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軸力と曲げを受けるI形断面画材の曲げねじれ座屈強度に及ぼす断面変形の影響 利用統計を見る

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(1)

軸力と曲げを受ける1形断面材の曲げねじれ

座屈強度に及ぼす断面変形の影響

杉原美好 深沢泰晴

(昭和61年9月1日受理)

Effects of Web Distortion on Flexural-Torsional Buckling Strength

of I-Section Members under Axial Compression and Bending

MiyoshiSUGIHARA YasuharuFUKASAWA       Abstract   An analysis is presented for the effects of web distortion on flexural−torsional buckling strength of structural steel members with I−section, subjected to both axial thrust and end moment. On the basis of analytical procedures which were proposed previously by authors for the instability of 1−section members with flexible web, formulations governing the problem are developed, and some numerical treatments are examined for inelastic buckling as well as elastic one of the members, including the effect of initial residual stresses with two typical patterns. Buckling loads which are calculated using the present method for simply supported I−Section members with flexible web are compared with results obtained for those with rigid cross section. 1. はじめに  構造物を合理的に設計するためには,その終局耐力 の正確な評価が必要であるが,近年の電算機の発達や 構造解析法の充実がこれを可能にしつつある。鋼構造 において,最も重要な構成要素として幅広く使用され ている1形断面材についても,より正確な耐力評価を 行うべく,断面変形を考慮した解析,局部座屈と全体 座屈の連成関係の解明等の研究が活発に行われるよう になった1)一’5)。  著者らもこれまで,図一1のような断面変形を伴う1 形断面ばりについて非弾性域をも含めた曲げねじれ座 屈問題の解明を行ってきた7)’“9)。その結果,一定曲げモ ーメントのみを受ける単純支持1形断面ばりの弾性座 屈において,断面変形を考慮した場合,部材長がある 値より小さい範囲では2次以上の高次モードについて も考慮を要すること,また,断面変形を考慮しないも のとの差が顕著であるのは,座屈モードから判断して 圧縮側フランジプレートのねじれ座屈に相当している 場合であることなどが明らかになった。さらに,弾性 横座屈強度において断面変形の影響が顕著に現れるは りでは,塑性域における横座屈強度においても断面変 形の有意な影響が生じることがわかった。  本研究では,断面変形を伴う単純支持1形断面ばり に曲げと軸力が同時に作用する場合について解析を行 い,その際にウェブの変形が座屈強度に与える影響に ついて検討する。また,断面寸法をパラメーターとし

\1    |s     \    1φ ____L

  /

Ut i φ 図一1 断面変形 th z

(2)

て横座屈強度を計算し,断面変形の影響が顕著に現れ る1形断面の断面形状についても検討を加える。 2.支配方程式  解析の対象とする二軸対称の1形断面および座標系 とその断面変形を図一2に示す。  ウェブの変形を伴う一軸対称の1形断面ばりの弾性 横座屈変形の支配方程式は,座屈変形前の状態で作用 している軸力をN(°),x軸まわりの曲げモーメントを My(°), y軸方向荷重をqy(°)とすれば,図心0のκ軸方 向変位u,断面全体のねじれ角φ,および上,下フラン ジの独自のねじれ角ψ、,ψ2に関して次のように表すこ とができる9)。 Elxxu””一{N(°)(u+y。φ)’}’+(踏o)φ)”=O EZωωφ””−Gl、φ”+ EI;b ill”’+EZ品ψ:’”    一 Gl,1 ip{’−G1ζ2ψ∫−y。(1V(°)u’)’    +払(0)U”一(K(0}φ’+KIO)ψ1+K{O)‘b5)’    十q》o}y。φ=O EZ品(φ+ψ1)””−GJ。”(φ+ψ1)”    +2摯(2ψ1+ψ・)一{Kf・・(φ+gb・)’}t−・ E脇(φ+ψ、)””−G1ζ2(φ+ψ、)”    +2乎(ψ1+2ψ・)一{Ki・・(φ+ψ・)’}・−0       (1a∼d) ここに,Elw(=Et3/12)はウェブの単位幅あたりのz 軸まわりの曲げ剛性,E五。, E1ωω, GJ,はそれぞれ有効 断面のy軸まわりの曲げ剛性,反り剛性,およびSt. Venantのねじり剛性を表す。さらに,上添字fl, f2は それぞれ上,下フランジに関する量であることを表す。 また,ys, y、はそれぞれせん断中心およびq膓゜)の作用

