副腎性アンドロゲン投与の高プロラクチン血症雌ラ ット乳腺腫瘍に及ぼす影響
著者 川北 寛志
著者別名 Kawakita, Hiroshi
雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査
結果の要旨/金沢大学大学院医学研究科
巻 平成6年7月
ページ 120
発行年 1994‑07‑01
URL http://hdl.handle.net/2297/15221
--属…
医乙甲第1293号 平成6年3月16日 川北寛志
副腎性アンドロゲン投与の高プロラクチン血症雌ラット乳腺腫瘍に及ぼす影 響
学位授与番号 学位授与年月日 氏名 学位論文題目
悦功亮 郎夫祐督
主査 副査
授授授師
教教教講 田西田田西中竹寺
論文審査委員
内容の要旨および審査の結果の要旨
副腎性アンドロゲンと乳腺上皮性悪性腫瘍との関連性については種々論ぜられているが,本研究では,
高プロラクチン血症状態における7,12-ジメチルベンズ‐α-アントラセン(7,12-dimethylbenz(α)
anthracene,DMBA)誘発乳腺腫瘍の発生と発育およびその組織型に及ぼすデヒドロエピアンドロステロ
ン
(dehydroepiandroSterone,DHA)の影響を組織学的および内分泌学的lこ検討した。
ウィスター系雌ラットにピモジド溶液を55日齢以降経口摂取させ,高プロラクチン血症状態とした。こ のラットの乳腺組織内に2mgのDMBAを65日齢に局所投与した。DMBA投与翌日より,デヒドロエピア ンドロステロン・アセテート(DHAacetatePHA-Ac)5mgを週3回皮下投与したDHA-Ac投与群と非 投与対照群とについて,最長240日間にわたって検討し,次の結果を得た。
1)乳腺組織内にDMBAを局所注射することによって,高プロラクチン血症ウィスター系雌ラットにお いても乳腺悪性腫瘍を発生せしめ得ることが示された。
2)この場合の腫瘍の発育様式は,腫瘍が一定の大きさに達した後は,かなり長期の発育停滞期を示し,
それを経た後,急速な発育増大を示した。
3)DHA-Ac投与群では,DMBA注射より,腫瘍が一定の大きさに達するまでの期間が,明らかに延長 した。
4)DHA-Ac投与群では上皮悪性腫瘍発生ラットの占める割合が有意に少なかった。また,腫瘍の組織 学的構造の比較では,DHA-Ac投与群において上皮性悪性腫瘍の比率は有意に小さかった。
5)DHA皇AC投与群では,対照群に比し,血中エストラジオール(estradiol-17β,E2)濃度,テストステ ロン(testosterone,T)濃度に有意の上昇がみられ,血中T/E2比は,DHA-Ac投与群で高い傾向を示 した。
以上,本論文は高プロラクチン血症ラット乳腺上皮性悪性腫瘍の発生にDHAが抑制的に作用すること を提示したものであり,副腎性アンドロゲン乳腺上皮性悪性腫瘍に対する抑制的作用およびホルモン依存 性腫瘍の動態の解明に有用な示唆を与える労作とみなされた。
-120-
nIM緬込