葉菜栽培における塩水利用に関する研究
一特にホウレンソウに対する
Na
の効果についてー
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9
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目 次
緒
言
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・
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・
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・
・
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・
・
・
・
第
1
官
:
1
業菜類への希釈海水の滋水効果
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・
4
郷1
節
アブラナ科襲業類・
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材料および方法...
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4 結 果.
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5 摘要
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7 第2
節アカザ科薬菜類ー・ー
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8
材斜および方法
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8 1ホウレンソウ
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10必 苛 A U 喜 一 必 官 民 U 唱 i 唱 i 唱 i 句 1 ウ ソ ウ キ
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ウ ダ カ 接 ホ フ オ 1 4 q L q o 考 摘 要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・a・・・・・・・・・・・15第
2
章
ホウレンソウにおける塩水潜水の影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
第1節 漏瓶水の塩謹度と葉内カチオン含量との間保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 材料および方法・・・...‘・・・・・・・・・・・・・-・・・・..・・・・・・・・...'17 結 果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 考 察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・...・・・・・・・・・・・・・・・・20 摘 要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 第2師 生長解析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・... ... .... ...25 材料および方法・...・・・・・・・...'25 結 果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・..・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・e・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 1. 地上部・地下部重, 誌面積.7l<ポテンシャルおよび気孔数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 2. 相対生長率 (RGR),..."...,.,...・・・・・・・・・28 考 察..."',,,,...・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 1. 地上部・地下部重,接聞硝p 水ポテンシャjレおよび気孔数...,...",..,...,'28 112 相対生長串<RGR)
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30 第3節シュウ酸溶液の葉商散布・
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34 第4節塩水町漏水が光合成速度および呼吸適度におよぽす影響.
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41 iiiq t 副 内 , u n o q d n u d 官 バ 峰 A A 且 Z J 吐 A 官 響 一 1 ・ 酎 ⋮ よ 一 一 -お 一 量 一 合 一 、 / オ チ 一 カ ・ 肉 一 一 峨 ⋮ ⋮ よ 一 一 一 お い 量 一 一 一 一 育 一 生 一 が 遭 一 の 額 一 塩 一 の 一 中 法 水 方 慨 ぴ 権 よ 果 按 要 お 倒 附 訟 炉
6
材 結 者 摘 第 第7師 K供給量の遣いとNaCl溶液漏水の効果.. . . ... . ... . . " . . . ... . . . ... " ...." . ... " .. "..・・・・・・・・ 49 材料および方法・・・..."...・・・・・・・50 1.肥料中のK応1a比率と生育量との関保". " . ... .. .. .. ..." ... ... .. ... ... .. ... ...~ ... .. ....・..・・・50 2. K施肥の多少と生育量および光合成速度との関係...'51 結 果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51 1. 肥料中のK/Naと生育監との関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・512
.
K