←一一b一

図一2 断面寸法と座標 点のy座標である。なお,K(0), KIO), K60)は K(°)=∫。(σ‘°)+σr){(X−X。)2       +(y−y。)2}dA Kf°)=∫ari(σ£°)+σ。)(X−X。)2dA KS°)=∫。プ、(σ膓゜)+σ。)(X−X。)2dA / (2a−−c) ここに,x、はせん断中心のx軸座標,σ£°)は座屈変形 前の状態での直応力,σ.は部材軸方向の残留応力, .4fl, Af2はそれぞれ上,下フランジの断面積である。  両端単純支持ばりにx軸まわりの一定曲げモーメ ントMおよび軸圧縮力Pが作用する場合,座屈前の 変形は微小であるとして無視すれば,次式が成り立つ。  q∫o)=0,ノV(o)= −P,ノ鴎o)=M        (3a∼c)  z=0,z−L;u−u”=φ=φ”=ψ1一ψ{’一ψ,   = ψ≦ノ = 0       (4) また,式(2)の値をそれぞれ次のように表す。  K(o)=K,、酪o)=K,, K]o)=K,      (5a∼c) 式(3),(5)を式(1)に代入するとウェブの変形を考慮した 1形断面ばりに対する横座屈変形の支配方程式が次の ように求められる。 Elxxu””+戸(u”+y。φ”)+Mφ”=O E1ωωφ””一(]Jsip”+EZ;あψ{’”+Eτ‘iもψ;”ノ   ーG1ζ1ψ{L G1ζ2ψ2”十y。PU”+Mu”   −Kφ”−K, ip,”一.κ∼ψ♂=O EZ品(φ+ψ1)””−G1。”(φ+ψ1)”   +2穿・(2ψ1+ψ・)一瓦(φ+ψ1γ一・ E1品(φ+ψ、)’”’−G1ζ2(φ+ψ、)”   +2穿・(ψ1+2ψ・)一瓦(φ+ψ・)tt−・ 式(4)より,座屈形を次のように表す。 (6a∼d) [μφψ1ψ・]T−[C,・C・・C・C・]τsi・㌢ (7) ここに,C,(i=1,2,3,4)は任意定数であり,nはモー ド次数である。式(7)を式(6)に代入することによって, 次のような固有値方程式が得られる。 Kn  Ki2    K,, ここに, Sym. O K23 K33 O K24 K34 K44 =0 瓦1−

X晋y一脳・一一π一y・P

K22−E…(−y’f)2+(Us+rt (8)

(3)

石一

ゥ誓ア+(罪+瓦

K24一

ゥ碧+曜+瓦

K33一

?、‡+(樹瓦

      +4㌣(嘉ア K・・−2

チ(嘉y

…E叫筈ア+曜+長

         +4!Ef’w−(☆y 3.数値計算結果と考察 (9a∼h)  著者らが文献9)で示した手法を用いて式(8)を解き, 曲げと軸力が作用する1形断面ばりについて断面変形 を考慮した横座屈強度を算出する。  非弾性域における座屈強度の算定に際しては,  P == f.(δ.+σ。)dA, M=∫。y(δ。+σ。)dA        (10a, b) を満足する応力分布を求めて有効断面を決定し,それ に対応する部材長Lの限界値を計算する6)。また,残留 応力は,図一3に示す2種の残留応力分布モデルを適用 する。 3.1 弾性横座屈  図一4は,軸圧縮力P=0,0.2Pγ,0.4Pγ(Pγは降伏軸 力)が作用する場合の座屈曲げモーメントと部材長の 関係を示したものである。縦軸は降伏曲げモーメント        ピ Mγに対する座屈曲げモーメントMの比(M/Mγ)。rで あり,横軸は部材長Lとフランジ幅bの比L/bを対 数で示した。図中の一点鎖線は断面形不変とした場合 σ、:降伏応力6rc:圧縮残留応力 6,t:引張残留応力       σ虜c        σt‘・ σrt 6re σre=u.3σY 6rt=6rc 6rt 6rt

L_

6tt6rtcrc

σ‘c一二⑪.ハσY σrt=σY (a)圧延1型鋼   (b)溶接1形プし一トガーダー     図一3 残留応力分布モデル (薗/MY}cr 1.o 0.8 o.b 0.4 0.2 rli)1,i’!(il“x      ,lo ,’P=0.2PY ’・tt、メ’、 0 0・30.5  1_0  2_0    5_0   10   20 50 L/b 図一4 弾性座屈モーメントに与える軸力の影響 の座屈曲線である。軸力が作用する場合,曲げのみが 作用するときに断面変形を考慮したことにより座屈荷 重が低下する範囲(L/b〈30)では作用軸力に応じた 座屈モーメントの低下が生じ,P=0の曲線を下方に 移動したものとほぼ一致する。また,L/b>30の範囲 では断面形不変とした場合の曲線と断面変形を考慮し た曲線はほぼ一致し,断面変形の影響はほとんどみら れない。  図一4のA,B,…, F点における座屈モードは図一5の ようになる。A, B, C点は上フランジが大きな回転を 示し,圧縮側フランジのねじれ座屈に対応している。 D,E, F点は断面全体の回転は生じているが上,下フラ ンジの回転はわずかで断面はほとんど変形せず,横座 屈に対応している。なお,これらは曲げのみが作用す る場合のものであるが,軸力が作用した場合にもほぼ 同様の座屈モードを生じる。

