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博 士 ( 工 学 ) 駒 崎 征 明

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 駒 崎 征 明

学 位 論 文 題 名

移動通信網を利用した落石検知システムに関する研究 学位論文内容の要旨

  

近 年、 わ が 国で は技術の 進歩・発 展により 、かつて は施工が 困難とさ れた急 峻 な 海 岸線 、 峡 谷地帯に いたるま で道路網 が建設さ れている 。これに より、人 の 往 来 、生 活 物 資の輸送 は容易と なり、都 市と僻地 間の生活 条件の格 差は解消 さ れ て きた 。 一 方、困難 な自然条 件を克服 して建設 した道路 網の沿線 では、岩 盤 斜 面 の崩 壊 ・ 落石・地 すぺり・ 土石流・ 雪崩等に 対する一 層の警戒 が必要に な っ て きて い る 。こ の よう な 状 況の な かで 、 本研 究の基礎 となる部 分は平成

6

年 頃 か ら 研 究 を 進 め て き た も の で あ る 。 特 に 、

1996

2

10

日 午 前

8

15

分 頃 、 路 線 バ ス の 乗 客 ら

20

人 が 犠 牲 と な っ た 後 志 管 内 古 平 町 の 国 道

22 9

号線 、 豊 浜ト ン ネル 岩 盤 崩落 事 故 後は 、 早期 の実 用化を前 提にして 研究を発 展 さ せ てき た 。 著者はこ のような 不幸な災 害を前兆 段階で捉 えること 、そして ま た 災 害が 突 発 的に 発 生す る 場 合に お いて も

24

時 間 体 制の 常 時無 人 監 視が 可 能 で 、 被災 状 況 を判読で きる多量 のダイナ ミックデ 一夕を可 及的速や かに伝達 す る 災 害検 知 シ ステムの 確立を計 ろうとし てきた。 そこで有 線電話網 が敷設さ れ て い ない 地 域 からのデ 一夕通信 が容易な 移動通信 網と、実 用性に富 むケーブ ル センサを 組み合せ た落石検 知システ ムの開発に関する研究を行ってきている。

  

本 研究 は 、 大別 すると、 「計測原 理が公表 されてい ない振動 検出用ケ ーブル セ ンサ測定 原理の解 明等ケー ブルセン サの出力特性に関する研究」、「移動通信 綱 と ケ ーブ ル セ ンサ を 組み 合 わ せた 場 合の シ ス テム 全 体の 信 頼 性に 関 す る研 究 」 の

2

つ の部 分 から な っ てい る 。 本論 文 の第

1

章 は 序 論で あ り、 主 た る研 究 内 容 を 研 究 順 序 に 従 い 第

2

章 か ら 第

7

章 に述 べ て いる 。 第

8

章は 結 諭 であ る 。

  

1

章 では 、 本 論文 の 目的 、 研 究対 象 とし て いる落 石・岩盤 崩落現象 につい て 概 説 し、 次 に 本論文の 重要なポ イントで ある落石 発生から 管理セン ター等へ 通 報 さ れる ま で の空白の 時間、っ まり『ブ ランクタ イムの最 小化』を 可能とす る た め の 移 動 通 信 技 術 動 向 、 本 論 文 の 構 成 等 を 述 べ て い る 。

  

2

章 では 、 既 往の 研 究に つ い て整 理 した 上 で、落 石・岩盤 崩落の検 知方法 と し て 有効 と さ れて い る

AE

法 、お よ び新 し い 検知 技 術 とし て 著者 の 研 究と 同 時 並行的に 研究され てきた光 ファイバ ーケーブルによる検知法について考察し、

本 研究の位 置づけを 明らかに した。

  

3

章 では 、 落 石検 知 シス テ ム に用 い よう と した振 動検出用 ケーブル センサ 自 身 に 関す る 基 礎研究を 行ってい る。これ はケーブ ルセンサ の計測原 理に関し て の 公 表さ れ た 学術論文 が存在し ないため である。 研究の結 果として 、仕事関

(2)

数 が異なるケ ーブルセンサの心線とこれを取り巻く4 フッ化エチレン (FEP ) の機械的接触・分離で生ずる微小な電流が信号出力源になっていると考察して いる。また、R ,C で構成される測定回路の出力電圧式は、電流、電気容量をノヾ ラメ一夕とした一階常微分方程式で与えられると述べている。さらに、室内実 験により、出力電圧と加速度の相関について確認し、実用化の可能性があるこ とを明らかにした。