施肥の多少と生育量および光合成速度との関係...'
5
3
考 察・・・・・・・・・・・・・・・・・..."..."..."..."...・・・・a・・・・・6
1
1.肥料中のKlNaと生育量との関保...'
6
1
2. K施JJ目の多少と生育量および光合成速度との関係"...・.62 摘 要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・...'
6
6
第
3
章
塩水の潜水量の多少がホウレンソウの生育におよぽす髭響・・・・・・・・・・・68
材料および方法・・・..."..."..."...・・・・・・・68 JV結 集
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材料および方法 ...
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一
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e・
89 v言 緒
陸上植物 を対象 として行われる農業では,土壌中の塩類(特に
Na輸
濃度が高 いことは一般 にマイナス要因としてみ られる。そのため
,作
物の生育 におよばす塩類の影響が研究されてお り,野菜類 に限っても,果菜類では トマ ト伏 沢,1960,大沢,1961c;下瀬,1964),メ ロン(Shannon・
Francois,1978;Nukayaら
,1980a;Nukttaら ,1980b;Mciriら ,1981),キ
ュウリ(大沢 ,1960;下
瀬,1968),
トウガ ラシ伏 沢,1960),ピ
ーマン(Bcrnstein・ Francoins,1973),ペポカボチ ャmaasら
,1972),イ
チゴ 伏 沢,1960)な どについての研究がなされている。葉菜類ではホウレンソウ伏 沢
,1961a;下
瀬,1968,Coughlan e WynJones,1980),セル リー(大沢,1961a,大
沢,1961c;下
瀬,1968),キ
ャベッ(大沢,1961a;大
沢,1961c),ハ
クサイ 伏 沢,1961a;大
沢,1961c),タ
イナ(大沢,1961a),レ
タス(大沢,1961a),ミ
ツバ(大沢,1961a)な どについて研究 され
,根
菜類で もダイ コン(大沢,1961b;大
沢,1961c;Hoffman・ Rawlins,1971),カ ブ伏 沢
,1961b),ニ
ンジン(大沢,1961b)な どがある。しか し,こ
れ らの研究の多 く は塩類 をマイナス要因としてとらえた耐塩性 という観点 か ら行われている。一方
,河
口や海浜の湿地帯や塩性沼沢地 には種々の好塩性植物が自生 している。 これ らの植物では
,塩
類(特にNa)に対す る生育反応が研究 され 彼 藤 ら,1979,Soufi・
WaHace,1982),Naに
対 す る生 育 反 応 が植 物 の光 合 成 型 と関係 が あ る こ とが指 摘 され た 。Browne H・ Crossland(1972)は,ハ
マアカザ属の植物にはNaの
要求型 と非要求型があ り,Na要
求型は C4ヵasraraはc3型であるが
,NaCIの
施用で生育が促進され(Dun■・Neales,1993),さ らに塩 生植 物 に分類 されるアッケシソウ,ホ
ソバ ノハマアカザ,ツ
ルナな どもC3型である。また,ア
カザ 科 の作物であるサ トウダイコンはC8型であるがNaに
反応す ることか ら,北
ヨー ロッパ地方で イよ NaN03を 主成分 とするチ リ硝石が昔か ら施用 されている。しか し,多
くの作物については , Naの施用 効果 は明 らかにされていない。 また,塩
類 を含んだ潅漑水 を継続 して潅水すると,土
壌中に塩類が集積する。塩類土壌 に含 まれ る主要カチオンはNa,Caお
よびMgで
あ り,大
部分が塩化物あるいは硫酸塩,硝
酸塩 とし て存在する。塩類土壌はタイプによ り塩類組成は異なるが,そ
の中で土壊の浸透圧 を高め,作
物の吸水を妨げるのは NaCIな どの中性のNa塩である。また
,Na塩
は土壌の粘土粒子に吸着されると
,土
壌の物理性を作物にとって好ましくない状態にする傾向がある。また,Naを
多 く含 む土壌は雨水や潅漑水によってNaが
洗い流された後に水素イオンが入 り酸性化する(高橋, 1987),こ れ らの上壌に対するNと塩の作用が乾燥地域において農地を荒廃する一因である.こ
のため,潅
漑水 に含まれる塩類の量は少ない方が良いとされている。 塩類集積を回避する方法として,乾
燥地では古 くか ら,畦
間潅漑,水
盤潅漑,ボ
ーダー潅漑 その他の一単位面積あた りの潅水量を多量に必要とする潅漑方法がとられてきた。これ らの潅 漑法は多量の潅漑水を用いて潅漑強度を大きくすることにより,集
積塩類の洗脱効果が期待で き,そ
の効果は塩類土壌を用いたカラム実験で,潅
漑間隔を広げて潅水量を大きくすることに よつて洗脱量が増大することにより確認されている(Dahabら,1988),逆
に,塩
類集積を防止 するために,潅
水量をできるだけ少なくすることにより,土
壊中に入る塩類の絶対量を減 らせ る点滴潅漑なども行われている.ま
た,飼
料作物などを栽培することにより,土
壊中の塩類を取 り除 くことも行われている(Iwasaki,1987). 乾燥地で利用できる潅漑水は
,多
くの場合塩類を含み(遠山,1980;山
内,1991),作
物の生 育 を制限 した り,農
地の荒廃 を引き起 こす。このため,潅
漑土壌の 1/3は塩類土壌化 している と推定 され,作
物の生育が阻害されているという。また,世
界の塩類土壌は 95,500万 haに達 すると推定 されている (Sttabolcs,1986).こ の面積は地球上の農業利用可能陸地面積の約 10% に相当し,土
壌 と光 が豊富 にありなが ら,作
物の栽培ができない土地がかな りの面積 をしめる. また,乾
燥地域では,良
質 の潅漑水が得 られないことな どによ り,野
菜栽培 に数多 くの制限が ある.特
に,新
鮮な葉菜類 は輸送が困難な ことや貯蔵性が悪いことな どか ら,貴
重であ り,現
地での生産が望 まれている。そ こで,潅
漑水中の塩類 を有効 に利用 した葉菜類の栽培 を目的に, 以下 の研究 を行 った, 第 1章では,ア
ブラナ科 とアカザ科の葉菜類を対象 にして,希
