• 検索結果がありません。

 * 工博 長崎大学教授 工学部社会開発工学科(〒852長崎市文教町1番14号)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア " * 工博 長崎大学教授 工学部社会開発工学科(〒852長崎市文教町1番14号)"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

構造工学論文集Vol.43A(1997年3月) 土木学会

自由端に集中面内力を受ける片持ち長方形板の振動,座屈および動的安定

Vibrationβuckling and Dynamic Stability of a Cantilever Rectangular Plate Subj ected        to Concentrated In−plane Load at Free End

  高橋和雄* , 呉 明強**

Kazuo TAKAHASHI and Mincharn WU

 * 工博 長崎大学教授 工学部社会開発工学科(〒852長崎市文教町1番14号)

** 長崎大学大学院 工学研究科社会開発工学専攻(〒852 長崎市文教町1番14号)

 The vibra血01ちbuck血1g an《1 d圃o stab皿ity of a candigver rectangUlar P皿e suhjected to 伍■plane concentrated load at血e I]ree edge iS stUdied in this paper.「mle sma皿defiection theory of血e d血i plate iS u8ed. The Raye◎−RitZ method iS errrPlqyed to solve v㎞酋on and buok旺ng of血e plate. The dynamio stability Ptoblern iS soiVe{l by us塊the I㎞ton principle tO d㎡ve

㎞evaliables.「lhe resu1血唱t㎞e vadables are solved by血e hannonic balance me血o《竃  Buck㎞9 Ptopenies and natUral frequencies of the plate are sho㎜at first. The 1℃gbns of instability唖ch c㎝㎞combination resonances and simple parameUic resonances…鵬

discussed for va1〔ious aspect ratios, damp血tg constan1冶and s舷ltic IDadS.

 K野Word8:dynamic stability, camdlever recta㎎gular plate, Vibrati叫buc紬㎎.

1.まえがき

 一般に,はりに面内曲げ荷重が作用する場合,横倒れ座 屈が生じることが知られている1).はりの長さが短い場 合や高さが高い場合には,平板としての取り扱いが必要で あるが,これまで平板として取り扱った研究は著者の知る 限りない.また,平板に面内力が作用した場合の座屈特性 や振動特性はかなり解析されているが,周期的変動面内力 が作用する場合の動的安定の解析について,不十分な点は 認められる(文献2)の文献参照).特に結合共振については,

これまでの研究で解析方法が少なかったことやその存在 が知られていなかったこともあって,結合共振が支配的と なる動的安定の解析は少ない.

 著者らはプレートガーダーの腹板のように面内曲げ荷 重を受ける平板構造の動的安定問題を取り扱う計画であ るが,本研究ではその第一段階としてフランジが付いてい ない一枚の片持ち長方形板を対象にその自由端に沿って 面内集中荷重が作用する場合の解析を行う.荷重が静的に 作用する座屈問題は文献1)の1−112 −1−115頁にはりの横倒 れ座屈として座屈公式が示されているが,縦横比が小さい 場合の結果は取り扱われていない.一方長方形板について は,面内荷重が作用することによって生ずる面内力による

固定辺

P

図一1一般図

座屈を取り扱った研究は少ない.そこで,本研究は座屈問 題を含めて面内集中曲げ荷重が作用する場合の片持ち長 方形板の固有振動および動的安定問題を明らかにする.解 法については,自由振動と座屈の解析には,はりの曲げ振 動の固有関数を用いて,エネルギー法に基づく,R邸1叫典 一Ritz法により解析を行う2).また,動的安定解析には,

(2)

Harniltonの原理によって,動的安定問題の時間に関する運 動方程式を誘導し,得られた運動方程式を2倍サイズの行 列の固有値問題に変換して解析する.

 数値解析において,長方形板の座屈,固有振動および動

的不安定領域に及ぼす縦横比,減衰定数静的および

動的荷重の影響を明らかにする.

