界流が見事に実現されているのが見られる.これは本物の 風応力によって作られた最初の風成循環である.これからの地球流体の教科書に好んで引用されるであ
ろう.
図2の様な色素線の変位から内部領域の南北流速 Vと西岸境界流の最大流速 Vm及び幅Bを求め た.なお,幅Bは境界流速がゼロとなる点と定義する.図3には Vの測定値がァをパラメーターとし て9の関数として示されている.図の実線は (3)式であるが,測定値と良く一致しているのがわかる.
ただし
C
= ‑0.524を使った.このI C I
の値は無限固体平板に対する値0.616の約85%である.これ等 の結果はSverdrup理論の妥当性を証明しているばかりでなく,使われた気流が定量化可能な有能なも のであることも示している.東西直径位置で測定された Vm及 びBの値をそれぞれ図4及び図5に示 す.線型論6)によると,傾斜度ァと £114の大小関係によって西岸境界流の性質が微妙に変化することが 知られている.即ち,ァ~ £114 では底面摩擦が重要な Stommel 型2) となり, r~£114では側壁摩擦が 重要なMunk型3)が現れることになる.本実験では r E114であるから両者の混合型が現れるものと期 待される.実際,図5に示された幅Bのァ及び9依存を調べると,r
= 1/16の場合の境界流はむしろ Stommel型に近く (B r―'Q‑112)' r = 1/8から r= 1/6とァの増加に従ってMunk型の境界流 (B〜(泣)ー1/3)に移行しているのがわかる.図4に見られる一つの興味ある特徴は, Vmがほとんど
r
に依 存しないことである.r
に反比例する内部領域の流速とは対照的である.• 、 /....
‑ ‑
NE ~
~
. p
図2 軸対称気流によって作られた水平循環パターン:Q = 27r/l5 rad/s, r
= 1/8, H = 8 cm, (LJT = 0), 風応力は時計まわりに20分間作用.
色素線間隔は4分.上層の色素線(両端)は水面下1.5cmに,下層(中 央)の色素線は傾斜底面上1.5cmに配置.
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比較のために,純粋な熱駆動循環流の例を図 6に示す.これは風応力を遮断して側面冷却 (LIT< 0) を加えることによって作られた上層の循環パターンである.この流れは明白な鉛直シャーを持ち,底層 はほとんど静止状態にある.図3の風成循環と同様にこの循環も正味の流量を持ち,内部領域と境界流 とから成る.風成循環との重要な相違は,その強い境界流が西側でなく東岸に沿って発達することであ る.内部領域の流れはほぼ温度風のバランスを保ち,比較的単純な成層構造を持っている.従って,底 面で流速をゼロとし,温度風の関係式を使うと循環流の正味の全流量を容易に見積ることができる叫こ れまで成層効果を含めた風成循環実験は不可能と考えられていたが,図6の様な温度成層場を利用すれ
2.0
U! Eヽ
EE
1>)
Y= 1/8
0‑4 0.6 0.8
Q(rad/S)
図3 風成循環内部領域における南北流速.実線は理論式 (3),但しC =
‑0.524.
20.0
゜ ゜
ーu 1 EE‑E>Eヽ
o
Y= 1/16△ Y= 1/8
□
Y=1/60
苺△
□ D
0
合
△
喜
@ △゜ ゜
0.2 0.4 0.6 Q(rad/s) 0.8図4 東西直径位置で測定された西岸境界流の最大速度.
14.0 B
(cm)
12.0ト 0 y =1/16
~
△ Y=1/810.01‑ D Y=1/6
a . o 「 8
公 8
6.0ト
8
公
4.01
合 日 公
口2.0
゜ ゜
0.2 0.4 0.6 Q (rad/s) 0.8図5 東西直径位置で測定された西岸境界流の幅.
,N,
r ‑ ・ ・ ---~
→ = ‑ ‑I
\ A\ --- - 1 - - ヽ 〗 •
r ‑ ‑ ‑ , ;
/
.S
図6 側壁冷却によって作られた水平循環パターン:Q = 27r/60 rad/s, r
= 1/4, H = 8 cm, LJT = ‑0.3℃,風応カゼロ.色素線間隔1分.色 素線は水面下1cm.
8 竹松正樹・北 統 夫
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図7 軸対称数流と側面冷却とによって作られた水中循環パターン:Q = 2吋15rad/s, r = 1/16, H = 8 cm, LIT= ‑0.3℃,気流は冷却を開 始してから30分後に20分間作用させた.色素線間隔は2分.