釈海水の潅水が生育 におよば す影響 を調べた。第2章では希釈海水の潅水 によって生育が促進されたアカザ科葉菜類のうち, 世界中で食用 に供 されるホウレンソウについて,生
育促進機構の解明を試みた。第3章
では塩 水潅水時の土壊水分の影響 を調べた。次に,希
釈海水 を潅水 して作物 を栽培する場合の問題点 として,第
4章
では発芽および出芽時の耐塩性について調査 した。また,第
5章
では土壌の塩 類集積および除塩 について検討 を行った.いた。潅水量は
,生
育状況,気
象状況か ら判断 して4葉菜類 を同一条件 とした. 4月 25日に播種 し,収
穫 日に相当す るそれぞれ,コ
マツナは播種 27日 後,パ
クチ ョイは32 日後,ベ
ンリナ とチンゲ ンサイは34日後 に調査 した. 調査 は,各
区画 ごとに中庸10株
を選出 し,地
上部生体重 を測定 した。乾物重 については 地上部生体重 を測定 した個体を直ちに乾燥機 に入れ,80℃で3日 間乾燥 した後測定 した, 結果 潅水 に用いた希釈海水の塩類濃度 とアブラナ科葉菜類の地上部生体重 との関係を調査 した結 果 は第1表の とお りである。コマツナ
,ベ
ンリナ,チ
ンゲ ンサイおよびパクチ ョイ とも Oppm区 が最 も生育が良好で,塩
類濃度が高 くなるにつれて小 さくなった。 しか し,生
育期間中,黄
化 や萎れな どの症状が現れることはなかった,Oppm区
に対する生体重の比率は,1000ppm区
では それぞれ,コ
マツナが74%,ベ
ンリナ 74%,チンゲ ンサイ 88%,パクチ ョイ 68%とな り,TDS
1000ppmの 塩類濃度でも明 らかに生育が抑制された。2000ppm区 ではさらに抑制の程度が強 くな り,地
上部生体重は,Oppm区
に対 してコマツナ 40%,ベンリナ 54%,チンゲ ンサイ 58%,パク チ ョイでは36%であった。地上部乾物重 も第2表の とお りで,Oppm区
が最 も大 きく,潅
漑水中 の塩類濃度が高 くなるにしたがって小さくなった。1000ppm区 および 2000ppm区 ともに,チ
ン ゲ ンサイの生育阻害害1合が最 も小さく,一
方パクチ ョイの生育阻害害J合が最 も大きかった。 考察 供試 した葉菜類では
,耐
塩ケ1生の強弱に大きな違 いはないが,チ
ンゲ ンサイの耐塩性がやや強第 1表 潅水に用いた希釈海水の塩類濃度とアプラナ科葉菜の地上部生体重 との関係 塩類濃度(ppm) 0 1000 2000 コマツナ
33±
5,1 25±
0.9 13±
2.8(g/株
) ベシリナ83±
5,5 62±
4.1 45±
7.5 チンゲシサイ95±
4.6 84± 7.4 55±
3.9 パクチョイ58±
3.6 40± 3.7 21±
1.9 注)1990年4月 25日 悟種. 」B査:コマツナ;27日,ベ ンリナi34日「チンゲンサイ:34日・パクチョイi32日 各値は10個体の平均値!土以下は標準誤鍵を示す. 第2表 潅水に用いた希釈海水の塩類濃度とアプラナ科葉菜 の地上部乾物重 との関係 塩 類 凝 0 1000 2000 コマツナ2.9±
0.36 2,4± 0.14 1.4±
0.24(g/株) ベンリナ7.3±
0,34 5,4± 0.21 4,3±
0.63 チンゲンサイ6.5±
0.28 6.0± 0,31 4.5±
0。16 パクチョイ4.5±
0,13 3.3± 0.24 2.0±
0,18 注)1990年4月 25日 播種 調査:ョマツナ;27日,ベ ンリナi34日,チンゲンサイi34日,パ クチョイ,32日 各値は10個体の平均値,土以下は標準誤差を示すいと考え られる。一部のアブラナ科葉菜のカンラン
,ハ
クサイな どでは,100oppШ NaCI塩 水の 潅水で生育が促進 されたという報告 もあるが(大沢,と961a),本 実験で供試 したアブラナ科葉菜 類 はすべて希釈海水の潅水 によ り生育が抑制された。 高濃度塩による作物の生育障害の要因について但野(1983)は次のように分類 している。C培
地の浸透圧の上昇による水吸収阻害,②
体内の塩含有率が高 くなることに起因する生育阻害, ③高濃度の塩を構成する元素による特異的生育阻害,C培
地の高濃度塩が他の必須元素の吸収 を抑制することによる間接的な生育阻害である。アブラナ属6種で耐塩性を比較 した報告CIe。Cramer,1992)で は
,地
上部のCa含量が高いとき而+塩性が高くなるが,①,②
または④が Ca含量を低下 し
,こ
のことが生育を阻害 していると考えられる。 供試 した葉菜類のいずれも,塩
類濃度が増すにつれて地上部重が減少 した。水質判断のため のガイ ドライン(Ayers・ Westcot,1976)に よれば,1000ppmお
よび 2000ppmと いう塩類濃度の 潅漑水は,若
干または中程度に使用制限がある水質となってお り,塩
濃度障害を避けるために 作物の選択,あ
るいは特別な管理が必要である。すなわち,1000ppm以
上の塩類濃度は, ここ で供試 した葉菜類の生育を抑制する濃度であった, 摘要 アブラナ科の
4種
の葉菜類(コマツナ,ベ
ンリナ,チ
ンゲ ンサイおよびパ クチ ョィ)に希釈海 水 を潅水 して,そ
の地上部重 におよぽす影響 を調べた。その結果,TDS 1000ppm程
度 の塩類 を 含む希釈海水の潅水 によ り4葉
菜類 とも生体重および乾物重が減少 し,希
釈海水 の潅水が生育 を明 らかに抑制 した。潅漑水 には淡水 (TDS Oppm),35倍 (TDS 1000ppm)および 17.5倍 希釈海水(TDS 2000ppm)の塩 水 を用 いた
.施
肥 は元肥 として,活
性バー ク(2000kg/10a),苦 土石灰 (120kg/10a),ミ ネラル G(40kg/10a)お ょび化成肥料(NIP205:K20=28:26:27.2kg/10a)を 施 した。 調査 は,各
区画 ごとに中庸10株
を選出 し,地
上部生体重を測定 した。乾物重は地上部生 体重 を測定 した個体 を直ちに乾燥機 に入れ,80℃で 3日 間乾燥 した後測定 した。2.フ
ダ ンソウ 4品種 のフダンソウ(」θどβ7J′♂rFs L.`白茎西洋大葉ふだん菜', `平茎西洋大葉ふだん菜), `白茎ふだん菜'お
よび `うまい菜')を供試 した。鳥取大学乾燥地研究セ ンター実験圃場のビ ニルハ ウス内に設 けた試験区に,1993年
5月 13日 に播種 し,36日
間栽培 した。潅漑水 には淡 水(TDS Oppm),35倍 (TDS 1000ppm)お よび 17.5倍希釈海水(TDS 2000ppm)の塩水 を用 いた。施肥 は元肥 として