2.片持ち板の自由端に面内集中荷重Pを作用する場  合の面内力

 図一1に示すような片持ち長方形板の自由端にy軸方

向に面内集中荷重P= Po+ろoosΩτが作用する場合の面 内力Nx, N.rは次のように与えられる3).

N. =一 2(P・+ス゜°$Ωt)(・−9)(a−・) (1)

N.,ニー細多c°s 9 )〔・一 )2+llp・+雲Ω (・)

ここに,Po:静的集中荷重,君cosα:周期的変動集中

荷重,Pt:変動集中荷重の振幅,Ω:励振円振動数, t:

時間,a,b:辺長.

3.解法

3.1 座屈および固有振動解析

 静的集中荷重Poを受ける場合の長方形板の自由振動を 考える.ひずみエネルギーV,面内力による仕事Uおよび

運動エネルギーTは次のように与えられる4).

       2

      −2(1−・)

γ(w)棚{(v2→

   降書〔劉卿

σ(嚇8閲・・N・・(2)〔9)}卿

・(の・

│駕2勅

(3)

(4)

(5)

ここ… D・Eh3

^12(1−・2)・嗣‖嵐・・ヤング$,

・v:ボアソン比,ρ:板の密度,w:たわみ, h:板厚.

この場合のポテンシャルエネルギーは次式となる.

rl(w)=v(w)+σ(w)

一般解を次のように仮定する2).

  ・ = ZΣ ・4m。 hm(ξ)kn(η)exp(i・Z)t)

   m  n

ここに,km:片持ちばりの固有振動形,

    尾:両端自由ばりの固有振動形,

   Amn:未定定数,ξ=x/a,η=y/b,

     ω:固有円振動数.

(6)

(7)

次に,式(6)に式(7)を代入し,Rayleigh−Ritz法を適用す

ると

毒(T−n)一・

(r=1,2,…・,N, s=1,2デ・…・,N)

式(8)の偏微分を行うと,次式が得られる.

 ΣΣAnVi(Entrns一え㌦一ZbGmn:s)=o

こ惣

E−・ 「疵・歩(・3mr72ns・戸議)

    蹴・㌻り㌦戸一

㌦・ 燒P,

G,・・、s・(鵡・認・・L嘉⑬・

λ.=4坤ω2♂/D(振動固有値),fi=a/b:縦横比 lb   Pob/D(tO =Oのときの座屈固有値),

1L l認,…・:固有関数の定積分(Appendix A),

m,n,r,s=1,2,・…,N.

式(9)を行列表示すると

 個一λ掴一1・[G]){x}・{o}

ここに,[E],[F],[G]:係数行列,

 ・(s+(r−1)N,n+(m−1)lv) = E。ms・

 f(s+(r−1)N,n+(m−1)め・脇・

 K・+(・−1)N,n+(〃−1)め一G。uns・

 {X}・{Al1,A12,A13…AI。,A21…A、。…刷㌧

 e,f, g:行列[El,[F],[GIの要素.

ここで,

(8)

(9)

(10)

    Zb =Oとすれば,面内力が作用しない場合の自 由振動の固有値λvが得られる.また,慣性項を無視すれ ぼ,座屈固有値んが得られる.なお,式(10)を書き換え

ると,

(凹一Z. [F]){X}・0       (11)

ここに,[A]=[E]−AoZb[G】,Po=Po/Pcr:無次元静的 集中荷重,Pcr:座屈荷重.

 上式より無次元静的集中荷重Poを作用する場合の自由

振動の固有値Z.が得られる.

 数値計算においては,式(10)と式(11)を行列の固有値問 題に変換し,固有値と固有ベクトルを求める.固有値より 固有円振動数および座屈荷重が求められ,固有ベクトルよ

り固有振動形および座屈波形が明らかにされる.

3.2 動的安定解析

 静的集中荷重Poおよび周期的変動集中荷重巳cosΩτが 作用する場合を考える.