A

B C D         E         F 図一5座屈モード

(4)

 式(8)においてM=0を代入し,Pについて解くと, 軸力のみが作用する場合の座屈荷重を求めることがで きる。これにより,一次モードについて,軸力のみが 作用するときの座屈荷重と部材長との関係を求めると 図一6が得られ,①∼④の座屈荷重曲線が求められる。 曲線①は断面変形を無視したはりに対するx軸方向 の座屈荷重であり,曲線②∼④は断面変形を考慮した はりに対するねじり座屈荷重を表し,それぞれ次のよ うな座屈モードに対応する。曲線②では断面全体およ びフランジが同じ方向にねじれ,フランジのねじれ量 は断面全体の約1.5倍を示す。曲線③では断面全体は ねじれずにフランジのみがねじれ,その値はL/bの増 大と共に減少する。曲線④では断面全体およびフラン ジがねじれるが,フランジは断面全体とは反対の方向 にねじれる。縦軸は降伏軸力Pγに対する軸力Pの比 (P−IP。)。.を対数で示してある。曲げのみが作用する場 合と同様に,軸力のみが作用する場合にもL/bの小さ い範囲で断面変形を考慮したことによる座屈荷重の顕 著な低下が生じ,L/bがある値よりも小さい範囲では 軸力によるフランジのねじり座屈を考慮する必要があ ることがわかる。  図一7は,図一4,6の計算に用いた断面でL/b−25の はりについて,作用軸力と座屈曲げモーメントの関係 を示したものである。縦軸は作用軸力Pと断面変形を 無視したはりの座屈荷重島の比P−^P.,横軸は断面変 形を無視したはりの座屈モーメントM。r。に対する座 屈曲げモーメントthの比(th/M。r。)crで示した。作用 軸力が小さい範囲(戸悟く0.7)では,作用軸力と座屈 (P/Py)cr 50 20 10 5、0 2.0 1.o 1).5 0.2  0.30.5 1.e 2.0  5.O  IO  20   50 L/b 図一6 1形柱の座屈 i/P. 1.0 0.8 0.6 0.4 o.2 0 0      0.2     0.4     0.6     ⑰.8     1.0        (M/Mc,e)c『   図一7軸力と座屈モーメントの関係 曲げモーメントは線形関係にあることがわかる。  つぎに,断面寸法をパラメータとしてさまざまな1 形断面について曲げのみが作用するときの横座屈荷重 を求め,断面変形を考慮したことによって低下した座 屈荷重と断面寸法の関係を求めた。  図一8は,フランジの幅厚比b/d−40,50,60,フラ ンジとウェブの板厚比d/t=1,2,3,4の1形断面につ いてけた高とフランジ幅の比h/bと最小座屈荷重との 関係を示したものである。それぞれの断面の最小座屈 荷重はh/bの増大に伴ってそれぞれ一定値に漸近し, d/tが大きくなるに伴いより小さい値を示している。 降伏曲げモーメントMγを最大耐荷力とした場合,断 面変形を考慮すべきか否かの境目となるb/dの値は, (MIMY)cr,■ie 1.0 0.5 0 0 ∼ここ・=:ご=:.===一・・3 b/d=       }5・ べ三=三==、=,、=_・}60 1 2 3 4 h/b 図一8最小座屈荷重と断面形状の関係(その1)

(5)