,活
性バー ク(2000kg/10a),苦 土石灰 (120kg/10a),ミ ネラル G(40kg/10a)お よ び化成肥料(NIP205:K20=28:26:27.2kg/10a)を施用 した,調査は
,各
区画 ごとに中庸 5株を選出し,地
上部生体重 を測定 した.乾
物重は地上苦卜生体重を測定 した個体 を直ちに乾燥機 に入れ,80℃で3日間乾燥 した後測定 した。
3.オ
カ ヒジキオカ ヒジキ(sardο′aた側arθyゴ IIjin)は
,鳥
取大学乾燥地研究センター実験圃場のビニルハウス内に設けた試験区に 1993年 5月 13日 に播種 し
,40日
間栽培 した,潅
漑水には淡水(TDSOppm),35倍
(TDS 1000ppm)および 17.5倍 希釈海水(TDS 2000ppm)の塩水 を用 いた.施
1巳は剤]巴として
,活
性バー ク(2000kg/10a),苦 土石灰 (120kg/10a),ミ ネラル G(40kg/10a)お ょび化成肥 料(N IP205:K20=28:26:27.2kg/10a)を 施用 した.調査 は
,各
区画 ごとに中庸5株を選出 し,地
上部生体重を測定 した.乾
物重 は地上部生体重 を測定 した個体 を直ちに乾燥機 に入れ,80℃
で3日間乾燥 した後測定 した。 結果
1.ホ
ウ レンソウ 潅水 に用いた希釈海水の塩類濃度 とホウレンソウの地上部生体重 との関係 について第3表に 示す。生体重 は3品
種 とも希釈海水潅水区で Oppm区よ り大きくなった。 `馬城'の
生体重は OppⅢ区に対 し,1000ppm区 で 124%,2000ppm区 でH4%で
あった.`ミ ンスター ラン ド'では1000ppm 区,2000ppm区 ともに同じくH7%に増加 し, `次
郎丸'で
は 1000ppm区 で140%,2000ppm区で 125%となった。1000ppm区 と 2000ppm区 を比較すると, `ミ ンスターラン ド'で
は同程度, `高 城'お
よび `次郎丸'で
はそれぞれ 1000ppm区 の方が生育がまさった。 地上部乾物重の結果は第4表
に示す。3品
種 とも乾物重は 1000ppm区 で最 も重 く,1000ppm 希釈海水 の潅水で生育が促進 された。2.フ
ダ ンソウ 潅水 に用 いた希釈海水の塩類濃度 とフダンソウの地上部生体重 との関係 を第5表
に示す。4 品種 とも 1000ppm区 で,Oppm区
よ りも大 きくなる傾向が認め られた。 `う まい菜'で
はさ らに 2000ppm区 で も Oppm区 よ りも生育量がまさった. 地上部乾物重は第6表に示すように,希
釈海水の潅水 による増加 は認め られなか った。3.オ
カ ヒジキ 潅水 に用 いた希釈海水の塩類濃度 とオカヒジキの地上部重 との関係 を第7表に示す。オカ ヒ 10第
3表
潅水に用いた希釈海水の塩類濃度とホウレンソウの地上部生体重 との関係 品種塩 類 濃 度(bpm) 0 1000 2000 注)1993年4月 19日 播種と調査は播種40日後に行つた. 各値は10個体の平均位:土 以下は標準誤差を示す。 第
4表
潅水に用いた希釈海水の塩類濃度とホウレンソウの地上部乾物重 との関係 品種塩類濃度(ppm) 0 1000 2000 注)1993年4月 19日 播種i調査は播種40日後に行つた. 各値は10個体の平均也 士以下は標準誤差を示す。
塩類濃度
Cppm) _____
―― 0 1000 2000第
7表
潅水に用いた希釈海水の塩類濃度とオカヒジキの地上部重 との関係 生体重34
±3,0 36
±1,9 39
±2,1(g/株
) 乾物重2.6±
0,24 2.6± 0,16 2.8±
0.15 注)1993年5月13日 播種.調 査は播種40日後に行つた 各値は5個 体の平均値,士以下は標準誤差を示す 13ジキは 2000ppm区 で最も生育が促進され, れぞれ増加 した。 生体重では対 Oppm区 比
H5%,乾
物重では 108%とそ1.ホ
ウ レンソウ 本実験で使用 した希釈海水の電気伝導率(EC)値は淡水 の0.lmS/cmに対 し,1000ppmで 1.5mS/ cm,2000ppmで 2,6 mS/cmで あった。 この値 をAyers・ Wesicol(1976)が作成 したガイ ドライ ン にあてはめると,1000ppm希釈海水のEC値はホウレンソウに減収をもた らさない値(1.3mS/cm) よ りも大 きく,2000ppm希
釈海水 のEC値は 10%の減収 をまね く値(2.2 mS/cmJよ りも大 きい。 しか し,本
実験ではホウレンソウの生育は阻害されずに促進されてお り,希
釈海水 の潅水効果 が認め られた。ホウレンソウの収量半減 NaCI濃度は 8000ppmで,葉
菜類 の中では比較的耐塩 性が強 く(大沢,1961c),生育段階による差は小さい(大沢,1966).し か し,希
釈海水 にはNaClの他 にMg塩
,K塩
,Ca塩を含み,これ らの塩 によ りNaの 吸収が抑制されるため(Matohら ,1986),同 じ浸透圧 の NaCl単 塩 の塩水 よ りも
,植
物の生長 に対 して害が少ないためと考え られる。また, 供試 したホウレンソウ品種は, `萬城'が
東洋種, `ミ ンスターラン ド'が
西洋種, `次
郎丸' が東洋種 ×西洋種で,来
歴 に関係な く,希
釈海水の潅水で生育量が増す ことが示唆 された。2.フ
ダンソウ フダンソウは Naよ りもCIの 害作用を受け(大沢,1963),生
育初期の耐塩1生が後期の耐塩1生 よりも弱いといわれている(大沢,1966)が,本
実験で用いた塩濃度の範囲では,萎
凋などの生 育障害 も現れず,)慣調に生育 した。地上部乾物重に希釈海水の潅水による増加が認め られない 考 14ことよ り
,地
上部生体重の増加は含水率の増加 によるものであった。 フダンソウと同種のサ トウダイコンでは,培
養液 に50耐 NaClを 添加することで地上部乾物 重が大 きくな りmarschnerら,1981),フ
ダンソウで もK供
給量が不足す る場合 には,Naを
加 える ことで生育が促進 される(高橋 ら,1997),し
か し,十
分なKを
施用 した本実験では,TDS
1000ppm希釈海水 の潅水は,含
水率 を増 して生体重 を大 きくする作用はあるが,乾
物生産 には 影響がなかった.3.オ
カ ヒジキ オカ ヒジキは海浜植物で,Na吸