ばそれが可能である.本論文では,成層を持つこの熱循環流に気流を作用させた場合に見られる定性的 な性質について簡単に触れておく.
図7は側面冷却(LJT< 0)によって作られた熱循環流の自由表面に風応力を作用させた場合に見られ る水平循環パターンの一例である.そこには図3と図6の重ね合わせとも云うべきパターンが見られる.
東側には熱循環流固有の東岸境界強流がそのまま残されている(風の影響は東岸では弱いので).西側の 境界流は明らかに風応力によるものである.実際,この西岸境界流は風を遮断して数分もすると消滅し てしまう.ここで特に強調しておくべきは,比較的強い成層 (S>£112)が存在しているにもかかわら ず風応力による流れの強化が,均一流体 (S= 0)の場合と同様,西側に生じていることである.これ は, (3‑効果と底面傾斜の相似性が成層がある場合にも,少くとも定性的には,意味を持つことを示す最 初の実例として重要であろう(海洋学者の中には B —効果と傾斜面の等価性は S = 0な特異点において のみ成立すると信じている者がいる).なお,内部領域の正味の流量は風応力の寄与と温度差LJTの寄与 とから成ることに注意されたい.特に興味があるのは,この場合の風応力による寄与がSverdrupの関 係式で見積られるか否かである.こうした定量的側面については別の論文で扱う.
4. 結 ︱ 五 ロ
︱ ︱
‑A
先の実験的研究において7)8)9),水槽の側壁の加熱・冷却によって駆動される循環流がいかに内容豊富な ものであるかを示した.そこでは理論や数値計算が予測し得なかったいくつかの新しい現象を明らかに
海洋風成循環の新しい実験室モデル
した.海洋大循環の本質を理解するためには,そうした熱循環流に更に風応力を作用させることが必要 である.しかし,従来の風応力の代用品では自由表面に長時間に亘って風応力を作用させることができ ない (§1序論を参照).ここに述べた自然で単純な気流法のみがこれを可能にする.この気流法が実際 に風成循環の定量的研究に有用であるばかりでなく,熱駆動源が共存する場合にも使えることを実証し た.しかし,この気流法では系の回転角速度を定めると風応力分布も一義的に決ってしまい,Beardsley6>
の方法のような自由度はない.風成循環の条件(パラメータ範囲)を変化させるためには水深H及 び 傾 斜度ァの変化に頼らねばならない.更に,気流を層流に保つためには系の回転角速度に制限があること
を忘れてはならない.装置の複雑化をいとわなければこうした難点は容易に取り除くことはできる.
これまでの海洋循環に関する理論や数値計算は観測事実の説明に役立つことはあっても,新しい現象 を予見することはなかった.室内実験は更にその後を追っていた.室内実験が観測や理論・数値計算に 先行する可能性もある筈である.実験も独立した研究手段であるのだから.
参 考 文 献
1) Sverdrup, H. : Wind‑driven currents in a baroclinic ocean ; with application to the equato‑ rial currents of the eastern Pacific, Proc. of the National Academy of Sciences of the U.S. A., 33, 1947, 318‑326.
2) Stommel, H.: The westward intensification of wind‑driven ocean currents, Trans. Am.
Geophys. Union, 29, 1948, 202‑206.
3) Munk, W. H: On the wind‑driven circulation,
J .
Meteorol., 7, 1950, 79‑93.4) Von Arx, W. S.: A laboratory study of the wind‑driven ocean circulation, Tellus, 4, 1952, 311
‑318.
5) Veronis, G. and Yang, C. C.: Non‑linear source‑sink flow in a rotating pie‑shaped basin, J. Fluid Mech., 51, 1972, 513‑528.
6) Beardsley, R. C.: A laboratory model of the wind‑driven ocean circulation, J. Fluid Mech., 38, 1969, 255‑271.
7) 竹松正樹,北 統夫:回転流体中の熱駆動循環流一実験的研究,応用力学研究所所報, 65, 1987, 1‑7.
8) Takematsu, M. and Kita, T.: Thermally‑driven circulations in a model ocean, Fluid Dyn. Res., 2, 1988, 261‑262.
9) Takematsu, M. and Kita, T.: Some aspects of thermally induced circulation in a rotating basin, Dyn. Atmos. Oceans, 1988, submitted for publication.
10) Batchelor, G. K. : An introduction to Fluid Dynamics, Cambridge University Press, London, 615 pp.
(昭和63年5月31日 受 理 )