 動的安定解析において,たわみを次のように仮定する2).

一98一

(3)

 w=ΣΣTmn(tpam。(X,Y)        (12)

   m=ln=1

ここに,Tmn(t):未知の時間関数,㌦(x, y):式(7)を用

いて得られる静的集中荷重が作用しない場合の長方形板

の固有振動形.すなわち

 M。m=Σ㌶乃ρ(9)Σα霧(η)         (13)

    P=1      9=1

ここに,hp(ξ):片持ちばりの固有振動形, he(η):両端 自由ばりの固有振動形,α膓づ:自由振動解析から得られ るモード定数.

 一般座標に関する運動方程式を誘導するために,

Hamiltonの原理を適用する5).

・㍗一・身{・+σ)}d…   (14)

    固=晦(2乃vωの・

 式(17)は連立のMathieuの方程式である.[i]は単位行列,

[司は対角化された減衰行列,[F]は対角要素に固有振動 数比の2乗が入った対角行列,[G]は係数励振行列である.

本研究の面内集中荷重を受ける長方形板の場合,行列[G]

の要素のうち,半分は0である.時間関数{T}の順番を並 び換えることにより,行列【Glの要素を零要素群と非零要 素群にまとめられる.ここで,並び換えた後の時間関数

{T}を8自由度まで採用した場合は次のように表される.

{r}・{T、、ち、T、, T2, Tl、 Tz、 T、、 T3、}「(18)

ここに・(STr。m(t、)=(STmn(t2)=0

式(・4)の変分を行い,部分積分してまとめると欲式が[q

得られる.

顯亙[鷲・畠礁一斎(瓦・互⇒

       ・BL}司・・   (15)

ここに,た114=ρ肪4ω}1/D:片持ち長方形板の1次固有値,

P,=Pt/Pc,:無次元変動集中荷重振幅,万=Ω/ω11:励振 円振動数,・=・・v、、t・:無次元時間,磁,8㌫嬬(APP・・diX B)

式(15)を行列表示すると次式が得られる.

【cl{T}・[2]{τ}・(9・9…万・)[R]{・}・{・}

ここに,[C],【2],[R】:係数行列,

・{i+(k−1)L・n+(m−1)L}=q紘・

9{1・(k−1)L・n+(m−1)L}・斎魂・

r{1・(k−1)L・n+(m−1)・}・一貴場・

 {T}={ruT12…TILT2、…Ta},

C,q,r・[C],12],[R]の要素,

 L:項数,〃9、n,k,1三塊…,L.

(16)

 式(16)に,[C]の逆行列[cl 1を左から掛ける.さらに,

線形減衰力を考慮すれば,減衰を考慮した運動方程式は次 式のように表される.

[i】{f}+【司{i }+回{T}

    ・(瓦・恥・∂・XGI{T}・{・}  (17)

ここに,【P]=[cT1[ρ],

    【GHc]−1[R】,

0000 0000 00ハUO

勘128b]29斑

翫29r辺92m

gZ148bl49814 92rrz 8磁8滋

舳鋤鋤肱0000

9aユ1  葛411  9an1

92ZZI 914Zl 93z21 97ZB 914B gan3 92ZB 914z393ZB

∧U︵UOO O∧UOO

(19)

 上式において,時間関数Ti」のサフィックスiはx方向 の振動形の次数を意味し,片持ちはりの振動次数に対応す

る.サフィックスノはy方向の振動形の次数を意味し,

」=1は両端自由はりの並進剛体モード,ノ=2は回転の剛 体モードに対応し,ノ≧3は両端自由はりの曲げ振動の

ノL2次の振動次数に対応する.なお,係数励振行列[G]の 主対角要素から単純共振の不安定領域が得られ,非対角要 素から結合共振の不安定領域が得られる2).主対角要素 が0になるので,単純共振の不安定領域が少ないことが予 想できる.行列[Glの非零要素g1211,9z211, g2za1…によ

り,(Ti2, Tn),(T22 , Tll),(r22, T21)のような2自由度系の

振動(結合共振)が発生する.式(19)から明らかなように 9i」uにおいて,ノ,1は奇数と偶数の組み合わせとなって いる.偶数と偶数,奇数と奇数の組み合わせは存在しない.