収型植物 と考 え られている.植
物体 のNa含
量が高 く,茎
葉 100g中 イこ60肥
含 まれている(香川,1986)と いわれ,こ
のため古 くは これを焼 いて炭酸 ソーダ 製造の原料 としていた 織 田,1988)。 この ことな らびに,TDS 2000ppm希釈海水 の潅水で生育 が促進 した本実験結果 とあわせて考えると,オカヒジキはNaの供給が生育 を促進する好塩生植 物であると考え られる。 摘要 アカザ科葉菜類
3種
(ホウレンソウ,フ
ダンソウ,オ
カ ヒジキ)に希釈海水 を潅水 して生育に およばす影響 を調べた。その結果,ホ
ウ レンソウでは TDS 1000ppm希 釈海水 を潅水す ることに よ り地上部重が大 き くな り,希
釈海水潅水 の生育促進効果が認め られた。フダンソウでは, 1000ppm希釈海水潅水で地上部生体重が大きくなる傾向があり,う
ちl品種では 2000ppm希 釈 海水潅水で も大 きくなったが,地上部乾物重 には差が認め られなかった。オカ ヒジキは2000ppm 希釈海水潅水で地上部重が大 きくな り,希
釈海水の潅水が生育 を促進 した。 15第
2章
ホ ウ レンソウ にお ける塩水潅水 の影 響
第1章
で,TDS 1000ppm程度の希釈海水 を潅水することでアカザ科葉菜類の生育 を促進す るという結果 を得た。しか し,こ
れ らの葉菜のうち,オ
カ ヒジキは日本でわずかに栽培 される だけである織 田,1988).フ
ダンソウは耐暑性 も強 く,盛
夏の栽培 にも耐えるが,国
内では夏 場のホウレンソウの代用品 として小面積で栽培されているにすぎない(山田,1988).さ
らに, 第1章
の実験で,フ
ダ ンソウは希釈海水 を潅水することで地上部生体重 は増加 したがぅ地上部 乾物重 の増加は認め られなかった。 これ らのことを考慮 して,フ
ダンソウとオカ ヒジキについ ては以後の検討 を略 した。 一方,ホ
ウレンソウは世界中で食 され,品
種 の分化 も多 い。また,ホ
ウレンソウは元来耐暑 性が弱い葉菜であるが,今
日では耐暑性の強い品種 も作 られている。さらにホウ レンソウは原 産地がペルシャ地方で,耐
干性 は強い(農林水産省熱帯農業研究セ ンター,1989)。 これ らの理 由か ら,ホ
ウ レンソウに焦点 をあて,塩
水潅水が生育 におよばす影響 を調べた。 第1節
潅 漑 水 の塩 濃 度 と葉 内 カ チ オ ン含 量 との 関係 潅漑水中の塩類濃度 とホウレンソウの生育量 との関係を調べるために,18品
種 のホウ レンソ ウを供試 して,希
釈海水 を潅水 して栽培 した。また,吸
収カチオンと生育量 との関係 を明 らか 16にす るために
,葉
内カチオ ン含量を測定 した. 材 料 お よ び 方 法 実験 は 1989年 8月 か ら 9月 にかけて,鳥
取大学乾燥地研究セ ンター実験回場の ビニルハウ ス内に設 けた試験 区で実施 した。耐暑性の強いホウレンソウ 13品 種(第 8表)を供試 し,種子 は 播種前 に水道水で12時間流水処理後,15℃下で 24時間催芽処理 した。8月 7日 にビニルハ ウ スに寒冷紗(遮光率39%)を重ね張 りした遮光条件下 に播種 し,45日
間栽培 した。 潅漑水 には淡水 (TDS Oppm),35倍 希釈海水(TDS 1000ppめ,17.5倍
希釈海水(TDS 2000ppm) および7倍希釈海水(TDS 5000ppm)を 用いた。施肥 は元肥 として,活
性バーク (2000kg/10a),苦土石灰 (120kg/10a),ミ ネラルG(40kg/10a)お よび化成肥料(N IP205:K20=28:26:27.2kg/10a)を 施 した。 調査時 に
,各
区画 ごとに中庸10株
を選出し,地
上部生体童を測定 した。地上部生体重 を測 定 した個体 を直ちに乾燥機 に入れ,80℃で 3日 間乾燥 した後,地
上部乾物重 を測定 した,乾
物 重測定後 の乾燥葉 は湿式灰化 し,原
子吸光法でNa,K,Caお
よびMg含量 を測定 した。 結果 潅水 に用 いた希釈海水の塩類濃度 とホウレンソウの地上部生体重 との関係 を第
9表
に示す。 `オー ライ'を
除 く 12品 種は Oppm区 よ り1000ppⅢ 区で生体重が大き く, `ワ ンマ ン' `バロ ツク', `リ
ー ド', `ハ
ーキュ リー'で
は60%以上の生体重増加が認め られた.さ
らに, `ワ ンマ ン',マ
ナスル ', `リ ー ド'では,2000ppm区の生体重がOppln区よ りも大 きかった.各
17第8表 供試 したホウレンソウの品種およびその特性
1
コマンチ2
ワンマン3
おかめ4
グローリー5
トライ6
マナスル7
′ヽロック8
丸粒東海9
モンタナ10
リード11
ハーキュリー12
オーライ13
パレード 西洋X西
洋 西洋X西
洋 西洋X西
洋 西洋X西
洋 西洋X西
洋 西洋X西
洋 西洋X西
洋 西洋X東
洋 西洋X東
洋 西洋X東
洋 西洋X東
洋 西洋X東
洋 西洋X東
洋 3∼ 3月 3∼ 3月 3∼ 6月 3∼ 6月 3∼ 5月 春 秋 7下 ∼ 3月 7∼10月 7∼10月 8∼ 9月 8∼11月 8∼ 3月 10∼ 4月 タキイ種苗 タキイ種苗 タキイ種苗 タキイ種苗 タキイ種苗 タキイ種苗 サカタのタネ サカタのタネ サカタのタネ サカタのタネ トーホク タキイ種苗 サカタのタネ 強 強 強 強 強 強 強 強 強 強 強 強 強 強 強 強 強 晩 中 晩 軸 中 中 中 中 中 強 制 中 中 18第
9表
潅水に用いた希釈海水の塩類濃度とホウレンソウの地上部生体重 との関係 品 種 塩 類 温 度(ppm) 0 1000 2000 5000 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 ・ 13 12.5 9.6 11.9 19,0 16.0 11.7 10,0 13.0 13.5 7.9 10.6184
13,7 12,91164
15.7 13.4 21・8 22.2 13.1 16.7 17.4 16.3 13.0 17.2 16.8 14.9 16.53 11.1 13.3 11.2 13.6 14,0 15.1 9.0 12,8 9.1 11.2 10.5 15.6 11.7 12,17 コマンチ ワンマン おかめ グローリー トライ マナスル ′ヽロック 丸粒東海 モンタナ リード ハーキュリー オーライ パレード 平均 4.5(g/株) 7.1 4,7 9.7 6.7 8.3 5.5 3.2 6.9 3.4 9.7 4.5 6.6 6.22 注)1989年 8月 7日 播種・調査は播種45日後に行つた. 各値は10個体の平均値 各塩類濃度間の最小有意差(5%水準)=2.09 19塩類濃度の全品種の平均地上部生体重は,1000ppm区 で最も大きく,5000ppm区で最も小さかっ た, 地上部乾物重を第 10表 に示す。 `オーライ