   第4 章では、実用化の可能性をさらに調査・研究するために、ケーブルセン サを覆道等へ敷設する前段の予備実験として実施した中規模実験の結果を述べ ている。その結果として、出力増幅倍率 5 倍のもとで7 . 26kg の鋼球落下に対 して十分な感度を持ち、その落下位置の標定は、出力波形の立ち上がり・振幅 から可能であり、さらには卜ポグラフィを用しゝることにより視覚的にも判別で きることを明らかにした。

   第5 章では、移動通信網をデー夕通信手段として用いる時の 3 種類のデー夕 伝送方法、すなわち、PDC 方式(現行の携帯電話)、PHS 方式、衛星通信方式に おける、通信試験を実施した。その結果として、 45kbyte のデー夕伝送を行っ た場合、各方式とも、実測伝送時間は、理論的な計算値より長くなるが、その 差 は 数 s 〜 10 数 s で 実 用 上 支 障 は な い こ と を 明 ら か に し た 。    第6 章では、豊浜卜ンネルでの岩盤崩落事故、および第2 白糸卜ンネル岩盤 崩落事故発生箇所の斜面と覆道の位置関係を考慮し、実規模覆道を用いたケー ブルセンサの実用化試験を実施した。その結果として、実規模覆道においても、

第 4 章で確認したことを踏まえると、ケーブルセンサは加速度計の代替センサ として利用可能といえる。また落下位置は波形の立ち上がり・振幅・卜ポグラ フ イ の い ず れ に よ っ て も 標 定 で き る こ と を 明 ら か に し た 。    さらに山間部において、現行の携帯電話を使用し移動通信網を利用したデ一 夕伝送試験を実施し、 45kbyte の波形データを送信側PC から受信側P じの画面 に 確 実 に 伝 送 し 、 波 形 と ト ポ グ ラフ ィ を表 示 でき る こと を 確認 し た。

   第7 章では、岩盤斜面自体にケーブルセンサを敷設する場合、実用上、強度 補強が必要である。そのため新たにスチールワイヤ型ケーブルセンサを開発し、

感度試験と、実斜面への適用を目的とした実用化試験を実施した。その結果と して、もとのケーブルセンサに比ぺて感度は低下するが、スチールワイヤ型で も斜面沿いに落下するブ□ックの落下軌跡を十分感知でき、視覚的にも卜ポグ ラフイ表示により落下挙動を推定できることから、スチールワイヤ型ケーブル セ ン サ は 実 環 境 ・ 実 斜 面 に 適 用 可 能 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。    また出力波形の立ち上がり時刻を結ぶ曲線から最大速度残存係数・等価摩擦 係数・脚部における落下速度・並進運動工ネルギー等を算出することができ、

防護工の設計に有効であることも明らかにした。さらに本研究に基づいて、北 海道層雲峡に適用されている移動通信網を用いた落石検知システムの実例を示 している。

   最後に第8 章では全体を通しての結論を述べている。

(3)

学位論 文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教授 教授 教授 教授 助教授

樋口 佐伯 三浦 金子 氏平

学 位 論 文 題 名

澄志     浩 清一 勝比古 増之

移 動通信網 を利用 した落石 検知システムに関する研究

  近年、わが国では技術の進歩・発展により、かつては施工が困難とされた急峻な海岸線、峡 谷地帯にいたるまで道路網が建設され、落石・岩盤斜面の崩壊・地すべり・土石流・雪崩等に 対する一層の警戒が必要になってきている。このため、災害監視システムに関する研究が行わ れてきている。しかし、各種存在するフイールド用センサの適用性に関する研究とデ一夕の伝 送・ 処理 に関 する 研究 は 不十 分な 状態 にあ り、 今後 の発 展が 待たれてい る状況にある。

  本論文は、このような現況の中でフイールドへの実用化が期待できる「振動検出用ケーブル センサ」と「移動通信網」を組み合わせた落石検知システムの開発と有効性について研究した 結果を述べたものである。

  本論文第1章では研究の必要性を論じ、第2章では斜面防災に関する計測法の既往の研究結 果をレビューし「振動検出用ケーブルセンサ」と「移動通信網」を組み合わせた落石検知シス テムの新規性と位置づけを明らかにしている。