っまり, y方向の振動波形は対称(偶数)と逆対称(奇数)

の組み合わせからなり,対称と対称,または逆対称と逆対 称の間の組み合わせは存在しない.したがって,y方向の 振動次数が偶数,奇数となるような結合美振が発生する.

 また,並び換えた式(17)の一般解を,次のようにフーリ エ級数を使って仮定する6).

{T}・牢・昆瞬⌒一)}(・・)

(4)

ここに,λ:未定定数,ba,ak,bk :未知のベクトル.

式(20)を式(17)に代入し,調和バランス法を適用すれば,

bo, akおよびbkを求めるための同次方程式が得られる.

回{−}={0}        (21)

ここに,【Dl:係数行列,{X}={bobib2…角%づ「

 行列[Dlの性質から行列[D]は次の3個の行列に分解さ

れる.

PHM。1−Z[M,]−Z2[M、1    (22)

ここに,【Mo輻【」頃MM21:λの0,1,2次の係数行列.

ここで,{7}ニ,2{X}なる新しいベクトルを導入すれば,

式(za)は[Dlの大きさの2倍サイズの固有値問題に変換さ れる.

[[ぷM。].」∫丑川]田一・{:}(23)

式(23)は,非対称行列の固有値問題の基礎式である.すな

わち,与えられた加振振動数万と変動集中荷重の振幅君 の組み合わせに対して得られた固有値λの実数部がすべ

て負ならば,一般化のexp(Zr)が時間とともに収束するた め安定,逆に一つでも正ならば発散してしまうため不安定 であるという条件から安定性が評価される6).

8、 4

8,2 8.0

 7.8 ≡  7.6

7.4 7.2 7.0

0   2  4   6  8  10  12  14  16

         N

図一2 座屈固有値の収束状況(β=1)

4.座屈特性

4.1 座屈固有値の収束性

 片持ち板の座屈固有値の収束状況を縦横比β=1,すな

わち正方形板の場合について調べると図一2の結果とな

る.図一2で,縦軸は座屈固有値lbで》横軸は試行関数の 項数Nである.項数の増加に伴って固有値は収束し,固有 値はN=10項で収束したと見なせる.したがって,本解析

ではN=10の10項近似を用いる.

4.2 はりの横倒れ座屈との比較

解析の精度を直接比較する資料がないので,文献1)のは りの横倒れ座屈の解析結果と比較すると図一一 3の結果と

なる、このとき,はりの厚さhと幅bとの比を1/10にす る.縦軸は対数表示で座屈固有値lbを取り,横軸は縦横 比βを取っている.縦横比が5を越えると板とはりとの

結果がほぼ一致する.はりで近似できる平板の結果が一致

していることから,本解析の解析結果は妥当と思われる.

また,図一3により,βは5より大きい場合には板ははり

として取り扱える,

1000

子 100

10

1

0.1

  0.01

     012345678910

       β

図一3 板とはりの座屈固有値曲線(ボアソン比v=・03)

一1  一〇.8 9−O. 6

§

冶一〇.4

 一〇.2

0

(a)座屈モード

ξ

1 5

°η

0

(b)自由端(ξ=1)における変形形状 図一4 正方形板の座屈モード(β=1)

0

一100一

(5)

4.3 座屈モード

 図一4に正方形板の座屈モードを示す.モードの等高線 を濃淡を付けて表示しており,淡いほど変形が大きいこと を意味する(図一4(a))、自由端における波形に明らかなよ

うにたわみとねじれを伴った波形で座屈していることが

わかる(図一4(b)).はりの横倒れ座屈モードと異なって,

平板では断面の曲げ変形が含まれていることが確認でき

る.