'と
`パレー ド'を
除くH品
種で 1000ppm希釈 海水潅水による乾物重の増加が認められた.さ
らに, `ワ ンマン', `マ
ナスル', `丸
粒東 海'お
よび `リー ド'で
は 2000ppm区 の乾物重が Oppm区 よりもまさった。 潅漑水の塩類濃度と葉内カチオン含量との関係を第1図
に示す,全
カチオン(Na+Mg+K+
Ca)含量は潅漑水の塩類濃度が高くなるにともない大きくなった。しかし,Mgtt K+Ca含
量は いずれの潅漑水の塩類濃度においても200BLmo 1/100gDW前後 と変化しなかた。これに対 して,Na
含量は塩類濃度が高くなるにつれてその値 も大きくなった。13品種の平均Na含
量は,Oppm区
が5,9mmo1/10ogDW, 1000ppln区 が61,8Ⅲmo1/100gDW, 2000ppm区 が 82,lmmo1/100gDW, 5000ppm
区が145.OIHno1/100gDWで あった。 ホウレンソウの生育を促進 した 1000ppm区 について
,葉
内Na含
量と地上部乾物重 との相関 を求めると,第
2図 に示 した関係式が得 られ,葉
内Na含量が大きい品種ほど乾物重 も大きかっ た。 考察 ホウレンソウの地上部生体重および地上部乾物重は
,18品
種 中 11品 種で 1000ppm希釈海水 潅水 によ り増加 していることよ り,TDS 1000ppm程度の希釈海水はホウレンソウの生育 を促進 す ることが考え られる. 葉 内カチオ ン含量では,潅
漑水中の塩類濃度が 5000ppm以 下であれば,肥
料 成分であるMg,第10表 潅水 に用いた希釈海水の塩類濃度とホウレンソウの地上部乾物重 との関係 品 種 塩類濃度(ppm) 1000 2000 5000
1
コマンチ2
ワンマン3
おかめ4
グローリー5
トライ6
マナスル7
′`ロック8
丸粒東海9
モンタナ10
リード11
ハーキュリー12
オーライ13
パレード 平均 0.86 0,79 0.95 1,26 1.13 0.90 0,99 0.76 1.02 0.65 0.84 1.34 1.08 0.967 1.23 1.24 1.11 1.58 1.65 1.02 1,26 1.31 1.24 0.90 1.19 1.17 1,01 1.224 0177 0.93 0,90 1,05 1.00 1,07 0.68 0,93 0.70 0,85 0.80 1,04 0.81 0.887 0.36(g/株) 0.55 0.43 0,78058
0.66 0.45 0.26 0.56 0.28 0,75 0,38 0.54 0.506 i・J1989年 8月 7日 播種.孤 査は播種45日後に行つた 各値は10個体の平均値. 各塩類濃度間の最小有意差(5%水準)=0.141 21口 F 5。 4。 30 2。 1。 5。。 4。。 300 2。。 1。。 0 0。 0。 00 00 0。 。 0。 00 00 00 00 0 5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 ︵二 Q 凹 o o r \ 巧 E E ︶ ︵妻 Q 叫 o o 中 さ o E E ︶ ︵ 妻 Q 硼 o o 一 \ 巧 E E ︶ ︵妻 Q 型o o 一 \ 石 E E ︶ 咽 伸 ハ ト ホ R 硼 佃 ハ ヽ 小 く 硼 佃 ハ ト ホ R 咽 佃 ふ ヽ 小 ボ
12345678910111213
品種番号 第1図 潅漑水の塩類濃度とホウレンソウ各品種の葉内カチオン含量との関係Oppm
■ca tt K
□Mg tt Na
国 22y=0,0096x+0.6326
FO.6861・キ 0 50 100 150 Na、き置註(mmO1/100gDW) 第2図 ホウレンソウ各品種 の案 内Na含量 と地 上 部乾 物重 との関係(1000ppm区) と・はl・ 1%水準て有なであることを示す. 0 5 0 5 2 1 1 0 0 ︵ 益 ゝ ︶ 刺 尽 岬 23K,Caは
,潅
漑水中の塩類濃度が変わっても吸収量は変わ らないが,Na吸
収量は塩類濃度 とともに増加することが明 らかになった。さらに,1000pp皿 区で各品種の葉内Na含量 と地上部乾物
重 との間には正の相関が認 め られた ことよ り,TDS 1000ppm希釈海水 を潅水 した場合
,Na吸
収量が多 い品種 ほど乾物生産速度が大きいと考え られる。ホウレンソウに高濃度の NaCl処 理 を施 す と
,Naは
主 に液胞 に集積 されるが,細
胞質で も含量が増す(Speer・ Kaiser,1991).ア カザ科 には
,ア
ッケシソウ,ハ
ママツナ,ハ
マアカザなどの塩生植物や,サ
トウダイコンのようにNaに
肥効が認め られる作物があり(高橋,1987),液
胞 に隔離 されていないNaに
ホウ レンソウ の生育促進効果があると推察 される。 摘要 (1)13品 種のホウレンソウに希釈海水 を潅水 して栽培 を行 った。その結果,1000ppm区の地上部 重 は淡水 を含む他の3種の潅漑水区よ りも有意に大 きかった。逆 に5000ppⅢ 区は他 の3種の 潅漑水区よ りも有意に小さかった。 (2)葉 内の全カチオ ン
dattMg+K+Ca)含
量は潅漑水の塩類濃度が高 くなると多 くなった。しか し,潅
漑水 の塩類濃度が高 くなっても,MgttKttCa含
量には違 いが見 られずNa含量のみが 大 き くなった。 この ことよ り葉内Na含量が生育量に影響 していると考え られた, (3)TDS 1000ppm希 釈海水の潅水では,葉
内Na含
量 と地上部乾物重 との間に正 の相関関係があ った.す
なわち,希
釈海水 を潅水 した場合,Na吸
収量が多 い品種 ほど乾物生産速度 が大 き い,あるいは乾物重の大 きい品種はよ り多 くのNaを吸収 していた という傾向が認め られた。 24第
2節
生 長 解 析 第 1節 でホウレンソウに希釈海水を潅水することで生育量が増す ことが明 らかとなった。そ こで,ホ
ウレンソウのどの部位の生育量が増加するかを明 らかにす るために,希