  第3章では 、振動検出用ケーブルセンサの測定原理に関する公表論文が存在しないため、計 測原理と出力特性に関する基礎研究を行っている。その結果として、仕事関数が異なるケーブ ルセ ンサ の心線と これを取り巻く4フッ化エチ レン(FEP)の機械的接触・分 離で生ずる微小 な電流が信号出力源になっていることを明らかにしている。また、R,Cで構成される測定回路 の出力電圧式は、電流、電気容量をバラヌータとした一階常微分方程式で与えられると述べて しゝる。さらに、室内実験により、出力電圧と加速度の相関について確認し、実用化の可能性に ついて有益な知見を示している。

  第4章では 、実用化の可能性をさらに調査・研究するために、ケーブルセンサを覆道等ヘ敷 設する前段の予備実験として実施した中規模実験の結果を述べている。その結果として、出力 増I|ば倍率5倍のもとで7. 26kgの鋼球落下に対して十分な感度を持ち、その落ド位越の櫟定は、

    −224−

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出力波形の立ち上がり・振幅から可能であり、さらには卜ポグラフィを用いることにより桝覚 的 に も 判 別 で き る こ と を 明 ら か に し 、 デ ← 夕 処 理 技 術 の 向 上 を は か っ て い る 。   第5卓では、意外なことであるが、移動通信網による多量のデ一夕を伝送する場合のイ厶送1時 If‖に関する公表値はほとんど存在しないため、3種類のデ一夕伝送方法、すなわち、PDC方式

(現行の携帯電話)、PHS方式、衛星通信方式における、通信試験を実施している。その結果 として、45kbyteのデ←夕伝送を行った場合、各方式とも、実測伝送時間は、理論的な計算値 よ り長く なるが、その差は数s〜10数sで実用上支障がないことを明らかにしており、今後の 幅広しゝ地質工学的応用に対し新ししゝ知見を与えている。

  第6章 では、豊浜トンネルでの岩盤崩落事故、および第2白糸卜ンネル岩盤崩落事故発生箇

|听の斜面と覆道の位置関係を考慮し、実規模覆道を用いたケーブルセンサの実用化試験を実施 している。その結果として、実規模覆道においても、第4章で確認したと同様、ケーブルセン サは加速度計の代替センサとして利用可能であることを確認している。また落下位置は波形の 立ち上がり・振幅・トポグラフイのいずれによっても標定できることを明らかにしている。さ らに山間部において、現行の携帯電話を使用し移動通信綱を利用したデー夕伝送試験を実施し て いる。 試験では 、45kbyteの波形データを送信側PCから受信側PCに確実に伝送でき、波形 とトポグラフィを画面上に表示できることを確認し、著者が開発した落石検知システムが実用 可能であることを示している。

  第7章では、岩盤斜面自体にケーブルセンサを敷設する場合、実用上、強度補強が必要であ る。そのため新たにスチールワイヤ型ケ←ブルセンサを開発し、感度試験と、実斜面への適用 をIi的とした実用化試験を実施している。その結果として、もとのケーブルセンサに比べて感 度は低下するが、スチールワイヤ型でも斜面沿いに落下するブ□ックの落下軌跡を十分感知で き、視覚的にも卜ポグラフイ表示により落下挙動を推定できることから、スチールワイヤ型ケ ーブルセンサは実環境・実斜面に適用可能であることを明らかにしている。また、出力波形の 立ち上がり時刻を結ぶ曲線から最大速度残存係数・等価摩擦係数・脚部における落下速度・並 進運動エネルギー等を算出することができ、防護工の設計に有効であることも明らかにしてお り、工学的有効性が高いことを示している。さらに本研究に基づいて、北海道層雲峡に適用さ れ て い る 移 動 通 信 網 を 用 い た 落 石 検 知 シ ス テ ム の 実 例 を 示 し て い る 。   これを要するに著者は、移動通信網を利用した落石検知システムについて、「システムに用 いる振動検出用ケーブルセンサのフイールドでの実用性」と「移動通信網によるダイナミック デ一夕の伝送法の有効性」について新知見を得たものであり、落石・岩盤斜面の崩壊・地すべ り 土石流・雪崩等に対する予知技術の向上に貢献するところ大なるものがある。よって著者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

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