100

10

≡1

0.1

26.910

7.656

一Nry≠0

− 一 Nry=O

0.01

   012345678910

      β

  図一5面内力Nayの座屈固有値への影響

4.4 面内せん断力の座屈固有値への影響

 図一5は面内せん断力を考慮する場合(Nwy #O)と無視 した場合(N.=O)の座屈曲線である.縦軸は対数表示で

座屈固有値abを取り,横軸は縦横比βを取っている.縦

横比βは小さいとき,両曲線には差がある.つまり,面

内せん断力が座屈固有値に及ぼす影響は縦横比Bが小さ

い場合に無視できない、

5.振動特性

表一1片持ち板の固有振動数(β=1)

振動次数 本法 文献7)

1st 3,484 3,494

2nd 8,521 8,547

3rd 21.38 21.44

4th

27.28 27.46

5th 31.07 31.17

5.1 固有振動数の精度

 正方形板に静的集中荷重が作用しない場合の固有振動 数の精度を調べる.本研究で得られた無次元固有振動数

Z。2と文献7)の固有振動数Z。1との比較を行った結果は

表一1である.なお,文献7)の数値結果はRayleigh−Ritz 法で計算された近似固有振動数であり,本法の解は固有振 動数が収束したと見なされる項数1ゾ=10の結果である両 者はほぼ一致している.

35 30 25 pa>20   15 K

10

5

  0

    0   0.2  0.4  0.6  0.8   1

      瓦

図一6固有振動数に及ぼす静的集中荷重の影響(β=1)

0.5 0.4

 0.3

1古

 0.2

0.1

5th 4th

3r《1

2nd

撃唐

   0

   16.2         16.7         17.2

       苗

図一7 安定解析と数値シミュレーションによる不安定

   領域との比較(β・ほ・q・、、+ω、2)・○・口・シ

ミュレーション,

:2t3=ち2=α01・

:h,=ilz2 = O,一一

5.2 固有振動数に及ぼす静的荷重の影響

 図一6は静的集中荷重が作用する場合の1次から5次

までの固有振動曲線である。縦軸は無次元固有振動数λ,2

を取り、横軸は無次元された静的集中荷重Poを取ってい

る.5次固有振動数は静的集中荷重の増加によって大きく

なるが,1次から4次までの固有振動数が小さくなる.次

数が低いほど,静的集中荷重が大きくなるにつれて,固有

振動数は減少する.なお,静的集中荷重が座屈荷重

(Po=1)の大きさのときに欲固有振動数は・となる・な お,面内曲げによる平板の面内応力には圧縮応力と引張応 力が存在するため,固有振動形によっては引張力の影響が 効いてくる.このため,5次固有振動数が静的荷重の増大

とともに大きくなるものと考えられる.

(6)

6.動的不安定領域 6.1 安定解析の精度

 安定解析により,得られた不安定領域の精度を確かめる ため,縦横比β=1の場合に結合共振ω13+di 22(T13,ち2が

発生する)の不安定領域について,安定解析とRunge−

Kutta−Gi11法による数値シミュレーションとの結果を図

一7に表す.図一7において縦軸は無次元動的集中荷重の 振幅互を示し,横軸は1次の固有振動数で無次元化した

励振振動数万を示す.図一7において実線で囲まれた部分 が減衰力を考慮しない場合(㌔=h2、=0),点線で囲まれ た部分が減衰力を考慮した場合(h13=幅=O.Ol)の安定解 析による不安定領域の境界線を表す.○とロは同じ条件で 数値シミュレーションによって不安定領域の境界である.

安定解析と数値シミュレーションから得られた不安定領

域が一致しており,安定解析の精度は十分と言える.

6.2 不安定領域の性質

 図一8.は縦横比β=1の不安定領域を表す.本研究では1

次振動の20倍までの励振振動数の範囲の不安定領域を議

論の対象とし,不安定領域の励振振動数幅がP, = O.5にお

いて0.1以下の不安定領域を省略する.