釈海水 を潅水 し,地
上部重,地
下部重,地
上部/地
下部(T/Ю比,葉
面積,水
ポテ ンシャル,気
孔数 におよば す影響 を調べた。また,栽
培期間中の相対生長率(RGRlを求めた. 材 料 お よ び 方 法 実験は 1990年 9月から10月 にかけて,鳥
取大学乾燥地研究センターのガラス室内で行った。 未耕作地の砂丘砂を入れた砂栽培ベッドに,各
々淡水 (TDS Oppm),35倍 希釈海水(TDS 1000ppm) および 17.5倍希釈海水(TDS 2000ppm)の 3種の潅漑水区を設けた。低温翔の生育も旺盛な `ト ライ(タキイ種苗)'を
9月 22日 に播種 した.施
肥は,元
肥 として播種前に液肥 (N:260mg/株,P205:120mg/株,Kρ :345mg/株,Cao:230mg/株
,MgO:75mg/株
,B拇3il・ 5mg/株,Mno:1.5mg/
株
,Fe:12mg/抑
を潅注 し,播
種5日 と10日後にそれぞれ追肥 (N:130mg/株 ,P205:60mg/株,K20:172.5mg/株
,Cao:115mg/株
,MgO:37.5mg/株 ,B203:0・ 75mg/株 ,M■0:0.75mg/株,Fe i 6mg/株)を潅注 した,測定項 目および測定方法は次の通 りである。
・地上部生体重 :播種後 10日 ごとに地上部生体重を測定 した。
・地上部乾物重 :地 上部生体重測定後のサンプルを
,80℃ 3日
間通風乾燥 し,乾
物重を測定 した。 ・地下部生体重 :播種 50日 後 に全根域を土壌より掘 り出し
,水
洗後,水
分 を除いて重量 を測定 した。 。地下部乾物重 :地下部生体重測定後のサンプルを,80℃3日間通風乾燥 し,重
量 を測定 した。 ・T/R:播
種 50日 後 の地上部乾物重 を地下部乾物重で除 して算出した。 ・葉面積 :播種 50日 後の地上部生体重 を測定後,自
動面積計で測定 した。 ・水ポテンシャル:播種 50日 後 の中庸株の中位葉3葉について,プ
レッシャーチャンバー法で 測定 した。 ・気孔数:播種 50日 後 の中庸株の中位葉3菜について測定 した。葉の裏面に透明のマニキュア を塗 り,乾
燥後マニキュアだけを剥 して検鏡 (150倍),写
真撮影 した,後
日,写
真上で気孔 数 を数 え,l cm2ぁた りの気孔数を算出 した。 ・RGR:10日
毎 に測定 した地上部乾物重か ら算出 した。 結果
1.地
上部・地下部重,葉
面積,水
ボテ ンシャルおよび気孔数 潅漑水 中の希釈海水の塩類濃度がホウレンソウ `トライ'に およばす影響 を第H表
に示す。 地下部生体重以外の測定項 目について,潅
漑水の塩類濃度間に有意差が認 め られた。地上部生 体重 は,地
上部乾物重,葉
面積 とともに 1000ppm区 が最 も大きかった。 これに対 し,地
下部生 体重 には濃度間の有意差が認め られず,地
下部乾物重は塩類濃度 とともに低下 し,2000ppm区
ではOppm区 よ り有意 に低 くなった。T/Rは
,地
上部重が最 も重かったlo00pp皿 区が最大で,第 11表 潅水に用いた希釈海水の塩類濃度がホウレンソウ`トライ'に およばす影響 項 目 塩 類 濃 度(ppm) 0 1000 2000 地上部生体重 地下部生体重 地上部乾物重 地下部乾物重
T/R
葉面積 水ホaテンシャル 気孔数 (g/株) (g/株) (g/株) (g/株) (cm2/株) (Mpa) (個/cm2) 6.8 b 9.2 0.62b O.70a O.87° 182.6 b -0.87° 16637 a 11.6日 8.5 0,86a O.62 ab l.41a 266.6 a -1,20b 9673 b 7.4 b 7.6 0.51b O.47b l.13b 146.9 b -1.73a 10089 b 注)1990年 9月 22日 悟種.調 査は播種50日後に行つた アルフアベットはダンカンの多重検定による50/6水準ての有意差を示す. 27地下部重が有意 に低下 した 2000ppm区 が次ぎ
,Oppm区
が最 も小さかった,葉
の水ポテ ンシャル の値は,塩
濃度の増加 にともなって値は小さくなった。また,気
孔数は,Oppm区
が最 も多 く, 1000ppm区 および 2000ppm区 で減少 した。2,相
対生長率 (RGD 生育期間中のRGRの変化 を示す と第 3図の とお りであった。播種後 10∼30日 間は潅漑水の 塩濃度間に差はなかった。 しか し,30∼
40日 間では 1000ppm区が大 きく,Oppm区
と2000pph 区は小 さくなっていた.40∼
50日間で も 1000ppm区 が大きな値を示 した. 考察
1.地
上部・地下部重,葉
面積,水
ポテ ンシャルおよび気孔数 地上部重および葉面積 について検討すると,1000ppm希
釈海水潅水はホウレンソウの生育を 促進 し,地
上部生体重 を増加 させ,葉
面積 も大 き くした。2000ppm区 での地上部乾物重および 葉面積の減少 は,高
塩培地 に適応するために生育を抑制 し,葉
面積 を減少 させて葉か らの蒸散 を少な くしたため と考え られる(但野,1983). 地下部重は,潅
漑水中の塩類濃度が高 くなるにつれて小さくなった.そ
のため,地
上部が大 きい 1000ppm区 はT/R値が大 きくなった。高塩培地で生育する作物は,根
圏を拡大 し,T/R値
を減少 させて集水量を増す とともに水欠損を防 ぐ(Pasternak, 1987)と の報告があるが,本
実 験では塩類濃度が高 くなるにともなって地下部が小さくなった。 水ポテ ンシャル について塩類濃度が高 くなるにつれてその値が小さくなったのは,土
壌の高 浸透圧 に逆 らって吸水するために体内の浸透圧 を上昇させて水吸収力の低下 を防 く゛(但野,1983)こ とが原因だと考え られる. 気孔数は,Oppm区に対 して 1000ppm区 と 2000ppm区 の単位葉面積あた りの数が少な くなって いる。 これは気孔数 を減少 して葉か らの蒸散 を防 ぐ(但野,1983)た めの形態的適応であると考 え られ る。 総合的 に考察すると
,水
ポテ ンシャルや気孔数については,植
物の耐塩機構が働 いた結果 と 考 え られ る。 しか し,TDS 1000ppm希釈海水 は厳 しい塩ス トレスをもた らす塩類濃度ではない とみなされ,細
胞 の肥大 による葉面積拡大 に由来する地上部重の増加が生育促進の要因である と考 え られる。2.相