(■/My)c,.ei・ 1.5 1.o 0.5 0   30  40  50  60   《の残留応力無視 〈鴇/■Y)c.,・‘。 1.5 1.o O.5 (ル僧Y)c.,一. 1.5 1.0 0.5    0      0 b/d       30  40  50   60  b/d        (b)圧 廷 図一9最小座屈荷重と断面形状の関係(その2) 30 40 50  (c)溶 接 b/d h/bおよびd/tの値によっていくらかの幅を持つが, 約40前後であると考えられる。  図一9は,h/b=1,2の断面について最小座屈荷重と b/dの関係を示したものである。図一9(1)は残留応力を 無視した場合,図一9(2)は圧延形残留応力を,図一9(3)は 溶接形残留応力を適用した場合である。d/tの値によ ってb/dの値は約10の幅を持つが,残留応力なしで b/d>40,圧延1型鋼でb/d>38,溶接1形プレート ガーターでろ/d>35の断面において断面変形を考慮 した解析が必要となることがわかる。 3.2 弾塑性座屈  軸力Pが作用するときの弾塑性横座屈モーメント と部材長との関係を求めると図一10のようになる。図一 10(a)は圧延形残留応力を適用した場合,図一10(b)は溶 接形残留応力を適用した場合である。図には1次モー (M/目Y)。. 1. 0.5 (a)圧延1型鋼 L/b ドについてのみ示した。部材長とフランジ幅の比L/b が2以下になると断面変形の影響が現れ,座屈荷重の 大きな低下が見られる。また,弾性座屈の結果と同様 に,軸力Pが作用したときの曲線は,P=0の曲線を 下方の移動させたものとほぼ一致することがわかる。 4. ま と め  曲げと軸力が同時に作用する単純支持1形断面ばり について断面変形を考慮した解析を行い,ウェブの変 形が座屈強度に与える影響について検討した結果,次 のような諸点が明らかになった。  (1)曲げ座屈において断面変形を考慮しないものと の差が顕著なはりでは,軸圧縮による座屈においでも 断面変形を考慮しないものとに顕著な差を生じる。し たがって,L/bがある値よりも小さいはりにおいては  (M/MY)。. 1. 0.5

Ue

’”一一’ f面変形を無視 一断面変形を考慮 (b)溶接1形プレートガーダー L/b 図一10 弾塑性座屈モーメントに与える軸力の影響

(6)

軸力によるフランジのねじれ座屈についても考慮する 必要がある。  (2)弾性横座屈解析および弾塑性横座屈解析より得 られる座屈曲げモーメントー部材長曲線において,軸 力が作用したときの曲線はL/bがある値より大きく なると断面変形の影響はほとんど生じず,断面変形を 無視した場合の曲線とほぼ一致する。また,L/bがある 値よりも小さい範囲では曲げのみが作用するときの曲 線を下方に移動させたものとほぼ一致する。これによ り,曲げねじれ座屈強度に与えるウェブの変形の影響 は,曲げのみが作用する場合とほぼ同様であることが わかった。また,座屈モードも軸力が作用してもほと んど変化しない。  (3)弾性横座屈において,最小座屈荷重と断面寸法 の関係を調べた。これにより,フランジとウェブの板 厚比が3以上の断面では,最小座屈荷重に与えるけた 高の影響は小さくなることがわかった。また,フラン ジの幅厚比が約40以下の断面では,断面変形を考慮し なくてもよいことがわかった。  なお,弾塑性域においては,部材長の変化に伴う座 屈荷重の計算を行うにとどめたので,最小座屈荷重と 断面形状の関係については,今後さらに検討する予定 である。  本研究の一部は,文部省科学研究費補助金昭和60年 度奨励研究(A)の補助を受けた。

参考文献

1)Hancock, GJ., Bradford, MA. and Trahair, N.S.:Web  Distortion and Flexural−Torsional Buckling, Journal of  the Structural Division, ASCE, Vol.106, No. ST7, pp.1557  ∼1571,(July,1980) 2)吉田 博:H型鋼柱の局部座屈と曲げ座屈の連性座屈強度,  土木学会論文報告集,第243号,pp.19∼32(1968年) 3)Hancock, GJ.:Interaction Buckling in I−Section Col.  umns, Journal of the Structural Division. ASCE, Vol.107,  No. ST1, pp.165∼179,(January 1981) 4)薄木征三,長谷部薫:二次の変位場理論に基づく薄肉断面ば  りの局部および全体座屈解析,土木学会論文報告集,第344  号/1−1,pp.357∼366,(1984年4月) 5)彦坂煕,高海克彦,丸山義一:薄肉開断面部材の断面変形を  考慮した有限変位理論と弾性安定問題への応用,構造工学論  文集,Vol.32A, pp. 265∼275,(1986年3月) 6)Glambos, T.V.:Structural Members and Frames,  PRENTICE−HALL,(1968) 7)杉原美好,深沢泰晴:ウェブの変形を伴う1形断面材の弾性  曲げねじれ座屈,山梨大学工学部研究報告,第35号,pp.75  ∼84,(1984年12月) 8)深沢泰晴,杉原美好:1形ばりの弾性座屈に及ぼすウェブの  変形の影響,構造工学論文集,Vol.31A, pp.15∼23,(1985  年3月) 9)杉原美好,深沢泰晴:ウェブの変形を伴う1形断面材の非弾  性曲げねじれ座屈,山梨大学工学部研究報告,第36号,pp.  19∼25,(1985年12月)

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