 また,図一8には単純共振の副不安定領域ωVと結合共

振の主不安定領域(D ly+ω励が得られている.不安定領域

の幅は結合共振が単純共振よりも広い.これは面内静的集

中荷重を受ける場合の板の座屈モードが自由端方向に振 動の対称モードと逆対称モードで合成されて表されるた

めである.また,係数励振行列[Glより明らかなように,

集中荷重を受ける場合は連成項を通じて直接項が励振さ

れるため,図一8のように単純共振の幅は狭い.したがっ て,面内変動集中荷重を受ける場合の平板の動的不安定領 域は結合共振が支配的であると言える.

6.3 パラメータの影響

(1) 縦横比

 β=10の場合の不安定領域を図一9に示す.図一8と9

を比較すると,縦横比βが大きくなるにつれて,不安定 領域の種類が少なくなる.これは1次固有振動数に比較し

て,他次数の固有振動数が高くなるので,現れる振動数が 少なくなるためである.β=10のはりに近い場合には,先

端に周期的変動荷重を受けるはりの動的不安定領域に対

1ゴ

0.5 0.4 0.3 0.2 0.1

0

ω12十ω11 ω22十ω11

ω22+ω13ω14+ω11

ω12

ω21ω12+ω21 ω12+ω1、   ω22+ω21

ω12十ω23

0

2     4     6     8     10    12    14    16

       石

図一8 不安定領域(β=1,i =O, P, =O,叫:単純共振,叫+di。m:結合共振)

18 20

 ら

lm

0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0

ω21 ω31ω12ω11+ω12

0

2

4

      苗

図一9不安定領域(17・一・・…hij.・嘱一・)

16 18 20 22

一102一

(7)

1酋

0.5 0.4 0.3

O. 2

0.1

0

0.5

0.4

0.3 0.2

0.1

0

2ω、, 3ω、2+ω、1 ω  十ω ω 十ω ω14十CO 11

0

2 4 6 8 10

c

12

図一1・穣定繊(β・砕・・,亭・5)

ω22十ω11

14 16 18

ω22十ω13

20

ω12ω1、+ω11ω21ω12+ω21ω12+ω13  ω22+ω刎

ω12十ω23

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

図一11稼定領域(fi・・9h,i」 = o.・L玲・)

1訂

0.5 0.4 0.3 0.2

0.1

0

3

、  、

N. N   、 、

   、N

      N

グ ノ グ ノ

∂!

一 hll=O   hl2=0

_ h11=0.01 h12=0.001

−−

@h11=0.01 h12=0.01

■・■@hn=O.01 h12=0.05

3.2    3.4    3.6    3.8    4

        あ

 図一12不安定領域に及ぼす減衰定数の影響(β=L1㌔=qω11+tV12)

(8)

応し,曲げとねじりのモードをもつω11+ω12が広い不安 定領域となっている.

(2) 静的荷重

 図一・10は,静的面内集中荷重が座屈荷重の50%

(Po=0.5)が作用させた場合の不安定領域である.静的集

中荷重が作肌ない(苧・)場合の図一8と比較すると静

的荷重は一般に平板の剛性を小さくするので,固有振動数 が減少し,不安定領域の幅を広くする効果を持つ.このた

め,単純共振の主不安定領域1ωIJや第2副不安定領域

2ω〃!3が現れ,不安定領域の種類も多くなる.

(3) 減衰定数

図一11は繊を考慮した場合(h,,−o.・1)の穣定領域 である鹸衰を無視した場合(h,,・o)の図一8と比較する と,減衰を考慮する場合には幅が狭い不安定領域が安定領 域になり,高次振動領域にある不安定領域は減衰の影響が 大きく受ける.