対生長率 (RGD 実験時期は9月 ∼11月で,秋冬野菜のホウレンソウにとっては全期間を通 じて栽培 に適 した 季節であった と考え られる。このホウレンソウの栽培に適 した時期の生育後期 に,Oppm区
よ り も 1000ppm区 の方がRGRが大 きくなっている.Oppm tt RGRの 変化 を基準 とすると,1000ppm区 では生育の後期 まで乾物生産 を持続 している。 この生育後期の乾物生産 の差が最終の地上部生 体重および地上部乾物重の差 となって現れると考えられた。 摘要 (1)希 釈海水潅水時のホウ レンソウの部位別生育量を調べた。その結果,1000ppm区において地 上部の葉面積が大 きくなってお り
,葉
面積の増加が生育促進の要因であると考 え られた。 (2)RGRは,OppⅢ 区の変化 を基準 とすると,1000ppm区では生育後期の値が大きく,乾
物生産 を 持続 していると考 え られ る。 この生育後期の乾物生産の差が地上部生体重および地上部乾物重 の差 となって現れると考 え られる。 第
3節
シ ュ ウ 酸 溶 液 の 葉 面 散 布 塩生植物であるハマアカザや,半
乾燥地帯 に生育す るアカザ科植物では,シ
ュウ酸が高濃度 で集積 している(Osmond,1967).ホウ レンソウで も乾葉 あた り 5∼15%ものシュウ酸 を集積 し (Libert・ Franceschi, 1987),葉 菜類の中では著 しく高い。また,ホ
ウ レンソウ葉 に含 まれる 有機酸 のうち 67∼ 80%はシュウ酸であり,シ
ュウ酸含量 と全有機酸含量 との間には正の相関関 係が ある(杉山・広 岡,1992)。 また,ホ
ウレンソウのシュウ酸含量はカチオ ン含量 との間に高 い正の相関がある (Bengtssonら ,1966)。 この ことか ら,ホ
ウレンソウ体内ではカチオ ン含量 に見合 ったシュウ酸が存在すると考え られる。 しか し,可
溶性 シュウ酸 と不溶性 シュウ酸 の割 合 は一定ではな く(人見 ら,1992),過
剰な可漆 性シュウ酸 の集積は生理作用に有害である。ホ ウ レンソウ体内では,シ ュウ酸 は Caと 結合 し,不溶性 として存在 していると考え られている(人 見 ら,1992)。 すなわち,ホ
ウ レンソウは体内に吸収 した Caの 多 くをシュウ酸 を不溶化す るた めに用いていると考え られる。一方,塩水潅水 したホウレンソウでは葉中のNa含
量が高 まる(第2章
第 1節)が,こ
のNaと
可溶性 シュウ酸が結合 して シュウ酸 を不溶化することが考 え られ る。この仮説が正 しければ,吸
収 したNaが過剰 なシュウ酸 を不溶化 し,シ
ュウ酸 の不溶化 に利 用 されていたCaが生理反応 に利用 される結果 として,ホ ウレンソウの生育が促進 され る機構 の 存在が考 え られる。すなわち,塩
水の潅水がホウレンソウの生育 を促進する機構 を解明できる。 81そ こで
,NaCI溶
液 を潅水 して栽培 したホウレンソウにシュウ酸 を葉面散布 し,生
体重 におよば す影響 を調べた。 材 料 お よ び 方 法 実験 は 1997年 6月 か ら 7月 にかけて行い,鳥
取大学乾燥地研究セ ンターのガラス室内で実 施 した。1/5000aワ グネルポ ッ トに未耕作地の砂丘砂 を充填 し,6月
3日 にホウレンソウ師子暑 性 の強い `サンライ ト'と `オー ライ')を 1ポ ッ トあた り3株となるように播種 した。施肥 は , 元 肥 と し て 苦 土 石 灰 (2.4g/ポ ッ ト),ミ
ネ ラ ル G(0,8g/ポ ッ ト)お よ び 化 成 肥 料 針P拇5:K20=0・ 56!0.52:0.54g/ポ ッ ト)を混合 した。潅水 には淡水 とNaCI溶 液 (20nlM(1170ppm), 401「M(2340ppm),60mM(3510ppm),120mM(7020ppm)}を 用 い,適
宜行 った。播種 15日後 よ リシュ ウ酸 の散布 をはじめ,3日
毎 に 1000ppmシ ュウ酸溶液 3m1/ポッ トを葉面散布 した。また,対
照 区には淡水 を葉面散布 した。播種 30日 後 に地上部重 を測定 した。 結果 潅漑水中の
NaCl濃
度 とシュウ酸 の葉面散布がホウレンソウの生体重 におよばす影響 を第 4 図に示す。シュウ酸 の葉面散布は,い
ずれの潅水区にお いて も供試両品種の生育 を抑制 した. シュウ酸散布 による生育の抑制割合を NaCl濃 度別 に見 ると, `サンライ ト'で
はOmM区 が85%であったのに対 して 20mM NaCI区 は 56%,40nlM NaCI区 は 53%,601nM NaCl区 は 62%,120nM NaCl 区は43%であった。 `オー ライ
'で
は,OIIIM∼601nM NaCI区では約50%,120mM NaCl区で 28%と︵益
ゝ
︶側
雄
¶
︵益
ゝ
︶側
雄
期
10
8
6
4
2
0
10
8
6
4
2
0
0 20 40 60 120
潅漑水 中のNaCt濃
度(mM)
第4図 潅漑水中のNaCI濃度とシュウ酸(1000ppm)の 葉面散布が ホウレンソウの生体重におよぼす影響 注)1997年 6月 3日播種.調 査は悟種30日後に行つた ,`サ
ンライド
□水散布 囲シュウ酸散布 `オーライ
' 38考
察 両品種 とも
,シ
ュウ酸の葉面散布 によ り生体重が抑制された.体
内のシュウ酸含量は測定 し て いな いが,ホ
ウ レンソウは乾葉 に対 して 5∼ 15%のシュ ウ酸 を集積 して いる(Libert and Franceschi,1987)こ とか ら,体
内には生体重の約 1%のシュウ酸が存在すると考 え られる。 こ の濃度 に対 して,散
布 したシュウ酸の濃度は 1/10ほ どであったが,ホ
ウ レンソウの生育は抑制 された。 生育の抑制割合 について水散布 とシュウ酸散布 を比較すると,両
品種 とも淡水 を潅水 した時 の生育抑制が最 も少な く,NaCl溶
液 を潅水す ることで抑制割合が増 した。Naに シュウ酸 を不溶― 化す る働 きがあるとした仮説が正 しければ,シ
ュウ酸 を葉面散布 した ときに,体
内にNaが吸収 されている NaCl溶 液潅水区の生育が OmM潅 水区よ りもまさることが求 め られる。しか し,生
育は抑制されてお り
,Naが
Caに 代わってシュウ酸 を不溶化することによ り余剰のCaがホウレンソウの生育 を促進するという仮説は否定 された。 摘