 図一12は減衰定数の大きさの組み合わせによる結合i共 振ω11+ω12の不安定領域の変動を示すものである.2つの 減衰定数(ら1,亀2)のうちに,ら1を固定し,hl2を変動させ る.減衰定数函2が増加につれて,無次元動的荷重互が小 さい場合には,不安定領域が狭くなる.但し,互が大き

い場合には不安定領域の幅が必ずしも狭くなるとは限ら

ない.図のように減衰を考慮した場合が不安定領域がかえ って広くなる.これは脱安定化効果6)と呼ばれており,

結合共振の不安定領域を評価する場合は減衰力の影響を

考慮する必要がある.

7.まとめ

 本研究では片持ち長方形板の自由端に沿って面内曲げ

集中荷重が作用する場合を対象に,座屈,振動および動的 安定性の解析を行い,それらの特性を明らかにしたもので

ある.

 本解析によって明らかになったことを要約すると

(1) 自由辺に平行に面内集中荷重が作用する場合の座 屈固有値は縦横比の増加とともに単調に減少する.縦横比 が大きくなると,はりの横倒れ座屈固有値に一致する.

(2) 自由端に面内集中荷重が作用すると長方形板には 面内垂直力と面内せん断力が作用する,面内せん断力の影 響は縦横比が小さい場合には無視できない.したがって,

平板を取り扱う場合,面内せん断力の影響ほ無視すること ができない.

(3) 静的面内集中荷重は長方形板の固有振動数に影響

を及ぼす.1次固有振動数は座屈荷重の大きさの時に0と

なる.

(4) 面内変動集中荷重を受ける長方形板の動的不安定 領域の種類は単純共振と結合共振であるが,結合共振の動

的不安定領域の幅は単純共振によるものより広い.

(5) 縦横比が大きくなると,動的不安定領域の種類は 減少し,その領域の広さも変化する.縦横比が大きい場合 の動的不安定領域は,はりの動的不安定領域に対応する曲 げてねじりの不安定領域が卓越する.

(6) 静的集中荷重は構造物の剛性を低下させるため,

動的不安定領域の幅が広くなり,その種類も多くなる.

(7)減衰力は狭い不安定領域を安定領域に替え,その影 響は高次の不安定領域に強く表れる.ただし,結合共振に ついては,減衰定数の大きさによっては不安定領域が広く なることがある.

 本研究では片持ち長方形板を取り扱ったが,今後,自由

な対辺にフランジを取り付けてプレートガーダーとして

取り扱う予定である.これについては別途報告する。なお,

本研究を行うにあたり,長崎大学大学院生の大田晶一氏に 多大な援助を得た.ここに,感謝の意を表す.そして,数

値計算には長崎大学の総合情報処理センターのFACOM

VP・1200モデル10を使用したことを付記する.

Appendix A はりの固有関数の定積分

∫1 ・ 鳩4ξ・

・2・nr−∫;』∂ξ,

i3mr・彪垣ξ,

・ mr =dカ、mh,・d9,

1 mr・£カ1古謡ξ,

・ 一一∬o一ξ)力、mh、,di!f,

・7・nr・ 硫∂ξ,

・Bmr・

e4ξ・㍍・j{〈

hm=COS・1.aξ一cosh・a.aξ   ・α。(・姐z。・ξ一・i・li,1.a4),

輪・z。a{一・mλ磁一・血hZ。・4   ・αm(…2.・ξ一…h2.・4)}・

ZI、m・(a.a)2{一・・S・・a aξ一…hZ。・4

  ・αm(−sinz.a;一・inha.・4)}.

  sin,t a−sillhノ[ a

        a  ニ m   cos ALma→−cosh 2.a ,

エ1=1の場合 hh=1・hln=庵n=O,

n=2の場合

4・(1−2η)」,fi. ・ −2」, h2n・0,

n≧3の場合

ゐ。・{…hμ。bη・…μ。bη

九一覚悟一・』

    η一∬

ア ・・腕吻・

      ns・∫。ゐ・属吻・

ア3ns・ 玩吻,

ア帳 硫吻,

     ア5厄・∫。乃・几。4η・

i・・一 η一握吻・

     }

    十・

一104一

(9)

   一β (・i血Pt。bη・・inμ。bny)}・

輪μ。ろ{・㎞μ。ろη一血μ bη    一17n(…hμ。bη・…μ。みη)}・

EZn・(Pnb)2{…hμ。ろη一…μ。bη    一β。(・i・hg,bi」−sinp.bny)}.

   coshμnろ一COSμ刀ゐ  β。=

   sinhμ。b−s桓μ。b・

Appendix B 定積分λ藍,8㌫,(濫

馴{芦 尻・・鳳耐

(厄編・エξξ)・寺り元燕}d4d・・

・監・;∫眼£(Lξ屍・厄・・{・(η一詞

  (死・碗.+∂ユ・ピ・,

・x・ぱ死尻畝・,

  m.=ΣalAh.ΣaXA.,

    nt=l    n=1   m.,fU=Σσ;ゐ1加Σα:ん・

     m=1    刀=1   M。,,eξ=Σa;h、.Σaxi n,

     nt=l     n=1   w.,,,=Σa:h.Σa;h2.,

      m=1    n1

  児渚=Σα;塩Σα:乃nt      m=1    n=1   M。,n=Σα5妬Σα:乃、n      m=1    n=1 ここに,aX,べ:モード定数,

hm,Ihm,ゐ玩,hn,hin,乃2π(叫坑駕L隅v=1う2,…,N)

(Apperidix Aを参照).

      参考文献

1)C.R.C.Japan:Haridbook of Structural StabMty, Corona,

pp.1・112,1971.

2)高橋和雄,古谷寿章,其田智洋,夏秋義広:Pasternak 基礎上の温度勾配をもつ変断面長方形板の振動,座屈お よび動的安定性,土木学会論文集,No.519ル3Z pp.

175〜194,1995.7.

3)関谷壮,斉藤渥:薄板構造力学,共立出版,pp.83・・g5,

1969.

4)林;軽構造の理論とその応用(上),日科技連出版社,

pp.44&−453,1967.

5)近藤恭平:振動論,培風館,pp.278〜281,1993.

6)TakahaShi, K.:ParameU㎡c lnstab血ty of a Non−unifoim Damp血脇Joumal of Sound and Vibratio4 Vol.85, pp.257〜

262,1982.

7)LeiSs4 A.W.:Vibration of Plates, NASA SP−160, p.76,

 1969.

      (1996年9月6日受付)

参照

関連したドキュメント

専攻の枠を越えて自由な教育と研究を行える よう,教官は自然科学研究科棟に居住して学

会員 工博 金沢大学教授 工学部土木建 設工学科 会員Ph .D金 沢大学教授 工学部土木建 設工学科 会員 工修 三井造船株式会社 会員

会 員 工修 福井 高専助教授 環境都市工学 科 会員 工博 金沢大学教授 工学部土木建設工学科 会員Ph .D.金 沢大学教授 工学部土木建設 工学科 会員

工学部の川西琢也助教授が「米 国におけるファカルティディベ ロップメントと遠隔地 学習の実 態」について,また医学系研究科

清水 悦郎 国立大学法人東京海洋大学 学術研究院海洋電子機械工学部門 教授 鶴指 眞志 長崎県立大学 地域創造学部実践経済学科 講師 クロサカタツヤ 株式会社企 代表取締役.

学識経験者 小玉 祐一郎 神戸芸術工科大学 教授 学識経験者 小玉 祐 郎   神戸芸術工科大学  教授. 東京都

【対応者】 :David M Ingram 教授(エディンバラ大学工学部 エネルギーシステム研究所). Alistair G。L。 Borthwick

市民社会セクターの可能性 110年ぶりの大改革の成果と課題 岡本仁宏法学部教授共編著 関西学院大学出版会